GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年11月18日公開)は、士郎正宗原作のSF漫画『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を映画化したアニメーション作品。製作会社はProduction I.G 。
その革新的ともいえるアニメーション技術から映像面で評価が高い本作だが、キャラクターの巧みな台詞回しもその人気の一因だ。当記事では、ファンの間で特に知られている名言・名セリフを紹介する。

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の概要

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は1995年11月18日に公開された押井守監督のアニメーション映画である。月刊誌『ヤングマガジン海賊版』にて連載していた士郎正宗作のSF漫画『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を原作としている。
同映画は日本国内での人気のみならず、アメリカではビルボード誌のホームビデオ週間売り上げ1位(翌1996年)となるなど世界的な評価も高い。日本のアニメーション映画で初めてカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された映画『イノセンス』(2004年3月6日公開) は本作の続編である。更に、あの大ヒット映画『マトリックス』監督のウォシャウスキー姉妹が本作に大きく影響を受けたと公言しているのも有名な話。
舞台は電脳化やAI、ロボットさらにはサイボーグ、アンドロイドなどの技術が発達し、一般に広く普及した未来の日本(パラレルワールド的な面もある)。
機械が人間に近づく一方で人間のサイボーグ化が進んでいく中、それらの境界線とは。記憶さえコピー可能な世界において、何をもって人は「自己」を認識し続けられるのか。という疑問がメインテーマとなっている。
主人公の草薙素子率いる内務省直属の攻性公安警察組織である公安9課の犯罪者との迫力あるバトルシーンや、独特な雰囲気の挿入歌・脚本まで、公開後20年以上経過した現在でも高い評価を受けている。特に脚本においてはアーサー・ケストラー著の『The Ghost in the Machine(機械の中の幽霊)』に影響を受けており、その哲学的な思想を交えた台詞の数々はSFファンを越えて広く知られており、国内・国外の情報サイトから個人サイトに至るまで世界中で考察が重ねられている。

草薙素子の名言・名セリフ

草薙素子(声:田中敦子)

全身サイボーグの女性。公安9課の実質的なリーダーで、9課のメンバーには「少佐」と呼ばれている。作品のメインテーマに関わる発言はほとんど彼女のものである。

「根拠ですって?そう囁くのよ、私のゴーストが。」

草薙素子(以下、草薙)の決め台詞でもあるこの台詞は、原作はもちろん、後のテレビアニメシリーズでも印象的に使われている。今作品においては、同じ9課のメンバーであるトグサに「(草薙の犯罪についての考察は)考えすぎなんじゃないの?今のところ何の根拠もないし。」と言われたことに対しての返答である。
「ゴースト」とはタイトルにも含まれていることから重要なキーワードである。「幽霊」の意味はなく、「自我」や「無意識下の直観」といった意味で使われている。
全身サイボーグ化している草薙が、未だに自己を確立し、アイデンティティを保っていることを印象づけるような名セリフ。

「戦闘単位としてどんなに優秀でも、同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も、特殊化の果てにあるのは緩やかな「死」。それだけよ。」

上記のセリフと同じ場面で、トグサの「なぜ自分のような者(他のメンバーと違って不正規活動の経験がない・サイボーグ化していない元刑事)をメンバーに引き入れたのか」という質問に対しての答え。
草薙の冷静な判断力と高度な統率力を示す名セリフである。

「便利なものよね。その気になれば体内に埋め込んだ化学プラントで、血液中のアルコールを数十秒で分解してシラフに戻れる。だからこうして待機中でも飲んでいられる。それが可能であればどんな技術でも実現せずにはいられない、人間の本能みたいなものよ。」

サイボーグの重い義体で海に潜る草薙を心配するバトーとの会話中の一言。非番でも犯罪が起こればすぐに対応しなければならない草薙たちの仕事の過酷さを示すと同時に、「便利なものよね」と言いながらも最高級のメンテナンス無しでは維持できない義体を抱えた自らに対する皮肉ともとれる一言である。

「人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なの。 他人を隔てるための顔、それと意識しない声、目覚めのときに見つめる手、幼かった頃の記憶、未来の予感。それだけじゃないわ、私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり。それらすべてが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し、そして同時に、私をある限界に制約し続ける。」

上の台詞と同じ船上でのシーン。バトーの台詞、「俺たちは、9課に魂まで売っちまったわけじゃないんだぜ」(記憶の一部と義体を政府に返却すれば、公安9課を退職することはできるという意。)への返答。
草薙は、(退職それ自体は可能だが、)そうすることで「自分」を失ってしまう危険性について話している。草薙の意識が記憶や義体の感覚から始まり、現在の地位によってアクセスが可能になった広大なネットワークにまで及んでいることがわかる。

「私みたいに完全に義体化したサイボーグなら、誰でも考える。(中略)“今の自分は電脳と義体で構成された模擬人格なんじゃないか。”(中略)もし電脳それ自体がゴーストを生み出し、魂を宿すとしたら。その時は、何を根拠に自分を信じるべきだと思う?」

作品中盤、オリジナルのゴーストがない電脳が見つかったことに対しての名セリフ。
草薙は脳以外の全身全てが義体であり、唯一残った脳でさえも電脳化している。もし機械がゴーストを生み出すとしたら、どこまでが自分といえるのか。それとももう自分はどこにもいないのか。いやそもそも「自分」とは何なのか。まさにメインテーマの核心に触れる一言である。
草薙は作品全体を通して冷静かつ喜怒哀楽をあまり表現しないキャラクターであるが、そんな草薙がはっきり不安を口にすることでもこのセリフを際立たせたい製作者側の意図が伝わってくる。

「さて、どこへ行こうかしらね。ネットは広大だわ。」

同作品最後の台詞である。ファンの間のみならず、ネット用語としても(ネット上の理解が及ばないものに対して)使われる名言。
戦闘の修羅場を潜り抜けた草薙が、その後滞在していたバトーのセーフハウスから出てきての一言。
ちなみにこの台詞は、作品全体を通して使われていた草薙の義体とは別の義体で発せられている。このことから草薙が肉体としての自分自身の制約から遂に解き放たれたことを暗示している。

人形使いの名言・名セリフ

人形使い(声:家弓家正)

作品中、電脳犯罪史上最もユニークと評されたハッカー。「人形使い」という名前は捜査機関が付けたコードネームである。画像は、公安6課に追い込まれて入った義体。本来はネット上の情報から生まれた生命体であるため実体(ボディ)はない。

「あなたたちのDNAもまた、自己保存のためのプログラムに過ぎない。(中略)人はただ記憶によって個人足り得る。(中略)コンピュータの普及が記憶の外部化を可能にしたとき、あなたたちはその意味をもっと真剣に考えるべきだった。」

人形使いが生命体として政治的亡命を希望したとき、公安6課の部長に「(生命体ではなく、)単なる自己保存のプログラムに過ぎん。」と一蹴されたときの返答である。
近い未来、ネットの情報の海から個を持つ実体のない存在が私たちの前に現れ、生命体の定義が揺るがされるとしたら…そんなふうに思わせられる名セリフ。

「(生命が)より存在するために、複雑・多様化しつつ時にはそれを捨て、細胞が代謝を繰り返して生まれ変わりつつ老化し、そして死ぬときに大量の経験情報を消し去って、遺伝子と模倣種だけを残すのも、破局に対する防御機能だ。」

終盤、人形使いが念願だった草薙との対談を果たした場面で発したセリフ。
人形使いは肉体を持たないゴーストでありながら、生物が死に至るまでの過程を生命の防衛機能だと語る。そして、死を持たない自分は生命として不完全である、と言う。ここでは今までの「自分とは何か」という問いに加え、「生命とは何か」という根源的なテーマを問いかけている。

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