猫目小僧(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『猫目小僧』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。1967年から1968年まで『少年画報』、1968年から1969年まで『週刊少年キング』で連載され、1976年に『週刊少年サンデー』 に短編4話が掲載された。メディアミックスとしてテレビアニメ版と実写映画版がある。人間に近い風貌をした主人公の妖怪、猫目小僧が人間と妖怪双方に忌み嫌われながらさすらいの旅を続け、行く先々で奇怪な事件に巻き込まれる様子を描いたホラー作品であり、楳図の代表作の1つとして知られている。

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猫使役(ねこしえき)

猫目小僧の窮地に唸る3匹の猫

猫目小僧は、猫と会話することができ、複数の猫を使役することも可能である。しかしながら、完全に操ることは不可能で、強力な敵に出会うと猫たちは逃げ出してしまう。

妖怪百人会(ようかいひゃくにんかい)

孤童門(中央)を中心とした妖怪百人会のメンバー

妖怪百人会(ようかいひゃくにんかい)とは、『猫目小僧』に登場する架空の集団。会長は、額に第3の目を持つ孤童門が務めている。同会は、孤童門の主目的である「見かけだけ美しく心が醜い人間を、その外面を内面と同じような醜い姿に変えること」に賛同したフリークス(その正体はマリ子がいる病院に保管されている臓器)たちで構成されている。妖怪百人会によって醜い姿に変化させられた人間には、漫画家の雨寺太郎や政治家の大善寺良造などがいた。

『猫目小僧』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

猫目小僧の誕生シーン

猫目小僧誕生の瞬間を見に来た妖怪たち

楳図かずお原作のホラー漫画『猫目小僧』は、『赤んぼ少女』や『高校生記者シリーズ』などと同時期に連載された。この時期の楳図は、視覚的な恐怖描写で読者を怖がらせる作風を確立させていて、陰影のある不気味な絵柄が際立っていた。『猫目小僧』の中で、最も視覚的な怖さを感じさせると言われているのが、『妖怪水まねき』の序盤で展開された猫目小僧の誕生シーンである。300年に1度しか生まれないとされる猫又の子供を一目見ようと、無数の妖怪が猫又のもとへと駆け付ける。その妖怪たちが圧倒的に恐ろしく描かれているのだ。妖怪を描く漫画家といえば、水木しげるが代表格であるが、水木の描く妖怪にはどことなく愛嬌やユーモアがあるのに対して、楳図作画の妖怪はひたすら不気味である。多くのファンを恐怖のどん底へと突き落とした名場面だと高く評価されている。ちなみに、このシーンの中央下の方に『赤んぼ少女』のタマミと思しきキャラクターが描かれている。

健常者を襲う妖怪百人会

妖怪百人会によって醜い姿にされた雨寺太郎

『猫目小僧』の1エピソード『妖怪百人会』は、同作品の中でも極めてグロテスク描写が多いことで知られている。生まれつき醜い姿でありながら特殊な能力を身に着けた孤童門を会長にした妖怪百人会は、まともな容姿でも心が醜い人間たちを標的にして、彼らを醜い姿に変える集団だった。その犠牲となった漫画家の雨寺太郎は、両頬に巨大なこぶを付けられたばかりではなく、左手の小指を右手に移植させられてしまった。雨寺のフリーキーな姿は、多くの読者に強烈なインパクトを与えたと言われている。

猫目小僧「ないない!ゆるせえ!」

泣きながらないないを石で叩き折る猫目小僧

猫目小僧は、妖怪でありながら人間に近い姿をしているということで他の妖怪たちから嫌われ、人間からも化け物として迫害されていた。そのため、彼には友人と呼べる存在がいない。そんな彼の数少ない友達が、『妖怪肉玉』に登場した妖怪ないないである。ないないの正体は、猫目小僧が荷物を括り付けている木の棒だった。この木にがん細胞に効く成分があったと推察され、猫目小僧は肉玉に襲われた人々を救うためにないないを岩で砕いたのだ。その時、彼は泣きながら「ないない!ゆるせえ!」と叫んだ。猫目小僧が涙を流すこと自体珍しく、このシーンは多くのファンに強い印象を残した。

川に流される猫目小僧を助けた少年たくみ

たくみ(右)に助けられた猫目小僧(左)

『猫目小僧』の短編エピソード『手』は、同作品のみならず、楳図かずお作品の中でも特に人気の高いドラマとして有名である。『手』では、突然自宅の部屋に地獄が現れた少年たくみが、地獄に落ちそうになった彼の母親を救うべく手を握り、それ以来決して右手を開かなくなった様子が描かれた。右手を開くと母親を助けられなくなってしまうからだ。しかし、ある大雨が降った日に、たくみは川に流されていた猫目小僧を右手を開いて助けた。これで母親が地獄行きとなってしまったと泣きじゃくるたくみだったが、実は猫目小僧を引き上げるとそこには母親がいたのだった。たくみが言うところの化け物を助けなければ母親が死んでいたのである。こうした高度な人間ドラマが、ファンを中心とした多くの読者を感動させたのだった。

『猫目小僧』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

圧倒的なホラー描写が展開される『猫目小僧』

妖怪に正体を現して不気味に笑う多由(左)とミツグ(右)

ホラー漫画の第一人者である楳図かずおは、自作品の作風を何度か変化させた漫画家である。その結果、彼は息の長い活動を展開することができた。一般的に楳図が漫画家としてブレイクしたのは、1960年代中盤だと言われている。『へび少女』や『紅グモ』といった視覚的な恐怖をダイレクトに描いた作品群は、掲載された『週刊少女フレンド』をはじめ少女漫画界におけるエポックメーキングと評されている。そして、同時期に発表された『猫目小僧』は、少年漫画界に本格的なホラー要素を持ち込んだのだった。『猫目小僧』の絵柄は、少女漫画とは一線を画した太く陰鬱な描線で表現されており、ホラー漫画を一大ジャンルに押し上げた。

時代と共に変化した猫目小僧の容姿

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