猫目小僧(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『猫目小僧』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。1967年から1968年まで『少年画報』、1968年から1969年まで『週刊少年キング』で連載され、1976年に『週刊少年サンデー』 に短編4話が掲載された。メディアミックスとしてテレビアニメ版と実写映画版がある。人間に近い風貌をした主人公の妖怪、猫目小僧が人間と妖怪双方に忌み嫌われながらさすらいの旅を続け、行く先々で奇怪な事件に巻き込まれる様子を描いたホラー作品であり、楳図の代表作の1つとして知られている。

目次 - Contents

楳図かずおゴシックホラー珠玉作品集2『ねこ目小僧少年画報版』表紙

『猫目小僧』は、『少年画報』と『週刊少年キング』に連載された1967年から1969年までのバージョンと、1976年に『週刊少年サンデー』に連載されたバージョンが存在する。『週刊少年キング』版と『週刊少年サンデー』版との間には、約7年のインターバルがあるので、絵柄の変化を楽しむことができる。特に、主人公の猫目小僧にいくつかの相違点が見受けられることで、マニア受けする作品でもあるのだ。例えば、『少年画報』版の猫目小僧は、他のバージョンよりも目が細く、より猫に近い印象を与えている。また、『週刊少年キング』版の猫目小僧は、足の爪を生かした攻撃をするために、靴を履かずに爪が露出したボロボロの靴下を履いていた。さらに、『週刊少年サンデー』版の猫目小僧は、それまでの猫目小僧が口唇口蓋裂のように割れた上唇をしていたのに対して、人間の唇に近い形をしている。こうした細かいビジュアルの違いが、マニアの考察対象になったと言われている。なお、『少年画報』版と『週刊少年サンデー』版の猫目小僧が、どちらかというと傍観者ポジションであるのに対して、『週刊少年キング』版の彼は、事件に介入していくややヒーロー然としたキャラクターに描かれている。

全編切り紙アニメーションで制作された『妖怪伝 猫目小僧』

『妖怪伝 猫目小僧』DVD-BOXジャケット

『猫目小僧』は、『妖怪伝 猫目小僧』というタイトルで、1976年4月1日から同年9月30日までテレビアニメ版が全24話放映された。アニメ版の大きな特徴は、セル画を用いたコマ撮り撮影ではなく、絵を切り抜いた平面的なパーツを平らな台の上で動かし撮影した切り絵アニメーション作品という点である。劇画調の紙芝居が動いているかのような同作品は、「ゲキメーション」と呼ばれた。『妖怪伝 猫目小僧』は、カルト的な人気を博し、1977年に第10回富士フイルム技術賞を受賞した。なお、アニメ版は原作漫画とは違い、ほぼアニメオリジナルのストーリーが展開された。主人公の猫目小僧は、ヒーロー的な位置付けがなされ、本当の母親を捜す旅をしながら、行く先々で出会った人々を脅かす妖怪を退治するというのがストーリーの骨子である。『妖怪伝 猫目小僧』は、dアニメストアで全話鑑賞することができる。

『妖怪肉玉』の要素が取り入れられた『猫目小僧』実写映画版

『猫目小僧』実写映画版DVDジャケット

『猫目小僧』のもう1つのメディアミックスは、実写映画版である。同作品の実写映画版は、2006年6月10日に公開され、DVDも発売された。脚本をNHK『中学生日記』で知られる安田真奈が担当し、監督を『片腕マシンガール』を大ヒットさせた井口昇が務めた。猫目小僧は着ぐるみであり、担当声優は『クレヨンしんちゃん』で野原しんのすけ役(初代)で有名な矢島晶子が演じた。実写映画版は、完全オリジナルストーリーだが、竹中直人演じる妖怪ギョロリが人間を肉玉にする能力を持っており、原作漫画の『妖怪肉玉』の要素が取り入れられた。

『猫目小僧』の主題歌・挿入歌

『妖怪伝 猫目小僧』OP(オープニング)主題歌:堀江美都子、コロムビアゆりかご会「猫目小僧」

『妖怪伝 猫目小僧』のOP主題歌は、堀江美都子とコロムビアゆりかご会が歌う「猫目小僧」である。作詞・作曲はシンガーソングライターとしての顔も持つ同作品の原作者、楳図かずおが担当し、編曲は渡辺宙明が務めた。楳図かずおの独特な言語センスが生かされた歌詞と、ヒーローものを意識した明るい曲調、そして堀江美都子の伸びやかで美しいボーカルが渾然一体となったサウンドは隠れた人気がある。

『妖怪伝 猫目小僧』ED(エンディング)主題歌:堀江美都子「みろよ!この目を」

『妖怪伝 猫目小僧』のED主題歌は、堀江美都子が歌唱する「みろよ!この目を」である。作詞が原作者の楳図かずお、作曲・編曲を渡辺宙明が担当した。猫目小僧を励ますような歌詞と応援歌のような曲調、そして堀江美都子の素晴らしいボーカルを堪能できる名曲である。

『猫目小僧』実写映画版主題歌:浅草ジンタwith楳図かずお「猫目小僧」

『猫目小僧』実写映画版の主題歌は、アニメ版の「猫目小僧」のリバイバル版である。歌唱・演奏は、浅草を拠点に活動するバンド浅草ジンタが担当し、作詞作曲者の楳図かずおもボーカルとして参加している。

drivemycar_228
drivemycar_228
@drivemycar_228

Related Articles関連記事

漂流教室(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

漂流教室(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『漂流教室』とは、1972年から1974年まで『週刊少年サンデー』にて連載された楳図かずおによるSF漫画作品。公害と「時間を越えた母子の愛」がテーマになっている。小学6年生の高松翔が通う大和小学校が、ある日大きな爆音と揺れに襲われる。揺れが収まり門の外を見てみると、荒廃した大地が広がっていた。生徒のみならず教師までもパニックに陥り次々と死んでいく。環境破壊によって滅びた未来の世界に放り込まれた子供たちは、なんとか生き延びようと様々な困難に立ち向かう。

Read Article

洗礼(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

洗礼(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『洗礼』とは、楳図かずおによる漫画。『週刊少女コミック』誌上にて、1974年から1975年まで連載された。ホラー漫画の巨匠として有名な楳図かずおは、異形のものの怖さを直接的に表現する作風を得意としている。『洗礼』においてもそのようなシーンは見られるものの、人間の深層心理の不気味さを独特なストリーテリングで描かれていることが大きな特徴で、キャリア中期の代表作の1つとして高評価されている。かつて美貌を誇った大女優が、恐ろしい方法で実の娘に自分の人生を託す様子を描いたホラー作品である。

Read Article

わたしは真悟(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

わたしは真悟(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『わたしは真悟』とは、楳図かずおによる漫画。1982年から1986年まで『ビッグコミックスピリッツ』誌上にて連載された。恐怖漫画の第一人者楳図かずおが、来るべき近未来を描いた長編SF作品であり、連載終了後もラジオドラマ化やミュージカル化されるなどの大ヒットを記録した。また、楳図かずおの1980年代の代表作としても知られている。ともに小学6年生である近藤悟と山本真鈴の淡い初恋と、2人の行動の影響で自我を持つに至った産業用ロボットを中心にしてストーリーが展開される。

Read Article

まことちゃん(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

まことちゃん(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『まことちゃん』とは、楳図かずおによる漫画。『週刊少年サンデー』にて1976年から1981年まで連載された。続編的な位置付けの『超!まことちゃん』も存在する。恐怖漫画家の楳図かずおが、ホラーの手法を用いつつもハイテンションのギャグを生み出したことで大ヒットを収め、『がきデカ』と共に1970年代を代表するギャグ漫画として認知されている作品である。幼稚園児の主人公沢田まことが、通っている聖秀幼稚園や沢田家などで大騒動を巻き起こす様子と、それに巻き込まれた人々が描かれている。

Read Article

おろち(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

おろち(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『おろち』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。『週刊少年サンデー』誌上にて、1969年から1970年まで連載された。2008年には、実写映画版が公開されている。同作品の特徴は、視覚的な恐怖描写よりも人間の深層心理の不気味さを克明に描いた点にあり、サイコサスペンスものの先駆けとして人気が高い。『おろち』は、謎の美少女おろちを狂言回しにして、数々の人間の暗部がドラマとして紡がれていくオムニバスホラー作品である。

Read Article

へび少女(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

へび少女(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『へび少女』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。1966年に、『週刊少女フレンド』誌上にて連載された。楳図かずおは、恐怖漫画の第一人者であるが、同作品が彼の出世作として知られている。少女が蛇に変身していく様が徹底したホラー描写で描かれており、多くの読者に強烈なインパクトを与えた。『へび少女』は、銃でうわばみを撃った祖父を持つ主人公の少女が、継母としてやって来たへび女の復讐によって、蛇に変身していく。そして、主人公の親友姉妹が、彼女を助けるために活躍するという物語である。

Read Article

神の左手悪魔の右手(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

神の左手悪魔の右手(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『神の左手悪魔の右手』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。『ビッグコミックスピリッツ』にて1986年から1988年まで連載された。メディアミックスとして2006年に実写映画版が公開されている。数多い楳図作品の中でも圧倒的なスプラッター・ゴア描写が展開されることで知られており、多くの読者に衝撃を与えたといわれている。同作品は、主人公の少年・山の辺想を狂言回しにして、彼の周辺で起きる恐怖現象や惨劇を描いたオムニバスホラー漫画である。

Read Article

目次 - Contents