GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊・イノセンス(押井版攻殻機動隊)のネタバレ解説・考察まとめ
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作とし、1995年に公開された日本のアニメ映画である。AD2029年、公安九課のリーダー草薙素子が事件を追う中、正体不明のハッカー“人形使い”と遭遇する。押井守監督版『攻殻機動隊』シリーズの1つであり、続編の『イノセンス』は2004年に公開された。ガイノイド“ハダリ”の暴走した原因を九課のバトーとトグサが追う。
「生死の去来するは棚頭の傀儡たり一線断ゆる時落落磊磊」
物語中では、「生死去来 棚頭傀儡 一線断時 落落磊磊」と出てくる。月菴宗光の『月庵和尚法語』より。意味は、棚の上の操り人形は糸が切れると一切がだめになってしまう、物まねを旨とする芸能も操りなので、どうにかこれを繋いで芸を生かすには演者の心が大切である、と能の祖である世阿弥から解釈されている。トグサが択捉でこの言葉を書いた壁に気付き、キムが最初に自分の死を偽装した時と、実際にキムが死亡した後に出てきた言葉。実はプラント船のハダリが起動したのはキムが仕込んだウィルスのせいであり、彼の死をスイッチとしてウィルスが働いたからである。
「孤独に歩め。悪をなさず、求めるところは少なく。林の中の象のように」
釈迦の『法句経 - 23章330節(釈迦の言行録として残されたもの)』の引用。作中では荒巻部長がトグサに対して、バトーが素子に対して行なった質問=「自分が幸福だと思うか?」に対して、幸せであるかどうかは肝心ではないとして最後に答えた台詞。
『イノセンス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
アニメ史上に残る圧倒的な映像美や哲学的なやり取りの応酬
映像としての美しさでとにかく圧巻なのが、バトーが買い物に行く食料品店のシーンと択捉の街並み、そこで行われている中国風の祭礼の山車のシーンである。食料品店では商品のひとつひとつが実写の様に細かく描かれ、割れるガラスの描写が非常に緻密だ。祭礼のシーンは、巨大な祭りの山車がいくつも出てくるのだが、動いてる極彩色の山車から背景の街並みまでが恐ろしく細かく、美しく描かれている。
『イノセンス』はバトーと素子の愛の物語
出典: gensun.org
前作で人形使いと融合しより上位の生命体となった素子は、バトーの元を去り、ネットの海へと消え去った。素子を失ったことから失意のうちに孤独に暮らすバトーだが、素子は常に彼の事を気にかけていた。
バトーはバセットハウンドのカブリエルという犬を飼っており、手間がかかる犬の為頻繁に餌を同じ店に買いに行く。その店で電脳をハッキングされる前に、バトーは素子の「キルゾーンに入っているぞ」という声を聞く。また、キム邸玄関にて失踪前の素子の子供姿の義体とメッセージからヒントをもらい、キムの電脳ハックに気付いた。その事をバトーは「守護天使がついている」と語る。
また物語の終盤でハダリに己の一部をダウンロードした素子が現れ、バトーと共闘。ロクス・ソルス社のハダリの工房であるプラント船をハッキングし、制圧する。
そして別れ際に素子はバトーに「バトー。忘れないで。貴方がネットにアクセスする時、私は必ず貴方の傍にいる」と囁いた。
『イノセンス』 スタンダード版 [DVD]
www.amazon.co.jp
2004年に、第25回日本SF大賞受賞。また、第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にて上映。ちなみにアニメーション作品がカンヌのコンペ部門に選出されるのは史上5作目、日本のアニメ作品では初の快挙。
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目次 - Contents
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』について
- あらすじ・ストーリー
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の主要登場人物・キャラクター
- 草薙素子(くさなぎもとこ)
- バトー
- トグサ
- 荒巻大輔(あらまきだいすけ)
- 人形使い
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の用語
- 義体
- 電脳化
- ゴースト
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 草薙素子「そう囁くのよ。私のゴーストが」
- 草薙素子「恐れ、不安、孤独、闇。それからもしかしたら、希望―― 海面に浮かび上がる時、今までとは違う自分になれるんじゃないか…。そんな気がする時があるの」
- 草薙素子「人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なの。 他人を隔てるための顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、幼かったころの記憶、未来の予感。 それだけじゃないわ。私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり。 それら全てが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し、そして同時に私をある限界に制約し続ける」
- 「さてどこに行こうかしら。ネットは広大だわ」
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原作と映画の違い
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に影響された『マトリックス』
- 「自分を自分たらしめるものは何か」「生命とは何なのか」根源的な問いに向き合う
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の関連リンク
- 『イノセンス』について
- 『イノセンス』のあらすじ・ストーリー
- 『イノセンス』の登場人物・キャラクター
- ハラウェイ
- キム
- 『イノセンス』の用語
- ハダリ
- “2501”
- 『イノセンス』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ハラウェイ「何故彼らは人の形、それも人体の理想形を模して造られる必要があったのか。人間は何故こうまでして人間の似姿を造りたがるのかしらね」
- 「囁くのさ、俺のゴーストがな」
- 「生死の去来するは棚頭の傀儡たり一線断ゆる時落落磊磊」
- 「孤独に歩め。悪をなさず、求めるところは少なく。林の中の象のように」
- 『イノセンス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アニメ史上に残る圧倒的な映像美や哲学的なやり取りの応酬
- 『イノセンス』はバトーと素子の愛の物語