働きマン(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『働きマン』とは、2004年に講談社『モーニング』で連載を開始し2008年まで連載した安野モヨコによる仕事漫画である。雑誌『JIDAI』の女性編集者・松方弘子(まつかた ひろこ)は28歳独身。上司や同僚、後輩たちと「よい雑誌」を作るために日夜奮闘中だ。一旦仕事モードになると寝食を忘れ、恋人よりも仕事を優先する。そんな彼女の痛快お仕事ストーリーである。20006年にアニメ化、2007年にテレビドラマ化された。ドラマの主演は菅野美穂が務めた。

夏目美芳(なつめ みよし)

アニメ、ドラマ共に登場しない。女性に人気の恋愛小説家である。デビュー作がヒットしたものの、それ以降の作品の売り上げは下降気味だった。
渚はかねてより夏目の大ファンであり、夏目の世界観をそのままに『JIDAI』での連載小説を薦めた。だが、渚は夏目の担当から外されて、弘子が夏目を担当することになった。『JIDAI』は男性読者が多い週刊誌のため、夏目の女ウケする作風を変えなければいけない。弘子は麻雀やギャンブルなどをテーマに作品を書くように夏目を説得するが、新境地を開くことに反対した夏目だった。だが、弘子が「オヤジの恋愛小説を書いてください」と夏目に提案する。弘子は「男性の方がロマンチストだって言いますよね。趣味と言えばパチンコ…仕事もリストラ寸前、そんなおっさんが切なくて涙を流して身悶えするような恋愛、そんな恋愛ものを読者も待っていると思うんです」と言い切った。そして、このままだと夏目は先細りであるとも告げる。はっきり申し出た弘子に困惑した夏目。だが、弘子の熱意に感化されて、新規開拓を決意する。そしてオヤジである主人公・達夫(たつお)の恋愛小説『54』の連載小説をスタートした。『54』は瞬く間に『JIDAI』で人気となり、文庫化されることになった。「過去の作品にとらわれすぎていた」と渚に話した夏目は、その後も『54』を書き続けた。初版発行からすぐに売り切れする書店が続出し、『54』は50万部を超えるヒット作となった。

茂木高尋(もぎ たかひろ)

アニメ、ドラマ共に登場しない。『JIDAI』で連載小説『心の旅路』を執筆している。梶が担当を持つ作家。
茂木は作品に投影させるために、梶を自宅に招き梶の裸体を観察する。あくまでも観察者としての立場であり、それ以上の関係はない。
「旅行に行く」と嘘をついて、別宅にこもっていた。旅行のチケットを梶に手配させるなど、梶を信頼している。だが、茂木が搭乗している飛行機が墜落する事故が起きた。梶以外の編集部員は、茂木がこの飛行機に乗っていると思っているので、安否確認や記事の穴埋めなどに慌てた。その後、茂木は作品が完成した段階で、旅行に行っていないと編集部に話し、一件落着した。

芸能界

堀田めぐみ(ほった めぐみ/演:小松彩夏)

アニメには登場しない。グラビアアイドル。堀田は、通称ホリメグと呼ばれ人気急上昇中のグラビアアイドルである。ここ最近の週刊誌の表紙は軒並みホリメグで、今後はテレビでも活躍することが予想される。だが、張り班が持ってきた写真には政治家の高田(たかだ)議員と密会しているホリメグが写っていた。ホリメグは不倫していたのである。弘子はホリメグを取材しようと試みるが、ホリメグの事務所からストップがかかる。ホリメグの所属事務所は大手であり、豪胆社のほかの雑誌にもその事務所のアイドルを起用しているので弘子は反発できなかった。そんななか、田中が偶然情報屋からホリメグの出生の秘密についての電話を取る。このホリメグの秘密を暴くことを発端に、田中は今までにない芸能ニュースを書くきっかけになる。だが、ホリメグの出生の秘密は嘘であり、結局のところホリメグの不倫騒動は暴けないままに終わる。

弘子の恋人

山城新二(やましろ しんじ/演: 吉沢悠)

CV: 花輪英司、田坂秀樹(BeeTV版)
弘子の恋人。交際期間は4年。大手ゼネコンに勤めている。新二はダムやドームなどの巨大建造物の仕事に携わりたくて、今の建設会社に入った。しかし、現実は違い、現場監督の仕事ばかりだ。小さいマンションや個人オーナーのビルを建設する職人を監督している。そして新二は時々「俺は何もつくってないんじゃないか」と思うのである。弘子が一生懸命に記事を「作っている」ことと自分の仕事を比較して、今の仕事に気持ちが入らない日々を過ごしていた。現場監督であるから、工事で積み上げた盛り土が雨で崩れないように、夜に現場に行きブルーシートをかぶせるなど、責任感はある。
そんななか、現場監督の仕事から、営業部への異動が決まった。動揺した新二はそのときになって初めて、「俺はなんであんなに考え込んでいたんだろう。『この仕事のどこが好きか』なんて考えてるヒマあったらどんどんやりゃよかったよ。今になってやっても遅えよ」と思った。そして、最後に携わることになる現場で、職人たちと同じように一輪車で土を運んだ。
営業部に異動してから、仕事はそつなくこなしていたが、弘子と連絡する頻度は減った。弘子の家に行くことも少なくなり、関係は薄れていく一方だった。
弘子の家に久しぶりに行ったのは、弘子の自宅の天井から漏水した時である。水回りを点検し、すぐに自社の修理業者を手配した。工事が終わった頃、新二は接待の帰りに弘子の家に行く。酒に酔った状態で、綺麗に貼り替えられた天井を見て感心した新二。だが、弘子の書きかけの記事を見て機嫌が悪くなる。弘子が身を削って記事を作っていることに劣等感を感じたのである。ベットにもたれながら新二は「やれてないことがつらくなるよ。ヒロのせいじゃないってわかってても」言う。さらに「俺はそこまでできないんだよ。ヒロ見てるとできない自分がダメに見えて仕方がないんだよ」と本音を言った。そして弘子に別れを告げる。
1ヶ月後、新二は名古屋に転勤が決まる。そのことだけは弘子に伝えて4年の交際は幕を閉じた。

松方家

松方陽子(まつかた ようこ)

アニメ、ドラマ共に登場しない。弘子の妹である。婚約者の西田涼(にしだ りょう)と松方家に住む。歳は弘子より7つ下だが、弘子より先に結婚することになった。
弘子の父が、空気の読まない発言をすることを嫌がっている。父には嚙みつかないが、父の言うことには耳を傾けない。弘子が食事の席で仕事についてハッキリ父に言われたことをフォローする大人な一面もある。涼とは婚約済みで、翌年結婚した。

西田涼(にしだ りょう)

アニメ、ドラマ共に登場しない。陽子の婚約者で、松方家に居候している。弘子の父とは同じ会社で働いている。部署は違えど、弘子の父は涼の上司なのだ。気が利く優しい性格。
現在の会社に勤めて2年経ったころ、仕事について悩んでいた。いろんな部署の仕事を手伝い、便利屋のようになっていたからだ。すると弘子の父が「どれも中途半端じゃないか。器用貧乏に娘はやらんぞ」とハッキリ涼に言った。その言葉に涼は突き刺さるものがあったがそれが決め手となり、昔から夢だったパティシエの学校に通うことに決めたのである。現在は仕事と学校を両立している。

弘子の父/演:小野武彦

弘子の実家に住んでいる。弘子と陽子の父。普段は無口で、たまに発言すると空気を読まないことが多い。
弘子が久しぶりに帰省した時も、「外食よりも弘子の大好物の麻婆豆腐はないのか」と言ったりする。また陽子の婚約者の涼に「器用貧乏に娘はやらんぞ」と注意したこともある。これで、涼は仕事を中途半端にせず、自分に夢と向き合うことができた。弘子の父の発言は、相手のためであることであり、さらには娘思いの父なのである。
父は「『JIDAI』はくだらん」と、弘子に言った。反論する弘子に「お前が編集長になってもっといいやつ作れ」とアドバイスした。ちょうど弘子は、これからの仕事について悩んでいたので、父の発言がいいヒントになる。弘子は『JIDAI』編集部で女が編集長になれないことを父に言うと、「じゃあ作ればいい」と父は言った。その言葉で「結局好きなことをやるには目の前の課題をやるしか無いのか」という結論に至る。弘子は悩みが晴れ、これからも頑張ろうと思えた。そんな弘子を、父は優しく見守った。

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