黒いねこ面(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『黒いねこ面』とは、楳図かずおによるホラー漫画。1966年に『週刊少女フレンド』誌上にて連載された。ホラー漫画の第一人者である楳図の出世作の1つとして知られており、同時期に描かれた『へび少女』や『紅グモ』と共にファンの間で人気が高い。また、化け猫をモチーフにした物語と視覚的な恐怖描写で、多くの読者に衝撃を与えた。『黒いねこ面』は、江戸時代に起きた飼い主一家惨殺事件の復讐劇であり、化け猫が転生した少女に襲われる主人公の少女の恐怖と不条理が描かれている。

『黒いねこ面』の中で、最も読者を怖がらせたと言われているのは、大森たまみの整形手術シーンである。たまみは「わたしの顔の手術をつづけるのです」と麻酔をせずに手術をするよう正雄に強要しており、彼がメスを入れると何故か娘のえみ子の顔に激痛が走った。麻酔なしで顔の皮を剥ぎ取る場面は、痛みが伝わる恐怖シーンとして、読む者にトラウマを植え付けたと評された。

『黒いねこ面』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

楳図かずおの出世作の1つである『黒いねこ面』

『黒いねこ面』 秋田書店サンデーコミックス版表紙

楳図かずおは、1963年に地元奈良県から上京した。1955年に19歳の若さで漫画家デビューした楳図は、しばらくの間貸本漫画界で作品を発表している。貸本漫画は、講談社や小学館といった所謂大手ではない出版社によって主に出版されており、月刊漫画誌・週刊漫画誌に連載作品を持つことは、漫画家にとってステータスだった。楳図は貸本漫画からメジャー漫画誌に順調にステップアップした漫画家の1人であり、読者の人気を獲得した作品の1つが『黒いねこ面』だったのだ。

上京直後の楳図かずお作品の主要発表媒体は『週刊少女フレンド』

『週刊少女フレンド』1965年9月14日号表紙

楳図かずおは、『漂流教室』や『まことちゃん』、そして『わたしは真悟』といった代表作が『週刊少年サンデー』や『ビッグコミックスピリッツ』に連載されていたことから、小学館の漫画雑誌で活躍した印象が強い。しかし、彼がメジャーな漫画家となったきっかけは、講談社の少女漫画雑誌『週刊少女フレンド』に多くのホラー漫画を発表したことだった。『黒いねこ面』も同誌に連載された。楳図が『週刊少女フレンド』に連載した主なホラー漫画は、以下の通りである。

『ママがこわい!』(1965年)
『まだらの少女』(1965年)
『紅グモ』(1965年)
『へび少女』(1966年)
『黒いねこ面』(1966年)
『ミイラ先生』(1967年)
『人こぶ少女』(1967年)
『赤んぼ少女』(1967年)
『影姫』(1967年)
『うろこの顔』(1968年)

痛みが伝わる視覚的ホラー描写が衝撃的な『黒いねこ面』

『黒いねこ面』 秋田コミックスセレクト版表紙

『週刊少女フレンド』に連載された楳図かずおのホラー漫画は、視覚的な恐怖を追求したものが多い。楳図の描線と手書きのセリフ文字は、ホラー作品に必要な唯一無二ともいえる個性を有しており、一度見たら忘れられないインパクトがある。『黒いねこ面』においてもそうした要素が満載であり、特に猫の顔をした大森たまみの怖さは格別だと高く評価された。また、麻酔なしでたまみの顔を整形手術するシーンは、リアルな痛みが伝わると言われており、後の楳図漫画の傑作『洗礼』における脳手術シーンのプロトタイプだと考察するファンも多い。

『黒いねこ面』以外の猫を題材にした楳図かずお作品

『猫面』佐藤プロ版表紙

楳図かずおは、視覚的な怖さを表現するために、人間が異形の者に変貌する展開を多く描いた漫画家である。その中では、『へび少女』に代表されるヘビものが有名だが、猫を題材にしたホラー作品も多い。楳図が猫を扱った作品には、『黒いねこ面』の他に代表作の1つ『猫目小僧』がある。また、『ねこ目の少女』では、友人同士の少女2人のうち1人が猫に変貌するという展開が描かれた。さらに、貸本時代の1963年に発表した『猫面』は、猫嫌いな城主が猫を次々に惨殺するシーンや、跡を継いだ猫そっくりの城主が男の目に熱した鉄棒を押し込む拷問など当時としては際立った残虐描写が見られ、トラウマ漫画として知られている。

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