アリス・ギア・アイギス(アリスギア)のネタバレ解説・考察まとめ

『アリス・ギア・アイギス』とは、コロプラより配信されているスマートフォン用ゲームアプリである。機械生命体ヴァイスの襲撃により地球を捨て宇宙船団による航海を続ける人類は、ヴァイスに対抗し得る高次元兵装「アリスギア」を開発。それから3世紀、若い女性だけが操作できるアリスギアによって宇宙船団の平和は守られてきた。その船団の一つ「東京シャード」のヴァイス対策企業「成子坂製作所」に新たな隊長が赴任したことで物語が始まる。

朝比奈心美(あさひな ここみ)

「バトルガール ハイスクール」コラボに登場。星守の一人だが今コラボではNPCとしてのみ登場。
神樹ヶ峰女学園中等部3年。引っ込み思案で大人しいが心優しい性格。天文部所属。星の声を聞く能力を持つが、これまで周囲からはそのことを信じてもらえなかった。実家は神職で、心美も実家の神社で巫女を務めている。蓮見うららとは仲が良いが、心美の豊かなプロポーションを妬むうららからは時々当たりがキツくなる。
コラボ第3弾より登場、性格がよく似ている相河愛花と親しくなった。

エヴィーナ / 雨谷エリカ(あめやえりか)

「バトルガール ハイスクール」の登場人物。コラボ内では保健医の「雨谷エリカ」として登場した。
侵略者イロウスの幹部。サドネ同様に「ソフ」という種族を自称し、当初はサドネを従えて星守たちを攻撃していた。その後サドネを見限り放逐すると、今度は自ら様々な陰謀によって星守たちを付け狙う。しかしエヴィーナも度重なる敗北により、イロウスの首領イリスから役立たずと見做され粛清されてしまう。
以後しばらく登場しなかったが、記憶を失った状態で再登場。彼女もまたイロウスに利用されていた地球人であり、その正体はかつて神樹ヶ峰女学園で星守を目指していた女生徒「雨谷エリカ」であった。記憶を取り戻したエリカは、サドネの口添えもあり神樹ヶ峰女学園の保健医として星守をバックアップするようになるが、学園を襲撃したイリスから星守の少女たちを守るため戦い命を落とした。

班目セツナ(まだらめ せつな)

声:明坂聡美
「プロジェクト東京ドールズ」コラボに登場。表の顔はアイドル事務所「ドールハウス」の所長。しかしその正体は国土調査院特別課の課長で「ドールズ」たちの運用に関する全責任者である。
厳格で冷徹な人物であり、ドールズたちからは怖れられている。しかし、ドールズたちに過剰な負担をかけないよう各所との調整を行うなど思いやりの深い一面も持つ。

コラボ内ストーリーでは、並行世界へ転移してしまったチームCのメンバーとの連絡のために異なる世界を繋ぐ通信システム「NDトランシーバー」を成子坂製作所へ送り、今回の異変をもたらしたピグマリオンを倒すためにAEGiSとの協力体制を整えた。

南田香奈(みなみだ かな)

声:高橋李依
「プロジェクト東京ドールズ」コラボに登場。アイドル事務所「ドールハウス」の所長秘書兼事務員。穏やかな性格で、ドールズたちへのフォローを完璧にこなす頼れるお姉さんとしてメンバーからは慕われている。その正体は国土調査院特別課の特殊公務員であり、ピグマリオンとの戦闘においてはドールズたちのナビゲーターとして活躍する。

コラボ内ストーリーでは、ドールハウス側のナビゲーターとしてAEGiSに協力。ピグマリオンへの対処に不慣れな成子坂製作所の面々をサポートした。

『アリス・ギア・アイギス』のメディアミックス作品

電子雑誌『アリス・ギア・マガジン』

2019年12月より創刊された「アリス・ギア・アイギス」の公式電子雑誌。
内容は開発スタッフによるコラムやストーリー製作スタッフによるショートストーリー、アンソロジーコミックなどとなっている。
公式サイトのトップページやゲーム内の「お知らせ」ページ下部から閲覧することが可能。

アリス・ギア・アイギス外伝 朧月のレゴリス

漫画:えらんと
連載:2020年3月27日~(連載中)
Webマガジン「アリス・ギア・マガジン」Vol.3より連載が開始された外伝コミック。叢雲工業の支社である叢雲工業町田事業所こと「ムラクモ町田」に所属するアクトレスたちの戦いを描く。時系列はメインストーリー開始の少し前からスタートし、メインストーリーを別の視点から追う形で進行している。登場するアクトレスは小型ヴァイスにも手こずるぐらいの強さ、ゲーム内で言うところの☆1~☆2相当であり、逆説的にメインストーリーに登場するアクトレスがいかに規格外の強さであるかを物語っている。

あらすじ・ストーリー

新人アクトレスの四月朔日水羽は念願の大手アクトレス企業・叢雲工業へ採用が決まる。しかし、彼女が配属されたのは本社ではなく支社である町田事業所、通称ムラクモ町田だった。叢雲工業の支社とはいえ、ほぼ零細事業所と言って差し支えないムラクモ町田。その受注業務は小型ヴァイスの駆除ばかりであった。初出撃ではギア制御に失敗して宇宙酔いを起こし行動不能という大失態を演じた水羽だったが、二度目の出撃では小型ヴァイスを二桁撃破してそれなりの戦果を挙げる。しかし、隣接エリアで競合企業「オフィス・トゥインクル」が受注したヴァイスワーカー駆除案件に突然大型ヴァイス「ケルベロス」が出現した。オフィス・トゥインクルのアクトレスチームを壊滅させたケルベロスはエリアを越えて水羽たちに襲いかかる。逃げ損ねたチームメイトの長宗宵月を庇った水羽はケルベロスの爪に掴まれ、港湾施設の外壁に叩きつけられたことで防御フィールドが残量0になってしまう。戦闘続行が難しい水羽を後方に下げ、宵月たちは救援が来るまでケルベロスの足止めをすることになる。そんな中で、宵月は「SPスキル」の使用許可申請を行う。強力な高次元兵装を使用するSPスキルは、高い威力と引き換えにアクトレスの精神に多大な負担をもたらすため指揮官の許可が必要なのだ。事務員であり指揮官を代行する若菜かな枝の許可でSPスキルを使用した宵月はケルベロスに損傷を与えるが、それがケルベロスのエネルギーチャージ攻撃の引き金になってしまった。このままでは港湾施設に大きな被害が出る。その時、水羽は自分のギアもSPスキルが使用可能であることを確認、かな枝に許可申請を出す。しかし、かな枝は既に防御フィールドが危険域にある水羽に戦闘行為であるSPスキル使用を許可しない。その水羽にSPスキルの使用許可を出したのは、管制室に現れたムラクモ町田の所長・野北だった。野北の許可で水羽はSPスキルを発動、水羽の持つ高次元兵装である巨大なハンマーがエネルギーチャージ中のケルベロスに命中した。しかしその打撃音は軽く、ケルベロスに損傷を与えられない。野北は、水羽のSPスキルの本領は破壊力ではないと言う。水羽のSPスキル、それはヴァイスを一時的に機能停止させるものだった。ケルベロスが機能を停止したその時、水羽の中に流れ込んでくる記憶。それは、先ほどまで戦っていたケルベロスのものだった。
動かなくなったケルベロスを港湾施設の外に搬出する水羽たち。その最中、宵月は、水羽がいつからSPスキルを所持していたかを尋ねる。しかし、水羽はどうして自分がSPスキルを持っていたかを知らなかった。
ようやく施設外にケルベロスを押し出した水羽たち。しかし、水羽たちが離れるより早くケルベロスは機能を回復していた。攻撃を再開したケルベロスを前に水羽は恐怖で硬直する。その時現れた援軍、それは叢雲本社のエースである吾妻楓と日向リン、小鳥遊怜だった。あっという間にケルベロスを半壊に追い込んだ三人の戦いを見た水羽たちは、トップアクトレスの強さに圧倒される。その時、傷ついたケルベロスは空間転移すると水羽の真上へと現れた。襲いかかるケルベロスにやみくもに両手剣を突き立てる水羽。やぶれかぶれの一撃が致命傷となり、崩壊寸前のケルベロスは空間転移で逃走するのだった。
ケルベロスを仕留め損ねたことを残念がるリンと怜。楓は、あのケルベロスがずっと狙っていたのは水羽だったのではないかと思っていた。

ケルベロスを撃退してから数日、水羽は毎夜ケルベロスに掴まれる悪夢に苦しめられていた。ケルベロスとの戦闘は、水羽の心にヴァイスと戦うことへの恐怖を刻み込んでいたのだ。睡眠不足でやつれた表情を見せながらもムラクモ町田へ出勤した水羽は、会議の席上で平伏した野北から謝られる。防御フィールドが残量0になっていた水羽を戦闘させ、また未知のH.D.Mを水羽に使用させたことについてだった。
野北は、それらの事情について話しはじめた。そもそも、あのH.D.Mは実証データ収集のために野北が叢雲本社から預かった新型兵装であった。野北は、実験を引き受ける代償として本社から多額の補助費用を引き出し、それを元手に欠員補充として水羽を採用し、また宵月の新型武器を調達していた。野北はその新型H.D.Mの使用者割り当ては保留していたはずであった。しかし、本社側が野北に断りなく水羽を使用者登録していたのだ。野北が本社から事後承諾でその話を聞いたのは前回の作戦が開始されてからであった。そして、野北がムラクモ町田に戻ってきた時にはケルベロスが出現していた。それがあの事態の背後で起きていたことであった。
野北は水羽のH.D.Mの登録を解除することを約束し、水羽に今後もアクトレスを続けてほしいと懇願する。一旦はそれを受け入れた水羽だったが、改めて自分の弱さと大型ヴァイス戦の恐怖を思い出し社外へ飛び出す。それを見た宵月は、水羽が恐怖に苛まれていることを確信し彼女を追う。「水羽はすぐに強くなるからアクトレスを続けよう」と説得する宵月だったが、水羽は、「ヴァイスを怖がるアクトレスなんていない」と言い、もう戦うことができないことを告げる。その時、二人の前に現れたのはオフィス・トゥインクルのアクトレスで宵月と同じ学校に通う桜ヶ丘美園だった。美園は二人をファストフード店に誘うと、宵月にムラクモ町田に所属していた前任アクトレスのことを話すよう促す。当初は躊躇していた宵月だったが、覚悟を決めて話しはじめるのだった。

ムラクモ町田で水羽が入社する前に宵月たちとチームを組んでいたアクトレスの名は谷咲朝陽。宵月の同級生であり親友だった。宵月は、アクトレスに憧れる朝陽の勧めで隣のクラスの美園と共にアクトレス免許を受験し合格。そして朝陽と宵月はムラクモ町田へと入社したのだった。美園はその際、実技試験でのスタンドプレーを咎められムラクモ町田からは不採用となっていた。
こうして念願のアクトレスとなった朝陽だったが、実戦で芽生えたヴァイスへの恐怖心を気合でごまかし続けていた。しかし、着任から一ヶ月後に受注したヴァイスワーカー駆除案件で遂に恐怖心が抑えきれなくなってしまった。パニックを起こした朝陽が戦闘を放棄し作戦は失敗、そして朝陽はアクトレスを辞め、学校からも転校していった。その朝陽が去り際に残した「宵月はアクトレス続けなよ」という言葉が、今も宵月を縛り付けていた。
全てを話した宵月は、「怖いならもうアクトレスを続けなくていい」と先ほどの説得を撤回する。しかし、水羽は宵月のためにも自身のトラウマと向き合いながらアクトレスを続けることを決断した。そしてムラクモ町田へ出社した水羽は、これからもあの新型H.D.Mを使用し続けることを整備部に申請するのだった。

一方、野北は水羽がトラウマに苦しんでいることを知り、ムラクモ町田を挙げて水羽が安心して戦える環境を作ることを提案する。そのために、ケルベロスとの戦いを想起させる新型H.D.Mは「登録解除はしないが使用は許可しない」ことを決め、そして水羽のために用意していた新型ドレスギアを再調整して供与した。皆の期待に応えるために勇気を奮い起こして出撃した水羽だったが、ヴァイスへの恐怖心から動きが硬くなり多数の被弾を許してしまう。しかし、慎重に行動したのが幸いしたのか撃墜数は二度目の出撃を上回っていた。無事の帰還を皆が喜ぶ中で、不眠に苦しむ水羽の恐怖心を和らげるために宵月が水羽のアパートに泊まり込むことになった。神奈川シャード出身の水羽は、東京シャードの学校に通うため一人暮らしだったのだ。水羽と宵月が見ているテレビでは、吾妻楓の活躍と叢雲工業による成子坂製作所買収報道が流れていた(註:メインストーリー「黎明編」参照)。宵月は、自分が活躍してテレビに出たら朝陽は見てくれるだろうかと思っていた。その後、ベッドで横になった二人は、歴史の授業で習ったように自分たちは今もムーンシャードでヴァイスの襲撃から逃れるために宇宙を逃げ続けているのだと再確認する。しかし、そのことを普通の人たちだけでなくアクトレスさえも認識していない。宵月は、それでいいのだと言う。水羽は、宵月と二人で眠るからヴァイスへの恐怖が少し和らいだのだと思うのだった。

一方その頃、ムラクモ町田の事務所では整備部の鍵屋夏綺が件の新型H.D.Mについて調べていた。叢雲工業本社から送られてきたマニュアルにも「特殊なシグナルでヴァイスを強制停止させる」以上の説明はなく、中身に関しても肝心なところはブラックボックス扱いであり、夏綺はこのH.D.Mのパーツは叢雲ではなく他社の製品ではないかと推測していた。こんな得体の知れないH.D.Mを水羽に使わせ続けることに不安を抱くかな枝だったが、夏綺はケルベロスに唯一通用したのがこのH.D.Mだったことから、水羽にとってはお守り代わりなのだろうと言う。
それからおよそ一週間。ムラクモ町田に、叢雲本社からシャード外壁の哨戒任務が斡旋されてきた。出現したヴァイスを駆除するのではなく、その区域にシャードへ侵入しようとするヴァイスがいないかを見回る任務である。水羽たちが哨戒を開始してすぐ、小型ヴァイスの一団が出現した。単なる小型ヴァイスだけでなく、やや大型のミニサーペントが混成している集団ということもあり、気を引き締めて迎撃に移る水羽たち。ケルベロス戦以降、恐怖心からヴァイスとの距離を取りがちな水羽のために夏綺がショットギアを長射程型に改造しておいたこともあり、水羽はこれまで以上の戦果を挙げていった。そして、そのことが水羽の心に余裕を生んでいた。後方からミニサーペントに急襲された水羽は、見よう見真似での回転機動でそれを回避しようとするが、ミニサーペントの胴体に足を引っかけて失敗してしまう。すかさずフォローに入った宵月がミニサーペントを倒したが、これまでと違い水羽の戦い方に硬さが取れたことに一同は安堵していた。「小型ヴァイスなら怖くない」と言う水羽は、少しずつトラウマを克服しているようであった。一方、管制室のかな枝は、今回の哨戒でヴァイスが出現する際にテレポートドライブの兆候がなかったことに疑問を抱いていた。それもそのはずで、ヴァイスはシャード外壁の隙間に営巣し繁殖していたのだが、「ヴァイスはテレポートドライブで現れる」と思っている水羽たちはそれを見つけることはできなかった。

それからもムラクモ町田は小規模案件を順調にこなし、水羽も戦績を伸ばしていた。そのムラクモ町田を密かに内偵していたのは、AEGiS東京の情報本部であった。籠目深沙希の調査によると、ムラクモ町田の構成員は全員ヴァイス信奉者集団「SIN」との繋がりはないということであった。しかし、本部長の愛宕右京はムラクモ町田に「SIN」との繋がりがなかったことよりも、ムラクモ町田が叢雲工業の支社にも関わらず零細事業所並みの厳しい経営状態であることに疑問を持つ。深沙希によると、それは叢雲の経営方針である成果主義とコストカットによる現場への皺寄せということであった。深沙希は所長の野北が頻繁に町田市の商工会や地方銀行、地方議員と接触していることを疑って調査をしたが、全て金策のためであることも判明していた。
愛宕は、支社内の工作員がごくわずかであるということは叢雲工業に潜伏している「SIN」の浸透工作員は本社内部に集中していると判断する。叢雲工業の本社は、既に経営陣の一部にまで「SIN」との繋がりが存在していた。東京シャードのヴァイス討伐案件の4割を担う叢雲工業が「SIN」に汚染されているということは東京シャードの安全保障に大きな影を落としている。そして、それよりも深刻なのはAEGiS東京も同様に「SIN」の工作員が上層部にまで入り込んでいることであった。叢雲工業などを内偵した際に、芋づる式にそれらの存在が判明したのだ。しかし、迂闊に動いては検挙前に察知されてしまう。愛宕は、しばらくの間は気が付いてないふりをして一気に根こそぎにするための準備を整えることを決める。「それまでに緊急事態が起こらなければいいが」と言う愛宕に、深沙希はムラクモ町田の調査中に気がかりな情報を入手したことを伝える。それは、先日のムラクモ町田の哨戒任務の際に接触した小型ヴァイスの集団はテレポートドライブで現れたものではなかった、ということである。ヴァイスがシャード外壁に営巣している可能性があると考えた愛宕は、AEGiS防衛政策局の霧島良馬にそのことを報告するのだった。

業績が徐々に上向いてきたことで、本社の第一営業部から玉峰という男がムラクモ町田にPR企画を持ち込んできた。それは、水着ブランドとのコラボで「水着姿でヴァイスとの戦闘を行う」というものだった。嫌がる水羽たちだったが、玉峰は「これはおいしい話だ」とゴリ押ししてくる。水着での戦闘は技術的にも問題がある、として反対する夏綺に対しても執拗に食い下がる玉峰。「第一営業部はギア関連の売り込みが仕事でアクトレス関連の企画は第二営業部が窓口のはず」と疑問に思ったかな枝に、玉峰はあっけらかんと「第二営業部へ異動したいからこの企画を手土産にする」と言い放つ。さらに「アクトレスなんてアイドルみたいなものでしょ」とヘラヘラ笑う玉峰に水羽たちの不快感と不信感は募るばかりだった。そしてダメ押しとばかりに「町田って神奈川かと思った」と言ったことで宵月を激怒させてしまい、玉峰は追い出されてしまった。
その後の出撃に玉峰への鬱憤をぶつける水羽たち。一方、野北は叢雲工業本社へと呼び出されていた。会議の席上で野北は、叢雲工業の代表取締役社長である黒桧から新型H.D.Mを温存して実戦使用しないことを叱責される。そして、会議は本題である新型アリスギア「レガリア」(註:メインストーリー「黎明編」参照)の発表へと移る。レガリアを大々的に売り出したい黒桧は、ゆくゆくは支社を含めた叢雲所属の全アクトレスにレガリアを配備する意向を示すが、役員たちはそれが業績不振の支社へのリストラ推進に繋がることを内心では懸念しつつも沈黙していた。そんな中で野北はレガリアがアクトレスに負荷をかけるタイプのギアではないかと懸念を示すが、開発部は「最終調整中」と答えるに留まった。黒桧は、野北に新型H.D.Mの実戦使用が滞っていることを改めて注意する。野北はアクトレスの練度不足を理由に挙げるが、本社の作戦部長である鬼久保は、AEGiSに要請してムラクモ町田のアクトレスの練度に合わせた案件を優先的に回すので新型H.D.Mの実証試験を行うよう野北に強く要請する。
こうして受注した小型ヴァイス駆除案件で水羽は宵月たちのサポートを受けながら結合粒子を回収して新型H.D.Mを起動させるが、その後になぜかオフィス・トゥィンクルの美園たちが戦闘している光景が脳裏に再生されてしまう。そして、小型ヴァイス群を駆除し終えて帰投しようとする水羽たちの前に現れたのは隣接エリアで戦闘をしていた美園だった。美園はヴァイスワーカー駆除案件に携わっていたのだが、突然ヴァイスワーカーの動きが緩慢になったため難なく撃破できたのだと語る。水羽は、そのことに新型H.D.Mを使用した際の脳裏に浮かんだ光景が関係しているのではないかと疑念を抱く。一方、美園は自分が先にヴァイスワーカーを撃破したことを自慢げに語るが、宵月からは冷たくあしらわれてしまう。無関心のように振る舞う宵月だったが、内心ではかつての親友・朝陽がヴァイスワーカー駆除案件でアクトレスを引退したことを引きずっていた。
そして、叢雲本社から回された新型H.D.Mの実証試験2回目はヴァイスワーカー駆除案件であった。時期尚早ではないかと不安に思う野北。水羽は朝陽の仇討ちだと意気込むが、宵月は「ムラクモ町田のステップアップの意味しかない」と水羽の思いをあっさり否定する。そして作戦が開始されるが、水羽が結合粒子を回収し終える前にヴァイスワーカーが出現した。想定外の事態に焦る水羽。接近戦でヴァイスワーカーを食い止めた宵月は、水羽に結合粒子回収を急ぐよう命じると単身でヴァイスワーカーを引き受ける。そんな宵月の脳裏をよぎるのは、朝陽との思い出だった。自分が朝陽の夢を潰したのではないかと思い込んでいる宵月は、ヴァイスワーカーを前に冷静さを失っていた。単調な動きを読まれてヴァイスワーカーの一撃を受ける寸前だった宵月だったが、それを止めたのは水羽が発動したSPスキルだった。焦って使ったせいで不完全だったが、それでもヴァイスワーカーの動きを一瞬止めることはできた。かな枝は宵月に汎用H.D.Mの使用を許可。転送された巨大な双剣がヴァイスワーカーをずたずたに切断し撃破、作戦は成功した。
祝勝会の帰り道、水羽は宵月も自分と同様にヴァイスとの戦いで心に傷を負っていたことを感じ取っており、今度は自分が宵月の恐怖心を抑えようと「またヴァイスが怖くなったから添い寝してほしい」と言うのだった。

それから少し後。叢雲工業は、吾妻楓をイメージキャラクターにした新型ギア「レガリア」の宣伝を大々的に行っていた。ムラクモ町田でも、水羽たちがそのCMを見ながら自社にレガリアが配備される日を楽しみにしていた。そんな雑談の中で、水羽はあの新型H.D.Mを使用すると本来なら見えないはずの光景が脳裏に再生されてしまうことを漏らしてしまう。そのことを重大視した夏綺は、水羽に新型H.D.Mの使用を停止する命令を出した。やっと使い慣れてきたH.D.Mが使用停止になってしまったことを嘆く水羽は、チームメイトの月守晴花が就職活動で不在の中でも宵月と二人でなんとか任務を終える。そして、この日は水羽にとって初めての給料日だった。普段は頼めないスペシャルハッピークレープを初任給で注文し浮かれる水羽。そんな彼女に声をかけたのは、日刊東京AEGiSニュースの記者を名乗る女性・神宮寺真理だった。
一方その頃、晴花は化粧品メーカーの面接試験を受けていた。研究開発職を志望する晴花だったが、メーカー側は晴花が叢雲工業のアクトレスであることを理由に広報職や営業職を薦めてくる。その申し出を断った晴花は、迎えに来た夏綺に「アクトレスだから」という偏見があることを愚痴るのだった。そんな晴花に、クレープ屋の女主人が声をかける。水羽が不審な女性に誘われてついて行ってしまったというのだ。
取材と称して喫茶店に連れて行かれた水羽は、真理から「叢雲工業のトップアクトレス候補」と言われてすっかり気を許してしまい、これまでのことを話し始める。そんな中で水羽が才能もなく努力だけでなんとか頑張っていることを聞いた真理は、かつてのチームメイトであった九品田凪の姿を水羽に重ねてしまう。しかし真理が本当に聞き出したかったのは叢雲工業の新型ギアのことだった。水羽は、ムラクモ町田には配備の話は今のところまったく無いと言う。これ以上聞くことはないと判断した真理は、水羽のスマホに着信があったのを機に話を切り上げて去っていく。水羽に電話をかけたのは、晴花から話を聞いて水羽が誘拐されたと思い込んだムラクモ町田の面々だった。ムラクモ町田の事務所に戻った水羽は、かな枝から「会社で働く人間には守秘義務がある」と説教される。たとえ記者であっても社内事情を話すと最悪で損害賠償に至ると聞かされ凹む水羽だったが、夏綺から新型H.D.Mの使用継続許可が出たことを聞かされ元気を取り戻す。そんな中、かな枝は水羽が貰った名刺の「神宮寺真理」という名前がかつての人気アクトレスチーム「メリーバニー」のメンバーのものであることに疑念を抱いていた。
一方の真理は、水羽から得た情報を整理していた。あれだけ大々的に宣伝している新型ギア「レガリア」が叢雲の支社にさえ配備予定がないこと、真理が疑っていた「叢雲工業は故意にシャード外壁のヴァイスを見逃している」(註:メインストーリー「黎明編」参照)ということは叢雲の各支社にはなく、それぞれ真面目に駆除業務を遂行していること。いずれも空振りに終わって落胆する真理は、水羽の写真を撮り損ねていたことで更に落胆するのだった。

野北は、かつての同期で今は本社の営業本部長兼第一営業部長である雪代、ギア開発部第6課長の高津と酒を酌み交わしていた。話題は例の新型H.D.M.についてである。高津は、あのH.D.M.の実験データ取得を強引にねじ込んできたのは名前を出せない共同開発者の意向があったことを野北に告げる。雪代は、本社の重役たちを前に鋭い追及を見せた野北の姿を見て「昔と変わってない」と感心していた。大々的に広告を打ちながらも発売日は未定、支社への配備予定も立たない新型ギア「レガリア」の件についても苦言を呈する野北。雪代は、レガリアを積極的に売り込んでいるのは第二営業部部長の一ノ渡だと言う。芸能プロダクション出身で人脈は広いが金遣いが荒くハッタリの多い一ノ渡は、雪代が疑問視して計画を止めていたレガリアの開発を他部署を巻き込んで強引に進めているというのだ。一ノ渡はギア開発部の高津からも信用すべきでない人物と見られていた。
その頃、叢雲工業本社には「叢雲工業が故意にシャード外壁のヴァイスを取り逃がしているのではないか」という問い合わせが入っていた(註:メインストーリー「黎明編」参照)。事態を重く見た広報部長の森若は作戦部長の鬼久保に問い合わせるが、鬼久保は「ひどい言いがかりだ」と答えるに留まった。
それから数週間後。水羽たちがヴァイスワーカーとの戦闘に慣れてきたこともあって、新型H.D.M.のデータ取りを兼ねたヴァイスワーカー駆除案件を週一ペースでこなせるようになってきたムラクモ町田。その中で、夏綺は新型H.D.M.を水羽が使用した際に発生した「見えないはずの映像が見える」という副作用を検証するため宵月や晴花にも新型H.D.M.を使用させていた。その結果、宵月は延々と続く耳鳴りに悩まされることとなり、晴花はあらゆる方向に落下し続けるという不可解な感覚に襲われた。そのため、副作用がそれほど酷くない水羽がこのH.D.M.を使用し続けることになった。いつものようにヴァイスワーカーを撃破し帰投しようとする水羽たち。その前に突然大型ヴァイスであるサーペント級が出現した。テレポートドライブの前兆もなく突然シャード外壁の裂け目から出現したことに驚く水羽たち。宵月と晴花は大型ヴァイスに対するトラウマが残っている水羽を退避させて自分たちが足止めをすることを提案するが、水羽は勇気を振り絞って自分もその場に残ると告げる。結合粒子を使い切ってSPスキルが使えない厳しい戦闘になるのを覚悟する水羽たち。晴花はかな枝に救援要請の発動を頼むが、「その必要はないわ」と遮る声がした。「3分持たせなさい、それぐらいできるでしょう」と不敵に笑うその声の主は、AEGiS直属部隊の鳳加純と名乗る。宵月は、「東京シャード最強のアクトレス」がこの場に現れたことに驚く。
一方その頃、叢雲工業作戦部長の鬼久保は、AEGiS東京の渉外担当者たちから「シャード外壁のヴァイス駆除については程々にしておいてくれ」と頼まれていたことを思い返していた。彼らの目的がシャード外壁でのヴァイス繁殖にあること、そして彼らが「SIN」の浸透工作員であることを鬼久保は知っていた。しかし、彼らに過去に自分が行っていた不正の証拠を握られていること、AEGiSで出世の目がなくなって叢雲工業に転職した自分には後がないことを知る鬼久保はそれでも彼らの指示に従うしかなかった。鬼久保の懸念は、しばらく前に広報部から聞かされた「叢雲工業が故意にシャード外壁のヴァイスを見逃している」との問い合わせだった。あれが誰からのものでどれだけ状況を知っているのか、と。
再び場面はシャード外壁に戻る。加純率いるAEGiSアクトレス部隊は、小型ヴァイスの大群を呼び寄せたサーペントへと挑みかかる。「我々を待たずに倒してしまっても構わないのだけれども」と加純に煽られた水羽たちは、せめて小型ヴァイスだけでも倒そうと必死に戦う。水羽たちはこれまでの戦いの中で、AEGiS直属部隊に及ばないまでも大きく見劣りしないところまで実力をつけていた。その戦いの最中、水羽を追ってシャードにぶつかったサーペントは外壁に穴を開けてしまう。その下は、小型ヴァイスの営巣地になっていた。テレポートドライブなしに出現していたヴァイスは、シャード外壁で繁殖・成長していたのだ。
外壁から大量に現れたヴァイスに気を取られた水羽は、背後から突撃してきたサーペントの攻撃を受けそうになる。しかし、その直前に水羽の前に飛び込んだ加純は、ただの一刀でサーペントを斬り伏せていた。そして、それと同時にAEGiS直属部隊は小型ヴァイス群を殲滅していた。加純たちが現れてからヴァイス群が壊滅するまで、宣言通りちょうど3分。
加純は発見したヴァイス営巣地の位置をAEGiSに報告すると、ヴァイスを生み出すコアを破壊しようとする。宵月は、自分たちの役目は終わったとして水羽に帰還を促すが、水羽は恐怖に固まっていた。水羽たちの前に、再びケルベロスが出現したのだ。
時を同じくして、東京シャードの新宿区上空には大型ヴァイスに率いられたヴァイスの群れが出現していた。これはAEGiS東京と叢雲工業内部に潜伏していた「SIN」の企みによるものであった。シャード維持施設に擬態したヴァイス営巣地を破壊した加純たちAEGiSアクトレス部隊は連絡を受けて急遽新宿へ向かう。その中で、吾妻京だけは水羽たちを守るため現場に残っていた。「わたし一人でなんとかなるから」と言う京は、宵月たちの加勢を拒み単身でケルベロスに立ち向かう。
この非常時の中、叢雲工業はアクトレスの出動を拒否していた。そして、AEGiS東京の他部隊も「まだ非常事態ではない」と出撃を拒否。これが「SIN」の工作員による妨害工作であると判断した愛宕らは指揮系統の正常化を急ぐと共に、事態解決後の工作員摘発作戦に思いを巡らせていた。一方、神宮寺真理は既にこのことを予測しており、混乱に乗じて叢雲工業内部の情報を入手すべく動いていた。
叢雲工業では、新型ギア「レガリア」が公表スペック通りの性能を発揮できないことを理由にヤシマ重工から出撃差し止めの指示が出ていた。「あれだけ新型ギアを大々的に宣伝しておいて旧型ギアでの出撃はブランドイメージに関わる」という理由だった。社長である黒桧は、代替措置として各支社のアクトレスを総動員するよう命令を出す。しかし、副社長の茂原と第二営業部長の一ノ渡は黒桧の指示に従うふりをしながらも支社アクトレスの出撃命令を握り潰した。そんな中、旧型ギアでの出撃を強く訴える吾妻楓。しかし、アクトレス部部長の江守は上層部からの出撃差し止めを内心で不服に思いながらも、あくまで楓に命令順守を訴えるのだった。

京とケルベロスが戦う中、かな枝は水羽たちに撤退指示を出す。本社から叢雲工業全支社に現時点での撤退と当面の出撃停止命令が出されたというのだ。新宿区に大型ヴァイスが出現しているにも関わらずの命令に不信感を持ちながらもそう伝えるかな枝。水羽たちも指示通り撤退を試みるが、ケルベロスは撤退する水羽を見ると京を無視してその方向へ突進していった。宵月と晴花を体当たりで弾き飛ばし水羽に向かい合うケルベロス。しかし、ケルベロスは水羽を攻撃する素振りを見せなかった。じっと水羽を観察するケルベロスだったが、ギアの特殊能力を解放してすかさず飛んできた京がケルベロスに斬りかかる。片腕を切り飛ばされたケルベロスは高速飛行形態に変形すると、肩部から巨大なビーム砲を展開した。ビーム砲の発射態勢に入ったケルベロスを見た京は、水羽に自分の背後に隠れるよう促す。そして、放たれたビームは京の剣閃によって二つに断ち割られていた。あれだけの強力なビームを切り裂いて防ぐという京の超人的な剣技に驚きのあまり言葉もない水羽。そして、京の一撃はそのままケルベロスの下半身を切り落としていた。しかし、次の瞬間京のギアは特殊能力の持続時間が切れて出力が低下してしまい、とどめを刺すには至らずケルベロスは空間転移で逃走してしまう。倒しきれなかったことを悔やむ京。
これまでの様子から水羽が大型ヴァイスにトラウマを持っていることを見抜いた京は、ヴァイスに恐怖しながらアクトレスを続けている水羽に励ましの言葉をかけると、加純たちの救援をするためにシャード内へと向かう。残されたのは、危機から逃れて呆然と立ち尽くす水羽とケルベロスに吹っ飛ばされシャード外壁に倒れ伏した宵月と晴花だけだった。

新宿区上空に出現した大型ヴァイス率いるヴァイスの群れは、無断出撃した吾妻楓の救援に駆けつけた成子坂製作所のアクトレスたち、そして鳳加純率いるAEGiSアクトレス部隊の活躍によって撃破された。テレビでは成子坂製作所の活躍を称える一方で、怠慢によりこの事態を引き起こしたとされる叢雲工業に強制捜査が入ることが報道されていた。新型ギアのスペック偽装やAEGiS幹部との癒着などの問題も噴出した叢雲工業は、社会的責任を問われることとなったのだ。(註:メインストーリー「黎明編」参照)

その後、報道は叢雲工業の不正問題一色となっていた(註:メインストーリー「黎明編」「躍進編」参照)。叢雲工業が不正にヴァイス駆除を抑制していたという報道に「自分たちはちゃんとやっていた」と憤る水羽。しかし宵月はテレポートドライブなしに出現した大型ヴァイスとの交戦を思い出し、本社が壁面のヴァイスを放置していたことのおこぼれで自分たちが大型駆除案件ボーナスを得ていたのではないかと言う。そんな時、水羽にかな枝から連絡があった。叢雲工業は本社支社ともに営業停止、AEGiSによる強制捜査対象となったことを告げる。そして、マスコミからの取材には一切答えないよう野北から伝えられた、とも。
AEGiSによる事情聴取から、一連の事件の主犯は叢雲工業常務取締役・第二営業部長の一ノ渡雅希であると判明。一ノ渡が「SIN」と繋がっており、横領した多額の資金が「SIN」へと流出していたことも判明した。しかし、一ノ渡はこれらの事件は「SIN」の指示ではなく独断で行ったことだと言うのだった。予定調和と過去の焼き直しが蔓延するテレビ業界に飽き飽きしてアクトレス業界に入った一ノ渡は、メリーバニーの件によるアクトレスブーム鎮静から今のアクトレス業界に足りないのは刺激であると思い、中東シャード群で行われている紛争地帯におけるアクトレス同士の戦争こそ最も魅力的なコンテンツであるとして「SIN」に傾倒。東京シャードをアクトレスの紛争地にすることが目的であった。しかし、東京シャードの「SIN」が私腹を肥やすばかりで一向に行動を起こさないことに苛立ち、これらの行動に出たのだった。「世の中を面白くしたい」と語る一ノ渡だったが、AEGiS情報部の愛宕は「僕はつまらない世界をわりと気に入っている」と言うのだった。取り調べを終えた愛宕に、AEGiS作戦室の霧島はヤシマ重工が叢雲工業を切り捨てることを決めたと告げる。その翌朝、野北は事務所にアクトレスと社員を集めると「叢雲工業が解散することになった」と報告するのだった。そして、その補償として叢雲工業の社員は希望すれば成子坂製作所へ移籍することができるという。これは、叢雲工業の穴を埋めるために早急に成子坂製作所の陣容を拡大したいというAEGiSの意向であった。

それからしばらく後、野北は電話で黒桧と話していた。元々は野北は黒桧の部下であったが、叢雲工業の社内改革時に支社長として本社外へ出されていた。他の支社長も元々は黒桧の部下たちであった。黒桧は、万が一本社のアクトレス部門が機能不全を起こした際の保険としてアクトレス業務を支社に分散させていたのだが、副社長たちが各支社にも出撃停止命令を出していたのは想定外であったと野北に詫びる。そして、いずれは野北を本社に呼び戻すつもりであったが、それも叢雲工業解体で叶わない夢となったことを告げる。野北は、黒桧にいつかの再会を約束し電話を切ると、今後のことを相談するためにかな枝に電話をかけるのだった。
そして、野北は水羽たち所属アクトレスとかな枝たち社員を事務所に集め、新会社設立を宣言した。事務所や設備などはこのまま叢雲工業から引き継ぐことになったこと、本格始動まではまだ時間がかかり、また給料もムラクモ町田の時からはかなり下がることを皆に告げ、AEGiSの推薦により成子坂製作所へ移籍するか新会社に参加するかは各々の判断に任せると言う。
帰り道でこれからについて話し合う水羽たち。夏綺は真っ先に新会社への参加を決めていた。ベテランである成子坂の整備部長とうまくやっていく自信がなく、また環境を変えたくないというのが理由だった。晴花は就職活動のこともあり、アクトレス活動の継続自体を迷っている中で今更成子坂に行く気はないという。水羽は宵月にどうするかを問うが、思い詰めた表情の宵月は「今は何も考えられない」と答えるのだった。
その後、学校の試験期間のこともあり決断を先延ばしにしてきた水羽は改めて宵月に相談するが、宵月はアクトレスを辞めると言うのだった。宵月にとっては親友だった朝陽と一緒に入ったムラクモ町田が全てであり、そのムラクモ町田が解体されたことでアクトレスを続ける理由が潰えてしまったというのだ。水羽は、宵月はアクトレスが好きだったはずだと説得するが、宵月にとってはアクトレスとしてのやりがいも愛着も、全て朝陽の代わりにしていることであって、自分自身がそれを喜びとしてはいけなかったのだと泣き崩れる。水羽はそんな宵月を抱き締めることしかできなかった。水羽は、このまま宵月を辞めさせないため、野北らに相談を持ちかける。
水羽は、今まで自分が宵月に頼り切りであったことから、今度は自分が宵月を助ける番だと思い大型ヴァイスへのトラウマを克服するための治療について相談する。野北はAEGiS中央病院の心療科を水羽に紹介し、早速水羽は受診へ向かう。しかし、医師は薬物による早急な治療はできないという。PTSDの治療は認知行動療法で時間をかけて治していくしかなく、現在の水羽は友人や周囲の助けで快方に向かっているため薬物の投与は不要であるという。それでも不満そうな水羽に、医師はグループ療法への参加を提案する。水羽同様にPTSD患者のアクトレスも参加しているためきっと助けになるだろうと聞いた水羽は、参加を決めるのだった。
一方その頃、晴花の就職活動は難航続きだった。あの事件以来「元叢雲工業のアクトレス」というだけで企業から悪印象を持たれるようになっていたからである。晴花はすっかり疲弊しきっていた。

それからしばらく経ったある日、宵月は水羽から新会社へ来るよう連絡を受けていた。もうアクトレスを辞めたのに何をと思いながら旧ムラクモ町田の事務所へ向かう宵月。そんな時、市街地へのヴァイス侵入警報が鳴り響いた。緊急時においては臨時契約で出動が可能だと思い事務所へ急ごうとした宵月だったが、もう関係ないことだと足を止める。そんな宵月に声をかけたのは出動途中だった美園だった。走り出そうとしながらも足を止めた宵月を見た美園は、「能力もあって意欲もあるのにできない理由を探してるんじゃないわよ!」と怒鳴りつけた。ライバルと見込んだ相手がうじうじ悩んでいることが許せない美園の怒りを受け走り出す宵月。そんな時、大破しながらも攻撃を続ける小型ヴァイスの弾丸に巻き込まれそうになった宵月を庇ったのは、宵月のギアを装備した朝陽だった。信じられないものを見るような目で見上げる宵月に笑顔で応える朝陽。朝陽は一度はアクトレスを辞めたものの、宇佐元杏奈の番組を見て再びアクトレスに復帰するため心療科で治療を続けていた時に水羽と出会ったのだという。そして宵月の話を聞き、自分が宵月を追い詰めたことを謝るために水羽と共に宵月を待っていた時に、ちょうど市街地にヴァイスが侵入したため宵月のギアを借りて出撃したのだ。まだリハビリ中ではあるが必ずアクトレスに復帰するという朝陽は、宵月に「今度はライバルだ」と手を差し伸べる。苦しみから立ち直ろうとする朝陽の姿を見た宵月は、新会社でアクトレスを続けることを決断するのだった。

新会社設立の準備が進む中、夏綺はムラクモ町田時代の契約であったはずの新型H.D.M「VLG-9-158」の試験運用レポートをまとめていた。叢雲工業が解散した今もこの契約は継続しており、その収益は新会社に入るということもあって真剣にレポートをまとめる夏綺。そんな中、このH.D.Mの副作用として、ヴァイスの戦闘ログが使用者の意識に混入してしまったのではないかという仮説を立てる。そして、ケルベロスがこのH.D.M使用者を狙っている可能性についても追記するのだった。
そして、遂に新会社が設立した。一度は参加を拒んだ宵月も加わることとなり、就職活動がうまくいかない晴花も当座の生活費のために参加を選んだため旧ムラクモ町田の全員が新会社へ加わることとなった。新会社の名は「Gritter」。「きらめき」を意味する言葉である。運転資金はAEGiSの補助金に加え、ムラクモ町田時代からの野北の営業活動が奏功し町田地域の各企業や自治体から援助を得られる手はずになっていた。ギアや設備も叢雲工業からの払い下げでそのまま使用できるという。これまでと違い叢雲工業のバックアップがなくなったことで不便を感じるだろうという野北だったが、宵月は「会社はなくなってもこれまでの個人の実績がなくなったわけではない」と決意を示す。そこに入ってきたのは、野北が招いた客人だった。褐色の肌に白衣姿の若い女性は、ヴァイス研究所行動生態学研究センターの責任者であるバシラ・ライラと名乗った。そして、彼女こそが水羽が使用してきた新型H.D.M「VLG-9-158」の開発者だった。叢雲工業はギアとして仕上げただけであり、中枢のブラックボックスはバシラの手によるものだった。それを聞いた水羽は、戸惑いながらも「ありがとうございます?」と言う。大笑いしながら「恨まれることはあっても感謝されるとは思わなかった」と言うバシラに、水羽は「あれがなかったらアクトレスを続けることを諦めていた」と答える。その言葉を聞いたバシラは、水羽にある提案を持ちかけるのだった。

『アリス・ギア・アイギス』の主題歌・挿入歌

主題歌「Over the Future」

歌:比良坂 夜露(CV:沼倉愛美)、兼志谷 シタラ(CV:内田真礼)、百科 文嘉(CV:石川由依)
作曲:COSIO 編曲:石塚玲依 作詞:ピラミッド

「アリス・ギア・アイギス」オリジナルサウンドトラック(amazon・ebiten専売)に収録されている。
CDには2019年8月31日まで有効のシリアルコードが同梱されており、「新服袋×1」「アニマ400000」「ギア進化素材セット」「ギアメダル240個(専用ギア2個分)」のいずれか1つがランダムでプレゼントされる。

Vtuber「宇佐元杏奈」

劇中でも「東京アクトレスニュース」等でタレントとして活躍する宇佐元杏奈がPRの一環として現実世界でもVTuberとしてデビューした。

yuku_sakana
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@yukusa_kana

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