攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS)のネタバレ解説・考察まとめ

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』とは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『攻殻機動隊S.A.C.2ndGIG』に続く長編SFアニメ作品である。原作は士郎正宗、監督は神山健治が務める。2006年にパーフェクト・チョイスで公開され、2011年には劇場で公開された。
主人公である草薙素子が公安9課を去り、トグサが新隊長として事件解決に挑む。現代にも通ずる社会問題と、その裏で動く組織と対峙するハードボイルドな作品である。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の概要

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』とは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『攻殻機動隊S.A.C.2ndGIG』に続く長編SFアニメ作品である。原作は士郎正宗、監督は神山健治が務める。2006年にパーフェクト・チョイスで公開され、2011年には劇場で公開された。劇場公開された際はタイトルを『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』としている。

士郎正宗の『攻殻機動隊』を原案とした作品はいくつかあるが、その中でも本作は神山健治による再構成されたオリジナルアニメである。神山健治は『ミニパト』で監督デビューし、続く『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『攻殻機動隊S.A.C.2ndGIG』『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』は「S.A.C.シリーズ」とされ世界からも高い評価を受け大ヒットした。

マイクロマシン技術が発展し、脳の神経ネットに直接接続できる電脳化や、義肢や臓器のサイボーグ化が普及した世界が舞台である。公安9課は内務省・首相直属の秘密部隊であり、テロや暗殺、汚職などの事件を捜査していた。
『攻殻機動隊S.A.C.2ndGIG』から2年後の西暦2034年、主人公である草薙素子(くさなぎもとこ)が公安9課を去ってから2年。新体制となった公安9課はトグサが新隊長として事件解決にあたっていた。ソリッド・ステートと呼ばれるシステムに翻弄される中で、トグサと9課メンバーのバトーは一連の事件に素子が絡んでいる可能性が高いことを知る。傀儡廻(くぐつまわし)と呼ばれる見えない敵と対峙するハードボイルドな作品である。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』のあらすじ・ストーリー

シアク共和国の指導者で将軍のカ・ルマの長男、カ・ゲル大佐が新浜国際空港内で立てこもり事件を起こした。カ・ゲル大佐は「傀儡廻(くぐつまわし)が来る」と叫び自殺する。カ・ルマ将軍への忠誠を誓った者たちが次々と自殺しているため、トグサたちはカ・ルマ将軍の自宅へ向かう。しかし、カ・ルマ将軍は自宅で「傀儡廻」というダイイングメッセージを残し死んでいた。
一方バトーはマ・シャバというシアク共和国の工作員の元へ向かっていた。マ・シャバにはカ・ルマ将軍からテロに使用するマイクロマシンウィルスが持ち込まれていた。バトーはマ・シャバの研究所で草薙素子(くさなぎもとこ)と再会する。マ・シャバはアームスーツに乗り「死ね、傀儡廻」と叫びながらアームスーツで暴れ、暴走した衝撃によって死亡してしまう。素子はマ・シャバの病院からウィルスのアンプルを持ち出し、バトーに「ソリッド・ステートには近づくな」と警告し姿を消した。

カ・ルマ将軍はマイクロマシンウィルスを子供に埋め込みウィルスをばらまこうとしていた。そのために誘拐された子供たちは2万人におよび、どの子供も一人暮らしの貴腐老人と呼ばれる介護システムに繋がった者たちの住所を覚えていた。
9課が保護した子供は16人であったが、9課に傀儡廻が現れ子供たちの行方が分からなくなる。監視カメラシステムで子供たちのあとを追うトグサは、一人の貴腐老人のもとに辿り着く。子供を保護したトグサに対し、老人は「ソリッド・ステートに関わるな」と警告し死亡してしまう。
その直後、トグサの元へトグサの娘が行方不明になったと連絡が入る。無事娘は見つかるが、娘を幼稚園に送ろうとしたトグサは傀儡廻に電脳ハックされてしまう。トグサは娘とともに電脳施術病院へ連れていかれた。娘を守るため自殺しようと試みるトグサは素子に救われる。素子はトグサの電脳から傀儡廻が聖庶民救済センタービルにいることを突き止める。さらわれた子供たちも救済センターにいる可能性が高いと9課は判断し、合流した素子の指揮のもと突入をする。
聖庶民救済センタービルではコシキ・タテアキという男がソリッド・ステートシステムを構築したことが分かる。しかしコシキはその場で顔を打ち抜き自殺した。素子はすぐにコシキの電脳に潜り、コシキの意識と繋がる。そこでコシキはゴーストのリサイクルを行うため、ソリッド・ステートシステムを組んだと話す。虐待された子供たちを誘拐したうえで戸籍をロンダリングし、貴腐老人の戸籍を与え財産を共有するように組んだのがシステムの全容であった。コシキは素子を知っており、素子の集団的深層無意識がコシキを形成していたことが判明する。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の登場人物・キャラクター

元公安9課メンバー

草薙素子(くさなぎもとこ)

CV:田中敦子
元軍所属であり、他の9課メンバーからは「少佐」と呼ばれる。元公安9課隊長。
「個別の十一人」事件以降行方が分からなかったが、一人ネットを彷徨し組織的方法論では対処できない事件に密かに介在していた。条約審議部の中村と契約し、カ・ルマ将軍の暗殺を形だけのものにするつもりであったが、傀儡廻に先を越されてしまう。義体を何体も操っていたため集団的深層無意識が発生し、それがソリッド・ステートシステムを組み上げたコシキの義体を動かしていた。

公安9課メンバー

荒巻大輔(あらまきだいすけ)

CV:阪脩
公安9課課長。切れ者であり、政治手腕に長けている。
素子が去った後の9課を新体制として再編している。

バトー

CV:大塚明夫
元陸上自衛隊の特殊部隊にいた過去があり、全身義体である。
素子が去った後も9課に残り、独自の捜査にを続けていた。その中で今回のシアク共和国の特殊工作員連続自殺事件に行きついた。

トグサ

画像左側の人物がトグサ

CV:山寺宏一
素子が去った後、公安9課隊長に就任する。
以前は電脳化以外生身であったが、家族にも事情を話しある程度の義体を施した。

イシカワ

CV:仲野裕
主に情報収集を担当している。

サイトー

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