ハッピー・マニア(安野モヨコ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ハッピー・マニア』とは1995年より安野モヨコが『FEEL YOUNG』で連載した漫画、およびそれを原作としたドラマ作品。2017年に続編となる『後ハッピー・マニア』の読み切りを発表、その後連載が開始された。理想の恋人を求めて突っ走る、破天荒な主人公シゲカヨ(重田加代子)が、男と付き合っては別れてを繰り返しながら「しあわせさがし」をしていく様子を描く。恋愛と性に関する女子の本音が赤裸々に語られている作品。何度痛い目に遭っても立ち直るシゲカヨの姿がおかしくも魅力的な、恋愛コメディー。
『ハッピー・マニア』の概要
『ハッピー・マニア』とは1995年より安野モヨコが『FEEL YOUNG』で連載した漫画、およびそれを原作としたドラマ作品。2017年に続編となる『後ハッピー・マニア』の読み切りが発表され、2019年に連載が開始された。「このマンガがすごい!2021」オンナ編2位受賞。2022年「CREA夜ふかしマンガ大賞」7位受賞。恋愛と性に関する女子の本音が赤裸々に語られ、多くの女性達の驚きと共感を呼ぶ。
理想の恋人を求めて突っ走る、破天荒な主人公シゲカヨ(重田加代子)は、恋多き女性。いつも問題のある男と付き合っては別れてを繰り返している。何度痛い目に遭っても、すぐに立ち直り、果敢に「しあわせさがし」に取り組む彼女の姿に元気をもらえたという読者も多い。シゲカヨの年上の親友フクちゃん(福永ヒロミ)は、シゲカヨにいつもダメ出しをするが、本人もここ数年、良い恋愛ができないでいる。シゲカヨのアルバイト先のタカハシ(高橋修一)、フクちゃんの恋人候補のヒデキ(藤堂秀樹)、その他個性的な面々の恋愛劇が絡み合い、物語はテンション高く暴走していく。おかしくも魅力的な、恋愛コメディーである。
続編となる『後ハッピー・マニア』では、かつて24歳だったシゲカヨは45歳となり、タカハシと結婚して専業主婦となっている。「平凡ながらも幸福な愛のある毎日」が続いていたはずなのだが、それでは物語は始まらない。ある日、タカハシは30代半ばの詩織に心を奪われ、カヨコ(かつてのシゲカヨ)に離婚を切り出す。子供なし、スキルなし、金なしの三重苦の大ピンチ。元気と破天荒さだけは失っていないカヨコは再び、ハッピーを求めてさまよい続ける。フクちゃん、ヒデキも50代となって離婚の危機を迎え、波乱万丈の展開が繰り広げられる。
『ハッピー・マニア』のあらすじ・ストーリー
ハッピー・マニアのシゲカヨ(24歳)
書店でアルバイトをしているシゲカヨ。彼女は恋人がほしくて仕方ない。「どうして私には彼氏がいないの?」といつも嘆いている。バイト中にもかかわらず、恋占いの本を見ては「ラブ運が最高!」などと大喜びして、同僚から注意される始末。同じ職場で働くタカハシは、そんなシゲカヨを見ていつも心配しているが、彼女は気にしない。店の中でも外でも恋人同士が目に付き、「なぜ自分にだけ恋人がいないのか?」と悩む毎日。
そんなある日、恋占いの本に「理想の彼氏が急接近」という言葉を見つけ、有頂天になる。さっそく目の前に現れた、超かっこいい男性に一目惚れ。去年の夏に男に振られたシゲカヨは、彼こそ本物の恋人になってくれるのだと思い込む。彼もまんざらではないらしく、彼女に電話番号を書いた紙を手渡した。なんだか恋が始まりそうな予感。「しあわせさがし」が始まった。
「ついに自分にも理想の彼が現れた」とウキウキ気分のシゲカヨは、さっそくイケメン男(高田)に電話をかけ、彼の家ですぐさまセックス。ベッドの上で「私のこと愛してる?私って高田君の彼女?」と尋ねるが、返ってきた高田のセリフは「そういうのナシにしようよ」。大ショックを受けたシゲカヨはベッドから降り「私がほしいのは彼氏なの!セフレじゃないの!」と叫ぶ。恋愛運が上がるはずのパワーストーンを高田に投げつけ、その場から去る。「本当の恋人はどこにいるの?どうして私は一人なの?」。理想の恋人と思いきや、彼にとってはただの遊びだった。シゲカヨの幸せは、まだまだ遠い。
クラブに遊びに行ったシゲカヨ。見た目が超タイプのイケメンDJと出会う。好みの男に出会うと猪突猛進の彼女は「あたしあのクラブから尾行してきたんです。好きだから」と、彼に直球すぎるアプローチ。そのまま彼の家へ直行し、ラブラブな朝を迎える。幸せいっぱいで涙が出るほど喜ぶシゲカヨ。しかし、ハッピーは続かない。バイトをクビになるも、彼女はウキウキのまま彼の家へ向かうが、なんと、そこで裸の女を発見してしまう。修羅場に突入。彼は実はひどい浮気男だったのだ。シゲカヨがどう努力しても浮気癖は治らず、彼女はやがてストーカー化してしまう。とにかく彼を自分1人のものにしたいと、借金取りのように暴れるが、やがて諦め、仕事を頑張って一人で生きていくと心に誓う。
お正月。街頭インタビューで今年のテーマを聞かれ、仕事を頑張ることだと答えたシゲカヨ。しかしその後すぐに財布を落としてしまい、出鼻をくじかれてがっかり。困ったときにいつも頼りにしているバイト先のタカハシを呼んで助けてもらう。タカハシはシゲカヨを好きで恋愛対象と見ているが、シゲカヨは見ていない。それどころか、タカハシのことを召使いのように下に見ている。男に振られたときにはタカハシに頼るのだが、心の中では「こんな男じゃなくて、もっとかっこいい人が良い」と考えている。結局シゲカヨは自己評価が低く、「私みたいな女の子好きにならないような、かっこいい男の子」が好きだと自覚している。絶対に自分を好きにならないタイプを好きになるので、望みが叶うこともなく、常に情緒不安定。シゲカヨの幸せはどこにあるのか。
タカハシとシゲカヨ
タカハシは、自分がシゲカヨに親切にしても、ちっとも彼女が幸せになっていかないことで、本当にこれでいいのかと悩む。そんな時に、シゲカヨは親友フクちゃんの結婚が決まり、ルームシェアを解消することになった。シゲカヨは一人暮らしを始めるため、フクちゃんから仕事を紹介してもらう。
タカハシは、ずっとシゲカヨを幸せにしたいと思っていたが、結局それは無理だということに気づく。彼はシゲカヨに、もう会わないと告げる。
いつでも困った時に助けてくれる。召使いのような都合の良い男だと思い込んでいたタカハシからの、突然の別れの言葉に、シゲカヨはショックを受ける。
大ピンチのシゲカヨ。暴走っぷりにさらに磨きがかかっていく。そんなどさくさと混乱の中で、なんとタカハシと結ばれてしまう。これでシゲカヨの恋愛も安定するかと思いきや、タカハシがアメリカに留学してしまった。「半年に一度会えるだけの男は嫌。やっぱりいつもそばにいてくれる人がいい」と嘆くシゲカヨ。そんな彼女に親友のフクちゃんは「男がそばにいたくなる女になれ」とアドバイスする。シゲカヨは、今までそんな事は考えたこともなかったと、衝撃を受ける。それでもやはりタカハシがそばにいてくれないのは寂しい。そんな彼女の前に、陶芸家の岸和田が現れた。シゲカヨはタカハシの存在を忘れ、岸和田こそが本当の彼氏だと思い込む。
しかし、岸和田は中国へ旅立ち、シゲカヨに別れの手紙を送る。ショックを受けたシゲカヨは、タカハシの見ている前でも、岸和田のことを思って大騒ぎする。そんな様子を見ているタカハシも、実はシゲカヨ以外の女性のことを思っている。シゲカヨは、どうやったら本物の恋人を探せるのか、フクちゃんに相談する。「結局恋愛がうまくいかないのは、彼が運命の人じゃないから」だとフクちゃんは答えるが、シゲカヨはどうも納得できない。「じゃぁタカハシとならうまくいくのか?」そう思いながら自宅へ帰ると、なんとそこでは、タカハシが別の女性とセックスをしていた。当然修羅場が起きるが、この後、タカハシはシゲカヨにプロポーズをする。
タカハシからの思いもよらないプロポーズに動揺するシゲカヨ。そんな時に偶然、不幸オーラ全開の元同僚、吉川幸代と再会する。幸代という名前と裏腹に、絵に描いたようなダメ男と結婚、DVを受けたりゴミ・豚呼ばわりされる彼女。シゲカヨは、不幸な幸代がかわいそうで放っておけず、自宅に連れて行く。そしてシゲカヨの自宅前には、クールな大人の男、大河内が待っていた。不倫の恋の相手の大河内、幸代、皆で揉めていたところに、幸代のDV夫まで現れ、自宅は怒涛の大騒ぎ。
一方、アメリカ留学中のタカハシも、大洪水に巻き込まれて大変な状況になっている。
皆の人生は、相変わらず迷走中。
タカハシは相変わらず、シゲカヨと結婚したいと思い続けている。一方、彼の実家では、シゲカヨは花嫁失格だと言い拒否をしている。タカハシの実家にて、一族全員からダメ出しを食らったシゲカヨは、自分が花嫁失格なのは当然だと納得し、あっさりと身を引く。破談という事にしてタカハシの家を出た。必死でシゲカヨの後を追って、結婚しようと主張するタカハシ。求婚をはねのけるシゲカヨとのバトルはどんどん激しくなっていき、タカハシ一族がそれを見て呆然。しかしそんな二人を見ているうちに、強いシゲカヨは理想の嫁かもしれないとなぜか思い始めるタカハシ一族だった。
タカハシが事故で記憶喪失になった。タカハシに気がある貴子はこの機会を利用しようとして、自分こそがタカハシの恋人だと伝える。何も思い出せずに悩むタカハシ。一方、シゲカヨは、自宅が女友達のたまり場になってしまっていることが不満。フクちゃんと喧嘩中の夫、ヒデキのところに行き、フクちゃんを取り戻してほしいと話す。しかしヒデキはあまりにも落ち込んでいて、全然話にならない。とりあえず二人を仲直りさせるのは諦め、仕事探しにいそしむシゲカヨだった。
記憶喪失継続中のタカハシ。彼とどうしても結婚したい貴子は、タカハシの記憶が無いのをいいことに、結婚に向けてどんどん突き進む。タカハシの母親も、最初は貴子のことを気に入っていなかったのだが、息子が選んだのだから仕方ないと、二人の関係を認める方向に心が傾く。その頃シゲカヨは、女友達から紹介された、ため吉という男と、すでに深い仲になっていた。フクちゃんはため吉を見て「どう見てもやばいやつだ」と思い、交際をやめさせようとする。しかし、ため吉にぞっこんのシゲカヨは、そんな忠告は気にしない。シゲカヨとため吉は、京都へ行くために新幹線へ乗ろうとする。そこで偶然タカハシと鉢合わせ。シゲカヨとタカハシ。運命の再会である。
ついに記憶を取り戻したタカハシ。しかし、すでに貴子と結婚することに決まってしまっていた。それを知って落ち込むシゲカヨ。心がちぎれるほどの悲しみが襲ってきて、涙が止まらない。自分がこんなにもタカハシを好きだったことに初めて気づいたのだ。
そんな心の痛みを打ち消すように、シゲカヨは新たな恋に向かう。次の恋の相手は加山ただし。彼はシゲカヨと結婚する気満々なのだが、シゲカヨは、そんなつもりはまったく無く、加山から逃げるためにフクちゃんの所へ行く。そこで偶然にも、シゲカヨ、フクちゃん、タカハシ、ヒデキの4人が集まることになる。タカハシの事はもう諦めたつもりだったのに、顔を見たら涙が止まらないシゲカヨ。タカハシも思わず泣き出してしまう。本当はお互いに好きでたまらない二人。しかし、タカハシはすでに貴子と結婚していて、シゲカヨも加山と結婚の約束をしてしまっている。そんな状況の中で、二人はまた結ばれてしまうのだった。
『ハッピー・マニア』の登場人物・キャラクター
シゲカヨ/重田 加代子(しげた かよこ)
「彼氏ほしい」が口癖の主人公。男を見る目がなく、失敗が多い。行動力・妄想力が激しく、わがままな性格をしている。
タカハシ/高橋 修一(たかはし しゅういち)
シゲカヨのアルバイト先の同僚。シゲカヨのことが好きだが、彼女からは召使いのように見られている。シゲカヨに振り回されながらも、わがままを叶えてやるために奔走する。
フクちゃん/福永 ヒロミ(ふくなが ひろみ)
シゲカヨの親友で、ルームシェアをするほどの仲。恋に暴走するシゲカヨに対し、時に鋭いツッコミを入れながらも客観的なアドバイスをしてくれる、姉御肌の女性。
ヒデキ/藤堂 秀樹(とうどう ひでき)
福永ヒロミの運命の相手。福永ヒロミと知り合った時は別居状態とはいえ結婚していたのだが、それを黙っていたため、破局の危機に陥る。
『ハッピー・マニア』の用語
東紅商事(とうべにしょうじ)
ヒデキが務めている商社。川口貴子と結婚したタカハシもコネ入社する。
エンジェルボイス
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目次 - Contents
- 『ハッピー・マニア』の概要
- 『ハッピー・マニア』のあらすじ・ストーリー
- ハッピー・マニアのシゲカヨ(24歳)
- タカハシとシゲカヨ
- 『ハッピー・マニア』の登場人物・キャラクター
- シゲカヨ/重田 加代子(しげた かよこ)
- タカハシ/高橋 修一(たかはし しゅういち)
- フクちゃん/福永 ヒロミ(ふくなが ひろみ)
- ヒデキ/藤堂 秀樹(とうどう ひでき)
- 『ハッピー・マニア』の用語
- 東紅商事(とうべにしょうじ)
- エンジェルボイス
- BOOKSタナカ
- つつじ荘
- 『ハッピー・マニア』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- フクちゃん「やめときな。悪いこと言わないから」
- フクちゃん「本当にスキな人に会えるとは限らない」
- シゲカヨ「孤独…人間独りなんだわ いつでも…」
- 『ハッピー・マニア』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『後ハッピーマニア』の読み切りと連載の違い
- 『ハッピー・マニア』新装版の発売
- 『ハッピー・マニア』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:サザンオールスターズ『PARADISE』
- 挿入歌:FUNNY GENE『Love2 Power』