ナルトはなぜ火影を目指すのか

週刊少年ジャンプで1999年43号から2014年50号まで連載された漫画『NARUTO』。全700話で、単行本は全72巻と外伝1巻、アニメ、ゲーム、小説なども展開されています。更に世代を交代して『BORUTO』へ続く未だ広がりを見せている作品です。
主人公うずまきナルトが火影を目指して仲間たちと友情を育み、成長していくというのはご存知だと思いますが、なぜ火影を目指すことになったのでしょうか。
この記事では火影になるきっかけと、物語が進むにつれ変わっていった思いを解説していきます。

ナルトの生い立ち

うずまきナルトは父親も母親も生まれた時に他界し、天涯孤独の身です。更にその身に里に甚大な被害をもたらした九尾の妖狐が封印されており、里の人々のナルトに対する視線は冷たいものでした。当時九尾の妖狐の被害にあっていた大人たちはもちろんのこと、その子供たちも親の反応を真似する有様。火影である3代目の庇護を受けて育ってはいますが、周りの人間はそんなナルトを遠巻きに見ながら邪険にする一方でした。もしかして火影の庇護を受けているのも僻みの一つになっていたのかもしれません。
それを感じているナルトも周りの大人たちの気を引こうと『悪ガキ』となりイタズラを繰り返し、いっそうナルトを冷たく見るという無限ループに陥っている状況から物語が始まります。
火影も含め大人たちが遠巻きに見ているばかりの中、唯一ナルトを叱り心配する人間は、アカデミーの教師であるうみのイルカだけだったと言えましょう。

なぜ火影に?

初めて火影になると宣言したのはうみのイルカの前でした。ナルトはイタズラばかりを繰り返しており、忍者学校の卒業試験前日、里のシンボルである歴代火影達の火影岩に堂々と落書きをしでかします。当然イルカに叱られ、掃除をさせられるのですが、帰りに一楽のラーメンを奢ってくれることとなりました。そこでナルトは初めて「火影になる」と宣言し、「歴代どの火影も超える」とまで言い切ります。この時の言葉はイタズラの延長、気をひく行為の延長にあり、後に口にする時のような重みがありません。その言葉もラーメンを口に含みながらウィンクをしながら言っています。
ナルトは火影のことをただ「里の偉い人」としか思っておらず、火影岩に落書きした際も「里の偉い人の顔に落書きできる俺はエラい!」と自慢げでした。そんな偉い人間になればいつも冷遇する人間を見返すことができる、つまり自分を認めさせるために火影になればいいいう考えに行き着いたのだと思います。

イルカとの和解、下忍へ

アカデミーの卒業試験に落ち、そしてミズキにいいように使われ禁術の書かれた巻物を奪ってしまったナルト。ミズキに騙されたことを暴露され、自分がなぜ人から避けられているかを知ります。あの優しかったイルカでさえ両親を九尾の妖狐によって殺されて辛い思いをした、他の大人達と同じであったことも。火影になったとしても変えようのない事実にナルトはショックを受け、心を閉ざしかけたところをミズキによって口封じに殺されそうになります。それを身を呈して守ったのがイルカでした。イルカはナルトの孤独を自分の過去と重ね、涙を流します。ミズキはナルトをバカにしますが、イルカはナルトを「努力家で一途で、不器用な優秀な生徒だ」と反論し、ナルトはイルカが自分を九尾の妖狐が封印されている子供としてではなく、一人の人間として認めてくれているのだと知ります。イルカを守ると決めたナルトは反撃を開始、後に得意忍術になる多重影分身でミズキを撃退。イルカに認められ、下忍になります。
ここで初めてナルトは自分を認めてくれた大切な人ができます。
下忍になり、スリーマンセルのメンバーであるうちはサスケ、春野サクラ、担当上忍であるはたけカカシの顔合わせがありました。その際、夢を聞かれ以前のように「火影を超す」と宣言しました。額当てを正して宣言しており、目にも決意が。ナルトがおぼろげながら火影を明確に、忍の視点から意識したからだと感じられます。

ナルトとサスケ

ナルトの成長を語る上で欠かせないのは仲間の存在、特にうちはサスケの存在が欠かせません。
うちはサスケは木葉の名門・うちは一族の末裔です。サスケ以外のうちは一族は、実の兄であるうちはイタチが皆殺しにしており、その兄も抜け忍となりサスケは天涯孤独の身となっています。サスケの存在をナルトはアカデミー時代から意識しており、ナルトはサスケに、サスケもナルトに親近感を抱いていたとのちに語っています。しかし、スリーマンセル結成時はナルトはその事を自覚しておらず、気になる女の子であるサクラの恋敵として、忍のライバルとして突っかかっており、サスケ自身もナルトの事は鬱陶しいという想いが強かったようです。
任務をこなす内にお互いの力を認め合い、サスケもライバルとしてナルトを意識するようになっていきます。ナルトはサスケを超えるという目標ができ、様々な経験と努力を重ねていきます。サスケが必殺技である千鳥を会得すると、ナルトも必殺技を会得しようと自来也に師事を仰ぎます。
一方、サスケは兄であるイタチを一族の復讐するために誰よりも強くならなければならないと思っており、自分のすぐ後ろに迫るナルトの成長スピードに焦り始めます。そのためかサスケはイタチの目撃情報が入った際、焦りからイタチに無謀にも戦いを挑み、意識を失ってしまいます。ナルトはサスケを救うため伝説の三忍にして医療忍者である綱手を木ノ葉に連れて帰り、旅先で螺旋丸を会得。火影への道を一歩一歩踏みしめていました。
そのナルトの活躍を聞いたサスケの焦りはピークに達し、ナルトとついにぶつかってしまいます。サスケは力を求め、ナルト達の制止も聞かず里を抜けてしまいます。ナルトにとって初めての大切な人の喪失であり、仲間というものを強く実感した事件だったはずです。
ナルトはサスケの苦悩と苦しみを理解しているからこそ、サスケを助けることを諦めないとサクラに誓います。なぜならナルトはイルカがしてくれたようにサスケを助けられると純粋に思っているからです。ナルトは火影になる前に仲間を、サスケを救うことを目標にすることとなりました。
ナルトはサスケと対等になり、同じ土台に立つために修行の旅に出ます。
ナルトはサスケ奪還を何度か試みることになりますが、サスケは一向に里に戻る気にはなりません。ナルトにはイルカを含め仲間と呼べるような人たちがいるのに対してサスケには辛うじてナルトとサクラがいるだけで、それでさえイタチへの復讐心を止められないからです。サスケにとって大切な人たちは故人、うちは一族の人たちばかりでナルトのように今を生きれなかったのが大きい原因でしょう。サスケはナルトが友だと呼んでも聞く耳を持ちません。
また、サスケを追う内にナルトは木ノ葉の里の闇の部分に触れることになっていきます。うちは一族を殺したのはうちはイタチですが、それを指示したのは暗部を担っているダンゾウという男であり、きっかけはうちは一族たちのクーデターを阻止するためでした。イタチは木ノ葉の平和の犠牲になったのです。ナルトはこの頃から忍だからこそ起こってしまったこと、それを諦めて見過ごしてきたことがサスケの孤独を生み出したきっかけになってしまったと知り、里を背負う火影の意味を自分の言葉で考え始めたのではないでしょうか。

火影の意味

明確に火影の答えが出たのはイタチの言葉からです。
ナルトはサスケが戦犯になり、里から追われる忍になってしまい苦悩します。サスケを説得できる材料が過去にしかなく、今や未来を語ったところでサスケは憎しみと折り合いをつけれず、納得もできないからです。ナルトは里への復讐のため戦争に参加するサスケを止めるために、サスケのことを背負いこむと同時に戦争を止めることまで背追い込まなければならなくなっていました。奇しくもサスケを救うことが忍の負の連鎖を止める要になっていたのです。
第三次忍界大戦が起こっている最中、敵の術により生き返ったうちはイタチと遭遇します。イタチは自分で背負い込もうとするナルトに「火影になるから皆に認められるのではない。皆に認められるから火影になる」と説き伏せます。ナルトはそこで初めて背負いこみ、戦争を起こそうとしている独り善がりな人たちと同じ道を歩みかけていると気がつきます。同時に浮かぶのは自分を信じて支えてくれた仲間の姿。
火影とはなんたるかの言葉を得て、忍のあり方をイタチに見出します。そしてイタチのサスケに全てを背負わせてしまったという唯一の失敗も。
ナルトはサスケを救い、仲間を救うことを諦めません。それは火影たちが里を守り、託し、繋いできた火の意思そのものでした。ナルトにとって目指す忍の姿が、火影だったのです。

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ロック・リー(NARUTO・BORUTO)の徹底解説・考察まとめ

ロック・リー(NARUTO・BORUTO)の徹底解説・考察まとめ

ロック・リーとは『NARUTO-ナルト-』及び『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』の登場人物であり、木の葉隠れの里に所属する体術を得意とした忍者である。マイト・ガイ率いる第三班に所属しており、チームメイトは日向ネジとテンテン。リーはガイの愛弟子であり、尊敬するあまり、おかっぱ頭の髪型、濃ゆい眉毛、全身タイツの服装など、容姿を真似している。リーは自称「木の葉の美しき碧い野獣」と公言しているが、主人公のうずまきナルトからは「ゲジマユ」と呼ばれている。

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