サンクチュアリ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サンクチュアリ』とは原作・史村翔、作画・池上遼一による漫画である。2人の主人公、相楽系の直属組織、北彰会初代会長からどんどんと躍進する裏社会に生きる北条彰(ほうじょうあきら)と民自党代議士の秘書から国民全体を動かすまでに成長を遂げる表社会に生きる浅見千秋(あさみちあき)が共同して世の中を変えていこうとする社会派ドラマの漫画である。1990年代の日本社会を反映した内容であり、無気力に陥る国民を鼓舞しようと二人の主人公が奔走、躍進する姿は日本人に大きな影響、勇気を与えている。

『サンクチュアリ』の概要

『サンクチュアリ』とは原作・史村翔、作画・池上遼一による漫画である。
2人の主人公、相楽系の直属組織、北彰会初代会長からどんどんと躍進する裏社会に生きる北条彰(ほうじょうあきら)と民自党代議士の秘書から国民全体を動かす政治家までに成長を遂げる表社会に生きる浅見千秋(あさみちあき)が共同して平和ボケし、既得権益蔓延る母国日本を変えていこうとする。
北条と浅見はポルポト政権による民衆大虐殺が行わている真っただ中のカンボジアで出会う。北条の父は医者として浅見の父は貿易商として同じプノンペン郊外に家族を引き連れ訪れていた。そんなある日ポルポト派の魔の手が忍び寄る。街は占拠され北条、浅見等の家族は地下へ避難していた。しかしそれがポルポト派武装兵にみつかり家族は離れ離れにさせられる。これが北条、浅見両人にとって家族との最後の別れとなる。
その後北条と浅見は難民キャンプで地獄を見る。ポルポト派の武装勢力監視の下強制労働させられる。少しでも気を抜くと殺されるという過酷な環境から逃れるため、北条と浅見、また他の仲間達数人でタイの国境目指し脱走を企てる。しかしこれも非常に過酷なものとなる。道中栄養失調やはやり病などで仲間たちが死んでいくという中北条と浅見は何とか生き延びる。

この過酷の原体験を抱えた二人の目には現在を生きる日本人が異様に写る。日本社会が余りに平和ボケし既得権益が蔓延っている状況に大きな危機感を募らせる。二人は片方が表社会、もう片方が裏社会で共に頂点に上り詰め日本社会を変えようと約束する。人間が人間として誇り高く生きられる社会、サンクチュアリを目指し二人は表と裏それぞれの世界で躍進していく。
1990年代の日本社会を反映した内容ではあるものの、無気力に陥る国民を鼓舞しようと二人の主人公が奔走、躍進する姿は現代を生きる日本人にも大きな影響、勇気を与えている。
1995年に監督・藤由紀夫の下阿部寛、中村あずさ他の出演で映画化もされている。映画は全3作品で第1作は劇場映画として公開、第2、3作はオリジナルビデオとして制作される。同年OVA化もされており、こちらでは主人公の北条が相楽連合の二代目まで上り詰めるところまで描かれている。2003年10月には原作の漫画映像に音声を加えた漫画DVDとしてもリリースされる。
『ビッグコミックスペリオール』(小学館)において1990年から1995年にかけて連載され、多くの著名人に影響を与えているとされる。

『サンクチュアリ』のあらすじ・ストーリー

北条の相楽連合2代目総長就任

相楽連合傘下の暴力団団体北彰会組長の主人公である北条彰(ほうじょうあきら)は連続7期当選中のベテラン民自党代議士佐倉秀一(さくらしゅういち)の秘書を務めるもう一人の主人公浅見千秋(あさみちあき)を政界に進出させるべく佐倉の地盤を引き継がせる形で裏社会の力で佐倉を下野させる。この一連の北条の手腕に相楽連合の総長相楽(さがら)は北条に警戒心を抱く。

ある日、愛妻家の北条の側近である田代(たしろ)が北条に知らされることなく相楽元へ出向く。このことから相楽の不穏な動きを察知する。相楽連合傘下渡海興行組長で北条の兄貴分である渡海(とかい)と田代、その他の北条の救援部隊を引き連れ相楽の元へ向かった北条は相楽のこめかみに銃口を突きつけそのまま相楽を撃つ。そして渡海に「あなたが相楽連合の二代目だ」と言う。

後日、相楽不在の元、相楽連合の二代目を発表するための集会が開かれる。相楽の側近であった村田(むらた)はここで二代目相楽連合総長が渡海であることを告げようとするも渡会がそれを遮り「二代目は北条だ」と発表する。北条の手腕と器量には敵わないとした渡海は二代目を北条に譲る。こうして北条は相楽連合の頭として上り詰め、ここから北条は相楽連合による日本統一に乗り出す。

政界へ進出する浅見

銀行の乗っ取りを企てる北条。

一方の浅見は尚、伊佐岡から野党の予算案を飲む代わりに浅見の野党入党を阻止するというような圧力を受ける。ここで浅見は衆参問わず現在の政治に不満のある者の招集をかけ自身の考え、日本の労働市場開放で海外の労働者を受け入れることで日本人の労働意欲を促すという自身の構想を掲げ、「賛同する者は明朝ここへ来るように」と言い残す。翌日、訪れる者はいなかったものの、ふとテレビを見ると昨晩集まった超党派の若手議員が写しだされていた。彼らは各党に離党届を提出し新党結成を宣言し、その党首に浅見を指名するのであった。

浅見に対する伊佐岡の圧力は止まらない。今度は浅見の選挙区へ浅見の対抗馬となる候補者を擁立する。更に伊佐岡は畳みかける。浅見のスキャンダルを懇意にしている北都銀行に探らせる。ここで北都銀行は奇しくも北条に浅見のスキャンダルを探らせる。その見返りに相楽連合は北都銀行から融資を受けることが出来るようになる。この融資の窓口がベンチャー企業のブルーワールドであった。
ブルーワールドの会長で若干28歳の錬金術師と称される青木(あおき)はかなりの自信家であった。ここで北条はこの青木を利用する策にでる。青木に北都銀行の頭取になることを勧める。更には田代に、あえて浅見を襲撃させる工作員を用意するよう指示する。後日浅見は襲撃を受ける。こうして浅見に同情票が集まる。

家族が一家心中を図った過去をもつ、浅見襲撃の実行犯塚原(つかはら)は浅見の選挙区の浅見の対抗馬、民自党池内の後援者、ブルーワールドの青木の指示による犯行であることを供述する。相楽連合に浅見スキャンダルを探らせた北都銀行の幹部水沢(みずさわ)は青木から「何を話すかわからない」と揺さぶられる。ここで青木は北都銀行の役員のポストを要求する。こうしてブルーワールド青木は北都銀行の役員へ昇り詰める。浅見は同情票を獲得でき、青木は北都銀行の役員に上り詰める。

こうして北条は気兼ねなく北都銀行からの融資を受けることが出来るようになる。更に伊佐岡の警察への圧力もあり浅見スキャンダルを探らせたという当初の北都銀行と相楽連合の繋がりもうやむやになる。浅見は当選を確実にする。

襲撃をくらう北条

沖縄にいる渡海と香港三大組織の総長の側近でありながら総長を葬り渡海と組むことを選択した黄志陽(こうしよう)は沖縄、九州の組織の協力を仰ぐためまず沖縄に上陸していた。

早速沖縄組織の会長中城規介(なかしろきすけ)に協力を仰ぐも、当然の如く、簡単に応じない。ここで中城は「本土の組長の首の一つくらいもって来い」と言う。これに対し香港の三大組織の一組織の組織員である黄志陽(こうしよう)は既に手を打っており、北条暗殺のための刺客を送っていた。

しかしその刺客が持ってきた首は北条ではなく、関東三大組織の一つ、関東武山連合総長の今井睦男(いまいむつお)の首であった。
刺客が送られた北条ではあったが北条は事前にそれを察知、その刺客を捕らえ逆に今井を暗殺させたのであった。この流れは関東三大組織の一つ、東日本土門会にも及ぶ。今井を葬り、関東武山連合に内紛を勃発させ、且つ今井の暗殺を東日本土門会の仕業とすることで土門会を蹴散らし武山連合を呑み込むのであった。

沖縄組織と手を組んだ渡海、黄等は九州に上陸し、かつて日本一の一大勢力組織神戸山王会に最後まで逆らって自身の組を潰されたという経歴をもつ大西英二(おおにしえいじ)に協力を仰ぐ。
この後渡海は小倉駅のホームで北条からの軍資金を田代を通して受け取る。この時、このやりとりを尾行していた黄は渡海のバックに北条がいることを確認していた。

武山連合と同盟を結び更に勢力を拡大した相楽連合との次なる狙い、関門は神戸山王会だった。
北条と側近の村田は直接山王会三代目総長緒方栄蔵(おがたえいぞう)の元へ出向き「関東は関東が仕切る」と伝える。これを宣戦布告と受け取る緒方ではあったがこれは北条にとっては神戸の矛先を関東に向け九州にいる渡海達が動きやすくするための陽動作戦でもあった。

北九州の渡海一行はとある料亭にいた。そこにはかつて九州一の伝統と勢力を誇った一大組織小倉岩田組総長岩田浩徳(いわたひろのり)の姿があった。九州一の勢力を誇ったこの組もこの時は実質神戸山王会の傘下であった。神戸からの自立促し、渡海達は岩田に協力を仰ぐ。

一方の関東では神戸山王会のナンバー2の伊吹英明(いぶきひであき)が兵隊引き連れ相楽連合総長北条と会談をしていた。
ここで伊吹は神戸が関東から引くつもりはないという旨を北条に伝える。北条はこれを突っぱねる。

一方、神戸ではの神戸山王会総長緒方の元へ黄が訪れていた。黄はここで渡海達を裏切り神戸側に付く。そんな黄に緒方は北条暗殺を命令し、北条が酔っ払った六本木警察署副所長で北条に思いを寄せる本作のヒロインである石原杏子(いしはらきょうこ)を六本木警察署へ送り届けているところ、黄に襲撃される。

北条襲撃からの復帰と神戸山王会三代目総長緒方の引退

北条襲撃の情報はすぐに渡海の元へ届く。ここで渡海のバックに北条がいることを中城、大西、岩田は確認する。更に黄が神戸に寝返ったことも知る。
中城、大西、岩田の三人の心は相楽と神戸のどちらにつくべきかと揺れるも結局は元のさやに戻り、一同は神戸を通過し関東へ向かう。

後日神戸山王会のナンバー2の伊吹は北九州の小倉岩田組総長岩田の元へ向かう。「相楽連合との盃は認めない」と伝える伊吹に、ここで渡海が「四分六だ。」と言い小倉岩田組が6、神戸山王会が4の分け前が妥当だとし「5分にしたいなら(北条を襲撃した)黄を差し出せ」という条件を突きつける。このため神戸山王会は自分たちの組織と黄の関係を断ち切り闇に流すため黄の暗殺を企てる。この情報は黄の側近を通しすぐに黄の耳へ届く。黄は単独で再度北条を襲撃することを決意する。

しかし神戸山王会が企てた暗殺は黄に対してだけではなく、渡海にも向けられていた。その一報が渡海の耳に入ったちょうどその時、北条が息を吹き返したという連絡が入る。しかし向かった北条の入院先での入り口で渡海は襲撃に合う。またそこには警備員に扮した黄の姿もあった。当然渡海の制止を振り払い、病床に伏す北条の元へ向かい銃口を向ける。
しかし黄は北条を殺さなかった。抵抗できないながらも冷静な北条、更には先の渡海の制止の際の北条に対する思いなど幾度となく耳にする北条への人望、また渡海ら周辺の人情の影響で黄自身の意向が揺らぐのであった。
こうして黄は踵を返し、逆に神戸山王会への単独で襲撃に向かい返り討ちに合う。目覚めた北条と襲撃されるも事前の察知で一命とりとめた渡海の元へ黄が亡くなった知らせが知らされる。伝えに来た黄の側近は「お前たちと同じ夢を見たかった」というメッセージを残していたことを伝える。

後日北条は傷が癒えていないにも関わらず神戸山王会の本部へ直接出向き、全面戦争を辞さない旨を伝える。ここで山王会総長の緒方は「北条と二人で話がしたい」とし果し合いを申し出るも、傷が癒えない北条に不覚をとられる。こうして緒方は自身の肉体の衰えという理由で、決して負けを認めることがないながらも神戸山王会3代目総長辞任を決意する。

立風会の民自党入党

狩谷が代表を務めていた70年会の会員を取り込み、伊佐岡体制を少しでも揺るがしたいと模索する浅見達の元へブルーワールド会長で北都銀行役員の青木から連絡が入り「伊佐岡の尻尾を掴めた」という。それは北海道で開発が進められるはずだった北海リゾート開発での伊佐岡の闇献金疑惑であった。浅見達は真相解明に乗り出すと同時に浅見、仙石、高知選出の小柄な国会議員吉川秀丸(よしかわひでまる)、狩谷の四人を代表とする新政策集団“立風会”を立ち上げる。

伊佐岡の闇献金疑惑を追及は一時キーマンとなる伊佐岡の側近で腰巾着とされる原口賢二(はらぐちけんじ)を加担させるも寝返りに合うなどしてうやむやになる。

あと一歩の所で追い込めず終わった浅見らすぐに次の一手に出る。それは自身らが直接民自党党員になり、中から変えていくというものであった。

そこへ元首相故金沢静夫(かなざわしずお)の妻から浅見に連絡が入り金沢低に向かうことになる。そこで浅見達が金沢首相夫人に自民党入党の旨を伝えると隣の襖が開く。そこにはかつて仙石の父、仙石辰巳を師と仰ぎ常に行動を共にしていた代議士の細山(ほそやま)、白井(しらい)、巻田(まきた)、赤岡(あかおか)の四人が待ち構えていた。彼らは、生前の金沢と仙石の父で民自党代議士であった仙石辰巳(せんごくたつみ)に親交があったゆえ、民自党派閥金沢派に預けられていた。浅見は「中から民主自由党を喰いやぶる」と意気込む。

後日浅見は幹事長の伊佐岡を訪ね民自党入党の許可をもらいに行く。入党はあっさりと認められる。これは伊佐岡は既に浅見の素性と北条との関係を把握していたからであった。伊佐岡はここから北条の行方を捜しだす。後に伊佐岡により北条と浅見の繋がりは公に晒される。

選挙戦への立候補を表明する北条と浅見の病発症

北条が極道の真っ当な表社会進出を表明し、極道社会の組員が大人しくなる中、渡海は北条のと自身のプライドのため残党排除に乗りでていた。更に力でねじ伏せる旧態依然のままの気質を拭いきれない渡海は伊佐岡の暗殺を単独で企て、単独で伊佐岡のいる料亭に乗り込む。するとそこには神戸山王会四代目総長の伊吹の姿があった。押し寄せ伊佐岡に銃口向けた渡海を前にするも伊吹はその場を何事もなかったように収めさせる。伊吹はこのとき伊佐岡に衆議院の解散を要求していた。

後日北条は相良連合のトップを集め「次の選挙で立候補する」と宣言する。更に相良連合、神戸、九州のそれぞれの総長が主催となり記者会家を開き、自身の非合法組織を解散させ新たに株式会社に組織変更し表社会に進出することを堂々と宣言する。
一方で伊佐岡体制の与党民自党は崩れかける。踏み絵を迫り伊佐岡に忠誠を誓わせようとした70年会が一斉に離党届を提出する。

しかし。伊佐岡体制抵抗のための素地が再び固めらかけたこの時、浅見の病が発覚する。実は浅見はカンボジア難民であった頃のアメリカ軍の枯葉剤を吸い込んだことが原因の病に蝕まれていた。

北海道における抗争とロシアン・マフィアの進出

解散総選挙における選挙活動が佳境を迎える中、突如北海道がきな臭くなる。
これはかつての都会の舎弟である瀬川(せがわ)によるものであった。相良連合らが表社会進出に向け大人しくなる中、旧態依然のままの瀬川らはそこへ付け込み暴れ回っていた。この瀬川の勢いの裏には北海道進出を目論むロシアン・マフィアの存在があった。
これに対し表社会進出に向けて活動していた北条らは北海道への対策にあたる。

北条はロシアン・マフィアの北海道進出と浅見の病発症という緊急事態における対策のヒントを得るため日本の裏社会の黒幕である市島陽介(いちじまようすけ)の元へ訪れる。ここで市島は自身の戦後の活動にロシアがいたこと、更にどのようにその国が変わろうと根本の主義主思想は変わることがないということを前置きした上で北条に「ソロコフの利権に飛びつこうとしている日本人のロシアン・ロビーの姿が現れる」というヒントを与える。

ロシアン・ロビーは首相の望月と伊佐岡側近であった原口の二人であった。北条らは組員を利用し彼らが集まる現場をおさえた写真を撮らせ、翌日その情報を売り、伊佐岡体制の民自党弱体化を図る。

しかしその記事だけでは伊佐岡体制民自党への逆風は起こせず仕舞いであった。しかしこの膠着状態を変えたのは瀬川だった。瀬川はソロコフにとって用済みとされ殺されかけていたものの何とか一命を取り留め、最後の力を振り絞り選挙会場のテレビカメラの元まで向かい裏にロシアン・マフィアがいたことを公に晒し、息絶える。ここでの瀬川の活躍がソロコフに飛びつくロビイストの実態がいるという記事とようやく合間って頼りである浮動票が急激に伸び始める。

こうして浅見ら立風会のメンバーらは当選を確実にする。しかし北条や沖縄組織総長中城らの当選までは叶わなかった。

ロシアと手を結ぶ北条

北条の暗躍で浅見を当選させ、伊佐岡を離党に追い込むことに成功した北条はロシアのソロコフと手を組む
これは裏社会を牛耳る黒幕市島も敵に回すことであった。しかし浅見の様態悪化は北条に手段を選ばせなかった。
市島は早速北条暗殺を企てる。北条により警察に売られた渡海に市島は北条暗殺を任せる。渡海は北条とソロコフを乗せた車が走る車道で待ち伏せしその車両を止め、北条とソロコフをおびき寄せる。しかし渡海は北条をしとめることが出来ずその銃口をソロコフへ向ける。すると今度は北条が渡海に銃口を向け発砲する。わけのわからない渡海はその場に倒れ込む。しかし渡海は一命を取り留めしかもその足で市島の所まで戻る。北条に撃たれた玉は致命傷に至らないものではあったものの市島は担当医にこの事実を渡海に絶対言わないようにと口止めし、再び渡海を北条の元へ向かわせる。

一方の北条にはソロコフが提示した条件一つの石油の精製基地建設における技術提供と資材運搬において、その搬入滞るっているという情報を伊吹から伝えられる。これは尚権力を有する伊佐岡の圧力によるものであった。更に伊佐岡ソロコフは望月を呼び出しソロコフとの接触を試みる。市島と敵対することにはなるものの伊佐岡もまた復権に向け手段を選ばなかった。

これに対し北条は中国華僑の総帥江東輝(こうとうき)の元へ向かう。これは伊佐岡に頓挫させられている石油プラントの技術・資材、更には輸送用車両を、従来通りロシアへ送り込ませたいがためであった。しかし江は市島とも友人でこれに協力するということは市島を敵に回すことでもあり、当然ながら、必要以上に慎重にならざるを得なかった。
だが北条は江への説得を成功させる。ロシアの核管理は杜撰さの指摘とその解決法を理由に、華僑の力が必要であるとし、江の説得に成功する。

これによりソロコフは北条側に戻り、更には市島と江の縁を切らせ表の伊佐岡、裏の市島の影響力を急速に弱らせることに成功する。最後に北条は渡海にソロコフを撃たせロシアの北海道進出を阻止する。

白旗を上げる伊佐岡

北条の暗中飛躍で浅見は北条と夢見続けてきた聖域(サンクチュアリ)実現のための一歩、憲法改正と憲法改正後の、国民を直接政治に参加させるための首相公選制の実現に奔走することが出来る。
民自党と新日本連立政権による政権発足後その旨を宣言する記者会見が開かれるもこれを通すには伊佐岡と共に民自党を抜けた伊佐岡派60人の票を確実にする必要があった。
しかしこれも北条の暗躍のおかげでその票を獲得することが出来る。伊佐岡をもう一度権力中枢に戻す代わりに伊佐岡派60人の票が憲法改正を掲げる浅見案に賛同するよう予め北条は伊佐岡に願い出ていた。伊佐岡はこれに応じる旨を「人事権は私に譲るように」という条件付きの元、浅見達に直接伝え、浅見はこれに応じる。

後日、民自、新日本連立政権の要人が集まる首相官邸に世論調査では93パーセントの国民がこの憲法賛成に賛成の意を表している情報が入る。そこにいる誰もが公選初代首相に伊佐岡が選ばれると考えていた。新日本のメンバーなどは当然苦汁をなめてもいた。
しかしここで出た伊佐岡の言葉は意外なもので「公選制初代首相は浅見千秋を措いて他にない!」というものであった。ここで伊佐岡はようやく敗北を認めた。

『サンクチュアリ』の登場人物・キャラクター

主要人物

tanu33387
tanu33387
@tanu33387

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