クロノ・クロス(Chrono Cross)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『クロノ・クロス』は『クロノ・トリガー』の続編として1999年に発売された。
美麗なグラフィックやBGMは高評価を得たが前作との比較から賛否が別れることとなった。
前作のテーマが「タイムトラベル」であるのに対して、今作では「パラレルワールド」がテーマとなっている。
主人公セルジュは、「ホームワールド」と「アナザーワールド」という2つの世界を行き来し、パラレルワールドの秘密を解き明かしていく。

『クロノ・クロス』の概要

本作は1995年に発売された『クロノ・トリガー』の続編として発売された。
『クロノ・クロス』は、スクウェア・エニックス(当時はスクウェア)によって1999年11月18日に発売されたPlayStation(PS)用ロールプレイングゲーム(RPG)。

前作『クロノ・トリガー』は坂口博信、堀井雄二、鳥山明と、3人の巨匠が名を連ねたドリームプロジェクトだったが、今作は『クロノ・トリガー』の企画のメンバーだった加藤正人が中心となってスクウェア開発メンバーのみにより制作された。
美麗なグラフィックやBGMは高い評価を得たものの、前作とのバトルシステムや世界観の違いなどから評価はトリガーファンの間でも賛否両論分かれているが、スタッフ曰く、今作はあくまでも『クロノ・クロス』であって『クロノ・トリガー2』ではないと語っている。

『クロノ・クロス』は1996年に、任天堂のスーパーファミコン向け衛星データ放送・サテラビューで配信されたサウンドノベル形式のゲーム『ラジカルドリーマーズ』が原型となっている。

前作のテーマが「タイムトラベル」であるのに対して、『クロノ・クロス』のテーマは「パラレルワールド」。
主人公が元いた世界(ホーム)と、主人公が死んだはずの世界(アナザー)との間で冒険が繰り広げられる。
ホームとアナザー2つの世界では登場するキャラクターはほぼ同じだが、その境遇はそれぞれの世界で異なる。
メインストーリーには関わってこないが、片方の世界では成功していた者がもう一方の世界では失敗していたりと2つの人生が描かれている。

前作の『クロノ・トリガー』と比べて本作の評価が低いのは、シナリオや世界設定がかなり複雑で、ラストまでプレイしてもプレイヤーが理解しにくい作品と評されているからだ。
少なくとも前作『クロノ・トリガー』のストーリーを踏まえた上でプレイしないと理解が難しいことは否めない。
また、登場人物や仲間キャラクターが無駄に多いことも話の焦点がぼやける要因となっている。ちなみに仲間キャラクターは総勢45人。
『クロノ・クロス』作中には前作のキャラクターが登場するが、やや抽象的なメッセージが多く、その解釈はプレイヤーに委ねられることが多い。
一方で、システム・グラフィック・音楽などは当時のハードにおいて非常に完成度が高く、最高傑作と称されることも多く、中でも特に音楽の評価は高い。

本作は、『クロノ・トリガー』の歴史変革によって生じた時間軸の分岐上の物語である。
この設定自体がタイムパラドックスというSFの設定であり、『クロノ・クロス』の物語は、『クロノ・トリガー』がきっかけで生まれた物語ではあるが、『クロノ・クロス』が必ずしも『クロノ・トリガー』の未来であるとは限らない。
『クロノ・クロス』の時系列そのものは『クロノ・トリガー』の「現代」から20年後となる。
ただしこれはあくまで歴史の改変により生じた、数ある未来の物語の中のひとつである。
『クロノ・トリガー』の未来が『クロノ・クロス』になってがっかりした、というプレイヤーもいるが、これは制作側が見せた未来の可能性の一つに過ぎない。
『クロノ・トリガー』のキャラクターが『クロノ・クロス』のゲーム中に登場するが、そのままのキャラクターではなく、子供の姿で登場させるなど、プレイヤーの想像力を掻き立てる演出となっている。

主人公のセルジュの生死により分岐した2つの世界を行き来して物語は進む。
前作『クロノ・トリガー』に登場した魔法王国の王女サラが深く関わっていることが終盤明らかになる。
また、前作のメインキャラクター、ルッカも登場し、重要な役目を果たしている。
やがてセルジュは2つに別れた世界の謎と、次元の彼方に潜んでいたラヴォスの進化形「時喰い」との戦いに挑むこととなる。

『クロノ・トリガー』

『クロノ・クロス』は1995年に発売されたRPG『クロノ・トリガー』の続編という位置付けである。

A.D.1000年、ガルディア王国に住む少年クロノは、建国千年を祝う千年祭で、マール王女に出会う。
クロノの幼馴染のルッカが発明した転送装置「テレポッド」の転送実験に参加したマールは突然現れた時空ゲートに吸い込まれ、中世へと飛ばされてしまう。
クロノとルッカはゲートで中世に飛び、マールを助ける。
これをきっかけに、クロノたちは時代を行き来し、歴史を改変しながら様々な事件を解決することとなる。
旅の途中にカエルの姿にされてしまった騎士グレン、原始時代の女酋長エイラ、A.D.2300年の滅びの未来で出会うロボット・ロボ(正式名称はプロメテス)、古代魔法王国ジールの王子で、後に中世で魔王となるジャキと知り合い、仲間となる。
やがてクロノたちは自分たちの未来がラヴォスという宇宙生命体によって滅んでしまうことを知り、ラヴォスを倒すこととなる。
ラヴォスを倒した後は、滅びの未来は回避された。

マルチエンディングの1つでは、クロノとマールが結婚し、ガルディア王国の王と王妃に即位している。

また、別のエンディングでは、ルッカが捨て子を拾う様子が描かれる。そしてその5年後、隣国パレポリによりガルディア王国は滅ぼされ、国王クロノと王妃マールは殺されガルディアの血は途絶えてしまう。

DSリメイク版のエンディングの1つでは、『クロノ・クロス』へとリンクするエピソードが描かれる。
魔王である魔法王国ジールの王子ジャキは姉のサラを探しており、サラは時の闇で戦う隠しボス「夢喰い」と呼ばれる魔物に取り込まれていた。魔王はサラを救う為、「夢喰い」と戦うがかなわず吹き飛ばされてしまう。
「夢喰い」はラヴォスの怨念がサラを取り込んだ姿である。
サラは時空を彷徨う自らに絶望しており、自らの存在を消し去りたいという想いをラヴォスの怨念が生み出した「夢喰い」に食われ、取り込まれてしまった。そしてもうじき彼女の自我も失われ、ラヴォスに完全に呑まれてしまうことをクロノたちに告げる。
そしてさようなら、と決別の言葉を口にし、「夢喰い」と同化して時空の闇に消えていく。
「夢喰い」に敗れた魔王は運命を悲観し、考えるのをやめた。そして自らの記憶のすべてを失い、いずこかへと去って行く。

『ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-』

1996年2月3日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)からスーパーファミコン用のゲーム配信サービス「サテラビュー」で配信された、サウンドノベル形式のアドベンチャーゲーム。

選択肢によって複数のシナリオに分岐するマルチストーリー。
メインシナリオ「Kid 盗めない宝石編」は、主人公のセルジュが、少女キッド、魔術師ギルと共に3人組の盗賊団「ラジカル・ドリーマーズ」を結成し、貴族のヤマネコ大君の館に忍び込み、秘宝「凍てついた炎」を盗み出そうとするストーリー。
1995年に同社から発売された『クロノ・トリガー』から直接繋がる物語となっており、魔術師ギルの正体が魔王であることが明言されている。
1999年に同社から発売された『クロノ・クロス』の原型となった作品でもある。

現在はサテラビュー配信は終了しており、その後この作品は移植等もされていないため入手は難しくプレイすることもできない。

『クロノ・クロス』の世界設定

ホームワールドとアナザーワールド

『クロノ・クロス』はホームワールドとアナザーワールドの2つの世界を行き来することになる。
2つの世界は、セルジュが生きている世界と死んでいる世界で別れている。
元の時間軸はアナザーワールドで、10年前にセルジュは海でおぼれて死んだはずだった。
しかし何者かがこの時間軸に侵入し、セルジュの命を救ったことから矛盾が生じてしまい、世界が2つに分かれてしまった。
それがセルジュが助かった世界・ホームワールドである。

エルニド諸島

ホームワールドのエルニド諸島。

『クロノ・クロス』の舞台となる複数の島々で構成される諸島である。
ホームワールドとアナザーワールドで、いくつかの違いはあるが、ほぼ同じ構成である。
元はタイム・クラッシュで古代B.C.10000年へクロノポリスと共に飛ばされてきた人工島である。
エルニド諸島は自然豊かな土地で、本島をはじめとして、独自の生態系を持つ。
都市として栄えているテルミナや独自の民族文化を継承するアルニ村のある本島やガルドーブ、亜人の住むマブーレなどから構成されている。
かつては龍神が住んでいたらしく、あちこちにその名残が見られる。
前作『クロノ・トリガー』の舞台となったガルディア王国があるゼナン大陸からは遠く離れており、海流的に閉ざされた地域である。
ゼナン大陸との交流もあり、大陸に憧れを抱く若者も多い。

エルニド諸島は、ゼナン大陸の軍事国家パレポリの勢力下にあるが、テルミナの蛇骨館を拠点としたアカシア龍騎士団などの自警団の働きにより、パレポリの支配は完全には行われていなかった。

タイム・クラッシュ

A.D.2400年のクロノポリスにおいて行われた、「凍てついた炎」を利用した時間制御実験を行っていた際、A.D.2400年に存在していたクロノポリスがB.C.10000年へとタイムスリップしてしまった。
これが『クロノ・クロス』の時間軸の始まりである。
ルッカによれば、このタイム・クラッシュもガッシュの計画「プロジェクト・キッド」(「時喰い」によって再び起ころうとしている滅びの未来から世界を守るためのもの)の一端であるというが、ガッシュ自身はこれを予期せぬ事態だったと語っている。

凍てついた炎

原始に飛来したとされる地球外生命体ラヴォスの欠片で、あらゆる望みを叶える伝説の宝、と信じられている輝石。
人類の祖先は、これに触れることで異常な進化をとげたと言われている。

その子孫は古代において、「凍てついた炎」の力を利用して魔法の力を手に入れ、魔法王国ジールを建国、繁栄を極めたと言われている。
だが、ジール王国は前作『クロノ・トリガー』においてラヴォスとラヴォスの力を吸い出す装置「魔神器」の暴走により滅びてしまった。

その後「凍て付いた炎」は、A.D.2300年のエルニドにて発見・発掘された。
「凍て付いた炎」は強大な力を秘めた代物で、接触したもののDNAを書き換える力まであるといわれている。
発見された「凍て付いた炎」は、「クロノポリス」の前身である研究センターで時間制御のための研究に利用されていた。
しかし、それがA.D.2400年にタイムクラッシュが引き起こされる原因となった。

「凍てついた炎」の力を使えるのは炎に選ばれし者=調停者のみである。
『クロノ・クロス』ではセルジュが調停者に選ばれている。

クロノポリス

A.D.2400年の平和な時代に中央政権により設立された研究施設。
この施設内に「凍てついた炎」がある。
前作『クロノ・トリガー』において、クロノたちによりラヴォスが倒され、A.D.1999年の「破滅の日」が訪れなかった時間軸に存在する。
その前身はガッシュにより設立された、時間を研究するための施設であった。
ガッシュは「マザー・ブレイン」と呼ばれるコンピューターシステムを設計し、後にこれを元に作られたのがマザーコンピューター「フェイト」である。
「凍てついた炎」を用いた時間制御実験を行っていた時、タイム・クラッシュが発生して、「クロノポリス」の施設及び職員もろともB.C.10000年へと飛ばされてしまう。
『クロノ・クロス』の時間軸の異変はここから始まる。

龍人と龍神

『クロノ・トリガー』に登場した原始時代の恐竜人・アザーラが人間に勝った歴史の未来の時間軸で、その子孫である恐竜人が進化し、龍人となった。
彼らはディノポリスという都市を作って、星(自然)と調和しながら生きていた。
龍神は、その龍人によって作られた生体マシンで、天候を操作する働きを持つ。

ディノポリスに住む龍人たちは、タイム・クラッシュによって、クロノポリスと同じB.C.10000年にタイムスリップしたため、それまで彼らの世界で交わることのなかった人間たちと生存をかけて戦うこととなる。
クロノポリスのマザーコンピューター「フェイト」は、龍人たちと戦って勝利した際、人間にとって脅威となる龍神を封印した。封印され、力を失った龍神の姿が、六龍である。またこのとき、ディノポリスも封じられ「星の塔」となった。

六龍とは、龍神の分割体で、6つのエレメント(黄、赤、緑、青、黒、白)と対応する6体の龍がそれぞれアナザーワールドとホームワールドの双方に存在する。なぜ双方の世界に存在するのかは明らかにされていない。
六龍の目的は、「フェイト」を倒し元の龍神の力を取り戻すこと。
そのためにセルジュたちに協力する。

『クロノ・クロス』のあらすじ・ストーリー

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