ラブ★コン(漫画・映画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラブ★コン』とは『別冊マーガレット』にて2001年から2006年まで連載された中原アヤ原作の漫画およびそれを原作としたアニメ、ゲーム、ドラマCD、実写映画作品である。舞台は大阪の高校、舞戸(まいど)学園。高身長で明るい性格の小泉リサは、入学当初から犬猿の仲である大谷敦士と学園のオール・阪神巨人と呼ばれ名を馳せていた。漫才風の泉州弁で高校生活の模様がコミカルに描かれている。小泉を中心に身長、男性恐怖症、へたれ、それぞれコンプレックスを抱えた高校生たちが織りなす笑って泣ける青春ラブコメディ。

『ラブ★コン』の概要

『ラブ★コン』とは『別冊マーガレット』にて2001年から2006年まで連載された中原アヤ原作の漫画およびそれを原作としたアニメ、ゲーム、ドラマCD、実写映画作品である。2003年に第49回小学館漫画賞少女向け部門を受賞。作者である中原アヤの出身地が大阪であることから、作中でも泉州弁が使われている。また中原自身が洋服の作画を得意としていることから、『ラブ★コン』の舞台である舞戸学園も私服の高校である。描かれるファッションやヘアメイクは、当時の流行を取り入れたものが多く同年代の読者がこぞって真似していた。
2006年には実写映画化され、日本国外にも展開。実写映画では変更している点がいくつかあり、リサと大谷の身長が170cmと159cmにそれぞれ変更している。また映画オリジナルキャラクターとして、南海キャンディーズが出演。原作ではリサの弟だった隆人をリサの姉、理恵に変更し山崎静代が演じた。また理恵の彼氏として山里亮太も出演。それぞれ役を演じた。原作でリサ達の担任を務めた中野清司は、映画オリジナルキャラクターとして臼井先生(温水洋一)が担任になっている。その他にも映画の中尾は高校のバスケ部には所属しておらず、実家がお金持ちである描写があり、鈴木、千春はそれぞれ眼鏡をかけている。原作では登場していたキャラクター遥、聖子、美々、小堀などは登場していない。
その後2007年にはTBSにてテレビアニメが放映されている。アニメでは原作の内容がかなり省略されており、シリーズ構成の関係上7話までは省略された部分のエピソードは時系列関係なく随所に盛り込まれた形になっている。7話以降は原作の1話ごとに構成されているが、24話と決められた中で高校3年間を描かなければならなかったため後半にフォーカスをおいてストーリーを構成。そのため、割愛された原作のエピソードも多々存在する。
聖子のシーンを中心に下ネタなどを別表現に置き換えたり、シーンカットされている。逆にアニメの特徴を活かし、リサたちの言動が原作よりもオーバーに表現されている演出もある。学園祭でのリサのお化けシーンは、効果音等を使いより恐怖感を演出していた。またアニメでのリサと大谷の初デート先はゲームセンターではなく、世界陸上200x大阪が行われていた長井陸上競技場に変更。開催期間に合わせており、リサと大谷は男子ハンマー投げ決勝実施日である8月27日に行っている。美々との出会いも初デート時に変更されている。
また『ラブ★コン』は、胸がときめいて心臓が止まってしまいそうになる際に使われる「キュン死に」というワードを世に広めた作品でもある。大阪、舞戸学園1年生である主人公・小泉リサは、身長170cmの高身長女子。入学当初から犬猿の仲である大谷敦士は身長156.2cmと男子の中でも小柄。2人が並ぶと凸凹コンビに見え、さらに喧嘩の模様がまるでコントのようであることから周囲からは学園のオール・阪神巨人と呼ばれていた。ある日大谷からお互いの好きな人を遊びに誘うことを条件にトリプルデートの話を持ちかけられる。計画実行のため、2人はタッグを組むが見事に失恋するリサと大谷。その後2人の相性が100%だったことが判明し、それをきっかけにリサは徐々に大谷に想いを寄せていく。凸凹な身長が原因で拒否されるも一途に大谷を想い続けるリサが、恋に奮闘する模様をコミカルに描いている。主人公を取り巻くキャラクターたちにも男性恐怖症、へたれといったコンプレックスがあり、それぞれの物語も展開。コント調のコミカルな世界観の中で、恋に将来に揺れ動く高校生たちの心情を丁寧に描く、笑って泣けてキュン死にする青春ラブコメディである。

『ラブ★コン』のあらすじ・ストーリー

『ラブ★コン』

大谷に惹かれていくリサ

高身長女子である小泉リサ(こいずみ りさ)は、小柄な男子・大谷敦士(おおたに あつし)とは高校入学当初から犬猿の仲にある。しかし喧嘩をする2人の姿がまるで漫才のようであった事から、クラス担任から「オール・阪神巨人」と命名されてしまい、以来セットとして扱われるようになってしまう。そんなある時、大谷がリサの友人・田中千春(たなか ちはる)が好きであった事、高身長男子・鈴木涼二(すずき りょうじ)の事をリサが気にしている事を機に、2人はお互いの想い人とくっつく為に協力し合う仲となる。
だが鈴木と千春の2人が想い合っていた事から、最終的に2人の恋は玉砕。リサと大谷は代わりに2人の恋を応援し、仲を取り持つ。この出来事を通して、言い争っている時とは違う大谷の姿を見たリサは少しずつ大谷に惹かれていくようになる。
そんなある時、大谷の前に彼の元カノ・神崎真由(かんざき まゆ)が現れる。大谷に話したい事があるという真由。そんな彼女に心揺れ動かす大谷の姿に、リサは彼が真由とよりを戻したがっているのではないかと考える。だが結局、真由が話したかった事は「大谷と別れたのは身長のせいじゃない」という話で、大谷が彼女とよりを戻せる隙間は一ミリもなかった。リサの予想通り彼女とよりを戻せるのではないかと期待していた大谷だったが、むしろすっきりしたと真由からの話に笑うのだった。

再会と新たな出会いによる自覚

大谷の元カノとの再会後、今度はリサが海外から帰国した幼馴染・深川遥(ふかがわ はるか)と再会する。小学生の頃リサに助けられた過去からリサを慕っていた遥は、リサが通う高校・舞戸学園(まいどがくえん)へ編入までし、リサに猛アピールを開始する。だが大谷を気になっていたリサはその全てを断る。
さらに2年生に進級してからしばらくしたある日、今度は寿聖子(ことぶき せいこ)という名の少女がリサと大谷の前に現れる。聖子は大谷に一目惚れをし、猛アタックを開始。大谷は困惑しつつも、友達からならと聖子との付き合いを了承してしまう。リサはそんな彼に呆れるも、リサ自身聖子に懐かれている部分があった為、冷たくあしらう事もできなかった。
そんなある日、リサは聖子が「聖子郎(せいしろう)」という名の少年である事を知る。ちょうどそのタイミングで聖子に迫られていた大谷も彼の正体を知る。聖子はそれでも大谷に猛アタックをするが、大谷の態度は以前よりも固くなってしまう。「男だから気持ち悪がられたんだ」とショックを受ける聖子。しかしそれは勘違いで、大谷はただ男だから驚いただけで、気持ち悪くも嫌いにもなったわけではなかった。誤解が解けた聖子は、再び元の明るさを取り戻す。聖子の事を心配していたリサも安堵する。だがその時、聖子から「身長なんか気にしてたら恋なんかできない」と言われる。聖子はリサの大谷への想いに気づいていたのだ。聖子の言葉にリサは自分の中にある恋を自覚する。

リサの告白大作戦

大谷への想いを自覚したはいいものの、オール・阪神巨人の関係性から抜け出す方法が思いつかず悩むリサ。そんなリサを見かねたリサの友人・石原信子(いしはら のぶこ)とその彼氏・中尾平吉(なかお へいきち)は、鈴木と千春も巻き込んでリサの恋を応援しようとする。だがそれは上手くいかず、それどころかリサに好きな人がいると知った大谷から応援される始末となる。その後も勢いでリサが大谷に告白する事件が起こるが、大谷は友達としての好きと勘違いして終わる。
ショックを受けたリサはその怒りを学園祭の準備や当日の出し物への頑張りに変えるが、気持ちは昇華されず学祭終了後に泣き出してしまう。リサを心配する大谷。しかし微塵も自分の事を恋愛対象として見ない大谷に悲しくなったリサは、再び勢いで告白する。そこでようやく大谷もリサの想い人が自分だと気づく。だがリサの事をそういう目で見れなかった大谷は、その後の修学旅行にてリサをフる。大谷にフラれたリサは失恋の悲しさから、信子と中尾の前で泣いてしまう。

小泉の失恋と事故チュー

大谷にフられたリサは、修学旅行を楽しむ事でなんとか立ち直ろうと決める。大谷にも今まで通りの関係に戻ろうと宣言。再び友人関係に戻る。その後、旅行中に大好きなアーティスト・海坊主(うみぼうず)と出会った2人は思いがけぬ幸運に喜ぶ。こうして失恋の傷を残しながらも、リサの修学旅行は最高の出会いと共に終わりを迎える。
しかしそれからしばらくしたある日、リサと大谷が事故チューをする事件が発生する。その時、リサは体調を崩していた大谷の見舞いにきていた。体調の悪さが限界に達して意識を失い、倒れた大谷との事故チューをしてしまったリサ。後日、リサは大谷から見事風邪を貰ってしまうが、大谷の方はリサが見舞いに来てくれた事実以外は何も覚えていなかった。そんな大谷にリサは怒りを覚えるのだった。

大谷の自覚

新学期になり3年生に進級したリサ達。すると彼女達の新たな副担任として、イケメン教師・舞竹国海(まいたけ くにうみ)ことマイティが赴任してくる。リサは自分の好きな恋愛ゲームの登場人物に似ていた事から、舞竹の大ファンになる。
そんなある日、リサは大谷から事故チューの直前、彼がリサについている米粒を取ろうとしていた事を知る。大谷がリサの方へ倒れてきたのは、そういう理由があったのだ。女として見てもらえない悔しさを覚えたリサは、大谷に無理やりキスをする。そしてそのキスを最後に、今度こそ彼を好きでいることをやめようと決意する。
大谷への想いを昇華する為、どんどんと舞竹にのめり込んでいくリサ。ついには舞竹のファンクラブも立ち上げる。そんなリサの様子に、大谷はもやもやとし始める。すると2人の様子に気づいた舞竹が、リサにちょっかいを出す事態が発生する。それに激怒した大谷は「こいつが好きなのは自分だ」と舞竹を威嚇する。大谷のまさかの行動に、再びリサの中の恋心は揺れる事となる。その後リサは、大谷の希望でファンクラブを辞める。また同時期舞竹に婚約者がいる事が判明し、クラブそのものが解散となる。
それからしばらくしたある日、バスケ部だった大谷の部活動最後となる大会が行われる。だが初戦が昨年の優勝校に決まったせいで、大谷は戦意を喪失してしまう。それを見たリサは大谷を一喝。自分の応援に必死になるリサの姿に戦意を取り戻した大谷は、仲間達と試合に挑む。結果は敗退だったが、大谷は自分にはリサが必要だと自覚する。そしてその事をリサに告げるが、大谷の応援グッズ作りで徹夜をしていたリサは、眠気に負けて寝てしまっていた。大谷の想いはリサには届かず終わる。

大谷の告白大作戦

大会が終わり、バスケ部を引退した大谷。しかし後日夏期講習中に、大谷が試合後にリサに告げた言葉が仲間内で話題にあがる。しかしその一言を巡って大谷とリサは喧嘩をしてしまう。それからまたしばらくが経った頃、開催されたリサの誕生日パーティーにて、リサは大谷からうさぎのネックレスをプレゼントされる。リサは驚きながらも、改めて自分の中にまだある大谷への思いを自覚し、それを告げる。その話を聞いた大谷はリサにキスをする。再び驚くリサだったが、その後、大谷と互いの思いを確かめ合うように改めてキスをする。
だが「付き合う」という明確な言葉が交わされなかった事で、交際そのものは始まっていなかった。後日、改めて大谷の方から「友達と思っている相手にキスはしない」と告げ、リサと大谷はようやく恋人として付き合う事となる。
だが大谷と彼女になれたはいいものの、それを意識してしまうがあまりにリサは空回りした行動を取ってしまうようになる。彼女らしい自分になれずに落ち込むリサだったが、大谷とのデート中に遭遇した真由に大谷がリサの事を「彼女」と紹介した為、彼女としての自信を取り戻す。そうして後日改めて、周囲の仲良しメンバーにも大谷と付き合い始めた事を明かすのだった。

美少女ライバル・美々の来襲

2学期を迎えたある日、リサは大谷の幼馴染・吉岡美々(よしおか みみ)と遭遇する。大谷は美々にリサを「彼女」と紹介するが、大谷に想いを寄せていた美々はそれに激怒する。そのまま勢いで大谷に告白する美々。大谷はそこで初めて美々の気持ちを知る。
後日、リサは舞戸学園の校門で大谷を待っている美々と遭遇する。大谷に勢いで告白をしてしまった美々はその事を気にしていた。しかしリサが大谷の事を「アホ」と言った瞬間、それを悪口と取った美々は激怒し、リサに掴みかかってしまう。さらにその瞬間を大谷に目撃される。ショックから、以降美々は大谷を避けるようになる。そんな彼女の姿にリサは、かつて大谷にフラれた頃の自分を重ねて見るようになり、仲間意識を抱き始める。そこでリサは、後日改めて自分のもとにやってきた美々に、正々堂々と大谷に告白するよう諭す。そうして大谷を巻き込み3人ででかけるが、そこで美々はリサといる大谷が自分が見てきた大谷とは違う事に気づく。大谷の新たな一面を知った美々は戸惑うが、同時に2人の絆の深さを知り自分の負けを認めるのだった。

迫りくる進路問題

美々の来襲からしばらく、幾度かのすれ違いや喧嘩をする事はあるものの、自分達なりの恋人としての関係を築いていくリサと大谷。しかし学園祭が終わり、進路を決める時期に突入した頃からリサは焦りに見舞われる事になる。大学受験や自身の進路に向けて着実に準備を始める周囲の友人達。大谷も将来は教師になり生徒達にバスケを教えたいという夢から、大学受験の為、塾に通い始める。受験勉強回避の為に専門への進学を考えていたリサは、大谷を応援しつつも進路が異なる事に寂しさを覚える。そこでそれを振り払う為、バイトを始める。だが初めてのバイトは上手くいかない事ばかりで、ついに思い詰め過ぎた結果大谷の前で倒れてしまう。リサの調子の悪さを知った大谷は彼女を一喝。それによりリサはいつもの調子を取り戻すのだった。

別れの危機

バイトを始めてしばらくしたある日、リサはバイト先の後輩・小堀和希(こほり かずき)と海坊主をきっかけに仲良くなる。一方大谷の方は、受験勉強の成果が成績に反映されず悩んでいた。ある日それをリサに八つ当たりしてしまい、反省した大谷はバイト先へリサを迎えに行く。しかしそこで小堀がリサにキスしているのを目にする。リサはすぐに大谷に弁解。誤解は解けるが、小堀がリサに気がある事は確かな為、大谷は2人では会わないようにとリサに釘をさす。しかし危機感を持てないリサは、小堀と海坊主のライブに行ってしまう。それを大谷に目撃され、「しばらく距離を置こう」と言われる事となる。
大谷と別れたくないリサは、大谷と仲を修復する為祭りに誘う。だが当日は台風で失敗。作った半纏とはちまきもどこかへ飛ばされてしまう。そのままクリスマスを迎える事となる。リサはバイトのクリスマス会に参加するが、大谷を思い出し、その場を抜け出す。
一方、大谷は受験勉強の追い込みとリサが気がかりでやつれていた。だがその時。大谷の母からリサが作ったと思われる半纏とハチマキを渡され、リサのもとへと駆け出す。その後、街中で再会した2人は改めてお互いの想いを確認しあい、キスを交わすのだった。

信子中尾カップル事件

3学期に入ったある日、信子が急遽進路を北海道の短期大学に変更する事態が発生する。理由は、祖母の体調不良により信子も一緒に帰省するためだった。リサ達は遠距離恋愛になってしまう信子と中尾の事を心配するが、いつも通りな様子の2人に何も言えなくなってしまう。しかしある日、実は中尾の方は遠距離恋愛に不安を抱えていた事が判明する。「信子が困るから絶対に言わない」と中尾は言うが、それを立ち聞きしていた信子は困惑から泣き出してしまう。実は信子の方も祖母の傍にいたい反面、中尾とも離れたくないという思いで揺れていたのだ。
そんな信子の思いを察した中尾はある日、信子が何も気にせずに北海道へ行けるよう友人達に協力をして貰い、「自分には愛人が3人いるから自分の事など忘れるがいい」という茶番劇を繰り広げる。中尾の気持ちを察した信子は北海道行きを決める。
後日、信子の受験当日。北海道へ飛び立つ空港に中尾は遅れて到着する。「いってらっしゃい」と自分を見送る中尾に信子は、かつて彼がくれたピアスをつける為に、耳に穴を開けた事を伝える。中尾のことを忘れない為に開けたという信子を中尾は抱きしめる。こうして2人は元よりもさらに深い関係へ進展した。

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