盾の勇者の成り上がり(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『盾の勇者の成り上がり』とは、アネコユサギによるライトノベルおよびそれを基にした漫画、アニメ作品。異世界に召喚された大学生・岩谷尚文が「盾の勇者」として数々の試練に立ち向かい、仲間と共に成長する物語だ。原作は「小説家になろう」で連載後、書籍化された。漫画版は『月刊コミックフラッパー』で連載され、ビジュアル面での評価も高い。アニメは2019年に第1期が放送され、迫力ある映像で多くのファンを魅了した。

CV:瀬戸麻沙美/堀江由衣(ドラマCD版)

本作のメインヒロインで、異世界の「刀の勇者」である。タヌキ系の亜人で、ラクーン種と呼ばれているが、実際には異なる種族。長い紅茶色の髪と澄んだ紅茶色の瞳を持つ美しい外見の少女である。彼女は尚文が最初に購入した奴隷で、メルロマルクのルロロナ村で生活していたが、最初の波で両親を亡くし、奴隷となった。購入当初は10歳の少女であったが、亜人はレベル上昇に伴って急成長するため、外見年齢は18歳くらいの美少女に成長している。当初は波のトラウマや奴隷時代の拷問、親友の死などで心身共に弱っており、尚文に対しても怯えていたが、尚文の不器用な優しさによって次第に心を開くようになる。その後、同じような境遇の者を減らすために尚文と共に戦う決意をする。尚文には「ご主人様」と呼んでいたが、その後「ナオフミ様」と呼ぶようになる。性格は真面目で、尚文に対するツッコミ役を果たしている。尚文に対して異性として好意を持っているが、尚文は冤罪の影響で女性不信を抱えており、進展はない。魔法の適性は光と闇で、幻惑魔法が得意。剣を使った戦闘を行い、魔法剣も習得している。戦闘スタイルは堅実で、幻惑魔法を駆使した遊撃も担当している。『槍の勇者のやり直し』では、元康による尚文への説明で度々話題にされているが、尚文が奴隷を使うことに難色を示すため、なかなか巡り合えない。

ラフちゃん

CV:瀬戸麻沙美/堀江由衣(ドラマCD版)

「絆の世界」でラフタリアの毛髪と尚文の血を媒体にエスノバルトに生成された尚文の式神である。外見は狸やアライグマに似ており、鳴き声は「ラフー」と発する。ラフタリアを動物化したような姿で、ノリのよい性格を持ち、尚文に非常に気に入られている。しかし、ラフタリアからはそのことで苦手意識を持たれている。賢く、気が利く一方で、お調子者な面もある。魔法の適性はラフタリアと同じく光と闇であり、幻惑魔法を得意とする。幻惑によって敵を惑わせることや、ラフタリアの魔法の補助を行う。また、ラフちゃんが頭に乗ることで、その人物は魂が見えるようになり、幻惑を見破ることができる。尚文とラフタリアと魔力で繋がっており、離れていても二人の様子を把握し、何かあった際には知らせることができるため、連絡係としても機能する。ラトの助言を受けた尚文によって、能力項目の変異性が向上し、ラフちゃんは徐々に進化を遂げる。体が大きくなるなどの能力を身に着け、当初は攻撃力が低かったが、戦闘でも活躍するようになる。過去の天命の魂の残滓をラフ種として転生させ、朱雀に取り込まれたフィロリアの魂のサルベージなど、死者の蘇生に近いことができる。村の魔物たちのクラスアップの際には、同様の姿の魔物となる特殊なクラスアップが可能になり、その魔物たちは「ラフ種」と呼ばれ、新種の魔物として扱われる。Lv100越えの儀式をガエリオンから受けた後は、同様の儀式を行う能力を習得した。

フィーロ

CV:日高里菜/井口裕香(ドラマCD版)

フィロリアル・クイーンで、アリア種に属する。白と桜色を基調にした羽根を持つ。人型の時は光沢を放つ艶やかな金髪、透き通った碧い瞳、雪のように白い肌を持つ美しい幼女である。尚文のことは「ごしゅじんさま」と呼ぶ。奴隷商のもとで魔物の卵くじから購入した卵から孵化し、鳥型の魔物フィロリアルとして育つ。四聖勇者である尚文によって育てられた結果、上位種のフィロリアル・クイーンとなり、金髪で背中に羽を持つ天使を彷彿とさせる少女に変身できるようになる。現女王のフィトリアから次期女王候補とされている。人間形態の服は魔力で作られたものであり、フィロリアル形態時には消えてリボンが首輪となる。食欲旺盛で、フィロリアルの特性により馬車を引くのが好きである。行商の馬車を引いてメルロマルク各地を回り、「神鳥」と呼ばれることもある。また、歌うことが好きで、その歌声で人々を魅了する腕前を持ち、後にアイドル活動も行う。普段は遊ぶことと食べることを主に考えているが、魔法や異世界の言葉を感覚的に習得し使いこなすセンスがある。当初は我が儘で尚文の言うことを拒否していたが、尚文が心を鬼にして躾けた結果、言いつけを守るようになる。育ての親である尚文に対しては実の子供のように懐いている。メルティとは親友であり、彼女が危機的状況にあるとすぐに助けようとする。元康に対しては、普通のフィロリアルだったころに馬鹿にされたことで嫌っており、会う度に蹴飛ばしている。仲間に裏切られて落ち込んでいる元康を気まぐれで慰めたことで、逆にストーカーのように追い回され、さらに嫌うようになる。魔法適性は風であり、フィロリアル形態と人型形態のどちらでも戦闘が可能。俊敏で高い攻撃力を持つメインアタッカーであり、フィトリアから人型形態の戦い方も教わり、以降は形態を使い分けて戦う。フィトリアとの稽古で気を使えるようにもなり、武器は爪を使用する。フィロリアル形態では足に、また人型形態では手に装備する。ゼルドブルで火柱が出るモーニングスターを手に入れ、後にロミナによってボーラに改造される。絆の異世界に渡ると、ハミングフェーリーという魔物に変化する。空を飛び、魔法を中心に戦い、歌で援護する。後に「風のフィーロ」として魔竜四天王の一人に任命され、フィロリアル形態での飛行能力や四天王の能力を獲得する。

メルティ=メルロマルク

CV:内田真礼

メルロマルク第二王女で、王位継承権第一位にある。濃い青い髪のツインテールが特徴で、年齢は十代前半。姉とは異なり、王族としての責任感が強く、友人を大切にする性格である。そのため王位継承権は姉より上である。女王の下で学び、見聞を広めていた。フィロリアルに対する知識が豊富で、フィロリアルを大好きである。元康からはフィーロの婚約者として扱われることがあるが、一方で年相応の反応も見せる。オルトクレイの盾の勇者に対する差別をなくすためにミレリアから命を受けて帰国途中、普通のフィロリアルに化けていたフィトリアと会い、追いかけているうちに護衛とはぐれてしまう。偶然に尚文一行と出会い、フィーロと親友となる。尚文たちとの旅の中で、メルロマルクの貴族による亜人奴隷への残酷な扱いを目撃し、メルロマルクを人間と亜人が仲良くできる場所にしたいと決意する。霊亀事件後は領主となったエクレールの補佐をしていたが、実際には復興事業などほとんど任せきりとなっている。尚文に対して異性として意識しているが、彼からは子供扱いされ名前で呼ばれないことが多く、その度に怒りを露わにする。しかし、尚文は実際には自分が元の世界に帰った後にフィーロを預けたいと考えており、強く信頼している。ミレリアの死後は悲しみながらも気丈に振る舞い、フォーブレイの戦争後には若くして女王に即位する。しかし、権勢欲はなく、視察の名目で尚文の村を訪れ、仕事の多さを愚痴りながらも寛いでいる。魔法適性は水と土であり、特に水属性の資質が高い。『槍の勇者のやり直し』では、勝手にフィーロの婚約者扱いされる元康に対して、彼の言動や行動を理解できず、ぞんざいに扱っている。メルロマルク編では、ヤサグレていない尚文に助けられたことで素直に恋慕するようになる。

アトラ

ハクコ種の亜人で、フォウルの妹。シルトヴェルトの王族の末裔だが、人族との混血のため迫害を受ける。亡き母ルシアに瓜二つの外見を持つ。尚文たちと出会った時は、身体中に火傷のような跡があり、遺伝性の病を患って目も見えず歩けなかった。しかし、尚文が与えた薬と盾の力によって完治する。自身を救った尚文を心から慕っており、何度も寝込みを襲おうとするが、フォウルとラフタリアに阻まれている。病弱な頃にフォウルに守られた経験から、守ることに憧れを持ち、尚文の盾として彼を守りたいと考えている。尚文の剣であるラフタリアとはライバル関係にある。人の本質を見抜く聡い性格で、兄のフォウルには大切に思っているものの、元気になってからはややぞんざいに扱っている。目は見えないものの、気の流れを読み取ることで平然と歩き、戦闘もこなすことができる。類いまれなる武術の才能を持ち、気の流れを見て急所を突く技術や、変幻無双流を見聞きするだけで再現する能力を持つ。ただし、レベルが上がっても肉体が成長する様子はない。また、病弱で全身が痛んでいたため、痛みに慣れており、奴隷紋の痛みも平然と受ける。鳳凰戦では、タクトの横槍による鳳凰の自爆攻撃から尚文と村の奴隷たちを庇い、下半身を焼失する致命傷を負う。兄のフォウルと尚文に遺言を残し、最後のわがままとして尚文のファーストキスを奪って死亡する。遺体は本人の遺言により尚文の盾に吸収される。その後、タクトに深手を負わされ意識を失い、武器の精神世界に現れた尚文の前にオストと共に盾の精霊として姿を現す。尚文に助言と励ましの言葉をかけ、盾の中から見守っていると語り、見送る。

四聖勇者

北村 元康(きたむら もとやす)

CV:高橋 信

四聖勇者の1人であり、槍の勇者。21歳の大学生で、四聖の中では最年長。若干茶色がかった髪をポニーテールにしている。尚文とは異なる日本から召喚され、二股をしていたことで女性2人にナイフで刺された後、この異世界に召喚された 。この世界に似たネットゲーム「エメラルドオンライン」をプレイしており、ゲームの世界に来たと思い込んでいる。性格は猪突猛進で、フェミニスト。女の子は皆天使だと信じ、ハーレムを形成するべく見境なくナンパを繰り返し、女性の仲間を増やしている。元の世界で刺された経験から、女の子を信じ抜こうとしているが、そのためにマルティに騙され、いいように操られる。リーシアのように病的に思いつめるタイプは、過去の無理心中の経験から苦手としている。元康は、プレイしていたゲームのキャラクターに似たフィーロに好意を持つが、フィロリアル形態のフィーロを彼女とは知らずに馬鹿にしたことで、フィーロからは嫌われる。霊亀に敗北し、仲間から見捨てられ絶望していた際、フィーロに励まされたことがきっかけで、フィーロとフィロリアルをこよなく愛する自称「愛の狩人」となる。最愛のフィーロの育て親である尚文を「お義父さん」と呼び、絶対服従を誓う。また、全ての女性を豚としか認識できなくなり、言葉も通じなくなってしまう。語尾に「〜ですぞ」と付ける口調に変わる。魔法適性は火と回復であり、勇者専用魔法として敵の魔法を無効化して吸い取る「アブソーブ」を使用できる 。カースシリーズは「色欲」と「嫉妬」が発現しており、呪いの代償はこの2つの感情だが、元康は色欲が突き抜けているため目に見えた変化はなく、元康自身は代償に気付いていない。また、鳳凰戦後に「憤怒」も発現しているが、尚文やフィーロが悲しむ姿を見て思いとどまり、使用していない。『槍の勇者のやり直し』では主人公兼語り部を務める。本編で偶然入手した龍刻の長針の能力である「時間遡行」により、「四聖の誰かが死ぬ」「世界を覆う結界が完成する」「自身が死亡した時間に到達する」のいずれかの条件を満たすと、異世界召喚初日に戻される。物語本編終盤から時間遡行を繰り返しており、記憶やステータスは引き継がれている。「フィーロたんの飼い主になること」と、「お義父さん(尚文)を助けること」を行動理念としており、その理念に基づいた常軌を逸した言動や行動を取ることも多く、事態が予期せぬ方向に向かうこともある。また、裁縫の才能にも優れており、フィロリアルの服作りなどで召喚後もその腕を磨いており、セインからライバル視されている。元康自身も「この部分だけはお義父さん(尚文)に負けない」と自負している 。

天木 錬(あまき れん)

CV:松岡 禎丞

四聖勇者の1人であり、剣の勇者。16歳の高校生で、黒髪のクールな印象を持つ少年。VRMMOが存在する日本の出身で、巷を騒がす殺人事件に遭遇し、一緒にいた幼馴染を助けようとして脇腹を刺された瞬間に召喚された。この異世界に似たVRMMO「ブレイブスターオンライン」をプレイしていたため、死んでゲームの世界に来たと勘違いしている。極度のカナヅチである。人付き合いが苦手で、初期は仲間とは別行動をとることが多く、ソロプレイで経験値稼ぎや討伐クエストを行っていたが、元康や樹に比べると多少は理性的に物事を判断する傾向があった。しかしプライドが高く、他の勇者に対して少々蔑んだ態度をとっていた。霊亀に挑み仲間が全滅した後、マインに唆されて尚文と対立し逃亡するが、最終的にマインに全財産を奪われ、絶望の末に盗賊に身を窶していた。エクレールとの決闘を経て自らの過ちを諭され、尚文と和解した後は、尚文の村で修行し、仲間を重視するようになる。仲間を強く信頼することで「仲間の剣」という武器を発現させる。また、元々武器に興味があったこともあり、エルハルトたちの鍛冶を手伝うようになり、助けてもらったエクレールを好いている。当初はVRMMOの経験から剣を多少使い慣れていたものの、実戦での技術はあまりなかったが、真面目に鍛錬を始めたことで技術がかなり向上している。集中力が高く、一対一の戦闘では強いが、その分、相手にしか注意が向かず、不意打ちなどに対応できないという欠点を持っている。魔法適性は水と援護。勇者専用魔法として、味方や敵の魔法を剣に付与できる「マジックエンチャント」を使用できる。カースシリーズでは「暴食」と「強欲」が発現しており、呪いの代償として暴食は経験値が入らず、強欲は触れた物を劣化させる。『槍の勇者のやり直し』では、中立的な立場を取り、盾の勇者である尚文を迫害するメルロマルクに対して不信感を抱き、その結果、シルトヴェルト編やメルロマルク編ではゼルトブルに移っている。

川澄 樹(かわすみ いつき)

CV:山谷 祥生

四聖勇者の1人であり、弓の勇者。17歳の高校生で、一見すると育ちの良さそうな巻き毛の少年。異能力を持つ日本の出身で、ダンプカーに撥ねられた瞬間に召喚された。この異世界に似たコンシューマーゲーム「ディメンションウェーブ」をプレイしており、ゲームの世界に来たと勘違いしている。命中の異能力を持ち、高精度で狙撃ができる。自身の異能力が低ランクであることに強いコンプレックスを抱き、現実を忘れるためにゲームに没頭していた。正義感が人一倍強く、初期はメルロマルク内で正体を隠しながら悪人を潰して回っていたが、自分の活躍への顕示欲が強く、自己陶酔に陥る傾向がある。また、自身の失敗に対して無責任で、仲間内でのリーシアに対する陰湿なイジメに同調し、「弱いから」という理由で冤罪をかけて追放しているため、尚文と対立し軽蔑されるようになる。霊亀に挑んで敗北し、仲間に見捨てられた後、マルドたち元仲間やマインに騙されるが、尚文の村で見捨てたはずのリーシアに介護されることになる。リーシアに今までのことを涙ながらに謝罪して以降、以前の傲慢さや自己弁護がなくなり、精神的に成長する。絆たちの異世界での宮地との戦いの後、波が終わっても異世界に残り、これまでの行いを償い続け、皆の力になりたいと語っているが、裏切り者を拷問して痛めつけるなど、容赦のない一面も見せるようになっている。本人に自覚はないが、非常に優れた音楽の才能を持ち、一度聞いた音楽なら再現可能であり、異世界の未知の楽器でも即興で演奏できる。尚文に同行して絆たちの異世界に渡るも、敵の妨害で弓の機能が封じられた際には一時的に楽器の勇者として活躍した。魔法適性は風と土。勇者専用魔法として、敵の全ての能力を低下させる「ダウン」を使用できる。また、音楽の才能から絆たちの世界の高度な演奏魔法をすぐに習得し、草笛で楽器の眷属器を持つ宮地と渡り合えるほどの実力を見せた。カースシリーズでは「傲慢」が発現しており、呪いの代償として意思が欠落し無表情となり、決断力が低下する。『槍の勇者のやり直し』では、元康が尚文の味方になったことで、マインに唆され、本編の元康と同じポジションに収まっている。シルトヴェルト編では、尚文が放った刺客(実際には三勇教の陰謀)によって殺された仲間の復讐も兼ねて、クズが率いるメルロマルク軍と共にシルトヴェルトに侵攻するが、女王率いる正規のメルロマルク軍の加勢により敗北が確定し、その結果に逆上したマルドに裏切られて死亡する。書籍版のメルロマルク編(6週目)では、本編で密かに行った善行を三勇教が表沙汰にしたため、こちらではある程度樹の活躍が耳に入るようになっている。その後、フレオンとの出会いを通じて(洗脳じみた状態ではあるが)自分の考えを改め、改心するに至っている。

tanakamayumi4
tanakamayumi4
@tanakamayumi4

目次 - Contents