漫画家ごはん日誌(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『漫画家ごはん日誌』とは、50名の漫画家が自身の食についてエピソードを元に描いた漫画を掲載した漫画本である。後半には特別インタビューとスペシャル対談が記載される。2015年5月8日、祥伝社により刊行された。漫画家52名が1名2ページで、日頃食べているごはんや漫画家が持っている食についての考えをラフなスタイルで描いている。人気漫画家が日頃どのような食生活を送っているかを知ることが出来る本であり、さらに食とは何かを考えるきっかけとなる作品である。

『漫画家ごはん日誌』の概要

『漫画家ごはん日誌』とは、2010年6月から2014年5月まで『FEEL YOUNG』に掲載された50名の漫画家が自身の食についてエピソードを元に描いた漫画をまとめた漫画本である。後半には特別インタビューとスペシャル対談が記載される。2015年5月8日、祥伝社により刊行された。漫画家52名が1名2ページで、日頃食べているごはんや漫画家が持っている食についての考えをラフなスタイルで描いている。漫画家が日頃どのような食生活を送っているかを知ることが出来る本である。ごはんを重要と考える漫画家も居れば食べる事に無頓着に過ごしている漫画家もいる。漫画家という職業に特有な仕事の環境の中で漫画家がどのような食事事情を送っているかを知ることが出来る。特に締め切り直前の修羅場と呼ばれる期間にどのようなごはんを食べてるのか、また食べていないのか、漫画家によってさまざまあり、非常に興味深く読むことが出来る。また、漫画家の育ってきた家庭環境や現在どのような状態にいるのか、食というテーマで彼らの描いた2ページの漫画の中で垣間見ることが出来る。50名の漫画家が描いた50作品と二つのインタビュー記事は、読者に人気漫画家が食をどのようにとらえているかを知らせる。読者はこの漫画を読む事で人が食をどのようもとらえてきたかを俯瞰できるのである。このことは読者に普通の料理本を読むより料理に興味をひかせたり、料理をしてみようという気を起こさせたりする。この作品はこのように読者の心の中に具体的な影響を与える。

『漫画家ごはん日誌』のあらすじ・ストーリー

漫画家たちのごはん事情

宇仁田ゆみのある日の晩御飯から岩岡ヒサエの岩ガキ料理体験まで

宇仁田(うにた)ゆみのある日の晩御飯。
おかずは豚肉とキャベツの味噌炒め、巨大シイタケのバター醤油焼き、豚肉とキャベツの味噌炒め、スティック状に切ったきゅうり、櫛切りの生トマト、ひじき煮、そしてじゃがいもの味噌汁が食卓に並ぶ。

ヤマシタトモコの鍋料理。
毎週日曜日は鍋を食べる。材料は牛乳、小麦粉、カレー粉ベースで、玉ねぎ、カリフラワー、豚肉、人参、ネギ、白菜と色々入れる。そして醤油、酢、ネギニンニク、ショウガ、酒のタレで食べる。最近の好みは、ごまとポン酢のブレンドダレだ。

河内遥(こうち はるか)の締め切り前のおやつと食事事情。
締め切り前のおやつは、豆乳や黒酢、ウイダーインゼリー、ファミチキ、おにぎり、サンドイッチ、ビタミン飲料など、片手で持って食べられるものを選んでいる。他に、ソフト種なし干し梅、干し芋、芋けんぴ、大豆、煮干し、梅干しなどを好む。徹夜続きになった時ピンク色の消しゴムが美味しそうに見えた事がある。

えすとえむの旅行の食事と帰国後の食事事情。
1か月半スペインを旅行した。ブルゴスという街では気さくにおすそ分けしてくれる。ビール、ワイン、ボカディージョと生ハム、チーズ、チョリソ、煮豚といっぱい食べる。

ねむようこの粗食献立。
食べる献立は2パターンのみ。1つ目は、玄米ご飯と味噌汁と目玉焼き。2つ目は玄米ご飯と味噌汁と納豆。毎日これを繰り返し食べている。一つ一つの料理にこだわりがある。

元町夏央(もとまち なお) の家庭菜園。
家庭菜園で収穫したトマト、バジル、ナス、オクラ、パプリカ、きゅうりなどの野菜でサラダをつくる。。ドレッシングは、オリーブオイル、塩、バルサミコ酢、しょうゆ、マヨネーズ。締め切りが近づくと収穫に手が回らず、トマトは腐り、青虫に食われる。

鳥野(とりの)しのの決まった食事メニュー
ファミレスでいつも同じ料理を注文する。サブウェイならツナサンド、サンデーブランチ、塩キャラメルフレンチトースト、サーモンのムニエル、ベトナム風シーフード焼きそば。家でもいつも同じ料理を食べる。サラダとドレッシングだ。

谷川史子(たにかわ ふみこ)の締め切り前の食事事情。
締め切りがせまると、うどんやおじやを鍋に沢山作って少しずつ分けて食べる。おにぎりも作る。作ったら冷凍する。食べる分だけ解凍して食べる。

小池田(こいけだ)マヤの料理歴。
中学生のころ『パリ仕込みお料理ノート 石井好子著』に出会う。料理を作ったり作ってもらったり、食べたり食べさせたり、材料を吟味したり手に入れる喜び、ホームパーティの楽しさ、うんちくや工夫を語るなど食生活の感じ方全般の影響をこの本から受けた。

岩岡(いあおか)ヒサエの岩ガキ料理体験。
千葉県銚子の岩ガキを食べた。身はすこぶる大きく味は美味しい。バター焼きが最高で、焼いても身は縮まない。

阿仁谷ユイジの子供時代の食事事情から山中ヒコのウニの思い出まで

阿仁谷(あにや)ユイジの子供時代の食事事情。
子供の頃食生活は酷かった。2日に1食しか取らないし、1日に3食ともにアイスクリームという、摂取する栄養分の内9割が糖質だった。当時のひどい食生活は一人で食べるのが淋しかったからだ。今は食道楽のアシスタントがいてくれる。

楠田夏子(くすだ なつこ)のこってり食。
こってりしたモノが好み。肉や油を使わない食事を目指した時期もあった。漫画家となり、締め切りに追われ、寝る時間のない生活にいる。好きなモノを食べるとテンションが上がるのでこってり系に戻った。

堀内三佳(ほりうち みか)のダイエット食。
ダイエットをしていた頃の毎日の食事は、カロリーと食材に気を使った。ダイエットを支えた晩御飯のメニューはトマトスープだ。トマト缶、キャベツ、セロリ、玉ねぎ、にんじん、シイタケ、鶏肉をただグツグツ煮込むだけ。

二ノ宮知子(にみみや ともこ)のおにぎり。
趣味はお弁当作りだ。近所の川辺で食べるしそこで仕事もした。家族も一緒だ。冬、外は、仕事しづらい環境だ。家族からは、仕事は家でしろと言われる。

伊藤理佐(いとう りさ)の炊飯事情。
標高の高い場所に住んでいたことからなかなか水は100度にならず、そんな環境でお米を炊いて食べていた。上京して、田舎から持ってきた米を炊飯器で炊くと、ご飯が美味しくてびっくりした。

ジョージ朝倉(あさくら)のパン事情。
美味しいパンは、自宅の冷凍庫で冷凍保存し、電子レンジのトースター機能で焼いて食べた。最も愛するシニフィアン・シニフィエのバゲットとペイザンの為にトースターを買った。ハマダ屋の角食、ルヴァンのクロワッサンも美味しくなった。

南Q太(みなみ きゅうた)の簡単手料理。
子供たちは鶏そぼろが好きだ。調味料は醤油と砂糖のみだ。途中に野菜と水を入れてカレーにすることもある。野菜は玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジン、インゲンなど。これらを蒸し煮して作る。道具もフライパン一つだ。

おかざき真里(まり)の家庭料理。
子供が多いので、外よりも自宅で飲む。作る料理はパスタを2キロ、唐揚げを3キロ作る。食事をチコリを使って簡単におしゃれにする。ツナサラダやダイコンと貝柱のサラダをチコリの葉に乗せる。チコリで食事を可愛く演出する。

三島衛里子(みしま えりこ)のプロティン。
自炊はしない。食事はダイエット用プロテインを水、麦茶、コーヒーに溶かして飲むだけ。そのプロテインはアメリカのプロテインを買っている。ダイエットやトレーニングに関係なく、プロテインは味が良いから飲んでいる。

山中(やまなか)ヒコのウニの思い出。
ウニの味は生臭くてきらいだった。幼い頃漁師をしている祖父を訪れた。祖父は生きたウニを用意してくれた。しかし食べてみると、幼い自分にはウニの味は大人の味過ぎて美味しくない。残念がる祖父の後ろ姿が忘れられない。

衿沢世衣子の白菜料理から町麻衣のシンプル料理法まで

衿沢世衣子(えりさわせいこ )の白菜料理。
よく作る料理の白菜のクリーム煮。白菜と言えば台湾故宮博物院の翡翠の白菜の彫刻だ。台湾旅行で食べたモノが美味しかったことを思い出す。

黒娜(くろだ)さかきのカボチャ料理。
カボチャの料理をよく食べる。作り方は、材料にみりんと醤油をいれて弱火で煮込む。味は甘くてほくほくだ。かぼちゃとジャガイモのソテーも作る。材料を油でいため塩と胡椒で味を調える。とても簡単で美味しい。

カラスヤサトシの料理談。
タルタルソース作りを失敗した事。マヨネーズ、きゅうり、玉ねぎを混ぜて作った。不味かった。調べてみるとタルタルソースの材料は、マヨネーズ、ゆで卵、レモン汁、きゅうりと玉ねぎのピクルスだ。材料は違っているが原料はほぼ同じ。手順が違うと不味くなるのだ。

秀良子(ひで よしこ)の鶏料理。
子供の頃1年間山村留学した。ある日敷地内にいた鶏が料理されて蒸し鶏のサラダになった。そのサラダは美味かったが、他の学友は可哀そうと言って食べない。それを見て自分も箸を置いた。大人になってからもあの時箸を置いたことを後悔している。

信濃川日出雄(しなのがわ ひでお)のご飯戦争。
妻の実家に2か月居候した。料理担当は義母だった。炭水化物抜きダイエットをしたいとごはん抜きを頼んだが、義母は拒否。食卓にはてんこ盛りのごはんが付く。それでも断ると太巻き寿司や炊き込みごはんを作ってくる。あれはご飯戦争だった。

サメマチオのパスタ料理。
新しいパスタ料理を考案したのではと思ったことがある。ペペロンチーノは美味しい。しかし野菜不足になると思い、そこにトマトを入れ、更に飲み残しの白ワインを入れた。でも、それは新料理ではなく具のないボンゴレという料理だった。

のばらあいこの子供の頃の思い出の料理。
祖母の家に行くとおやつを出してくれた。まだらに焦げたトースト、具が大きい味噌汁、柔らかめのご飯、菓子パン、焼き芋。ちょっと雑に感じた。一番好きだったのが、卵焼きだ。表面がガチガチで脂っこい醤油味で、再現したくても出来ない味だ。

くらもちふさこの炭水化物料理。
仕事中に食べる三種の神器は、一番にコンビニの焼きたらこ入りおにぎりだ。そして次がアシスタントさん手作りの出汁のきいたコンビーフ入りカレーかマメカレーだ。カレールーは少なくてよい。ごはんにスプーン2杯分のカレールーでライスを全て食べる。三つめは黒ウーロン茶だ。

御徒町鳩(おかちまち はと)の一日の食事事情。
いつも食べ物のことばかり考える。原稿執筆が終わるとビールを飲む。おつまみはビーフジャーキー、ショウガの味噌漬け、あたりめ、ラーメンスナック、チーズのスナック、チーズ、ポテトチップス、ラーメン。深夜番組を観て、パソコンで友人と通信で盛り上がる。

町麻衣(まち まい)のシンプル料理法。
美味しい食材が取れるところで育った。焼くだけ、切るだけ、茹でるだけ、洗うだけで食べる。故郷の食べ物のなかでも非常にシンプルな作り方で出来るルイベがお気に入りだ。

ふみふみこのじーちゃん料理から安野モヨコのリンゴ事情まで

ふみふみこのじーちゃん子料理。
時々食べたくなるのが祖母の冷蔵庫のタッパーに入った料理。漬物、フキの煮物のようにご飯に合うモノだ。しかしそのタッパーの料理は全て祖父が作ったことを知ってショックを受けた。

四宮(しのみや)しののソウルフード。
大分県出身だ。大分のソウルフードと言えば関サバ、関アジ、とり天、団子汁など。その中で、とり天をよく作る。鶏もも肉に、塩、醤油、にんにく、しょうが、玉ねぎのすりおろしを入れて漬け込む、それを天ぷら粉を付けて油で揚げ、ポン酢とからしで食べる。

いがわうみこのガム事情。
クロレッツ板ガムがおすすめだ。これは1枚が大きく歯ごたえが良い。味が長持ちする。小さくならない、分裂しないという特徴がある。ガムは好きだが、噛んでいると体が揺れるので、仕事中は噛まない。

山崎童々(やまざき どうどう)の生春巻き料理。
生春巻きが好きだ。ライスペーパー2枚でもやし、ニラ、春雨、レタス、豚肉、炒り卵などを巻く。蒸し器で蒸す。レンジでトーストして餃子風に食べる事も出来る。大量に作って2日3日かけて食べる事も出来る。

いくえみ綾(りょう)の本当に好きな料理。
料理はしない。好きな食べ物は、キャベツと豆。冬ならキャベツの入った鍋が好きだ。千切りキャベツを塩とオリーブオイルで味付けして、酒のあてにする。豆は色々な豆が好みだ。夏には茶豆を食べるし、冬はキャベツのスープに豆を入れる。

西(にし)つるみのお菓子の端っこ好き。
お菓子の端の部分が好み。特に母が作るカステラの四隅の端の部分が好きだ。チョコチップケーキの端、チーズケーキの端も好んで食べる。ぱさっとした飲み込みづらい食べ物全般が好きなのだ。

村上(むらかみ)かつらの賄い料理。
締め切り前日のメニューはチキンカレーだ。ニンニク、玉ねぎ、水、ブイヨンで煮る。人参、ジャガイモは別に茹でる。鶏肉はスパイスで味付け、ゆで卵はしょうゆ、みりん、酒、酢、ごま油で味玉にしておく。これらをルーの上に乗せるのだ。

長谷川(はせがわ)スズのおにぎり事情。
母のまんまるのおにぎりだ大好きだ。運動会でも遠足でもいつだって母のまんまるおにぎりを食べてきた。大人になり母のまんまるおにぎりを食べる機会は無くなったが、たまに無性に食べたくなる。

鴨居(かもい)まさねのソウルフード。
九州のソウルフードを食べてきた。鍋いっぱいに炊いたどんこシイタケ煮があった。ハチミツは一斗缶で、パンにハチミツを付けて食べ、牛乳やジュースにハチミツを入れて飲んだ。大阪での一人暮らしでその食生活がセレブだったことに気が付く。東京では、紅しょうがの天ぷらの夢を見る。

安野(あんの)モヨコのリンゴ事情。
リンゴを皮をむかずに料理した。皮付きのまま小さく切りコショウ、バルサミコ酢をかけてサラダを作る。これにコーヒーを付けて朝ごはんは完璧だ。これに飽きるとヨーグルトとバナナが朝ごはんの定番になる。更にこれにも飽きたらリンゴに戻ればいい。

池辺葵の徹夜の日のご飯から志村貴子のわんぱく食好きまで

池辺葵(いけべ あおい)の徹夜の日のごはん。
徹夜の日のご飯は、油揚げたっぷりの味噌汁を作る。エビがあったら焼いて食べるし、エビの殻は出汁にする。糖分が欲しい時は、出汁パック、インスタント出汁、たっぷりの砂糖、しょうゆで高野豆腐を煮る、そして上に卵を落とす。

福満(ふくみつ)しげゆきの梅干し事情。
梅干しが食べられない。妻はそんな著者に梅干しが苦痛なく食べられるように工夫して料理を出す。カリカリ梅を食べるところから始まり、紫蘇無しの梅干し、ついには梅干しのおにぎりを食べられるようになった。

野田彩子(のだ あやこ)の毎日のご飯事情。
自分では料理をしない。朝ごはんにハチミツ入りのヨーグルトを食べる。夜ご飯は母に頼む。とんかつが食べたいとリクエストすると、母はその通りのメニューを作ってくれる。

日生(にちお)マユの締め切り前のご飯事情。
締め切りに追われてるとき食べるのは野菜だ。野菜たっぷりパスタ、野菜炒めと焼き魚、野菜あんかけなどを作る。仕事が終わったらあれ食べようこれ食べようと思いをはせるのが日課だ。

堤谷菜央(つつみたに なお)の薬味好き。
葛根湯、浅田飴のような薬草のような味が好みだ。ハーブの味も好きで、パクチーをむしゃむしゃ食べて、人からウサギの餌を食べていると言われる事がある。

志村志保子(しむら しほこ)の締め切り前のご飯事情。
締め切り前には、母に子供の面倒を頼む。母は食事も作ってくれる。母の料理は、カレイの煮付け、きんぴらごぼう、里芋の煮っころがしと和食だ。締め切り前の疲れた状態のときはこのような懐かしい甘みがほっこりとした気分してくれる。

阿弥陀(あみだ)しずくの上京の思い出の食事。
昔の上京したての頃、何もない部屋で荷物が届くのを半日待っていた時食べたのが、セブンイレブンの弁当の炭火カルビ弁当だ。荷物の無いガランとした部屋で食べた記憶は、原稿を前にして、よし描くぞという気合を入れるのに丁度よかった。

都陽子(みやこ ようこ)の餃子好き。
餃子が好きだ。死ぬ前に食べたいと思うくらい好きで、水餃子を1か月毎日食べていた。鍋の前で煮えるのを眺めていた。皮から手作りして作ったり、近所の餃子屋に羽根つき餃子を食べにいったりした。いつかは宇都宮に行きたいと思う。

高野雀(たかの すずめ)の味噌汁好き。
味噌汁を飲んだ時に声が出る。そのくらい味噌汁が好きだ。冬はなめこと豆腐。夏はミョウガと溶き卵。油揚げと若布の味噌汁は一年中美味い。出汁はかつおぶしを使うより粉節を使う方がいい。みそ汁と一緒に飲んでしまえる。

志村貴子(しむら たかこ)のわんぱく食好き。
いつも腹時計で目を覚ます。ご飯が好きだ。カレーライス、ラーメン、ハンバーグ、豚の生姜焼き、焼き魚、特にホッケと鯖がいい。好物がわんぱく男子学生と同じだ。

許斐剛と本作編集者との特別インタビュー

許斐剛と『漫画家ごはん日誌』編集者とのインタビュー記事。いつもはつらつとして元気のよい許斐剛の体や精神をどのような食事がささえているかを探る。インタビューは、子供の頃好きだった食べ物、苦手だった食べ物から始まる。そして食べることの意味や、漫画家という職業ならではの食事事情、漫画のアイテムとしての「食」をどうとらえているかを語る。食べる事も料理をすることも好きだと語る許斐剛の好きな料理や得意料理を紹介してる。許斐剛は、食は生きる基礎だと考えている。漫画家としては非常に珍しい事だが、通常の仕事の状態でも、締め切りが迫った修羅場の状態であっても、許斐剛はいつも3食しっかりと食べる。どうしてもの時は、青汁豆乳やウイダーインゼリー、眠くならないようにするために栄養補助食品を飲んで乗り切る事はある。漫画を描くとき「食」をどういうアイテムとして描くかの質問には、食べる事で普段と違う一面を見せ、読者に親近感を持ってもらうことが出来ると語る。好きな料理は海鮮料理であり、季節の行事に食べるごはんも大切だと考える。何でも作れると話す許斐剛は、海鮮料理が一番得意だという。最後の晩餐は何ですかとの質問に、漫画原稿があがって、仕事場でおにぎりを食べる時が最後の晩餐になるという。それは、子供の頃からパサパサした食べ物が苦手でのどに詰まりそうになるからだとの理由によるものであった。

羽海野チカと鳥野しののスペシャル対談

お互いの出会いについて話がはじまり、漫画の中での食事の描き方に移る。羽海野は鳥野を「はれちゃん」と呼び、鳥野は羽海野を「おとうさん」と呼ぶ。しかし、二人は作家同士という立場である為、自分たちの関係を普通の仲の良い友達とは違うと感じている。お互いに相手の作家としての力量に惚れている。はれちゃんもおとうさんも、相手の話は正座して聞きたいと考えている。お互いに距離を持ったままで細く続いている関係だ。仲良くなるのも時間が掛かった。しかし一緒に仕事をするにはそのくらいの距離感が良い。仕事の思考や要点がお互い同じだ。見るポイントが同じなのだ。だから仕事上でも説明不要なところが楽だ。仕事だけではなく服や小物の趣味も同じ。二人は漫画の中で描くごはんは女性読者向けか男性読者向けかで描き分けると言う。男性読者向けは精密に描く、反対に女性読者向けは精密だと美味しそうと思ってもらえない。例えばシチューならあったかそうに描けば、それを女性読者は記憶で補完してくれる。さらに女性読者向けには、ごはんのシーンでドラマが起こったり、関係性を表現するのにつかわれる。
鳥野は、料理本で見つけた料理を漫画のシーンに登場させて読者に美味しそうと思われたい、その回を書いた後、読者さんからその料理を作ったと報告があるとすごくうれしいという。鳥野の好きな料理はレバ刺しやユッケなど生肉料理だ。
羽海野は仕事で仲間と一緒にご飯を食べる事は重要だと考える。ごはんを一緒に食べると言うのは、仲間とコミュニケーションを取る手段である。仕事中はコーヒーとドーナッツを食べる。修羅場になるとドーナッツを食べ過ぎるので、茶碗のご飯に野菜やハムを乗せて食べる。漫画の中で描く料理は自分が美味しいと思った料理を描けばいいと考える。現実に美味しいと思う経験を積むことが大事だ。漫画家は、修羅場の後は水分さえ不足した極限状態にあるので、出来るだけ水分を取るなどして、体を慣らす。
最後の晩餐は何にするかと言うと、羽海野は、おにぎりとお茶だ。鳥野はおにぎりとしょっぱい卵焼きと麦茶だ。二人とも人類が滅亡するのを眺めながら食べるつもりであり、どんなときも美味しいごはんが大事だと言う。

『漫画家ごはん日誌』の登場人物・キャラクター

『FEEL YOUNG』2010年6月号から2011年11月号掲載分

宇仁田(うにた)ゆみ

1998年『VOICE』白泉社でデビュー。代表作『うさぎドロップ』はテレビアニメ化・実写映画化された。著書に『いとへん』祥伝社、『よっけ家族』竹書房などがある。

ヤマシタトモコ

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