Snow Patrol(スノウ・パトロール)の徹底解説まとめ
「Snow Patrol」とは1994年結成の北アイルランド人とスコットランド人によるロックバンド。現メンバーには、ボーカル兼ギターのギャリー・ライトボディを中心に、ネイサン・コノリー(ギター)、ジョニー・マクデイド(キーボード、ギター)で構成されている。2003年発表のアルバム『Final Straw』で商業的成功を収めたほか、2006年発表のアルバム『Eyes Open』に収録された楽曲「Chasing Cars」が世界的にヒット。感情豊かなメロディーと歌詞で幅広い年齢層に支持されている。
Snow Patrolの概要
「Snow Patrol」(スノウ・パトロール)とは、ギャリー・ライトボディ(ボーカル、ギター)、ネイサン・コノリー(ギター)、ジョニー・マクデイド(キーボード、ギター)から構成されるスコットランドのロックバンドだ。
1994年にバンドを結成し、1998年に1stアルバム『Songs For Polarbears』をインディーズレーベルからリリース。2001年までシングルやアルバムをリリースするも全てチャートが100位以下だった。しかし、2003年にメジャーレーベルのポリドールに移籍し、同年に3rdアルバム『Final Straw』をリリース、これが全英チャートで3位にランクイン。シングル「Run」がラジオなどで流れることとなり、イギリスとアメリカで一躍有名となった。
音楽ジャンルとしてはオルタナティヴ・ロック若しくはパワー・ポップ。ギャリー・ライトボディの実体験をもとにしたラブソングなどを丸みのある渋い歌声で歌い上げ、人生観なども歌詞に反映されていることもあり、特に若いファンの共感を呼んでいる。
2006年にはアルバム『Eyes Open』をリリースし、収録曲の「Chasing Cars」がアメリカで放送されたテレビドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』で起用されたことで、ビルボードチャート5位にランクイン。同曲はオーストラリアとシンガポールのチャートでも1位に輝き、人気を確実なものとした。
日本でもフジテレビ『テラスハウス』エンディング曲として起用され、2007年には映画『スパイダーマン3』にシングル「Signal Fire」を提供するなど世界的に有名なロックバンドへと成長。2019年には8月16日から8月18日にかけて開催された「SUMMER SONIC 2019」にも出演。8月16日にアコースティック・セットでのライブを行った。また、8月19日には単独公演「SNOW PATROL(ACOUSTIC)SUMMER SONIC EXTRA」として、渋谷CLUB QUATTROに登場。圧巻のパフォーマンスを披露し、会場が大きな熱気に包まれた。
2023年9月にはドラムのジョニー・クインとベーシストのポール・ウィルソンが脱退したが、残ったギャリー・ライトボディとネイサン・コノリー、ジョニー・マクデイドで活動を継続することを決定した。
Snow Patrolの活動経歴
Snow Patrolの原点
Snow Patrolのフロントマンでありボーカル、ギターを担当するギャリー・ライトボディは、アイルランド出身の詩人・著作家であるシェイマス・ヒーニーの作品に影響を受け、詩や歌詞などを書き始める。
スコットランド東海岸の街であるダンディー、その中心部にメインキャンパスを置くダンディー大学に在籍中の1994年に、同じ大学に通うメンバーと意気投合してバンド「Polarbear」を結成。同名のバンドが既に存在していたことからSnow Patrolへと改名した。
ギャリー・ライトボディがバンドの作詞・作曲を多く手掛け、シェイマス・ヒーニーに影響を受けたであろう歌詞が多くあることでも知られている。ロマンチックな恋愛曲も多く、UKロックとスコットランド音楽が融合した独特な曲調で多くの人を魅了している。
バンド結成からデビューまで
ボーカルのギャリー・ライトボディが英文学を学ぶため、1994年にスコットランド東海岸の街であるダンディーのダンディー大学へ進学。アイスホッケー選手として試合出場するなど一見バンド活動とは縁がないように思われたが、同大学に通うマーク・マクレランド(ベース、キーボード、ピアノ)、マイケル・モリソン(ドラム)と出会い意気投合したことによってバンドShrugを結成。アメリカに同バンドがいたためPolarbearへ改名したが、その直後にマイケル・モリソンが脱退している。
1997年にはPolarbearという同名バンドとの衝突を避けるために、Snow Patrolへとバンド名を再び変更。この時期にマイケル・モリソンが脱退し、ジョニー・クインがドラマーとして加わった。1998年には1stアルバム『Songs For Polarbears』をインディーズレーベルのジープスターからリリースし、精力的な活動を続けていたが、レーベルからのサポートなどが得られず商業的な成功には至らなかった。
2003年にはメジャーレーベルのポリドールに移籍。2004年に3rdアルバム『Final Straw』をリリースしてメジャーデビューを果たした。なお、この時期にネイサン・コノリーがギタリストとして加入している。
アルバム『Final Straw』がアメリカとイギリスでヒット
Snow Patrolは2004年に3rdアルバム『Final Straw』をリリースしており、これがアメリカで50万枚、イギリスでは150万枚以上も売り上げるヒットを記録。最終的には5回のプラチナ認定を受けた。
しかしながら、2005年3月にはメンバーとの人間関係が悪化したことを理由に、マーク・マクレランドが解雇される形で脱退。その後任としてポール・ウィルソン(ベース)が加入、4月には長年サポートキーボーディストとして帯同してきたトム・シンプソン(キーボード、ピアノ、サンプリング)が正式にメンバーとして加入している。
同年には、モンスターバンドU2のヴァーティゴ・ツアーのオープニングアクトを務めたほか、ロンドンで開催された世界規模の慈善コンサート「ライブ8」において、ショートセットでパフォーマンスを行った。
その後、2003年8月10日からはアルバム『Final Straw』を引っ提げた2年間のライブツアー「Final Strawツアー」を敢行。イギリスやアイルランド、北アメリカ、ヨーロッパなどでライブを行い、2005年7月23日まで合計223日にわたって各会場を盛り上げた。
アルバム『Eyes Open』で世界的な認知を獲得
2006年には4thアルバム『Eyes Open』をリリース。収録曲でもあるシングル「Chasing Cars」が、アメリカで放送されていた人気テレビドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』で起用されたこともあり、ビルボードチャートで5位にランクイン。
イギリスでもシングルチャート6位にランクインした。同アルバムは150万枚を売り上げ、2006年11月26日には同年の最も売れたアルバムとなっている。
同アルバムをタイトルにしたツアー「Eyes Openツアー」も、2006年2月14日から2007年9月22日にかけて実施。初めてニュージーランドやメキシコ、東南アジアの各国で初ライブを行ったが、ギャリー・ライトボディの喉の問題と、ポール・ウィルソンの肩の負傷などにより、多くの公演キャンセルがでたため、大成功には至らなかった。
ジョニー・クインとポール・ウィルソンが脱退
4thアルバム『A Hundred Million Suns』、5thアルバム『Fallen Empires』、6thアルバム『Wildness』、2013年には『Greatest Hits』、2019年にはリワーク・バージョンのアルバム『Reworked』をリリース。
その間には2008年10月26日からのワールドツアー「Taking Back the Citiesツアー」や、2009年11月18日からの「Reworkedツアー」、2012年1月20日からの「Fallen Empiresツアー」、2019年からの「Wildnessツアー」などを行っており、順風満帆かと思われたが、2023年9月1日にジョニー・クインとポール・ウィルソンが脱退することを、ギャリー・ライトボディがInstagramで発表。
その後、残されたギャリー・ライトボディとネイサン・コノリー、ジョニー・マクデイドの3人でバンドを継続することや、2024年に7thアルバム『The Forest Is the Path』をリリースすることも発表された。
ジョニー・クインとポール・ウィルソンの脱退理由は詳しく明かされていないが、ギャリー・ライトボディは「バンド離れると決めたことをとても悲しく思う。それでも彼らには幸せ・成功・喜びなど、望むもの全てが訪れるように、それしか願っていない」といったコメントを残しており、仲たがいなどではないことが示されている。
Snow Patrolのメンバー
現メンバー
ギャリー・ライトボディ(Gary Lightbody)
ボーカル兼ギターを担当。1976年6月15日生まれ、北アイルランドバンガー出身。学生時代に同じくアイルランド出身の詩人・著作家であるシェイマス・ヒーニーの作品に影響を受け、詩や歌詞などを書き始めた。この詩や歌詞を書いていたことが、今のSnow Patrolの歌詞にも反映され、ファンの心に訴えかける感情的な内容となっている。
丸みを帯びた渋い声が若い女性の支持も得て、幅広いファンを獲得。イギリスの有名バンドU2からもボーカルの力量などが認められ、ツアーのヨーロッパ・ツアーの前座も務めるに至っている。
ネイサン・コノリー(Nathan Connolly)
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目次 - Contents
- Snow Patrolの概要
- Snow Patrolの活動経歴
- Snow Patrolの原点
- バンド結成からデビューまで
- アルバム『Final Straw』がアメリカとイギリスでヒット
- アルバム『Eyes Open』で世界的な認知を獲得
- ジョニー・クインとポール・ウィルソンが脱退
- Snow Patrolのメンバー
- 現メンバー
- ギャリー・ライトボディ(Gary Lightbody)
- ネイサン・コノリー(Nathan Connolly)
- ジョニー・マクデイド(Johnny McDaid)
- 旧メンバー
- マーク・マクレランド(Mark McClelland)
- トム・シンプソン(Tom Simpson)
- ポール・ウィルソン(Paul Wilson)
- ジョニー・クイン(Jonny Quinn)
- Snow Patrolのディスコグラフィー
- シングル
- 『Little Hide』
- 『One Hundred Things You Should Have Done in Bed』
- 『Velocity Girl/Absolute Gravity』
- 『Starfighter Pilot』
- 『Ask Me How I Am』
- 『One Night Is Not Enough』
- 『Spitting Games』
- 『Run』
- 『Chocolate』
- 『How to Be Dead』
- 『You're All I Have』
- 『Chasing Cars』
- 『Hands Open』
- 『Set the Fire to the Third Bar(featuring Martha Wainwright)』
- 『Open Your Eyes』
- 『Shut Your Eyes』
- 『Signal Fire』
- 『Take Back the City』
- 『Crack the Shutters』
- 『If There's a Rocket Tie Me to It』
- 『The Planets Bend Between Us』
- 『Just Say Yes』
- 『Called Out in the Dark』
- 『This Isn't Everything You Are』
- 『New York』
- 『In the End』
- 『Lifening』
- 『The Lightning Strike(What If This Storm Ends?)』
- 『Don't Give In』
- 『Life on Earth』
- 『What If This Is All the Love You Ever Get?』
- 『Empress』
- アルバム
- 『Songs for Polarbears』
- 『When It's All Over We Still Have to Clear Up』
- 『Final Straw』
- 『Eyes Open』
- 『A Hundred Million Suns』
- 『Fallen Empires』
- 『Wildness』
- 『The Forest Is the Path』
- コンピレーション・アルバム
- 『Up to Now』
- 『Greatest Hits』
- 『Reworked』
- DVD
- ライヴ・アット・サマセット・ハウス
- Snow Patrolの代表曲とミュージックビデオ(MV/PV)
- Chasing Cars
- Run
- Chocolate
- Signal Fire
- You're All I Have
- Take Back the City
- Called Out in the Dark
- Snow Patrolの名言・発言
- ギャリー・ライトボディ「ウィンストン・チャーチルが鬱を『自分の中の黒い犬』と表現した。僕はそういう獣と一緒に生きていたんだよ。恐怖を克服する唯一の方法は、それに向き合って、打ち解けるっていうこと。そうすれば自分が脅かされることはないからね」
- ギャリー・ライトボディ「6年間というのはアルバムのリリース間隔としては途方もない長さだけど、ファンのみんながいつなの?と聞いてくれることは、僕らにとってはすごく有り難いことだ」
- ギャリー・ライトボディ「自分がみんなを変えるんじゃない。みんなに自分を変えてもらうんだ」
- ギャリー・ライトボディ「ほかのアーティストにアドバイスをするとしたら、自分の楽曲に対する評価を読まないことだ」
- Snow Patrolの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 日本での人気獲得のきっかけは『テラスハウス』
- Snow PatrolはU2の正統後継者
- メタルバンドを聴いていた10代のギャリー・ライトボディ
- ギャリー・ライトボディがテイラー・スウィフトと共演