盾の勇者の成り上がり(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『盾の勇者の成り上がり』とは、アネコユサギによるライトノベルおよびそれを基にした漫画、アニメ作品。異世界に召喚された大学生・岩谷尚文が「盾の勇者」として数々の試練に立ち向かい、仲間と共に成長する物語だ。原作は「小説家になろう」で連載後、書籍化された。漫画版は『月刊コミックフラッパー』で連載され、ビジュアル面での評価も高い。アニメは2019年に第1期が放送され、迫力ある映像で多くのファンを魅了した。

ほとんどの異世界に存在する魔物。卵を温める温度を調整することで性別をある程度決めることができる。様々な魔物と交配することができ、ドラゴンと混ざった魔物が生まれやすい。縄張りから滅多に出ないが、生態系を容易に狂わせるため、汚染地域と呼ばれることがある。魔物紋の登録には高度な技術が必要である。ドラゴンは竜帝となるために、核石の欠片を本能的に欲しがる習性を持っている。

バイオプラント

元々はとある錬金術師が研究していた植物の失敗作。メルロマルク南西にあるダンジョンに封印されていたが、飢饉に苦しむ村を救うという大義名分のもと、元康がゲーム知識を基に解き放ってしまった 。バイオプラントは極めて変異しやすく、魔物化して瞬く間に村全体を覆い尽くすほど繁殖し、人間までも侵食してしまう 。尚文が盾の技能で変異性を下げた結果、枝には赤いトマトのような実がなり、根からも芋のようなものが安全に実るようになり、村の名産となった 。繁殖力は依然として旺盛であり、定期的に伐採する必要がある。尚文の村でも食糧確保のために栽培されており 、その汎用性の高さから、ラトティルの来訪後には様々な実験が行われ、「キャンピングプラント」などの家屋にもなる植物が生まれた。さらにホルンによって、パンが実る木も開発された 。絆の異世界でも使用が可能であり、尚文や絆は無限迷宮でその繁殖力を利用して脱出に成功している 。『槍の勇者のやり直し』では、メルロマルク編において、波によって減少傾向にあった食料増産にバイオプラントが活用されている。種は生産用と配布用に分けられており、配布用の種は、人々を見極める目的で、適度に世話をしないと枯れるように調整されている 。

厄災の波

世界を破滅へと導くとされる厄災。作中では主に「波」と呼ばれている。発生時には大きな時空の亀裂が生じ、そこから大量の魔物が出現する。「波」は周期的に発生し、龍刻の砂時計によって発生時期が予測可能である。「波」の魔物のボスを倒すか、「波」の亀裂に攻撃を与えることで、その場での「波」を鎮めることができる。四聖勇者が参加することで、その地域の次の波の発生時期が延びるため、四聖勇者は波に積極的に挑むべきとされる。四聖勇者が死亡すると「波」は激しさを増し、全員が死亡した際に「波」が発生すれば、その世界は滅びるとされる。その実態は、異世界同士の融合現象である。尚文たちが召喚された異世界群は、元々1つの聖武器に2つの眷属器が存在する異世界が、「波」によって衝突し融合した世界である。波の亀裂は異世界同士の衝突で生じたものであり、なぜ魔物が発生するのかは不明。「波」の亀裂の先は他の異世界と繋がっており、一方の世界で「波」を鎮めると、もう一方の世界の「波」も静まる。亀裂に入ることで異世界に渡ることが可能であり、「波」を阻止できずに世界融合が進行すると、世界は崩壊に至る。絆たちの異世界の伝承では、他の世界を滅ぼすことで自分たちの世界を延命できるとされている。また、セインの敵対勢力によると、他の異世界を滅ぼすことで、多くの経験値や死に戻りなどのボーナスが得られるという。異世界に渡ると、能力の一部が変化や無効化され、レベルが1になり、装備にも使用不可などの不具合が生じる。また、魔物や一部の亜人・獣人は、その世界に適応した種族に変化する。一方で、「波」が起きている間は、各世界で上げたレベルが合算される。本来、異世界同士の衝突は極めて稀な現象であるが、連続的に発生する場合は「神を僭称する存在」によって引き起こされたものとされる。

過去の波

守がいた過去の時代に起こっていた「波」。当時の「波」は現在の「波」とは大きく異なり、他の世界の勇者同士を戦わせる「異世界デスゲーム」といった形態を取っていた。このデスゲームは、神を僭称する者たちの娯楽として行われ、その様子は彼らの世界で中継されている。また、異世界人に神を僭称する者たちには絶対に勝てないと思わせるため、逆らった勇者たちを殺し、さらに世界を滅ぼす様子を見せ付けていた。これにより、勇者たちに逆らう余地を与えず、ゲームへの参加を強制していた。「波」の到来は唐突に予告され、神を僭称する者が司会兼実況を担当する。ゲームの内容はルーレットで決められ、選ばれた勇者以外は神を僭称する者が用意した魔物や「波」 の魔物と戦わなければならない。相手の勇者を殺すことで、神を僭称する者から「ご褒美」と称されるボーナスが与えられたり、気に入られると願いを叶えてもらえるとされているが、尚文は当然ながらこれを怪しんでいる。ゲームが進行するごとに難易度は上昇し、他の世界の勇者同士を殺し合わせることが次第に増えてきている。

龍刻の砂時計

「波」が起こる時期を伝える巨大な砂時計。街中や人里離れた地域など、様々な場所に存在しており、それぞれに地域の区分がある。砂時計の赤い砂が落ち切ると、その地域で波が発生することを示している。勇者が砂時計に登録すると、デジタル時計が視界に出現し、いつ「波」が起こるかがわかるようになる。また、砂が落ち切り、時間が00:00になると、勇者と人員として登録した者、その者たちの所有物は「波」が発生した場所に転移する。さらに、龍刻の砂時計はLvの上限を突破するクラスアップを行う場所でもある。異世界ごとに違いがあるが、勇者ではない者は得られるLvに限度があり、この儀式を行うことでさらにLvを上げることができるようになる。尚文の異世界では、Lv上げのやり直しや罪人の処罰のためにLv1に戻すレベルリセットを行うことができる。また、絆の異世界では、一般冒険者のドロップの確認や転移スキルの転移地点となっているが、方法がわかっていないのかレベルリセットはできない。龍刻の砂時計は非常に重要な物であるため、国に管理されている砂時計には国ごとに使用の制限が設けられている。

波の尖兵

「神を僭称する存在」によって選ばれ、日本から異世界に送り込まれた者たち。彼らは異世界を荒らすための尖兵として活動している。そのほとんどは男性で、自分が1番だと考え、自分の欲望や利益のために非道な行為を平然と行う傾向が強い。強さを正義と信じる自己中心的な性格を持ち、ハーレム志向が強く、顔の良い異性を好んで多くの取り巻きを集める。彼らは勇者や「波」に関する文献の消滅や改竄を行い、また変幻無双流などの技術の衰退をもたらしている。波そのものを脅威と感じておらず、「波」 を鎮めようとする勇者たちと対立することが多い。「神を僭称する存在」からは、本来選ばれた者にしか扱えない伝説の武器を操る能力や、勇者から奪う能力など、さまざまな力を与えられている。この能力や日本で得た知識を駆使して、勇者を騙ったり、天才として崇められることもある。波の尖兵同士の横のつながりは皆無であり、勇者から奪った伝説の武器を互いに奪い合うこともある。また、裏切り防止のために呪いが掛けられており、自身の秘密を明かそうとすると頭が破裂して死ぬだけでなく、魂も細切れになるという厳しい制約が課されている。

転生者

波の尖兵の分類の1つで、数が最も多いため、作中では「波の尖兵」の代名詞として使われることもある。「神を僭称する存在」によって異世界人として転生させられた元日本人であり、生前の記憶を保持している。転生後はその知識と与えられた能力により、幼少期から天才として称賛される。尚文たちの異世界では、衰退と繁栄を司る存在として認識されていた。彼らは画期的な発明や技術をもたらすことがあるが、異世界では非効率なものとして廃れることも多い。前述の変幻無双流の衰退のように、「波」と戦うために重要な戦力となる存在を内部から分裂させ、弱体化させることもある。

転移者

「波」の尖兵の分類の1つ。「神を僭称する存在」によって日本から異世界に転移させられた者たちを指す。現時点では宮地という人物のみが登場している。

神を僭称する存在

災厄の波を引き起こす存在であり、数百年以上前から波の尖兵に力を与え、異世界を影から蝕んできた。迷宮古代図書館の文献によってその存在が明らかにされ、「波」を引き起こし、日本で死んだ人間の魂を異世界人として蘇らせるなど、神に近い力を持つとされている。文献では「決して倒すことができない存在」と記されている。その正体は、勇者たちが元居た世界や召喚先の世界とは異なる、高度に発展した異世界で神に等しい領域まで文明を築き、不老不死を成し遂げた存在たちである。彼らは不老となったことで極めて退屈しており、自らの娯楽のために異世界を荒らし回り、異世界の者たちを「下等な原始人」と見下している。本来、彼らの力は規格外でまともに戦うことすらできないが、伝説の武器の0シリーズの力を持てば対抗でき、肉体を殺した後、魂を攻撃できる武器で魂を消し飛ばすことで完全に倒すことも可能である。神に等しい力を持つがゆえに、彼らはまともな戦闘経験がなく、自らの力が通じなくなると極度に狼狽し怯える。また、自分たちを殺せる「神狩り」と呼ばれる存在を恐れている。守の時代に現れた存在は、「波」によって融合しかかった世界同士の勇者たちをぶつけ合わせ、その戦いを自分たちの世界に中継して楽しんでいた。

『盾の勇者の成り上がり』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

岩谷尚文「俺は、もう誰も信じない」

物語序盤、尚文が異世界に召喚された直後、王国の王女マルティに裏切られ、すべてを奪われた際に「俺は、もう誰も信じない」と発した。この言葉は尚文の深い絶望と、周囲への不信感を象徴している。信頼していた人々に裏切られた経験から、彼がどれほど孤独に苛まれていたかが伺える重要なセリフである。

ラフタリア「尚文様がいなければ、私は今ここにいません」

彼女が過去の苦しみから解放され、「尚文様がいなければ、私は今ここにいません」と発した。尚文によって救われたことを認識した場面でのセリフだ。ラフタリアが尚文に対して抱く深い信頼と感謝の気持ちを表現している。彼女の成長と、尚文との絆の深さを示す重要なセリフだ。

岩谷尚文「仲間を信じるのは、おかしなことか?」

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