働きマン(漫画・アニメ・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『働きマン』とは、2004年に講談社『モーニング』で連載を開始し2008年まで連載した安野モヨコによる仕事漫画である。雑誌『JIDAI』の女性編集者・松方弘子(まつかた ひろこ)は28歳独身。上司や同僚、後輩たちと「よい雑誌」を作るために日夜奮闘中だ。一旦仕事モードになると寝食を忘れ、恋人よりも仕事を優先する。そんな彼女の痛快お仕事ストーリーである。20006年にアニメ化、2007年にテレビドラマ化された。ドラマの主演は菅野美穂が務めた。

『働きマン』の用語

週刊『JIDAI』

毎週月曜日に発売される週刊誌。発行部数は60万部に及ぶ。内容は、大物政治家のスキャンダルや、スポーツ選手、芸能人などのスクープなどを取り扱う。しかし、花形のスキャンダルだけでなく、グルメ情報や風俗なども掲載されている。また、作家が連載小説を執筆している。弘子が中学生の頃から創刊されている歴史のある週刊誌である。

校了(こうりょう)

出版、印刷業界でよく使用される言葉。校了とは修正箇所がなく、印刷してもよい状態になったことを指す。対して、似た言葉として使われる校正(こうせい)は、誤字脱字や、記事のレイアウト変更などの間違いを指摘する段階のことだ。漫画では、弘子は寝食を忘れて記事作成にあたり、その記事に「校了」が出る前に次の企画を出すほど、弘子は猛烈に働いている。

デスク

成田の役職。デスクは、記者とは違い現場に出て取材はしない。社内にいて、編集者たちに取材の指示を出したり、原稿のチェックをする。週刊『JIDAI』では、出来上がった原稿または記事をデスクの成田に提出し、その後編集長の梅宮に確認してもらう。

『働きマン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

弘子に「男スイッチ」が入り、「働きマン」になる場面

弘子が関口歌子から、星川外務大臣の機密費流用の証言を取ってきた。これは大きな記事になり、巻頭ページが差し替えられる。8ページぶち抜きで、星川の機密費流用を特集することになるのだ。弘子は仕事モードをオンにした。「男スイッチ入ります」と心の中でつぶやき、目を大きく開く弘子。そこから「働きマン」になる弘子だ。拳を突き上げガッツを入れる弘子の姿は、この漫画のを象徴する名場面である。

松方弘子「あたしは仕事したなーって思って死にたい」

弘子の仕事への熱意が伝わる名言。新二とのデートより、関口との取材を優先した弘子。その後、弘子が取ってきたネタで、巻頭ページが差し替えられた。弘子が「働きマン」になり、猛烈なスピードで仕事をする。そんな弘子に対して、田中が「オレは『仕事しかない人生だった』そんなふうに思って死ぬのはごめんですね」と、校了が終わった弘子に言い放った田中。弘子は「それもある。それも多分あって確かにそのとおり。でも―」と目の前の山積みになった原稿を見て弘子は思う。「あたしは仕事したなーって思って死にたい」とどこまでも仕事に真っ直ぐな弘子である。

編集部員の力が集結する場面

弘子と菅原が張り込んで狙っていた陸上選手の佐々木が、オリンピックの選考から落ちた。理由は怪我である。菅原の狙っていたスクープは「オリンピックの選手とコーチの不倫」だった。佐々木がオリンピック選考から脱落したことで、佐々木は「選手」とは呼べない。当初2ページにわたって佐々木を扱う予定だったが、2分の1ページに縮小された。校了日まであと半日しかない。そんななか、小林が新しい素材が無くても、ストックしていたラーメン屋の情報を記事にすることができると提案した。弘子は小林の指示通り、記事にする。田中はインターネットで、ラーメン屋を調べる。菅原は佐々木のその後を追う。そして、司令塔の小林は黙々とパソコンに向かう。それぞれの持ち場で、個人の力量を集結させる。そして縮小されたページが無事に完成した。校了まで間に合った。それぞれの見せ場が描かれた名場面である。

小林明久「仕事とかプライドとか、礼儀とか真面目にやることとか常識とかさまざまなこと。それの7割は無意味だ。いや訂正。意味などそもそもなくてもいいのだ」

これは、漫画だけでなく一般社会においても刺さる言葉である。小林は仕事を真剣に取り組むが、それにのめり込み過ぎて私生活がおろそかになることはない。気持ちに余裕があるのでまわりからも相談を受けることも多い。仕事をする上で小林の言う「仕事とかプライドとか、礼儀とか真面目にやることとか常識とかさまざまなこと。それの7割は無意味だ。いや訂正。意味などそもそもなくてもいいのだ」という意味は、仕事上礼儀や真面目さを重視するのではなく、仕事の内容がきちんとしていればいいという自論である。小林らしい名言である。

梅宮龍彦「いいか松方。勢いだけがこの世の中で必要とされてるわけじゃない。侘びしい夜も侘びしい人もあっての世の中だ。特に今は」

kzy_77
kzy_77
@kzy_77

Related Articles関連記事

花とみつばち(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

花とみつばち(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『花とみつばち』とは2000年から2003年に講談社の『週刊ヤングマガジン』で連載された安野モヨコによる青年コメディー漫画である。コミックスは全7巻。高校生の小松正男(こまつ まさお)は、モテたいが地味でファッションにも容姿にも自信がない。格差社会で構成されるスクールカーストの底辺にいる小松が、モテる男になるために悪戦苦闘する。風変わりなメンズエステに通いそこで出会った「オニ姉妹」に指導されながら、小松が成長していく青春コメディー作品だ。

Read Article

オチビサン(安野モヨコ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

オチビサン(安野モヨコ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『オチビサン』とは、主人公・オチビサンの四季折々の日常を描いた安野モヨコによるフルカラー漫画である。1話ずつ1ページでストーリーが進む。『朝日新聞』に2007年4月から2014年3月まで連載され、2014年4月から2019年12月まで『AERA』(朝日新聞出版)に移籍して連載された。単行本は全10巻。オチビサンとその仲間たちのほのぼのとしたストーリーと、水彩画の絵が人気を呼んだ。絵本になりテレビアニメ化され、さらには動画配信サイトでも公開された。

Read Article

脂肪と言う名の服を着て(やせなきゃダメ!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

脂肪と言う名の服を着て(やせなきゃダメ!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『脂肪と言う名の服を着て』とは安野モヨコが『週刊女性』にて1996年6月から1997年9月まで連載した、過食やダイエットを題材にした漫画である。タイトルが連載時の『やせなきゃダメ!』から単行本化の際に改題された。自信がなく食べることに安心感を得ている肥満体型のOL・のこは、恋人の浮気から過食に陥ってしまう。テレフォンクラブで出会った謎の「デブ専老人」からもらった大金を手に、エステに通い痩せて行くのこは幸せになれるのか。美しさとは何なのかを問う、女性の心の闇を描いた問題作。

Read Article

漫画家ごはん日誌(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

漫画家ごはん日誌(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『漫画家ごはん日誌』とは、50名の漫画家が自身の食についてエピソードを元に描いた漫画を掲載した漫画本である。後半には特別インタビューとスペシャル対談が記載される。2015年5月8日、祥伝社により刊行された。漫画家52名が1名2ページで、日頃食べているごはんや漫画家が持っている食についての考えをラフなスタイルで描いている。人気漫画家が日頃どのような食生活を送っているかを知ることが出来る本であり、さらに食とは何かを考えるきっかけとなる作品である。

Read Article

漫画家ごはん日誌 たらふく(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

漫画家ごはん日誌 たらふく(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『漫画家ごはん日誌たらふく』とは、50名の漫画家が自身の食についてのエピソードを元に描いた漫画を掲載した漫画本である。漫画家50名が1名2ページで、日ごろ食べているごはんや、漫画家自身が持っている食についての考えをラフなスタイルで描いている。後半には、特別インタビューとスペシャル対談が記載されている。人気漫画家が日常どのようなモノを食べているかを知ることが出来る本であり、更に食とは何かを考えるきっかけとなる作品である。本書は2015年5月に刊行された『漫画家ごはん日誌』の続編である。

Read Article

シュガシュガルーン(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

シュガシュガルーン(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『シュガシュガルーン』とは安野モヨコが2003年から2007年まで『なかよし』で掲載した少女漫画、それを原作としたアニメ。次期女王候補である魔女のショコラ=メイユールとバニラ=ミューは、女王試験の為にお菓子でできた魔界から人間界へやってきた。どちらが女王にふさわしいか、気持ちを結晶化した人間のハートをめぐって勝負を繰り広げる。やがて対立するオグルとの戦いで魔界がピンチになってしまう。ライバルで親友である2人の友情や恋の行き先をファンタジーに描いた。第29回、講談社漫画賞児童部門を受賞した作品。

Read Article

ハッピー・マニア(安野モヨコ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ハッピー・マニア(安野モヨコ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハッピー・マニア』とは1995年より安野モヨコが『FEEL YOUNG』で連載した漫画、およびそれを原作としたドラマ作品。2017年に続編となる『後ハッピー・マニア』の読み切りを発表、その後連載が開始された。理想の恋人を求めて突っ走る、破天荒な主人公シゲカヨ(重田加代子)が、男と付き合っては別れてを繰り返しながら「しあわせさがし」をしていく様子を描く。恋愛と性に関する女子の本音が赤裸々に語られている作品。何度痛い目に遭っても立ち直るシゲカヨの姿がおかしくも魅力的な、恋愛コメディー。

Read Article

女性漫画家の顔写真・画像まとめ!中村光・柴田亜美などの美人な素顔にびっくり!

女性漫画家の顔写真・画像まとめ!中村光・柴田亜美などの美人な素顔にびっくり!

俳優や声優と比較するとなかなか表舞台に姿を見せない漫画家たち。特に女性漫画家が顔を出す機会は貴重であり、ネット上などでその姿を見た人々からは「すごい美人!」と驚かれることも多いのだ。本記事では「特に美人である」とファンから人気の高い女性漫画家と、その人が描いた有名作品をまとめて紹介する。

Read Article

庵野秀明の妻・安野モヨコの漫画・キャラクターを紹介!「シン・ゴジラ」を観た人におすすめ!【ハッピー・マニア他】

庵野秀明の妻・安野モヨコの漫画・キャラクターを紹介!「シン・ゴジラ」を観た人におすすめ!【ハッピー・マニア他】

ここでは『シン・ゴジラ』の監督を務めた庵野秀明の妻である安野モヨコの漫画や、その登場人物・キャラクターを紹介する。 『シン・ゴジラ』には安野モヨコの漫画のオマージュがたくさん含まれている。そのため安野モヨコの漫画を読むときに『シン・ゴジラ』との繋がりを意識すると、また一味違う楽しみ方ができる。

Read Article

目次 - Contents