不思議だけれども懐かしい、そんな体験をしたい妖怪好きな方へ
高校生の夏目貴志が祖母のレイコが奪った妖怪たちの名を持ち主に返していく。
妖怪というホラーじみた言葉がでてくるが、本作にはそういった恐怖感は全くない。ほのぼのとした日本の田舎町での日常風景がゆったりと流れていくように、物語もどこか心落ち着くBGMと共に進んでいく。
そして、ひょんなことから貴志の用心棒となったニャンコ先生なる招き猫のようなまん丸とした猫は、恐らくこの作品の中で最も愛されるキャラクターであり、そして物語の中でも中心となるキャラクターでもある。通常の見た目はまんまるでとても可愛らしい猫そのもののニャンコ先生だが、その正体は「斑」と呼ばれる上級妖怪であり、また人間の言葉も理解し会話もする。夏目がピンチになった時には用心棒として本来の姿である白い巨大な狐のような獣になる。
この1人と1匹が繰り広げる物語は、冒頭で記したようにほのぼのとした雰囲気ではあるものの、時にはシリアスに、そして謎めいた展開を見せていく。
2008年よりアニメ放映が始まり、2018年には第6期の放送を終えた。そして5年ぶりとなる2023年に第7期の発表があり、2024年の秋アニメとして久々にその姿を画面の向こうに見せてくれる予定だ。
大筋を理解していれば7期から観はじめても問題はない。通常1話完結の作品であり、そしてほのぼのと感動する回も多々とある。
田舎町で子供時代を過ごした筆者にとって、この作品はいわゆるノスタルジーな感覚を呼び起こし、どこか懐かしい気持ちを思い出させてくれる。しかし、この作品を心から楽しむためには、核心にある謎めいたストーリーの知識を持っておくことをぜひお勧めする。
原作はもちろんのこと、アニメは各種配信等でも鑑賞できるので、7期放送までにぜひ本作品を1話から観てほしい。
可愛らしいニャンコ先生はもちろんのこと、夏目貴志を取り巻く人間関係や生活環境、そして妖怪の名前を奪った祖母レイコの存在。不思議だけれどもどこか懐かしい、そんな感覚を経験したい方に強くおすすめしたい作品だ。