花とみつばち(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『花とみつばち』とは2000年から2003年に講談社の『週刊ヤングマガジン』で連載された安野モヨコによる青年コメディー漫画である。コミックスは全7巻。高校生の小松正男(こまつ まさお)は、モテたいが地味でファッションにも容姿にも自信がない。格差社会で構成されるスクールカーストの底辺にいる小松が、モテる男になるために悪戦苦闘する。風変わりなメンズエステに通いそこで出会った「オニ姉妹」に指導されながら、小松が成長していく青春コメディー作品だ。
『花とみつばち』の概要
『花とみつばち』とは2000年から2003年に講談社の『週刊ヤングマガジン』で連載された安野モヨコによる青年コメディー漫画である。コミックスは全7巻。
安野モヨコは少女漫画『シュガシュガルーン』や、女性漫画『働きマン』で有名な漫画家である。『働きマン』では、女性の生き方を働くことを通して描く漫画であり、恋愛描写もそこに描かれている。それは読者の胸を打つ切ない男女のすれ違いであったり、純粋な恋愛である。だが、この『花とみつばち』が前述した漫画と大きく異なる点は、性描写が多く男女のいびつな関係性を描いた所である。これは、『花とみつばち』が『週刊ヤングマガジン』で連載されたことが大きく影響している。
『週刊ヤングマガジン』は1980年から講談社で刊行されている青年漫画誌である。表紙には女性のグラビアアイドルの水着姿が飾られ、巻頭には女性グラビアアイドルや女性タレントが掲載されている。無論、男女関係なく読むことが可能であるが、連載される漫画は特徴として、性描写を含む作品や、ヤクザやギャンブルなどの裏社会を描いた作品が多い。
安野にとって、『花とみつばち』は初の青年漫画であった。主人公は男子高校生の小松正男(こまつ まさお)であり、思春期でませた年頃の男子をコミカルに描いている。セックスや裸体の描写は、安野のしなやかなタッチで描かれ、不快感を覚えない。セリフにも性的な言葉が多く登場するが、生身の人間らしさがある。少女漫画を軸にしてきた作者が、男子目線の恋愛を描いた点は新しく、文字通り性別問わず楽しむことのできる作品だ。
「モテたい」という気持ちは、人間が生きている間に自然発生する感情である。自分に自信がなく、周りと比べることは往々にしてあるものだ。学園生活では、誰がどのグループに属しているかが重要で、そしてそのグループに所属する自分が、学園生活を送る上でのキャラクターなのだ。主人公の小松正男は、スクールカーストの頂点の太田サクラ(おおた さくら)にいじられ、馬鹿にされて生きている。「ダサい」「暗い」が、小松のキャラクターである。だが小松は、自分を変えたいと強く思った。なぜなら小松は、女にまともに話しかけられず、恋愛も未経験の自分に対して不満が募ってきたからである。
変わりたい小松は、メンズエステ「美男ワールド」に通い始めた。そこで出会ったのが、「オニ姉妹」こと桜井ハルミ(さくらい はるみ)と桜井清子(さくらい きよこ)であった。鬼のように小松を服従させ、小松の抗議や意見には聞く耳を持たない。いい男と付き合ってきたハルミと清子が、無料で小松にモテ指導する。小松も小松で、言われたことは素直に実行し、一生懸命にモテる努力をする。オニ姉妹との出会いで、だんだん小松も逞しくなっていくのだ。女子と話したことのない小松が、クラスメイトの長沢裕美(ながさわ ひろみ)と付き合ったり、メンズコンテストに出場したりする。そして、はじめは目にも留まらなかった小松の存在が、太田の中で徐々に大きくなってくる。そして小松と太田の恋愛が始まるのである。太田と小松の恋愛は、2人の不器用さが細やかに描かれており、笑いの要素よりも切なさが勝つ。小松という主人公を決してハッピーエンドで終わらせない所は、安野の技術力の高さをうかがわせる。「モテたい」という気持ちから始まる小松の物語は、コメディー作品でありながら男女の複雑な恋愛感情も描いている。だから作品として深さがあるのだ。
『花とみつばち』のあらすじ・ストーリー
モテ男への一歩
高校生の小松正男(こまつ まさお)は学校で「男子地味派」に分類され、同じクラスの太田サクラ(おおた さくら)率いる軍団には馬鹿にされている。そんな自分を変えたいと小松は強く思う。「俺は変わる!変わるったら変わる!!もー暗いとかダサいとか髪型へんとかモテなそうとか言わせね―!!」と小松は燃えた。
そんな小松は帰宅途中にメンズエステ「美男ワールド(びなんワールド)」に入店する。スタッフのオカマが小松の眉毛を整えた。翌日太田が「これで髪型さえかっこよければなー」と呟いた。それを聞いた小松は、美男ワールドでかなり短くカットされた。翌日、太田から髪型を褒められる。小松は手ごたえを感じた。
しかし、眉毛も時間が経てば生えてくるので小松は自分で眉毛をいじる。変になった小松の眉毛を太田が爆笑する。自分では上手くいかないものだ。
買い物代を稼ぐために小松は交通整理のバイトするがオカマたちに見つかってしまった。アパレルショップへ連行され、バイト料の5万円で小松はパンツを購入した。オカマたちは、パンツとは対照的の安いTシャツを上に合わせた。「もっとかっこいいものを…」と抗議する小松に、「パンツでも靴でもどれかひとつは高くてもいいからいいモノを!」と説く。「大切なのは『いい物を選んだ』という自分の心!!」というオカマたちの言葉は小松に響いた。小松は感謝し、また美男ワールドに行く約束をした。
学校では、太田が彼氏のよーじの浮気が原因でといざこざを起こしている。わがままなよーじに太田は逆らえない。その話を太田軍団の盗み聞きで知った小松は、浮気者のよーじと別れるように太田に言う。だが太田は「お前よりモテるし友達も多いんだよ」と聞く耳を持たなかった。
小松は、再度美男ワールドに行く。出迎えたのは新しく店長に就任した桜井ハルミ(さくらい はるみ)と妹の桜井清子(さくらい きよこ)である。小松の存在は、美男ワールドのリストに記載され前店長から桜井姉妹に託されていたのだった。ハルミは「あたし達はね、いい男と死ぬほど付き合ってきたの。その経験を生かしてより女性に愛される男性を育成できるってわけよ」と言う。清子とハルミはタダで小松をトータルコーディネートする提案をする。「これからあたし達の言うことに絶対逆らわない!!」と清子は条件を出す。「女の子に希望言われたら必ず『YES』。ウソでもいいからとにかく『ウン』って言うの」と、小松の言い分を無視する2人を「オニ姉妹」と小松は呼ぶようになる。
一方、太田はよーじと別れ今度は身長が高く顔も整っており、性格も優しい遠藤(えんどう)と付き合い始めた。だが、よーじが別れたことに逆上し太田に無理矢理キスしているところを小松は目撃する。太田に「このことは黙ってて」と言われ、ハルミの教えである「女の子に希望言われたら必ず『YES』」ということを思い出し、小松は実践した。
また、小松と同様に地味な男子の山田が美男ワールドに興味を持ち来店し肌が綺麗になった。
美男ワールドでオニ姉妹に「話し方がつまらない」と言われ、女の子がどんな話をしても相づちを打ち、質問するやり方を教わる。
小松の雰囲気が少し変わり、小松に目をつけた長沢裕美(ながさわ ひろみ)は、廊下からいきなり顔を出し、必殺技の「長沢チャンスマイル!!」を小松に仕掛ける。これにより小松は長沢に惚れた。
髪型を変えて翌日登校した小松だが長沢は無視だ。長沢に相手にされなくなった小松は女の機嫌取りに付き合い切れず自棄になる。一方で長沢のダサい小松を馬鹿にする魂胆が、太田に聞かれて怒られる長沢だ。
小松の開き直った態度で長沢は小松を意識し、小松と長沢はデートに行く。オニ姉妹によると今まで小松は女を怖がっていた。それが開き直ったことでモテに繋がったのだ。
デート先でも小松は愛想笑いだ。これで長沢が自分を好きになってくれると小松は思っていたのだ。長沢は小松を絶対服従させたいとムキになってそのまま小松をラブホテルに連れだす。だが性欲よりも緊張が勝ってしまい失敗した。そんな小松を見て長沢の気持ちは冷め、小松は恋に敗れたのであった。
小松のと山田の戦い
同じく地味な男子の山田(やまだ)が、今度彼女とデートする予定を小松に語る。山田の彼女がどんな子か気になった小松は、オニ姉妹と共に山田のデートを尾行する。
山田の彼女は美人な美和(みわ)だった。しかも山田は、美和に媚びず完全に山田ペースのデートだ。小松は「童貞のくせに!」と大声で叫んで山田に見つかる。だが目を離した隙にオニ姉妹は、美和に性欲を感じ新宿のホテルまで車で連れ出した。
山田はオニ姉妹を知っているので慌てず美和を探さない。小松はそんな態度は嫌われると言うが山田は「そんな女だったらこっちから願い下げだ」と自信満々だ。ほどなくして美和が「山田のところへ帰してくれないと舌を噛む」と言ったので、オニ姉妹は美和を解放し、山田と美和は仲睦まじく帰宅する。
「21世紀の小林旭を探せ!!」というメンズコンテストが都内で開催されることになり小松と山田は出場することになる。ところが山田は、顔を整形した。美男子になった山田を打倒するため、小松はオニ姉妹にコンテストまで指導してくれるように懇願し、オニ姉妹は承諾した。
だが街中でOLの美奈子(みなこ)と出会い、小松はすっかり美奈子に惚れ込んで、美男ワールドそっちのけで足しげく美奈子宅に通う。
一方で山田は顔は変えたが体を絞ってほしいとオニ姉妹に要求する。山田の顔が好みなハルミは山田に甘い吐息を漏らす。冷静な清子は小松を一から完成させるより出来上がっている山田の方が、グランプリ獲得の可能性があると考え、オニ姉妹は山田の専属アドバイザーになる。
美奈子が小松に飽きて関係が冷め、2人の関係は終わる。小松は自前の奇をてらったTシャツが功を奏し、一次面接は通過。だが忍耐力テストの二次面接で小松は落ちた。山田はコンテストで優勝し、芸能活動に専念するため学校を退学した。
オヤジに学ぶモテテクニック
太田の浮気が原因で、太田と遠藤が別れた。小松の前で泣く太田を見て、太田が可愛いと思った小松だ。遠藤は小松の憧れである。だがハルミは「貴様は遠藤そのものじゃなく『太田サクラのような女を彼女にできる』男子としての遠藤の強さに憧れているのだ。つまり太田サクラが好き」と解説した。小松はうまく行く方法を教えてくれるように泣きつくが、ハルミは「『モテ』は持って生まれたその人の性質」と絶望的なことを言う。ショックを受けた小松がよろけた弾みでオニ姉妹所有の壺が割れる。小松はこの壺を弁償するために、土建工事のアルバイトをするはめになる。
工事現場では中年男性、小橋(こばし)も働いていた。小橋はバツ3で今は食堂で働くかすみに結婚をせがまれている。小橋のモテ状況を聞いた小松は、モテ学を伝授するように懇願する。小橋は自分がモテるという自覚はないが「女の人っていうのは…『花』なんです…。だからそっと包むように周りを囲んであげないと。用事やってあげたり、生活の中に自然に存在していくんです」と解説。「そして…何かあったら助けてあげて大切にしてあげる。いつの間にか女の人にとって『なくてはならない』存在になっている」という小橋の考え方に小松は心底納得した。
オニ姉妹が偵察に来て壺がニセモノであることを伝えた。だが小松は小橋の元でモテ術を教えてもらうためにまだ働くことにした。すると清子が、バツ3で現在も結婚をせがまれている小橋の話を聞き、魅力を感じたのだった。
かすみは可愛いが現場で働く男たちには厳しく接するので男たちと衝突することがあった。だが小橋が間に入り、かすみを守った。
一方で会いにくる清子には小橋は会釈するのみだ。小橋によるとかすみは根が弱いから優しくすべきで、清子は根が強いので優しくするとその分キツくなるという分析をした。かすみには優しさを見せて安心させておき、清子には冷たい態度で接することで清子の気持ちをさらに燃えあがらせるのだ。
さらに小橋は、思ったことを素直に口にする。小松がバイトを辞める時、小橋は「そうか、寂しくなるな。ボク…小松君好きだったから」と小松に告げた。小松は嬉しさと尊敬の気持ちを抱き、現場を後にした。その後清子は小橋に会うが、小橋がかすみの話ばかりするので、これ以上の見込みはないと思い手を引く。
小松と太田の恋
太田は別れたよーじから復縁を迫られて太田とよーじの殴り合いが勃発した。小松は2人の間に入ってよーじにボコボコに殴られる。「弱いくせに入ってくんなよ」と太田が小松に言うが、小松は素直に「さっきはホントに…太田が…殴られそーになってんの見て助けなきゃってそれしか考えてなかった。自分が弱いとか…やられるとか全然考えてなかったんだ」と言い、それに胸が打たれた太田である。小松のことを意識する自分をなかなか認められない太田だ。だが、太田軍団のうち1人が、小松のモテへの努力を褒めた。太田は仲間のうち1人が小松を認めたので小松への恋心を確信する。
カラオケボックスのバイトで知り合った小松の同期が美男ワールドに行く。だが同期の男はオニ姉妹から具体的なレッスンを受けることが出来なかった。小松は思案し、太田に代官山を案内してほしいとお願いし、2人は代官山に行く。
代官山では太田の友達で読者モデルの女北村紀子(きたむら のりこ)と会う。顔も可愛くあざとい紀子は、小松らに同行する。紀子にニヤニヤしている小松を見て、ヤキモチを妬きふてくされる太田。そんな太田を見て、小松はブレスレットを太田にプレゼントした。太田は小松のプレゼントを喜んだ。
小松はバイトの同期に代官山の店を紹介した。彼は気になる女に告白し付き合うことになった。「勇気を出して告白してよかった」という同期の言葉に勢いづいた小松は、学校で太田に告白するが太田は睨んでいる。小松は勢いであっさり告白したことを後悔し、逃げ帰るか迷った。でもそれじゃ今までと同じだと思った小松は太田の背中を追いかけ「ホントに太田の事好きで、マジで付き合いたいって思ってて。怒るかもしれないって思ったけど、でもどうせあきらめるならその前にせめてホントの気持ちを…」と伝える。太田は恥ずかしそうに「一番初めにウンってゆった」と照れ顔で言った。小松は「What!?」と驚く。こうして小松と太田は付き合うことになった。
初デートは海だ。小松は一人でデート前日に海の下見に行く。しかし、終電を逃した小松は帰れなくなった。小松は太田に電話をかけ、泣きながら謝る。小松はサプライズで海の場所は内緒にしたかったが海に詳しい太田が小松の居場所を特定した。太田は小松のカッコつけた行動が苛立つ。でもそれと同時に小松がデートの計画を立てていたことはすごく嬉しかったのだ。
海の近くにはラブホテルしかない。小松は太田の前で「俺は太田が付き合ってたやつみたいにうまくできない」と自信のなさを吐露したが、それが太田を傷つける。だが小松は誠心誠意謝ったので太田は小松を受け入れた。小松が太田を抱いたのはこの時が最初である。
2人は交際をつづけるが、自分に自信のない小松に太田はつまらなさを感じている。
今の自分には気合が必要だと思った小松は市販のブリーチ剤を髪につけた。だがそのまま寝てしまい小松はスキンヘッドになってしまう。
学校で小松の頭を見た太田は「げっ、スキンヘッド!!!」とドン引きした。小松は太田の為に変わることを宣言。太田は小松の一生懸命さは分かっているのだが、一緒にいても寂しさしか感じない。だから太田は、遠藤と密かに会う。小松は遠藤と太田が会っているところを目撃し、今までの努力が崩れ落ちた。
翌日小松は太田と遠藤の前で「太田と…別れる…から…」と言った。太田はあっさり受け入れた。だが小松は、「やっぱ別れたくね~~~っ」と泣き叫ぶ。太田にまとわりつく小松を遠藤が蹴り上げ、小松は廊下に取り残された。
小松はオニ姉妹に太田を振った話をすると「成長したじゃん」「ここが人生のピークかもしんないけど」と言い残して去っていく。小松はそれを見ながら「女たちが飛んで行く。男の周りに群がるハチのように。好きなだけ蜜をもらうの。好きなお花にとまるの。好きな花へ飛んでくの。ハチのくせに花に向かって『蜜持って来い』って言うんだ」と思った。
同じ時間に、太田は遠藤と一緒にホテルにいた。太田の頭には小松のおどおどした態度がよみがえり、遠藤から離れて号泣した。太田はこの時、自分がもっと小松に優しくできなかったことを悔やんで泣いたのである。
小松と太田が別れてから一年が経った。ある日小松は太田に話しかけた。太田は笑う。太田は心のなかで「あたし達はハチ。蜜を求めて花を呼ぶの」と呟いた。
『花とみつばち』の登場人物・キャラクター
メインキャラクターたち
小松正男(こまつ まさお)
本作品の主人公。平々凡々な男子高校生である。クラスでは「地味男子」に分類される。手入れされていない髪、眉毛で当初は学園生活を送っていた。だが、「モテたい」と思い怪しいメンズエステ「美男ワールド」に通い始める。小松は「モテ」に関して未知であったため、エステスタッフの言われるがままにされてしまう。はじめは、眉毛を細くされたり、髪の毛をバッサリカットされてしまった。小松はもっとかっこいいものを想像していたが、意外にも太田サクラ(おおた さくら)には好評であった。だが、一回のエステ料金が高いので自分で眉を太くして笑われてしまったこともあった。エステスタッフのオカマたちはまずは自分がオシャレでいいモノを選んだという気持ちを持つことが大切だと小松に教えて、海外へ旅立った。
小松が数日後来店した時、迎え入れたのは美しい姉妹だった。桜井ハルミと、桜井清子(さくらい きよこ)である。彼女たちの兄から小松の存在は美男ワールドに引き継がれており、小松は2人からモテ指導を受ける。「女の子に希望言われたら必ず『YES』。ウソでもいいからとにかく『ウン』って言うの」と説くハルミと清子。小松は女心の扱い方を教えられた。2人の強引で、小松の言い分を否定する指導法から小松はこの姉妹のことを「オニ姉妹」と呼んでいる。
小松は自分がダサいし、童貞であるため女に免疫がなかった。だから同じクラスの長沢裕美(ながさわ ひろみ)の必殺技「長沢チャンスマイル」で恋に落ちる。長沢が自分に笑顔で話しかけてくれたことで、自分に好意があると勘違いした小松であった。だが長沢の魂胆は、ダサい小松を遊ぶことだった。長沢を好きになった小松は、前髪を上げて雑誌に載っているヘアスタイルで翌日登校。さらに同じ分類の友達である山田(やまだ)がピアスを開けた影響で、小松もピアスを開けた。だが長沢から無視されてしまう。「モテようとしている男」に興味のない長沢なのである。女の気持ちが分からなくなり、やけになった小松は「女なんか知るか!ご機嫌とりはやめだ」と開き直り、長沢に冷たい態度を取る。だがこれが逆に長沢の気を惹きつける。オニ姉妹によると、小松は女を怖がっていた節があったが開き直ったことで、女が寄ってきたのである。長沢は小松をデートに誘い、2人は「猫ちゃんワールド」でデートをする。小松はオニ姉妹から言われたように長沢に毅然とした態度で接し、長沢は小松を落とそうと必死になる。だが、肝心のセックスで小松は性欲よりも緊張が勝ち勃起しなかった。これにより、小松は長沢に振られた。
都内で開催される「21世紀の小林旭を探せ!!」というメンズコンテストに出場することになった小松だが、同じく山田も出場する。山田は顔面整形まで施し、さらにオニ姉妹に体の引き締めメニューを要求していた。小松は、オニ姉妹にコンテストまでつきっきりで指導してくれるように懇願しOKされるが、街中で美奈子(みなこ)と出会い、小松はすっかり美奈子に惚れ込んでしまう。美男ワールドそっちのけで足しげく美奈子宅に通い、コンテストにはオニ姉妹からなんの施しも受けずに向かう。奇をてらったダサいTシャツで一次面接は通過するが、山田はオニ姉妹を専属アドバイザーにつけ見違えるほどかっこよかった。結局小松は、二次面接である忍耐力テストで耐えきれなくなり、コンテストには落選した。
学校では、太田が小松の変化に気付いて話しかけてくれることが増える。小松は太田を意識しているものの、恋という実感はなかった。だが太田が泣き顔を小松に見せた。太田が小松の憧れである遠藤(えんどう)と別れたからである。太田の泣いた顔が可愛いと思った小松であった。オニ姉妹から「貴様は太田のような女を彼女にしたいと思っている。それゆえに遠藤に憧れる」と指摘され、太田をさらに意識するようになった小松だ。オニ姉妹から「どうすれば太田をものにできるか」と聞いている時に、オニ姉妹の自宅の壺を割ってしまい、小松は土建工事のアルバイト代で弁償する羽目になる。そこで出会った小橋(こばし)からモテ術を教わった小松。「思ったことは素直に口にする」ということを実践した。太田が元カレのよーじと喧嘩している時、「太田を助けなきゃ」と思った小松は間に入りよーじにボコボコにされる。だがそれが太田の胸に刺さったのだった。小松は今までみたいに自分の思っていることを口にしないで逃げることをやめ、太田に告白した。そして2人は付き合うことになる。
だが、根本的な「自己肯定感」が小松にはなかった。「俺みたいなやつが太田の彼氏」という自信のなさが太田にとっては苛立ちを生む。太田も太田で、小松のことが好きなのに冷たく当たってしまったり、甘えることができずに2人の心の距離は日に日に空いていく。そして太田は、小松に内緒で隠れて遠藤に会っていた。小松が「太田の為に生まれ変わる」と決めて、髪をブリーチして失敗し、スキンヘッドになった頃に、太田は遠藤と仲良さげに話していた。それを目撃した小松は、「今までの努力が報われなかった。結局俺はダメなんだ」と思い太田に別れを告げる。こうして2人の恋愛関係は終わった。一年後、すれ違う太田に「元気か?」と小松は声をかけており、太田も笑顔で返事をしているところから、2人の関係性は良き友人という形で締めくくられている。
小松は、高校を卒業後はアルバイトをしながら福祉士の資格を取るために頑張っている。
太田サクラ(おおた さくら)
小松のと同じクラス。スクールカーストの頂点に立つギャルである。いつも一緒にいるメンバーは「太田軍団」と呼ばれており、その中リーダー的存在だ。だが、中身は正義感があり普通の女子高生である。
小松がモテようと眉毛を剃ったり、髪型をイメチェンして失敗したことにちょっかいを出す。小松が太眉にしてきたときは、爆笑しながらもきれいに整えてあげている。そして「あんまあたし達のゆーこと気にしてるとますますモテなくなるよ」と太田は小松に言う。小松にとっては苦い一言だがアドバイスとしては正しいものである。
特に太田は、正義感があるので影で悪いことをしている事は許さない。長沢が小松を馬鹿にして、トイレで悪口を言っている時も長沢に注意している。
男遍歴は、決して純粋なものではない。まず元カレのよーじとなかなか縁を切れずこじらせている。よーじが浮気したことに怒った太田は、もらった指輪を屋上から捨てている。だがそのまま別れることが出来ないのは、よーじが友達も多くモテるからという理由からだった。小松が、おせっかいと思いながらも太田によーじと別れるように言うが聞く耳は持たなかった。だがしばらくしてから太田はよーじと別れる。そして遠藤と付き合う。遠藤は見た目だけでなく、性格も優しいので太田は遠藤にぞっこんだ。だが、別れたことに逆上したよーじが太田に無理矢理キスをする。そのことを意識し、遠藤と付き合っているにも関わらず、よーじときっぱり縁が切れないでいた。だから遠藤と付き合いながらもよーじと浮気していた。そのことがばれて、遠藤から振られる。太田は遠藤のことが大好きだったので、小松の前で泣きべそを見せている。
遠藤と別れたことを知ったよーじが、もう一度復縁を迫るが太田は断る。これにより、太田とよーじの殴り合いが勃発した。太田は力が強いので喧嘩はさほど弱くない。だが、太田の身に危険が迫っていると思った小松が、よーじと太田の間に入りボコボコにされた。鼻から血を流す小松を、太田は病院まで連れていく。「弱いくせに入ってくんなよ」と太田が小松に言うが、「さっきはホントに…太田が…殴られそーになってんの見て助けなきゃってそれしか考えてなかった。自分が弱いとか…やられるとか全然考えてなかったんだ」という小松の言葉を聞き、太田は胸打たれた。太田は、小松がモテようと努力している一生懸命さが良いとは思ってはいたものの、小松のことが好きとは素直に思えなかった。なぜなら相手は地味な男子の小松だからである。太田軍団のうちの2人からも、小松に話しかける太田の行動を「女下げすぎ」と、非難されていたことも影響している。だが、もう一人の軍団員が「小松ってそんな言うほどキモくなくない?優しいよね」と言い出した。それに同感する太田だ。「あとなんか…頑張ってんだけど報われない…感じとかもいいよね。でも結構一生懸命なんだよね」と、太田は仲間のうち1人が小松を認めれば気が楽になった。
小松が代官山で服選びに付き合ってほしいと頼んできたので、太田はOKする。小松は太田に断られると思っていたので大喜びした。その姿が可愛いと思った太田である。だが、代官山で友達の読者モデルに会い、彼女が小松にあざとく振舞う。すぐに可愛い女に目がいく小松に、ヤキモチを妬く太田であった。不機嫌な太田を見た小松は、太田に笑顔になってほしくてブレスレットをプレゼントした。太田は嬉しくて素直に「ありがとう」と言っている。
小松が告白してきた時も、最初に「ウン」と言っているにも関わらずつい睨むくせがあるので小松をおろおろさせてしまう。小松が何度も諦めずに想いを伝え太田は小松と交際することになった。
だが女に不慣れな小松とのデートは太田にとってイライラするものだった。小松との初デートは海だが、太田にかっこいい所を見せようと小松は前日に一人で海の下見に行く。だが終電を逃し帰れないことを太田に電話してきた。太田は今まで男たちとたくさんの海に行った経験があるのですぐに小松の居場所を突き止めた。必死に小松の元へ向かい、行く宛がないのでラブホテルに行くも小松は自信のなさから「他の男みたにうまくやれない」と言い出してきた。それが太田を傷つけた。他の男の話をされるのが嫌だったのだ。「太田、ごめん。太田が…好きでどうにか喜んでもらおうとすると大抵すべって…申し訳のない事態に陥ってしまい…今回のような…不祥事に…ホントにごめん…」と小松は誠心誠意謝る。太田は「今度くだんない事言ったらそっこー別れるからね!!」と小松を受け入れた。
交際を続けるも、小松の自信のなさが苛立ちに変わっていく。だから太田は遠藤と浮気をした。太田は、小松が太田のために生まれ変わろうとスキンヘッドになったことも分かっているがゆえに別れを切り出せなかった。結局、遠藤と隠れて会っているところを小松に見られ、小松から別れを申し出た。小松と別れたものの、遠藤と一緒にいる時に小松との思い出がよみがえる太田であった。そして自分がもっと小松に素直になれなかったことを悔いて遠藤の前で号泣した。
小松と別れてからも、学校で何度も小松とはすれ違っていた。小松が別れから一年経った頃に声をかけてきたとき「この一年…『話しかけてきたら話す』って思ってたんだ!!」と笑顔で言っている。
高校卒業後は、カメラマンのアシスタントとして働く。
小松の交友関係
山田(やまだ)
小松のクラスメイト。お世辞にもいいとは言えない見た目をしているにもかかわらず、自分に絶大な自信を持つ。固太り・短足・ブサイク・ニキビ面である。小松とよく喋る仲で、女子に対して「ブス」や「好みでない」と平気で言い放つ。小松が彼女もできずに、モテなくて悩んでいても山田は「前の彼女が未練たらしい」などと愚痴っていた。小松は山田は自分と同じ「地味男子」の部類ふだと思っていたので、山田のこれらの発言はただの戯言だと思っていた。また、小松が「美男ワールド」に通っていることを聞き、興味を持った山田は自分も美男ワールドでオニ姉妹の施術を受けている。
だが、山田には美和(みわ)という美人の彼女がいる。美和と付き合っている山田は、堂々として女に媚びることをしない。デート先は女が行きたがる場所ではなく、自分が行きたい小田原城巡りであった。美和と城内を見物しながらも、分かっていることはペラペラ喋るがわからないことは取り繕うことなく黙る。小松とオニ姉妹は、山田のデートを尾行しながら山田の傲慢な態度に驚いた。小松は山田に対してもっと美和のことを大切にすべきだと考えていた。一方でオニ姉妹からすると、山田のように自信たっぷりでどっしり構えているほうが女は惹かれるのであるとのことだった。
デートを尾行していたことが山田にばれた小松は、山田に美和と付き合えることを感謝すべきだと説く。だが山田は聞く耳を持たなかった。その間に、可愛い女の子好きなオニ姉妹が美和を連れ去っていく。美和の姿がいなくなってもなお、山田は美和を探しにいこうとしない。なぜなら山田はオニ姉妹のことを知っているので、都内に美和がいると確信していたからであった。小松はもっと心配するように言い、そんな態度だと美和から嫌われると山田に食って掛かった。だが山田の原理は「そんな女だったらこっちから願い下げだ。自分をフるような女は女としてレベルが低い」と断固として自信満々である。結局、「山田の元へ返さないと舌を噛む」と訴えた美和は、オニ姉妹から解放され山田の元へ戻ってきた。そんな美和の頭を優しく撫でた山田であった。
「21世紀の小林旭を探せ!!」のメンズコンテストには、山田は顔面整形を施して出場する。体型は短足で、締まりがないためコンテストまでオニ姉妹を専属アドバイザーにつける。山田は一次、二次面接とも残りグランプリだった。
整形に成功した山田は芸能界に入ることを決意し、学校を中退した。
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『シュガシュガルーン』とは安野モヨコが2003年から2007年まで『なかよし』で掲載した少女漫画、それを原作としたアニメ。次期女王候補である魔女のショコラ=メイユールとバニラ=ミューは、女王試験の為にお菓子でできた魔界から人間界へやってきた。どちらが女王にふさわしいか、気持ちを結晶化した人間のハートをめぐって勝負を繰り広げる。やがて対立するオグルとの戦いで魔界がピンチになってしまう。ライバルで親友である2人の友情や恋の行き先をファンタジーに描いた。第29回、講談社漫画賞児童部門を受賞した作品。
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オチビサン(安野モヨコ)のネタバレ解説・考察まとめ
『オチビサン』とは、主人公・オチビサンの四季折々の日常を描いた安野モヨコによるフルカラー漫画である。1話ずつ1ページでストーリーが進む。『朝日新聞』に2007年4月から2014年3月まで連載され、2014年4月から2019年12月まで『AERA』(朝日新聞出版)に移籍して連載された。単行本は全10巻。オチビサンとその仲間たちのほのぼのとしたストーリーと、水彩画の絵が人気を呼んだ。絵本になりテレビアニメ化され、さらには動画配信サイトでも公開された。
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漫画家ごはん日誌(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『漫画家ごはん日誌』とは、50名の漫画家が自身の食についてエピソードを元に描いた漫画を掲載した漫画本である。後半には特別インタビューとスペシャル対談が記載される。2015年5月8日、祥伝社により刊行された。漫画家52名が1名2ページで、日頃食べているごはんや漫画家が持っている食についての考えをラフなスタイルで描いている。人気漫画家が日頃どのような食生活を送っているかを知ることが出来る本であり、さらに食とは何かを考えるきっかけとなる作品である。
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漫画家ごはん日誌 たらふく(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『漫画家ごはん日誌たらふく』とは、50名の漫画家が自身の食についてのエピソードを元に描いた漫画を掲載した漫画本である。漫画家50名が1名2ページで、日ごろ食べているごはんや、漫画家自身が持っている食についての考えをラフなスタイルで描いている。後半には、特別インタビューとスペシャル対談が記載されている。人気漫画家が日常どのようなモノを食べているかを知ることが出来る本であり、更に食とは何かを考えるきっかけとなる作品である。本書は2015年5月に刊行された『漫画家ごはん日誌』の続編である。
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真似したい♡ファッションが可愛い少女漫画まとめ【オールカラー!!!】
出てくる登場人物がやたらおしゃれな漫画ってありますよね♡一度は真似したい ファッションが可愛い漫画をまとめてみました。
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女性漫画家の顔写真・画像まとめ!中村光・柴田亜美などの美人な素顔にびっくり!
俳優や声優と比較するとなかなか表舞台に姿を見せない漫画家たち。特に女性漫画家が顔を出す機会は貴重であり、ネット上などでその姿を見た人々からは「すごい美人!」と驚かれることも多いのだ。本記事では「特に美人である」とファンから人気の高い女性漫画家と、その人が描いた有名作品をまとめて紹介する。
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目次 - Contents
- 『花とみつばち』の概要
- 『花とみつばち』のあらすじ・ストーリー
- モテ男への一歩
- 小松のと山田の戦い
- オヤジに学ぶモテテクニック
- 小松と太田の恋
- 『花とみつばち』の登場人物・キャラクター
- メインキャラクターたち
- 小松正男(こまつ まさお)
- 太田サクラ(おおた さくら)
- 小松の交友関係
- 山田(やまだ)
- 長沢裕美(ながさわ ひろみ)
- 太田の元カレ
- よーじ
- 遠藤(えんどう)
- メンズエステ「美男ワールド」
- 桜井ハルミ(さくらい はるみ)
- 桜井キヨコ(さくらい きよこ)
- その他のキャラクター
- 小橋(こばし)
- 北村紀子(きたむら のりこ)
- 『花とみつばち』の用語
- 美男ワールド(びなん)
- 太田軍団(おおたぐんだん)
- 『花とみつばち』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- エステスタッフ「大切なのは『いい物を選んだ』という自分の心!!」
- 小橋「そして…何かあったら助けてあげて大切にしてあげる。いつの間にか女の人にとって『なくてはならない』存在になっている」
- 小松正男「さっきはホントに…太田が…殴られそーになってんの見て助けなきゃってそれしか考えてなかった。自分が弱いとか…やられるとか全然考えてなかったんだ」
- 小松が太田に告白する場面
- 『花とみつばち』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 物語に込められたタイトルの意味
- 巻末ごとにあとがき漫画を収録
- 安野モヨコ作品名シーンBEST10に選出