スター・トレック BEYOND(Star Trek Beyond)のネタバレ解説・考察まとめ

世界的人気を誇るジーン・ロッデンベリーのオリジナル『スター・トレック』を元に、2009年にJ・J・エイブラムズによってリブートされた作品。本作はシリーズ3部作の最後を飾る。
ジャスティン・リン監督(『ワイルド・スピード』シリーズ)が指揮。
エイリアンの襲撃を受け、エンタープライズ号を脱出したクルー達。降り立った未知の惑星でクルー達の絆が試される。

スタートレックとは

スター・トレックは、1966年の放映開始以来、5本のドラマ作品、13本の劇場版、1本のアニメ作品が制作されている。
作者であるジーン・ロッデンベリーが理想とする未来像を描きつつ、現代における様々な社会問題をSFの形で提示した。
宇宙探索をテーマに、すべての映画・シリーズにおいて、世界観を共有している。

2009年にJ・J・エイブラムスよりリブートされた本シリーズは、1960年代のオリジナルとは違う並行宇宙でのストーリーだ。
なお、本作とオリジナルの時間軸は以下のように正式呼称を設けている。
・オリジナル・タイムライン(1966年より続くオリジナルスタートレックの時間軸)
・ケルヴィン・タイムライン(リブート作品の時間軸[本作はこちら])

スター・トレック(2009)

故郷の星を連邦に破壊され、連邦への復讐に燃えるロミュラン族の王ネロとスポック(オリジナルタイムライン)は、ブラックホールに吸い込まれ、ケルヴィン・タイムラインに飛ばされてしう。
ネロは平行宇宙でも復讐を企て、カークの父親であるケルヴィンを殺害する。
カークは、ケルヴィンの上官パイク大佐の誘いで宇宙艦隊アカデミーに入隊。
復讐に燃えるネロは、さらにスポックの故郷ヴァルカン星も消滅させる。
そして、ネロの捕虜となったパイク大佐を、スポックとカークで協力して奪還し、その功績を称え、カークはエンタープライズ号の艦長に就任した。

スター・トレック イントゥー・ダークネス(2013)

惑星ニビルの任務でニビル星人に宇宙船を見られてしまった責任を取る形で、エンタープライズ号の船長を解任されるカーク。
連邦本部の会議中に幹部たちがテロ襲撃をうけ、カークの恩人であるパイク大佐が死亡。
犯人は遺伝子改良されたスーパーヒューマンのカーン。彼を追いクリンゴン領域で逮捕することに成功した。
そこへ、最新鋭艦U.S.S.ヴェンジェンス号で追って来たマーカス提督が到来。彼の狙いは、クリンゴン領域で問題を起こし、戦争に発展させることだった。
カーンとカークは一時的に協力し、マーカス提督を倒したが、カーンが裏切りヴェンジェンス号でエンタープライズ号を攻撃した。
スポックの機転でヴェンジェンス号を撃沈し、地上での逃走劇の上、なんとかカーンを逮捕。
任務を終えたエンタープライズ号は、5年間の宇宙探索ミッションへと旅立った。

『スター・トレック BEYOND』のあらすじ・ストーリー

前作でのカーンとの戦い終了後、エンタープライズ号の船長であるカークは、新たな宇宙探索の任に就く。与えられた任務は、ティナクシ星人とフェノピアン星人との平和条約の調停だった。

カークはフェノピアンからの贈り物として、古代のオーパーツをティナクシ星人に手渡そうとするが、ティナクシ星人のリーダーはそれを武器と判断し、カークに襲いかかる。何とか危機を切り抜けるが、調停が徒労となったことを悟ると、オーパーツと共にエンタープライズ号に帰還する。

連邦本部へ報告後、カークは操縦士のチェコフが持ち込んだウィスキーで、船医のマッコイとカークの誕生日を前祝いした。
そこへ、異星人カラーラの遭難信号を受信した司令部から連絡が入った。カラーラの仲間がアルタミド星系で遭難してしまい、救助を依頼されたのだ。
連邦からの指示で、エンタープライズ号はヨークタウン基地で補給後、救出に向かうことになった。

ヨークタウン基地でエンタープライズ号のクルーは久しぶりの休暇を得た。
操舵手のスールーは、パートナー男性と子供の家族団らんを楽しむ一方で、副長のスポックは通信士のウフーラとの関係が微妙になっていた。
別れを切り出されたウフーラはスポックからプレゼントされたネックレスを返そうとするが、スポックは『バルカンでは、一度贈り物として渡したものを返す習慣はない』と言い、ネックレスの返却を断った。
そして、ウフーラとの関係に悩むスポックに、さらに追い打ちをかける知らせがバルカンからやって来た。スポック大使(平行宇宙から来たもう一人のスポック)が亡くなったというのだ。
一方カークは、長旅の徒労感から上官であるパリス提督に、5年間の宇宙探索が終わった後、エンタープライズ号を下りて副提督へと進みたいと嘆願する。艦長にはスポックがふさわしいとの助言をしていた。

補給が終わると、遭難信号を発信したカラーラをエンタープライズ号に同乗させ、アルタミド星系へ救出に向かうが、謎のエイリアンの大群に襲われる。
カーク達は応戦するも、圧倒的な戦力差を前に、エンタープライズ号は艦橋と船体が切り離されてしまい、大ダメージを負う。
エンタープライズ号を無力化したエイリアンは、船内へと侵入してきた。
エイリアンのボス・クラールは、カークがティナクシ星人への贈り物として持っている古代のオーパーツ「アブロナス」を奪いに来たのだ。

クラールは、船内でアブロナスのケースを発見したが、中身はすでにカークが持ち出していた。
アブロナスを奪うため、カークを殺そうとするクラールだったが、ウフーラの活躍でカークを逃がすことに成功。だが、ウフーラは捕虜となってしまう。

大破したエンタープライズ号を捨て、生き残ったクルーはアルタミド星系の惑星へポッドで脱出し、惑星に不時着した。しかし、クルーたちは、散り散りになってしまう。
スポックはマッコイと、カークはチェコフ、カラーラと、そしてウフーラとスールーは敵の捕虜となった。
機関主任スコッティは1人で迷っていたところでエイリアンに襲撃されてしまう。
その時、ジェイラーという現地の異星人に助けられ、エンジニアの腕を見込まれ、ジェイラー宅で機械を直すことになる。
ジェイラーの自宅は、この星に不時着したUSSフランクリン号という100年程前の船だった。
ジェイラーは、星を脱出するために艦のメンテナンスを続けていた。

カークは、チェコフ・カラーラと行動を共にしていた。
カークは、カラーラがエイリアンについて何か隠していると疑い、カラーラの本当の意図を問いただした。
すると、カラーラは、仲間がエイリアンに捕まっており、仲間を救うため仕方なくカーク達を星系に誘導したと白状した。

カーク達は、武器を入手するために墜落したエンタープライズ号の艦橋部へ行くが、そこでチェコフが、カラーラがエイリアンのボスであるクラールと通信を行っていたことを傍受し、カラーラはエイリアンと共謀していることが発覚する。
艦橋部で、カラーラが呼んだエイリアン達と戦闘となり、エイリアンに押されるが、艦橋のエンジンを点火することで、カーク達は混乱に乗じて逃げ出すことに成功した。その際、カラーラは艦橋部分の下敷きになってしまう。

スポックは、脱出ポッドでマッコイと不時着した際、腹部に重症を負った。
マッコイの手当てのお蔭で、何とかスポックは回復していった。
手当てを受けている間に、マッコイにウフーラと別れる理由を告白する。バルカン星人の血を残し再興するために、今回の宇宙探索が終わったら宇宙艦隊をやめてネオ・ヴァルカンへ行く予定だと。

応急手当を終えたスポックとマッコイは、新たなエイリアンに襲われる。追い詰められ最後と思われたとき、スポックとマッコイはスコッティのいるフランクリン号へ転送された。

エンタープライズ号から脱出したカークとチェコフは、ジェイラーが仕掛けた侵入者捕縛用のワナにかかっていたところを、スポック達と同じくジェイラーとスコッティに発見され、合流した。
散り散りとなっていた仲間達が再び集結した。

捕虜となったクルーたちを救出するため、スポックがウフーラにプレゼントしたネックレスから出る微弱な放射性物質を手がかりとして、クラールのアジトを発見した。
ジェイラーは、アジトで家族全員が惨殺された昔の記憶から救出作戦に反対するも、スコッティに説得されて、手伝うことになる。

同じ頃、クラールはある装置で、捕虜にしたクルーの生命力を吸い出し、スールー達の前で殺してしまう。
そして、隠しているアブロナスを差し出すよう残りのクルーを脅した。
脅しに屈したシル少尉は、隠していたアブロナスをクラールに手渡してしまう。

クラールは、アブロナスを装置に取り付け、シル少尉を使ってアブロナスのテストを行った。アブロナスは古代に作られた『生物を分解する兵器』だった。クラールは、2つのパーツを合わせて起動する仕組みであるアブロナスの、もう一つのパーツを探していたのだ。
アブロナスによってシルが分解される姿を確認すると、連邦への復讐に燃えるクラールは腹心の部下、マナスを置いてヨークタウン基地へ向かおうとする。

そこへ、カークたちがクルー救出に現れた。
銃撃戦の末、カーク達はマナスを倒し、捕虜となっていた残りのクルーをフランクリン号へと転送し、最後に残ったカークとジェイラーもフランクリンへと転送された。

クラールは、ヨークタウン基地でアブロナスを使っての大量虐殺を目論む。
カークはフランクリン号を起動させ、クラールを追ってヨークタウン基地へ向かった。
クラール艦隊の迎撃を振り切り、ヨークタウン基地に辿り着いたカークだったが、クラールの乗ったドローンは、ヨークタウン基地へ単身侵入に成功する。
それを追って、フランクリン号と、マッコイとスポックが鹵獲したドローンの二手にわかれ、カーク達とクラールは、市街地でバトルを繰り広げる。
カークは水路を使ってフランクリン号をヨークタウン基地内に進入させ、最終的にはフランクリン号の船体に追突させ、クラールの乗ったドローンを撃墜することに成功した。

フランクリン号内に入り込んだドローンを探索し、クラールを捕えようとするカークとウフーラ。
そこで、ウフーラは、フランクリン号の航海記録から、クラールの正体がフランクリン号の船長、バルタザール・エディソンであったことが判明する。
フランクリン号は、100年前にアルタミド星で座礁し、救援要請を出すも、電波が届かない星系であったため、連邦からは死亡扱いされており、救援が来なかった。それを恨みに思ったエディソンは、最後まで生き残ったマナス、カラーラとアルタミラ星で生き延びた。
先住民が遺した生命力を吸い取る機械を使い、先住民達を殺し、人間の限界を超えて寿命を伸ばし、生き延びてきたが、先住民のDNAと融合したり、装置の副作用で顔の形が変わってしまったエディソンは、復讐に燃えるクラールとなった。

ドローンの衝突から生き延びたクラールは、クルー2名の精気を吸い取り、ヒューマノイドに近い容姿を手に入れていた。
クラールは宇宙艦隊の制服を着用し、ヨークタウンの市街地へと紛れ込んだ。
クラールは給気塔へ向かい、そこでアブロナスを起動させ、ヨークタウン基地全域を滅ぼそうとするが、追いかけてきたカークと格闘になる。クラールはアブロナスを起動させ、給気ダクトへと流そうとするが、その寸前に、カークが吸気ダクトを開放し、アブロナスとクラールは宇宙空間へと放り出された。
カークもクラールと共に放り出されかけるが、間一髪のところをマッコイとスポックに救出された。

翌日、エンタープライズ号のクルーたちによるカークのサプライズ誕生パーティが行われる。今回の一件で、仲間との絆に魅せられたカークは、再び宇宙探索の任に就くことを決意した。
また、スポックも船に残ることを決意する。
再建中のエンタープライズ号をみながら、カークはジェイラーを新たなクルーへと勧誘するのだった。

『スター・トレック BEYOND』の登場人物・キャラクター

ジェームズ・T・カーク(演:クリス・パイン 日本語版声:阪口周平)

エンタープライズ号の船長。
感情的で喧嘩っ早く、スポックとは正反対な性格ながら危機には的確な判断が下す。
宇宙探査の任務に疲れ、基地勤務への道を考え出している。

スポック(演:ザカリー・クイント 日本語版声:喜山茂雄)

エンタープライズ号の副長。
論理的な思考を重んじ、常に冷静沈着。
時には感情を表に出すこともある、カークの大切な友人。
ウフーラとの関係に悩む。

レナード・マッコイ(演:カール・アーバン 日本語版声:宮内敦士)

エンタープライズ号の船医。
カークとスポックの友人でもある。
あるときはスポックよりも賢明で、あるときはカークより感情的なマッコイだが、二人の調整役にもなっている。

ウフーラ(演:ゾーイ・サルダナ 日本語版声:東條加那子)

エンタープライズ号の通信士。
数多くの異星語を話すことができる。
スポックの恋人だが、本作ではスポックの態度が急変したことを悩む。

ヒカル・スールー(演:ジョン・チョー 日本語版声:浪川大輔)

エンタープライズ号の操舵手。本作よりゲイとして描かれた。
序盤では、ウフーラと共に捕虜になってしまう。
フランクリン号を操り、クラール追跡に貢献した。

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