僕だけがいない街(僕街)のネタバレ解説・考察まとめ
三部けいによる漫画を原作とするアニメ作品。
2016年よりフジテレビ「ノイタミナ」枠にて全12話が放送された。
「再上映(リバイバル)」と呼ばれるタイムリープ能力を持つ主人公が、自分と周囲の人々を救うために、現在と過去を行き来するミステリー・サスペンス作品である。
終盤の11話の途中からは、原作とはやや違うオリジナルストーリーとなっている。
『僕だけがいない街』のあらすじ・ストーリー
プロローグ
主人公の藤沼悟は、過去に戻り「違和感」を解決することで、起こりうる事件を回避する特殊な能力「リバイバル」を持っていた。
ピザの配達中に「リバイバル」が起き、事故の被害は減らせたが交通事故に遭ってしまった悟。
幸い軽傷で済んだものの、心配して来た母親の佐知子と同居することになった。
バイト先から帰宅した悟が目にしたのは、刺殺された母・佐知子の亡骸だった。
現場を目撃されたことで悟は容疑者として警察に囲まれてしまう。
必死の思いで逃げ出した彼の前にリバイバルが起こり、目を疑う風景が広がっていた。
そこは18年前、かつて幼少時代を過ごした、昭和63年の北海道だった。
18年前「雛月加代の救済①」
なぜこの時代に来てしまったのか、違和感がどこにあるのか、答えが出ない悟の前に、一人の少女が通り過ぎる。
雛月加代。
彼女は、18年前に起きた「連続小学生誘拐殺害事件」の被害者であり、彼女と中西彩、杉田広美が殺害されてしまう。
悟は事件が起きた日、公園でひとりぼっちだった彼女に「一緒に帰ろう。」と言えなかったことを後悔していた。
この後に殺害されるはずの彼女こそが「違和感」の源であると、直感がそう告げていた。
友人ケンヤの言葉をきっかけに学級文集を開くと、雛月の作文から「誰もいない遠くへ行きたい。」というSOSメッセージを読み取った。
そして、「踏み込む」決意とともに、雛月を誕生日会に誘った。
雛月は殺害時点で「10歳」であり、悟と同じ誕生日「3月2日」には11歳になる。
リバイバルで到着した日付は「2月15日」であったため、誕生日までの間にXデーがあると推察した悟。
そして、「3月1日」こそがXデーであることを確信した。
雛月の家に赴き様子を伺い悟の目に映ったのは、ボロボロの姿で物置に監禁された雛月だった。
彼女の母親が見せた素振りから、家庭内暴力の事実が明白に存在していることを確信した。
給食費の盗難事件でクラスメイトから犯人に仕立てあげられる雛月であったが、彼女を庇った悟。
そのことがきっかけで、二人はお互いの心の距離を縮めた。
事件が起きたとき、雛月が公園でひとりぼっちだったという状況をなくすために、彼女を科学センターに誘う。
そこで悟は雛月と18年前にも同じ会話をしたのを思い出し、リバイバル前と同じ時のレールに乗っているのでは、と疑念を抱く。
そして迎えたXデーは何事も無く終り、翌日の誕生日会も仲間達と無事に迎えられたことから、歴史を変えた実感に浸る。
しかし、翌日雛月が学校に来ていないことを知り、失踪したことを知る。
そして、隣の小学校に通う中西彩も失踪し、18年前と同じ時の流れに乗っていた。
雛月の母親が捨てたゴミ袋の中に入っていた編みかけの手袋を見た悟はたまらず走り出した。
しかし、過去の状況を変えることが出来なかったため、「リバイバル」は終わりを告げた。
2006年「愛梨と悟」
2006年へと戻った悟は、警察から逃げるため、バイト先の店長の自宅に避難したが、彼は警察に通報した。
ショックを受けつつ逃げ出したところでアルバイトの後輩の愛梨と遭遇した。
彼女は「人を信じたい」という想いがあり、悟を自室にかくまった。
だが、悟の母、佐知子を殺害した犯人の手はそんな二人の元にまで及び、愛梨の家が放火されてしまう。
炎に包まれる愛梨を救い出した悟は、佐知子殺害犯によるものという確信を得た。
そこで佐知子の元同僚で、今はフリージャーナリストの澤田にコンタクトを取る。
彼から佐知子が18年前の真犯人を知っていたこと、そして犯人は殺人の後、必ず無実の人物を容疑者に仕立て上げているという推察を聞く悟。
さらに容疑者リストを読むことで、悟は犯人特定に繋がる重要事項に気がついた。
犯人は自分を容疑者リストから外すため、女の子と間違われやすい「ヒロミ」をあえて殺したのではないか。
その推察に行き着いた悟に、病院から抜け出した愛梨から電話が掛かってきた。
合流した愛梨は「西園」という人物が怪しいと語るが、澤田の容疑者リストにその名前は無かった。
苦悩する悟であったが、その時、警察に取り囲まれ手錠をかけられてしまった。
その時、野次馬の人垣の中に母を殺した男を見つけ、そして時間が止まった。
「終われない、俺にはまだやらなきゃならない事がある。」
そう呟いた悟は「リバイバル」を引き起こそうと祈り、奇跡を呼んだ。
18年前「雛月加代の救済②」
気がつくと悟は科学センターにいた。
昭和63年、Xデーの4日前、雛月は悟の隣で健在だった。
「3月2日」、再び仲間たちと誕生日会を終えた悟は、その夜にユウキさんの自宅に向かい、家に石を投げ警察を呼ぶことでアリバイを作った。
その後、帰宅中の雛月の母を待ち伏せ、階段で背中を押そうとしたが、数日間悟を監視していた「ケンヤ」が止めに入った。
ケンヤの言葉に冷静さを取り戻した悟は、あるシナリオを思いついた。
雛月を自らの手で失踪させて、警察や役所の介入を招くことで「母親」や「誘拐犯」から遠ざける、という。
悟は雛月を合意の上で誘拐し、隣の小学校校庭にある廃バスへ連れていった。
そして雛月が廃バスの隠れ家で過ごす日々が始まった。
しかし、予想より周囲の大人たちの反応は鈍く、不登校が続く雛月に対して対策が成されぬまま日が過ぎる。
佐知子や八代だけは、悟の行動の変化から事態に気がつき始めていた。
ある夜、隠れ家に大人の男がやってきて、段ボール箱を残していった。
その中を漁ると、ロープや目出し帽、霧吹きといった真犯人が殺害時に使用した品々が入っていた。
未だに同じ時のレールに乗っていると疑いを拭いきれない悟は、雛月を自分の家にかくまった。
息子の決意と行動を理解し、雛月を受け入れる佐知子。
翌日、平穏な朝を迎えた三人は雛月の家へと向かった。
母親である明美は怒りのあまりシャベルを振り回すが、その一撃を避ける佐知子。
そして見計らっていたように、児童相談所の職員と八代が現れた。
雛月の一時保護を伝える職員に明美は反発したが、八代が連れてきた「雛月の祖母」を目の前に事態を急変させた。
明美は母に縋って泣き崩れ、雛月は祖母が引き取ることとなった。
それは同時に雛月との別れも意味していたが、悟は彼女の向かう未来が、明るい場所であることを信じた。
18年前「真犯人」
数日後、悟は連続殺人事件二人目の犠牲者になるはずの隣の小学校に通う「中西彩」を探りはじめた。
その行動にケンヤは違和感を持ったが、悟はこの街に連続殺人犯がいるという仮説を話す。
ケンヤとヒロミはその突拍子もない話を信じ、ひとりぼっちにしないための行動を共にすることとなった。
彼女に声を掛ける悟たち。最初は取り合わなかった彩だが、悟たちのアジトへ顔を出すようになる
そして、ヒロミも含め、殺されるはずだった三人は犯人のターゲットから外れた。
犯人が代わりに誰を狙うのか、気にかかる悟は最近クラスで浮きがちだった「美里」に目をつける。
そして、アイスホッケー試合会場の美里を尾行していると、彼女の姿が突如消えた。
慌てた悟は八代に頼みこみ、不審なトラックを追うが、八代は車の方向を変えた。
そして彼は悟に対して、自分自身が誘拐犯である旨を告げた。
驚愕の事実に衝撃を受け、にわかには信じられない悟。
細工されたシートベルトにより身動きの取れない悟は、車もろとも川へと沈められてしまった。
2003年「決着」
悟が冷たい水の底に沈んだ日から年月は流れ、2003年になった。
九死に一生を得たものの昏睡状態となった悟は、目を醒ました。
しかし、事件にまつわる記憶が失われてしまっていた。
そんな彼のもとに、悟がその生命を未来へとつなげた少女「雛月加代」が訪れた。
それをきっかけとして彼はリハビリの量を倍にし、必死の努力を重ねていった。
そんな中、悟は院内で骨髄移植に不安を覚える「久美」と友人になっていた。
そして二人の前に、西園という人物が姿を現す。そして自身がかつて5年4組の担任だった「八代学」と明かした。
八代や久美と交流を続けながらリハビリの日々を過ごす悟。
久美の手術を目前に控えたある日、彼女の病室で八代と鉢合わせした悟は、誘われるまま屋上に向かう。
雨が滴る中で15年前の懐かしい思い出を語り始めた八代。
その時、突如悟は強い意志を秘めた瞳を向け、記憶が戻っていることを告げた。
しかし、八代は全てを読み切った上で、悟に罠を仕掛けていた。
彼のシナリオは、悟の友人・久美の点滴に筋弛緩剤を混入して殺害した上で、悟を実行者に仕立ててから殺すというものだった。
だが、静かに勝利を宣言したのは悟だった。
そして彼は唐突に、自らの手で屋上の縁に車椅子を進めて行って飛び降りようとした。
間一髪、それを掴み助けたのは八代だった。
計画を阻止し、川へしずめたのに生き残った悟を15年間観察してきたことで、生きている実感が生まれたと告白した。
それを認めた上で、悟を放し屋上から取り落とした八代は、自らも飛び降りようとする。
しかし、彼が眼下に臨んだ視界の中には、救助マットの上で微笑む悟とその仲間の姿があった。
「踏み込む」ことで繋がった仲間たちのおかげで、真犯人「八代」を逮捕することに成功したのであった。
『僕だけがいない街』の登場人物・キャラクター
藤沼 悟(ふじぬま さとる)
CV:満島真之介(成人)、土屋太鳳(小学生)
1977年3月2日生まれ、北海道出身。
漫画家であるが、「自分の心に踏み込めない」という欠点のためにデビュー後はなかなか成功していない。
そのため、ピザ屋のアルバイトで生計を立てている。
リバイバル能力を持ち、過去を変えることが出来る。
癖は、心に思ったことを無意識のうちに声に出すこと。
雛月 加代(ひなづき かよ)
CV:悠木碧
1977年3月2日生まれ(悟と同じ日)。
母子家庭で、母親と愛人から虐待を受けており、それ故に卑屈な性分となってしまった。
口癖は「バカなの?」。
後に広美と結婚し一児をもうけ、その子供を連れて悟の病室を訪れた。
小林 賢也(こばやし けんや)
CV:柄本佑(成人)、大地葉(小学生)
悟のクラスメイトであり、アジト仲間。
父親が弁護士ということもあり、頭脳明晰で観察眼が鋭いため、大人の意識をもっている悟の変化を見抜いた。
成人後は弁護士になり、一連の事件の真犯人を追い続けていた。
その過程で澤田と交流を持つようになった。
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目次 - Contents
- 『僕だけがいない街』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- 18年前「雛月加代の救済①」
- 2006年「愛梨と悟」
- 18年前「雛月加代の救済②」
- 18年前「真犯人」
- 2003年「決着」
- 『僕だけがいない街』の登場人物・キャラクター
- 藤沼 悟(ふじぬま さとる)
- 雛月 加代(ひなづき かよ)
- 小林 賢也(こばやし けんや)
- 片桐 愛梨(かたぎり あいり)
- 藤沼 佐知子(ふじぬま さちこ)
- 八代 学(やしろ がく)
- 澤田 真(さわだ まこと)
- 白鳥 潤(しらとり じゅん)
- 雛月 明美(ひなづき あけみ)
- 杉田 広美(すぎた ひろみ)
- 柳原 美里(やなぎはら みさと)
- 中西 彩(なかにし あや)
- 『僕だけがいない街』の用語
- 再上映(リバイバル)
- 『僕だけがいない街』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「勇気ある行動の結末が、悲劇でいいハズがないだろう?」
- 「愛梨の『信じたい』は自分の為だよ。誰かに『信じて欲しい』の裏返しなんだよ。」
- 「信じるっていうのは、信じたいっていう希望の言葉なんだっていうこと。」
- 『僕だけがいない街』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』
- ED(エンディング):さユり『それは小さな光のような』