ワイルド・スピード MEGA MAX（映画）のネタバレ解説・考察まとめ

『ワイルド・スピード MEGA MAX』の概要

『ワイルド・スピード MEGA MAX』とはアメリカ合衆国で制作されたカーアクション映画である。『ワイルド・スピード』シリーズの第5作目であり、2011年に日本で公開された。監督はジャスティン・リンで、前作の『ワイルド・スピード MAX』も担当した監督である。日本での興行収入は14億4000万円で、観客動員数は96万人となった。世界での興行収入は688億円で前作と200億円の差を出して『ワイルド・スピード』シリーズの中では過去最高となった。警察と犯罪者たちが協力する『ワイルド・スピード』シリーズにかつてないストーリーだが、仲間の友情と立場を超えた信頼関係が感じられる映画となっている。
ドミニク・トレットは懲役25年の刑を受け刑務所へと護送されていた。ドミニク・トレットを逃亡させようと、妹のミア・トレットと元警察官のブライアン・オコナーが協力し、ドミニク・トレットの救出に成功する。しかし、この事件がニュースになり3人は指名手配され、ブラジルのリオデジャネイロに逃亡する。そして3人はリオデジャネイロでかつて仲間であったヴィンスと再会し、麻薬取締局の押収した車を盗む仕事を手伝うことになる。しかし、ヴィンスの仲間に疑念を感じたドミニク・トレットは、ミア・トレットに計画変更と伝える。不審に思ったヴィンスの仲間たちと銃撃戦になってしまい、捕らえられた2人はヴィンスの仲間のボスであるエルナン・レイエスという男が何か握っていると考え、それがヴィンスの行動で押収された車にあったチップだということが分かる。その頃、ドミニク・トレットたちの事件を聞いたアメリカ合衆国の外交保安部の捜査官であるルーク・ホブスはブラジルまで来ていた。そこで、通訳者としてブラジルで新人警官であるエレナ・ネベスを同行させることになる。ドミニク・トレットたちは、エルナン・レイエスが所持している1億円を強奪しようと世界中から6人の仲間を集めて計画実行を試みる。6人それぞれの得意分野を活かし、エルナン・レイエスの情報を入手したドミニク・トレットたちは、計画当日を迎える。計画実行の直前にルーク・ホブスがアジトに乗り込み、ドミニク・トレットたちはあえなく捕らえられてしまう。しかし、連行中にエルナン・レイエスの部下たちに銃撃され、警察官が次々に殺されていく。そこでドミニク・トレットたちが応援に入り、ルーク・ホブスは一命を取り留める。エルナン・レイエスたちに部下を殺されたルーク・ホブスは、ドミニク・トレットたちに協力することを決意する。アジトに戻ったドミニク・トレットたちは、計画を実行する。まず、ルーク・ホブスとエレナ・ネベスが警察署に車で乗り込み、金庫がある壁に車ごと激突し破壊する。現われた金庫をドミニク・トレットとブライアン・オコナーが乗った車で引っ張り出し、リオデジャネイロ市街を警察官たちとカーチェイスを繰り広げる。仲間の助けもあり、見事1億円強奪できたドミニク・トレットと仲間たちは、それぞれの道へ進み、幸せな生活を送る。アメリカ合衆国に戻ったルーク・ホブスは、モニカ・フェンテスからある捜査資料を見せられる。そこには死んだはずのレティ・オルティスの写真が載っていた。
仲間同士の友情と仲間を信じる気持ちが強く現われており、誰もが無理だと感じる場面をどのようにして攻略していくのか、見ていくうちに引き込まれていく映画となっている。

『ワイルド・スピード MEGA MAX』のあらすじ・ストーリー

ドミニクの救出

前作で犯した罪により、ドミニク・トレットは懲役25年の服役刑となり護送されていた。ドミニクが乗ったバスの後ろから3台の黒い車が近づいてくる。黒い車にはブライアン・オコナーとドミニクの妹ミア・トレットが乗っていた。2人はバスを横転させ、無事ドミニクを救出した。

この事故はニュースで放送され、元警察官のブライアンが逃亡に加担したと伝えられた。そしてドミニク、ブライアン、ミアは指名手配されることになった。

ドミニクとの再会

ブラジルのリオデジャネイロに逃亡したブライアンとミアは、かつて仲間だったヴィンスの元を訪れる。ヴィンスから大金が手に入る仕事を持ちかけられ、お金が必要な2人はその仕事を引き受けることにする。

2人は押収車が乗っている列車に乗車し、貨物車両に車があることを確認する。別れて逃亡していたドミニクは車で列車と並走し、押収車を外へ運び出せるように貨物車両に大きく穴を開けた。ドミニクの姿を見たブライアンとミアは再会を喜ぶ。

車を外へ運び出す際、ヴィンスの仲間がフォード・GT40に乗ると言い張った。怪しく思ったドミニクはミアに乗るよう指示し、「計画変更になった。連絡を待て」と合流場所には行かないように耳打ちする。合流場所と違う方向に走り出した車を見て激怒したヴィンスの仲間は、ミアの後を追おうとするもブライアンに阻止された。

最後の押収車を盗んだドミニクとブライアンだが、地上で待ち構えていたヴィンスの仲間に身柄を拘束される。そこにエルナン・レイエスという男が現れ、2人に「ミア・トレットを襲う」と脅迫して去っていった。
拘束されていた2人は、見張り役を倒し無事ミアと合流した。3人は襲ってきたヴィンスの仲間の正体を暴く為、フォード・GT40を調べることにした。

アメリカ合衆国から追ってきた警察官

ドミニクとブライアンのニュースを聞いてアメリカ合衆国から追ってきた警察官のルーク・ホブスは、部下達とリオデジャネイロを訪れる。ルークは現地での通訳官として、リオデジャネイロの警察官で新人のエレナ・ネベスを指名する。

ルークは襲撃された列車を確認していた。そこへエレナがやってきて、なぜ新人の私を通訳者として選んだのかと尋ねてきた。ルークは「君は警官だった最愛の人を殺され、半年後に同じ警官になった。悪を憎んでいる。買収されない警官は君だけ」と伝え、彼女を選んだ理由を伝えた。

ルークの部下が車のタイヤ痕を見つけ、ドミニクが向かった場所が判明した。

ヴィンスとの再会

ドミニクとブライアン、ミアの元にヴィンスがやってくる。3人が「今まで何処にいた」と聞くと、ヴィンスは「すぐに来たら尾行されるから来れなかった」と答えた。それを聞いたブライアンは「見え透いた嘘だ。お前が持ちかけた仕事だぞ」と怒り、ヴィンスへ殴りかかる。しかしドミニクから「仲間を信じろ。外で頭を冷やしてこい」と言われ冷静になる。

それから数日後の夜、ヴィンスはフォード・GT40から何かを抜き取っていた。それを見たドミニクは「お前が裏切るとはな。ミアも巻き込むとは。俺の妹だぞ」と言いヴィンスを殴る。ヴィンスは「狙いは車だと思っていた。俺も知らなかったんだ。狙いがチップだとは」と言い無実を伝えようとするが、ドミニクに「仲間を裏切るな」と一喝される。

ヴィンスは「頼む、チップだけくれ。俺がレイエスに届ける。レイエスに渡れば事は直る」とドミニクを説得しようとする。しかしドミニクに「出ていけ」と言われ、「いつも俺を信じないんだな。オコナーがサツだと言った時もそうだった」と吐き捨てて去って行った。

エルナンの目的

ドミニク達はヴィンスが持っていたチップを車のナビゲーションへ入れ、エルナンの元に1000万ドル紙幣を定期的に配達していたことを知る。そして彼のアジトには1億ドル以上あることがわかった。
その時エルナンの部下達が襲ってきた。ドミニクが囮になり、2人とは別の方向に逃げる。

ドミニクの元へ向かっていたルークら警察官は、銃の発砲音を聞いて急いで音のする方へ向かった。そこでエルナンの部下と遭遇し、撃ち合いになる。その隙にブライアンとミア、ドミニクは逃走した。
ドミニクが「別々に行動しよう」と提案すると、ミアから「離れ離れになりたくない。ブライアンとの子供を妊娠しているの」と伝えられた。それを聞いた2人は共に行動することを決意する。

ルークはドミニク達が使用していたアジトに行き、3人の指紋や押収車を確認した。また、押収車の所有者が投資家のエルナン・レイエスだということも分かり、調査を開始する。押収車を解体しその後元通りにすると、無くなっている部品がチップだけだということが判明した。

仲間の招集

敵から逃げ切った3人は違うアジトを見つけて生活していた。
ある晩ブライアンから「俺は父親を知らない。良い父親になる為に逃亡生活から足を洗いたい」と言われたドミニクは、チップを使いエルナンの金を全て奪うことを提案した。2人は最後の仕事を果たす為、仲間を招集する。

どんな場所にも周りに溶け込んで潜入できる「カメレオン」的存在であるハン。どんな相手でも口先だけで騙すことができる「ペテン師」ローマン・ピアース。警備システムが厳重な為、電子機器に詳しいテズ・パーカー。敵の内部の情報を盗む為、壁を突破できるテゴ・レオとリコ・サントス。そして武器担当で腕っぷしが強く、なんでも器用にこなす「何でも屋」ジゼル・ヤシャールの6人が集まった。

今回の目的であるエルナン・レイエスという男について説明する。エルナンは麻薬の密売をしており、その全てを現金で取引している。現金が保管されている場所はリオデジャネイロに10箇所。そしてその全てからお金を奪うと1億ドルの稼ぎになることを伝えると、全員が参加すると決めた。

計画

ドミニクから計画を聞いた6人は、「1箇所襲うことによって残りの警備が厳重になってしまう為、10箇所を襲うのは不可能だ」と言う。しかし彼には策があった。まず1箇所のお金を燃やし「他も襲う」とエルナンに伝えることで、お金を集めさせるのだ。

エルナンはドミニクの予想通り、警備の厳重な場所へお金を集めるよう部下に指示する。しかしその場所は警察署だった。当初の計画より難しくなり皆諦めかけたが、ドミニクは予定通り実行すると宣言した。

エルナンのアジトが襲われたという報告を聞いたルークは、「ドミニクの仲間がブラジルに入国した形跡を調べろ」と部下に指示する。そして6人全員を指名手配した。

警察署への潜入

ドミニク達は改めてお金を奪う計画を練る。集められたお金は証拠保管室の金庫にあることが分かった為、まずは金庫がどのようなモデルか調べることにする。そこで指名されたのは、口が上手いローマンだった。

ローマンは警察官になりすまし、「ある事件の証拠品を預けにきた」とカメラ付きのラジコンが入っている嘘の証拠品を証拠保管室に置いた。それをテズが外から操り、金庫のモデルを把握することに成功する。しかし金庫はとても厳重で、ロックを解除するのに暗証番号と手紋が必要だった。

一方テゴとリコは警察署の水道管に爆発物を仕掛けて爆発させ、トイレに作業員として潜入していた。トイレの壁の中には監視カメラの配線があり、その信号を盗むというのだ。無事成功するも、警察署内の監視カメラはとても高性能だった。視界は100度、10秒で一往復しすぐに信号が変わる為、偽の映像を流すこともできない。その監視カメラをすり抜ける為には、とても速く操縦性の良い車を使用しなければならない。

ドミニクは模擬コースを作るように仲間に指示し、ブライアンと共に車を調達しに行くことにした。

車の調達と金庫の攻略

車の調達をしにブラジルのストリートレースにきたドミニクとブライアンは、3年連続で最速記録を出した車に目を付ける。ドミニクはレースに参加して見事勝利し、車を手に入れた。

模擬コースで運転してみるが速さが十分ではなく、セットした監視カメラに映ってしまう。もっと速い車をレースでいくつか調達したが、誰が運転しても監視カメラに映ってしまう。ハンは「監視カメラをすり抜けるには透明な車が必要だ」とドミニクに伝える。警察官にとって透明な車＝パトカーを盗み用いることにした。

車と同時に金庫も同じモデルを手配し、ロック解除の方法を調べる。電子式の鍵はテズが調べ、手紋はハンとジゼルが調べることになった。エルナンの元を訪れるも彼のボディーガードが7人もいると知ったハンは、もっと情報を集めて応援を頼もうとジゼルに提案する。しかしジゼルは「必要ない。これは女の仕事よ」と言い残してエルナンの元まで行き、お尻を触らせることで手紋を入手した。

ドミニクの罠

車の調達と金庫の攻略をしている間に、ドミニクを含めた仲間全員が指名手配犯になったことを知る。ブライアンから「ルークはホシを追うことに失敗をしたことがない」と聞かされたドミニクは、罠を仕掛けることにする。

ドミニク達はストリートレースの会場へ行き、ルークら警察官を誘き寄せる。ルークはレース会場を訪れたが、そこにいる人々から銃を向けられた為一度撤収することにした。テズはその間にルーク達が乗っていた車に発信機を付け、今後の行動を把握できるようにした。

ヴィンスとの再会と死