神取鷹久/アシュラ女王(女神異聞録ペルソナ・P1)の徹底解説・考察まとめ

神取鷹久(かんどり たかひさ)/アシュラ女王とは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の1作目に登場するキャラクターである。本作には「セベク編」と「雪の女王編」と呼ばれる2シナリオが存在しており、神取はその両方にボスキャラクターとして登場する。付随するアシュラ女王は「雪の女王編」にのみ登場する謎の仮面の女子生徒と神取が融合して生まれたボスキャラクターとなっている。なお作中での神取の立場は、物語の舞台「御影町」にあるセベク社の支社長。「雪の女王編」では高校生時代の姿で登場する。

本作に登場するペルソナ使いの1人。聖エルミン学園に通う高校1年生。容姿端麗な帰国子女。海外生活が長いせいか、友人達の名前をアルファベットで呼んだり、セリフの端々に英単語が交じる不思議な喋り方をする。だからといって日本語が下手なわけではなく、流暢な発音で喋る他、「ですわ」等育ちの良さを感じられる喋り方をしていたりする。
セベク編、雪の女王編ともに選択メンバー。戦闘メンバーにいれる事もできるし、いれない事もできる。どちらにせよ物語に支障はない。
セベク編の場合は、ペルソナ使いとしてP1主人公達と共に神取の行方を追い、雪の女王編では雪の女王のせいで氷漬けになった聖エルミン学園を元に戻そうと奮闘する最中に神取と思しき仮面を被った謎の少年と出会う。

アヤセ/綾瀬優香(あやせ ゆか)

本作に登場するペルソナ使いの1人。聖エルミン学園に通う高校1年生。『女神異聞録ペルソナ』発売当時に流行していたコギャルを連想させる容姿と性格のキャラクター。自分の感情に素直で、思った事はそのまま言ってしまうタイプ。言われた相手がどう思うか等は一切考えない為、それがきっかけでトラブルを起こす事も多い。
雪の女王編のメインメンバー。セベク編では選択メンバーとなっており、戦闘メンバーにいれる事もできるし、いれない事もできる。どちらにせよ物語に支障はない。セベク編の場合は、ペルソナ使いとしてP1主人公達と共に神取の行方を追い、雪の女王編では雪の女王のせいで氷漬けになった聖エルミン学園を元に戻そうと奮闘する最中に神取と思しき仮面を被った謎の少年と出会う。

神取鷹久/アシュラ女王の名言・名セリフ/名シーン・名場面

神取鷹久「私は 現世の神となる 神の仕業はただ一つ 愚かな人類に…裁きの杖を奮うことだ!」

もう1つの「御影町」で、神取が自分を追ってやってきたP1主人公達と対峙した時に述べた台詞。
人類掌握を目標に、デヴァ・システムと麻希の理想の世界を利用していた神取。その野望を、初めてP1主人公達に向けて語る為に述べた台詞こそが、この「私は 現世の神となる 神の仕業はただ一つ 愚かな人類に…裁きの杖を奮うことだ!」となっている。神取の野望がいかのようなものかがよくわかると同時に、野心家である神取自身の傲慢さが深く伝わってくる台詞だ。「愚かな人類」と述べている辺りからも、彼が常日頃周囲の人々を、上に立つ者として見下しているらしい事が感じられ、改めてこのキャラクターが本作の悪役である事を認識させられる台詞に仕上がっている。このような傲慢な人間をそのままにしておいてはいけない事がはっきりとわかる、悪意で満ちた、敵役らしい名台詞である。

神取鷹久「君をここまで来させたのも それを問うためだ 君らはなんのために生きている?」

全ての野望を叶えた事により、生きる目標を失い、虚しさと孤独を感じる事になった神取。そんな彼が、自分を追ってやってきたP1主人公達に向けて述べた台詞が、この問いかけとなっている。
「君をここまで来させたのも それを問うためだ 君らはなんのために生きている?」そう尋ねる神取からは、純粋に彼が、生きる目標を失ってしまった今に困惑し、絶望を感じている事が深く感じ取れる。と同時に、P1主人公達よりも幾分も年上で大人である彼が、まだ学生で子どもであるP1主人公達にこのような問いかけを行う点からして、「生きる事」の意味を彼に教えてくれるような誰かが周りにはいなかったという事を察せられる台詞ともなっている。実はP1主人公達側においても、作中にてそれぞれに「生きる」上での悩みを抱えている事が明かされている。彼等は皆、仲間と共に戦い、絆を育んでいく内に、誰もが自分なりの「答え」を得るようになっていく。だが1人孤独に力だけを追い求めていた神取には、P1主人公達のような仲間はいない。その為、彼等のような信頼できる、いざという時に自分を支えてくれる相手が誰もいなかった事が、神取が野望を叶えた後に虚しさや孤独を感じてしまった理由の1つであったと推測できる。
また『ペルソナ』シリーズは、自らの「心」を力に変える「ペルソナ」を題材に扱った作品となっている。神取の問いかけた「生きる意味」というのは、元来、人間1人1人の「心」の中で答えが導き出されるものであり、そこに正しい答えは存在しない。それを踏まえると、この神取の問いかけは、「心」を力に変える「ペルソナ」という存在の根底に触れるような名台詞だといえる。

神取鷹久「そう言って欲しかったから 君達を招いたのかもしれんな… フフ… 不様だが 良い気分だ…」

P1主人公達に敗れ、息も絶え絶えな状態の神取が述べた台詞。
全ての力を出しきり、それでもP1主人公達に敗れてしまった神取。だが、その口からこぼれ出た言葉は、憎しみでも怒りでも悔しみでもなく、「そう言って欲しかったから 君達を招いたのかもしれんな… フフ… 不様だが 良い気分だ…」という清々しさで満ちたものだった。P1主人公達に負けた事により、己の弱さや心の中の闇を見つめ返せたが故の台詞だといえる。どこか満ち足りたような様子で述べる姿からも、彼の中にあった虚しさや孤独感が消え去ったらしい事がうかがえる。自分を全力で止めに来たP1主人公達により、ようやく自分の弱さを知る事が出来た神取。その素直な受け入れようには、もしもっと早くに、彼に人としての弱さを教えてくれるような存在がいれば、今のような未来はなかったのではないだろうか、という見る事の叶わぬ光景も想像させられ、涙を誘う台詞となっている。最期の最期に自分を見つめ返す事が出来た神取の心の変化が感じられると共に、神取の孤独な人生を垣間見れる、悲しい名台詞である。

アシュラ女王(夜の女王)「待ちかねたぞえ」

アシュラ女王と対面時に述べられる台詞。
神取と思しき黒い仮面の男子生徒と麻希と思しき白い仮面の女子生徒、そして夜の女王、この3人が融合する事で生まれた「雪の女王編」のラスボスキャラクター・アシュラ女王。アシュラ女王として彼等がP1主人公達と戦う前、彼等は一度P1主人公達の前から姿を消し、屋上へ向かう。もちろん、P1主人公達も彼等を追って屋上に向かう事になる。だが屋上でP1主人公達を出迎えた神取達は、それまでの3人ではなくアシュラ女王の姿になっており、なんの前触れもない、突然の変身姿にプレイヤーを驚かせる事となる。その驚いているプレイヤーに向けて、最初に放つアシュラ女王の台詞が「待ちかねたぞえ」というものである。短いものではあるが、驚き中向けられる台詞とだけあって、非常に頭の中に残る言葉となっている。
また、本セリフはアシュラ女王の台詞であると同時に、夜の女王の台詞でもある。アシュラ女王は、あくまでも神取・麻希・夜の女王の肉体を1つに融合させただけのものであり、意識はそれぞれに存在している。その為、喋る時は、各々の意識のもとで喋る。一体どのようにして喋っているのかは不明であるが、1つの存在になった3人が、バラバラに喋る光景はなんとも奇っ怪で不気味なものである。アシュラ女王というボスキャラクターが放つ、異様な存在感を増幅させている要因の1つである事が察せられる。

神取鷹久/アシュラ女王の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

神取が主役のノベライズ『女神異聞録ペルソナ 神取の野望』

小説『女神異聞録ペルソナ 神取の野望』の表紙。

本編の前日談を描いた小説『女神異聞録ペルソナ 神取の野望』が発売されている。本作は、神取を主軸とした物語となっており、本編では語られなかった、神取視点での物語の始まりが綴られた小説となっている。神取がいかにして、力を手に入れたのか、力に固執しているのかが深堀りされた1作。
なお、あくまでも神取が主軸というだけであり、他のキャラクター達にも焦点はあてられており、病院に入院中の麻希の心情や、ニコライ博士がどのような気持ちでデヴァ・システムが起こした騒動を見ていたかなどの、細かい本編裏エピソードも収録されている。

神取鷹久は『ペルソナ2』にも登場

本作の続編にあたる『ペルソナ2』にて、実は神取は再登場している。『ペルソナ2』は、本作の時間軸から数年後の世界を舞台に描かれた作品となっており、本来ならば故人である神取が登場する事はできない。だが、『ペルソナ2』のラスボスであり、『女神異聞録ペルソナ』にて神取のペルソナとして君臨していた「ニャルラトホテプ」の力によって、彼は再び蘇る事になる。なお、『ペルソナ2』は2枚ディスクのゲームとなっており、彼が登場するのは物語の後半が描かれたディスク『ペルソナ2 罰』の方のみとなっている。そこで彼は、『ペルソナ2 罰』の本編に大きく関わってくる人物・須藤竜蔵の秘書を務めつつ、ニャルラトホテプに魅入られてしまった人間として、彼の意思に従い世界を破滅へ追いやる為に動いていく事になる。
『ペルソナ2 罰』には、『女神異聞録ペルソナ』に登場していたペルソナ使い達も数人登場しており、彼等と相対するシーンも描かれている。登場するのはあくまでも神取のみな為、アシュラ女王は登場しない。

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