27クラブ(The 27 Club)まとめ

「27クラブ」は、27歳で亡くなった有名な音楽家や芸術家たちを指す総称で、特に1960年代後半から1970年代にかけてこの現象に注目が集まった。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンなど名だたるメンバーが多く、いずれも各界で絶大な影響力を持ち、短期間で大成功を収めた人物ばかりだ。彼らの死は大きな衝撃を与えただけでなく、死亡した年齢が27歳と共通しており、都市伝説や陰謀諭などが囁かれることとなった。アーティストなどの短い人生の儚さと、その才能への敬意を示す言葉としても知られている。

27クラブ(The 27 Club)の概要

「27クラブ」(The 27 Club)とは、27歳で亡くなった有名なアーティストなどを指す言葉で、この概念は影響力のある人物たちが27歳という共通の年齢で急逝したことから生まれている。

特に1960年代後半から1970年代初頭にかけては、集中してこの年齢で著名なアーティストなどが亡くなったことから、社会的に大きな衝撃があり、「“27歳”という数字や年齢に何か意味があるのではないか」など、さまざまな臆測を呼んだ。

27クラブの代表的なメンバーにはジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、カート・コバーン、エイミー・ワインハウスなどが名を連ねており、彼らの死因は多くの場合、薬物の過剰摂取、自殺、事故などであった。

都市伝説や陰謀論も27クラブの周りを渦巻いている。一部の人々の間では27という年齢がアーティストにとって運命的な年齢で、業界や特定の勢力が意図的に彼らの死を引き起こしたのではないかとの声も上がった。例えば悪魔との契約によって特定の人物を死に至らしめたり、音楽業界の大きな黒幕が関与して殺害したりといったものだ。また、27という数字そのものに不思議な力があるとするオカルト的な見解もある。

その一方で多くの専門家は、27クラブのメンバーの死因などに共通かつ特別な因果関係はなく、単に偶然の一致であるという考えを示している。事故による死因を除き、若いころから有名になり過ぎたが故に過度のプレッシャーに押しつぶされ、薬物やアルコールに依存してしまったことなどが早逝の原因として挙げられている。

歴史

27クラブの歴史は、作曲家でピアニスト、そして指揮者であったアレシャンドリ・レヴィが1892年1月17日に急逝したことから始まる。当時はまだ1人目であり27クラブという名はなかったが、彼の死後、同じく27歳で亡くなるアーティストやミュージシャンが相次ぎ、やがて27クラブとして一種の都市伝説や現象として広く知られることとなる。

1908年3月26日には作曲家のルイ・ショーヴァンが同じく27歳で亡くなり、この“連鎖”が始まったとする見解もあるが、本格的に27クラブが注目され始めたのは、1960年代後半から1970年代初頭にかけてだ。

この時期に亡くなった代表的な人物には、1969年に死去したローリング・ストーンズの創設者でギタリストのブライアン・ジョーンズ、1970年に死去したギタリストのジミ・ヘンドリックス、歌手のジャニス・ジョプリン、1971年に死去したドアーズのジム・モリソンが挙げられ、それぞれが音楽界に与えた影響が大きかったこともあり、27歳という年齢で亡くなった事実が強調され、27クラブという現象が広く知れ渡ることとなった。

1994年にはニルヴァーナのカート・コバーンが27歳で自殺。更に2011年にはイギリスのシンガーソングライターのエイミー・ワインハウスも27歳で亡くなり、27クラブに対する関心などが更に高まり、27歳という年齢には何かがあるはずだという考えが広がり続けている。

科学的研究

27クラブについての科学的研究では、“なぜ27歳で有名なアーティストが亡くなるのか”という現象に対して科学者たちが疑問を抱き、多くの調査が行われた。その結果、科学者たちは27歳での死が特に多いという証拠はなく、どれも偶然であるとしている。

しかし、2011年にイギリス人のエイミー・ワインハウスが27歳で亡くなったことで再び注目が集まり、同年のイギリスの統計学会ではミュージシャンの死亡リスクのみに焦点が絞られて研究が進められた。結果的に20代から30代の間に死亡率がわずかに高まるものの、特定の年齢について死亡するリスクが顕著に高まるとは言えないことが明らかにされている。

また、科学者たちは有名なアーティストなどが死亡した際に、メディアなどが大々的に報じたことにより、“27歳”が特に目立ち、その結果として多くの臆測などを呼んでいるだけだという考えを示した。

統計学的な調査

BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)の統計学的な調査によって、若いミュージシャンの死亡率が一般の若年成人に比べて高いことが示されたものの、そのリスクが27歳に限定されるわけではないと結論付けられた。このことから大きな人気や名声を得たミュージシャンの生活習慣などが、死亡リスクを高める可能性があるという仮説は支持されたが、“27”という年齢自体には統計的な異常はないとの見解も示された。

この仮説を更に探るためにBMJは、他の年齢、例えば25歳や32歳といった年齢と比較も行い、27歳に亡くなることが偶然の範囲内であるかを明確にするべく調査を実施。その結果、20代後半から30代前半にかけて、その年代全体でリスクが高まっていることが分かった。そのため27歳が“特別な”年齢なのではないと結論付けている。

生存するミュージシャンの見解

27クラブに対しての生存するミュージシャンの見解はさまざまで、一部のミュージシャンはこの現象に対して畏怖や敬意を抱きつつも、中にはそれを迷信やメディアによる過剰な強調による産物だと捉えている人も多い。OASISのノエル・ギャラガーは27クラブについて“単なる偶然”としつつも、自身が27歳を過ぎた際には「ほっとした」と話したほか、ブラーのデーモン・アルバーンも27歳を過ぎて「安心した」と語り、27クラブに懐疑的なミュージシャンでも“27歳”に対する不安は少なからずあるようだ。

また、コートニー・ラブは彼女の夫であるニルヴァーナのカート・コバーンが、27歳という若さで亡くなったことについて「才能あるアーティストに対する一種の呪いのようだ」と述べており、27クラブを単なる偶然ではなく“宿命”という考えを示した。カート・コバーンの死によって27クラブが更に注目すべき事象になったと指摘し、音楽業界の大きすぎるプレッシャーや精神的な負担が、ミュージシャンたちの若すぎる死に深く関係していると警鐘を鳴らしている。

27クラブ(The 27 Club)のメンバー

アレシャンドリ・レヴィ(Alexandre Levy)

名声・肩書:作曲家/ピアニスト/指揮者

ブラジル・サンパウロ出身、1864年11月10日生まれ。作曲家、ピアニスト、指揮者としてブラジル音楽界に革新をもたらした。15歳という若さで2台ピアノのための華麗な幻想曲『Fantasia brillhante sull' Opera Il Guarany di A. C. Gomes composta por due pianoforti』を作曲。クラシックにブラジルのリズムやメロディを取り入れた特徴的なスタイルで知られており、ピアニストとしても演奏技術と感性が優れており、高い評価を得ていた。

ジャンル:クラシックとブラジル音楽の融合

アレシャンドリ・レヴィは、クラシック音楽とブラジルの民族音楽を融合させた先駆者としてブラジル音楽史に名を残しており、ヨーロッパのクラシック音楽を学びながら、ブラジル音楽の独自性も探求して融合させた。彼の曲は当時のブラジル音楽にとって革新的だったとされ、のちのブラジル音楽の発展に大きな影響を与えた。

クラシック音楽の形式を取りながらも、ブラジルのリズムやメロディを取り入れた点が特徴的だ。例えば、彼の作品『サンバ』(全4楽章の「ブラジル組曲」より)においては、ブラジルの民俗舞踊であるサンバの要素をクラシカルな作曲技法と組み合わせ、洗練されたピアノ曲に昇華している。

影響:ブラジル音楽のアイデンティティを確立

19世紀のブラジルでは音楽界においてもヨーロッパの影響が非常に強く、ブラジル独自の音楽スタイルはまだ発展途上といえる状態だった。アレシャンドリ・レヴィはその中でヨーロッパのクラシック音楽の形式を保持しつつ、ブラジルの民俗音楽やリズムを融合させることで、ブラジル音楽の新たな方向性を示し、ブラジル音楽に大きな影響を与えた。

作曲家のエイトル・ヴィラ=ロボスなどもアレシャンドリ・レヴィに影響を受け、ブラジル音楽のアイデンティティはより強固なものになり、ブラジル音楽の国際的な認知とその独自性の礎を築いたとされている。

27クラブの最初のメンバー

アレシャンドリ・レヴィは27クラブの最初のメンバー(1人目)と考えられ、彼の死を皮切りに有名なアーティストやミュージシャンが27歳で亡くなっていった。

こういったことから“27歳で亡くなる”という現象がメディアなどで注目されるようになり、都市伝説的に同クラブ名が付けられるようになった。

死因:不明(1892年1月17日没)

アレシャンドリ・レヴィは27歳という若さで亡くなり、その原因については公式の記録が残っていないため、さまざまな臆測が飛び交っている。

一説によると心臓発作や脳卒中などによって急死したとされており、大きなストレスや過労が突発的な死につながったとする見解もある。

ルイ・ショーヴァン(Louis Chauvin)

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