宇宙人ポール(Paul)のネタバレ解説・考察まとめ

『宇宙人ポール』とは、アメコミのイベントに参加するためイギリスからやって来たSFオタクの二人の男が、UFOの跡地巡りの旅の途中でポールと名乗る本物の宇宙人と遭遇し、彼を故郷の星に返してあげようと奮闘しまくるアメリカとイギリス製作のSFコメディ。2011年公開。様々なSF映画ネタが出てくるストーリーを担当したのは主演の二人を演じているサイモン・ペッグとニック・フロスト。

『宇宙人ポール』の概要

「宇宙人ポール」とは、SFオタクの小説家とイラストレーターの二人のイギリス人コンビが、はるばるアメリカにやって来てキャンピングカーでUFOの跡地巡りの旅をするさなか、本物の宇宙人に出合い彼を助けるハメになるSFコメディ。
本作には、テレビSFシリーズ「スター・トレック(宇宙大作戦)」や「未知との遭遇」「スパイダーマン」「メン・イン・ブラック」など様々なSF映画などの細かいネタが随所に登場し、映画に精通しているならニンマリできること請け合いの作品となっている。もちろん、映画ネタを知らなくても充分に楽しめる。
監督は、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(07)「アドベンチャーランドへようこそ」(09)など日本劇場未公開でソフトリリースのみの作品が多いグレッグ・モットーラ。「ワンダーウーマン」のタイトル・ロールを演じたガル・ガドットが出演している監督作「Mr.&Mrs.スパイ」(16)も日本劇場未公開でソフトリリースのみとなった。
出演は、本作の脚本も担当している「ショーン・オブ・ザ・デッド」04)「ホット・ファズ 俺たちスーパー・ポリスメン」(07)で共演しているサイモン・ペッグとニック・フロスト。宇宙人ポールの声をモットーラ監督の「スーパーバッド童貞ウォーズ」に出ていたセス・ローゲンが担当。
共演は、「マイレージ、マイライフ」(09)「モンスター上司」(11)のジェイソン・ベイトマン、「アドベンチャーランドへようこそ」に出演しアニメ「ヒックとドラゴン」の声優などで知られるクリスティン・ウィグ。同じく「アドベンチャー-」に顔を出していたコメディ俳優ビル・ヘイダー、「スーパーバッド-」に出ているジョー・ロー・トルグリオ。そしてラストに登場するのが「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバー。またスティーブン・スピルバーグが本人の声としてカメオ出演している。

「未知との遭遇」のデビルズタワーそっくりの山がポールやグレアム達の目の前に現れる

『宇宙人ポール』のあらすじ・ストーリー

ポールとの出会い

1947年、アメリカのワイオミング州に暮らす少女タラは、ある夜愛犬ポールが外に出たがるので玄関のドアを開けた。気になったタラも外に出ると、夜空を見上げていたポール目がけて光る物体が落ちてきた。それは異星人の宇宙船だった。

それから60年後

アメコミのイベントに参加するイギリスからやって来たSFオタクのグレアムとクライヴ

SFオタクのグレアム・ウィリーとクライヴ・ゴリングスは、アメリカのカリフォルニア州サンディエゴで開かれるコミコン(コミックコンベンション)に参加する為、はるばるイギリスからやって来た。
コミコンを楽しんだ二人はホテルに宿泊し、翌日キャンピングカーを借りて、以前から計画していたUFOの跡地巡りの旅に出た。

ネバダ州にあるUFO関係の研究をしていると噂されるグルーム・レイク空軍基地(通称エリア51)近くを訪れ、休憩がてらエイリアン・インと言う名のダイナーに立ち寄った。クライヴがトイレに行っている間、ガラの悪い二人組のガスとジェイクがグレアムに絡んできた。ビビったグレアムはクライヴが戻ってくると、慌ててカフェを出てキャンピングカーに乗った。
クライヴがキャンピングカーをバックさせた時、ガス達のものとおぼしき車にぶつけてドアを凹ませてしまった。しかし二人は何事もなかったような顔をして、カフェから遠ざかっていった。

二人はUFOと遭遇する確率が世界一高いと言われるE.T.ハイウェイを走っていた。途中で降りて記念写真を撮りあっていると、遠くから車が走ってくるのが見えた。ガスとジェイクが追いかけてきたと思った二人は、急いでキャンピングカーに乗り発進させた。しかしその車はキャンピングカーを追い抜くと、道路から逸れて横転した。二人はキャンピングカーから降りて焼け焦げた車の中を確認すると、そこには誰もいなかった。

とりあえず警察に連絡を入れておこうとクライヴが携帯電話を取り出した時、「やめとけ。その電話を切るんだ」と誰かが言った。声のする方を見ると、リュックを背負った一人の宇宙人が立っていた。宇宙人を見たクライヴは携帯電話を持ったまま卒倒してしまった。グレアムは驚きながらも宇宙人に話しかけると、彼は「俺はポール」と名乗り「クライヴさんを車に乗せて早いとこ一緒に出発しよう」と言った。グレアムが戸惑っているとポールは「ヤバイんだ。助けてくれないと俺は死んじまう」と言い、更に「たまには冒険するのもいいだろう、頼むよ」とお願いしてくる。

どこか陽気なポールに気を許したグレアムは動揺しながらも彼の頼みを聞き入れることにし、一緒にクライヴをキャンピングカーに運び込んだ。助手席に座ったポールは「ビッグ・ガイからできるだけ遠くに離れたい」と独り言のように呟いたが、グレアムには何のことか分からなかった。

その頃事故を起こした車を政府の捜査官ゾイルが調べていた。調査の最中、彼の上司ビッグ・ガイから無線連絡が入った。ゾイルは「ポールがヒッチハイクし、二人の人間と一緒らしい」と告げると、彼女は「奥の手を使ってでも宇宙人を捕まえて。二人は始末して。新人二人を応援にやったから合流して」と彼に命じた。

グレアムとポールはすぐに打ち解け冗談を交わすようになっていた。目覚めたクライヴは助手席に座っているポールを目にすると、突然手を伸ばして彼の首を絞めた。グレアムが「心配ない。彼はポールだ」と話すとクライヴは疑いながらも手を放した。

しばらく進むと道路が封鎖され検問が行われていた。検問しているのは、ビッグ・ガイが放った新人捜査官ハガードとオライリーだった。二人の捜査官はグレアム達のキャンピングカーに乗り込んだが、ポールを見つけることはなかった。ポールは息を止めている間透明になれる能力があり、それを使ったのだ。検問を通過した後クライヴがポールに逃げている理由を聞き出そうとすると、彼は「知らない方が身のためだ。なにかあった時のためにも」と答えるだけだった。

突然キャンピングカーの窓ガラスに鳥がぶつかった。車を停めて三人が降りると、死んで横たわっている鳥をポールが両手で抱え上げた。そして目を閉じて「ウウッ」と唸りながら念じると、鳥は生き返り羽根をバタバタさせた。ポールには死んだものを蘇生させる能力もあったのだ。

ルースの誘拐

運転に疲れたグレアム達は、キャンピングカー用の車中泊施設で一泊することにした。
その夜、三人はバーベーキューをし、マーヴィン・ゲイの歌を聞きながら楽しく踊った。施設を経営するモーゼ・バグスの娘で片目が見えないルースは、洗濯物を取り込む際車の陰から何気なくグレアム達を覗き見たが足元しか見えなかった。

翌朝ルースがグレアム達のキャンピングカーにやって来た。彼女が「二人かと思ったけど、もう一人いなかったかしら」とグレアムに聞くと、トイレに隠れたポールが「もう一人はトイレの中」と答えた。

グレアムがルースの着ている「イエスがダーウィンを銃で撃っているイラスト」が描かれたTシャツを見て、「どうして撃つの?」と聞くと、彼女は「進化論は神への冒涜だからよ。世界は神様が設計されたのよ」と言った。「デタラメだ」とポールがトイレの中から反論した。ルースは「神様が天と地と人間を創ったのよ」と言い返すと、ポールは「神が創っただと。じゃあこの俺はどう説明するんだ」と言ってトイレのドアを開け、自分の姿をルースの前に晒した。ルースは驚きのあまり失神してしまった。

ポールの存在がばれた以上通報されるかもしれない為、ルースも連れて行くことになった。グレアム達のパスポートを施設の事務所に預けていた為、それを取り戻す必要がある。そこで透明になれるポールが、事務所に忍び込んで探すことになった。しかしパスポートを見つけ息継ぎをしたその瞬間、偶然入ってきたモーゼに見つかってしまった。慌ててキャンピングカーに逃げるポールを、ライフルを手にしたモーゼが追いかけてきた。ポールは間一髪のところでキャンピングカーに飛び乗り、何とか車中泊施設を後にすることが出来た。

キャンピングカーの中で目を覚ましたルースは、ポールに「この悪魔」とわめき狼狽えまくった。それをみたポールは、ルースの頭に手を当て自分の知識と経験をテレパシーで送り込んだ。すごい情報量を一気に送り込まれたルースは、脳が耐え切れずまたもや気絶してしまった。

追っ手

ポールが特殊能力を使い、ルースの見えなかった左目を直す

モーゼの車中泊施設にゾイル達が来て聞き込みをしていた。ハガードとオライリーは、詳しい事情を教えられないままゾイルに従っていた。ゾイルに「そろそろ何を探しているのか教えて下さい」と言ったが、「知らなくていい」と拒否されてしまった。
彼らの会話を無線傍受したモーゼは、ライフル銃を携え後を追うことにした。

ルースが気絶から目覚めた。彼女がポールの存在を認めたがらない為、グレアムが説き伏せようとしゃべりまくる。するとルースは渋々ながら話を受け入れ、同行してくれることになった。
ポールはルースに見えない左目の状態を見せてくれと言い、瞼の上に自分の手を添えた。そして念じるように目を閉じると、彼女の損傷していた網膜が正常に戻り左目が見えるようになった。ポールの能力を実感したルースは、やっと彼を認めた。

旅の途中で空腹を覚えたグレアム達は、ポールをキャンピングカーに残し道路沿いのレストランに行った。レストランでルースが自宅に電話をかけると、ゾイルの声が聞こえた。逆探知されていたのだ。ルースは慌てて電話を切りグレアム達のところに戻ろうとするが、二人組の男に前を塞がれた。それはガスとジェイクだった。二人を押しのけグレアム達のところに戻ってくると、ガス達も彼女を追いかけてきた。

グレアムがガスを蹴り倒すと彼は他の客のテーブルに倒れ込み、怒った客と乱闘が始まった。その隙に出口に向かいキャンピングカーに向かって走った。しかし乱闘から抜け出したガス達が追いかけてきて、キャンピングカーのドア際まで追い詰められてしまう。今にも殴られそうな時ドアが開き、ポールが「ようクソども」と言って姿を現した。ポールを見たガス達は驚きのあまり失神した。その隙にキャンピングカーを発進させ逃げ切ることが出来た。

その夜屋外でキャンプファイアをしている時、グレアムがポールに追われている理由を再度聞くと彼は話してくれた。ポールは60年もの間、自分の持っている様々な知識や技術を政府に提供していた。そして「知ってることはすべて教えたよ。後に残っているのは傷を治したりテレパシーを使ったりできる俺の特殊能力だけ。それを手に入れるためには俺の幹細胞が必要だ。それを切り取られるなんてゴメンだ」と話した。

続けて「政府内部に一人だけいる友達の協力を得て、宇宙の母星にSOSを発進したんだ。それで仲間が迎えに来てくれることになった」と語った。

翌朝遅くに起きたグレアム達は、街の通りに停めたキャンピングカーの周囲を人々が行きかっているのを目にした。キャンピングカーまでは距離があったので、変装して向かうことにした。
ポールは少年カウボーイの扮装をして歩いた。するとクライヴがコミック&SFグッズショップの前で立ち止まり、店内に入ってしまった。ポールは「ショップに入って隠れてるから、その間にキャンピングカーをショップの前まで運転してきて」とグレアムに言うと、彼も店に入った。

その時、捜査を続けていたハガードとオライリーがやって来た。ポールはエイリアン人形を装うも彼らに正体がばれてしまった。ポールは慌ててクライヴと共に外に飛び出し、目の前にやって来たキャンピングカーに飛び乗った。

ハガード達はゾイルのところまで戻ると、「エイリアンを見ました」と報告したが無視された。ゾイルはキャンピングカーがどこに向かったかを聞き出すと「お前たちの用は済んだ。基地に戻れ」と彼らを追い返し、一人でポールの後を追った。

偶然キャンピングカーを見つけたモーゼも追いかけてきた。
なんとか逃げおおせたポールは「ここからは危険だから俺一人で行く」と言い出した。しかしグレアムに「いまさらそれはないだろう。みんなでやろう」と言われ、今まで通り共に行動することになった。

ポールを迎えにくる宇宙船へ合図をする為、花火が必要だった。金が足りなかったグレアム達は盗みを働いたが、それにより居場所をゾイルに知られてしまった。ハガード達もゾイルの命令に背き、無線を盗聴して彼の後を追ってきた。

タラとの再会

ポールが仲間との合流地点に近づいたとき、彼は「どうしても立ち寄りたい家がある」と言った。それは、60年前に宇宙船が墜落した時ポールを助け、彼の世話をしてくれたタラの家だった。

タラは訪ねてきたポールを一目見るなり、「やっぱり本当だったんだ」と喜びの笑みを浮かべた。しばし談笑していると玄関のベルが鳴り、窓から発煙弾が投げ込まれた。ベルを押したのはゾイル。発煙弾を投げたのはハガードとオライリーだった。

ポールは玄関を開けるとゾイルを能力で気絶させたが、彼自身もパワーを使って消耗したせいで倒れてしまった。後から駆けつけたクライヴがポールを抱えたが、ハガードが「そのエイリアンを渡せ」と銃を向けて迫ってきた。その時影に隠れていたグレアムが出てきて、ハガードと対峙した。

ゾイルとハガードが気絶している隙に、クライヴ達とタラはキャンピングカーに向かって必死で走った。モーゼもタラの家までやって来ていて、走るクライヴ達にライフルを向け発砲しようとする。家の中に居たオライリーは、窓からグレアム達に向けて発砲した。それが引き金となって家が大爆発し、彼は焼死した。

意識を取り戻したハガードは、車に乗り込みグレアム達のキャンピングカーを追った。その後にモーゼの車が続く。ハガードはキャンピングカーに追いつくも、運転を誤って崖から墜落して死亡した。

ゾイルとビッグ・ガイ

グレアム達と最後の別れをするポール

夕方ごろ、キャンピングカーがエンジントラブルを起こして動かなくなった。気落ちするグレアム達だったが、いつのまにかポールは一人ですぐそばの丘を登っていた。グレアム達が彼の後を追いかけて丘を登りきると、目の前に小高い山が見えた。その山の麓が仲間と合流する場所だったのだ。グレアム達は早速花火を打ち上げた。
その頃ポール達に追いついたゾイルが、車のトランクからライフル銃を取り出し丘を登っていた。

やがて木々の向こうに光るものが現れ、ポール達に近づいてきた。それはビッグ・ガイが乗ったヘリコプターだった。ビッグ・ガイは拡声器で「そこから動くな。緑色のバケモノめ」とポールを脅し、着陸すると兵士を引き連れて迫ってきた。その時、麓に来たゾイルが兵士の一人を銃で撃った。

実はゾイルはポールの親しい仲間で味方だったのだ。ゾイルは基地でポールととても親しくなり、彼の命を救うために逃がして母星に帰してやろうと計画した。しかし行き違いでポールと落ち合うことができず、後を追いかけていたのだ。

ゾイルはビッグ・ガイにピストルで撃たれ、負傷してしまった。ビッグ・ガイがポールに近づこうとすると、クライヴやグレアム、ルースが立ちはだかり対峙するもあっさり倒されてしまった。しかしタラが強烈なパンチをくらわし、ビッグ・ガイを気絶させた。

遅れてモーゼが現れた。モーゼはポールを狙って銃を撃ったが、彼をかばったグレアムが胸に銃弾を受けてしまった。倒れたグレアムはそのまま息絶えた。
嘆き悲しむクライヴやルースの姿を見たポールは、「やってみるよ」と言って能力でグレアムを蘇生させようとする。ゾイルが制止するも耳を貸さず、ポールはグレアムの胸に手を当て念じる。やがてグレアムの心臓が動き始め、彼は生き返った。ポールは体力の消耗が激しかったが命を落とすことはなかった。

安堵するのも束の間、倒れていたビッグ・ガイが起き上がって「まだ終わってないわ」と言いながら銃を向けてきた。その時ビッグ・ガイの頭上から階段のようなものが下りてきて、彼女はぺしゃんこに潰された。その階段はポールの仲間の宇宙船から伸びてきたものだった。

ポールは宇宙船をバックに皆と記念写真を撮ったあと、タラに「一緒に行こう」と言った。タラは一瞬戸惑ったがすぐに承諾し、宇宙船に乗り込んだ。

二人が乗り込むと宇宙船は離陸し、宇宙の彼方へと飛び去って行った。

ポールの小説

二年後、グレアムとクライヴは再びコミコンを訪れた。ポールを題材に発表した小説がベストセラーとなり、コミコンの会場で表彰されることになったのだ。司会に呼ばれステージに上がると、客席から盛大な拍手を浴びた。

『宇宙人ポール』の登場人物・キャラクター

グレアム・ウィリー(演:サイモン・ペッグ、吹替:横島亘)

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