妖怪と人間、その姿をどう見るか
2007年9月から「LaLa」にて連載が始まり、ドラマCDを始めアニメ化や映画化もされている『夏目友人帳』。
2020年9月時点で累計発行部数が1500万部を記録した大ベストセラーだ。
隔月雑誌向きに完全読切として描ける設定の作品として、LaLa DX2003年7月号に記念すべき第1話が掲載され、その後読切のシリーズとして隔月掲載されるようになった。
ドラマCDからキャストは変わらず、主人公の「夏目貴志」を「神谷浩史」が、自称用心棒である「にゃんこ先生」、そして元の姿である「斑」を「井上和彦」が演じている。
夏目は妖怪の姿を見ることができ、声を聞くことができる為、幼い頃は人間と妖怪の区別がつかず、なにもない空間に話しかけたり、突然大きな声を出したりする挙動不審な子供として周りから「うそつき」「気味が悪い」と避けられていた。
幼い頃に両親を亡くし、親戚の家をたらい回しにされていたが、遠縁の藤原夫妻に引き取られ大切にされるようになり、藤原家が大切な居場所となった。
妖怪に追いかけられ逃げる途中、祠に封じられた妖怪の封印を解いてしまう。
それが夏目と先生の出会いであった。
祖母の「夏目レイコ」と勘違いし「友人帳」について尋ね、遺品の中に友人帳を見つけると先生は友人帳を奪おうとするも、招き猫姿の先生は襖に嵌ってしまう。封印を破った恩義として用心棒となり他の妖怪から友人帳を守る事にした先生は、藤原家で夏目と共に暮らす事となった。
友人帳にはレイコが負かした妖怪達の名前が書かれており、それを手にしたものはその名の書かれた妖怪を従え、使役することができる。
夏目はそれを利用するのではなく、祖母の大切な遺品として妖怪達に名を返していく事に決める。
様々な妖怪と関わるうち、人間との関わりも深まっていく。
妖怪の視点から見る人間の姿が、時に恐ろしく、時に暖かく描かれ、夏目は出会いや別れによって様々な経験をし、成長していく。