盾の勇者の成り上がり(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『盾の勇者の成り上がり』とは、アネコユサギによるライトノベルおよびそれを基にした漫画、アニメ作品。異世界に召喚された大学生・岩谷尚文が「盾の勇者」として数々の試練に立ち向かい、仲間と共に成長する物語だ。原作は「小説家になろう」で連載後、書籍化された。漫画版は『月刊コミックフラッパー』で連載され、ビジュアル面での評価も高い。アニメは2019年に第1期が放送され、迫力ある映像で多くのファンを魅了した。

メルロマルク

尚文たち四聖を召喚した国であり、主な舞台となる。中世のイギリスに近い外見を持ち、女系王族の国であるため女王の方が立場が上。亜人、獣人の国であるシルトヴェルトとは長年敵対関係にあり、亜人を差別する人間至上の国。シルトヴェルトが盾の勇者を信仰していたため、メルロマルクでは剣・槍・弓の勇者のみを信仰する三勇教が国教となり、盾の勇者は悪魔扱いされている。三勇教によって四聖勇者が勝手に召喚され、メルロマルク以外の波に関しては放置していた。そのため、他国への賠償としてオルトクレイを除く七星勇者の権限は全て破棄されている。女王が外交から帰還後、三勇教は邪教指定を受け、国教は盾を含めた四聖の勇者を等しく信仰する四聖教に替わり、亜人と盾の勇者への差別が少しずつなくなっていく。その後、新女王の即位とフォーブレイの敗戦により、世界最大の国となる。『槍の勇者のやり直し』では、シルトヴェルト編(5周目)で、クズの暴走によりシルトヴェルトに戦争を仕掛ける事態が発生した。メルロマルク編(6周目)では、尚文たちが本編以上に善行を積んだ結果、国内での評判を高めすぎて革命騒ぎが起きた。

尚文の村

ラフタリアの故郷であるルロロナ村を、尚文が霊亀討伐の報酬として授かり、復興させた村。物語中盤の拠点となる。旧ルロロナ村の住人を中心に集めており、勇者補正をかけるため大半が尚文の奴隷となっている。表向きには波に対応する私兵の育成のための村とされているが、実際には尚文がいなくなった後にラフタリアの居場所を作るために設立された。霊亀戦後には和解が進んだことから、四聖勇者全員の拠点として利用され、ラフタリアやリーシアなど、多くの眷属器の勇者たちの拠点でもある。

カルミラ島

正式名はカルミラ諸島。メルロマルクの近海に位置し、火山島である。経験値上昇の活性化現象の舞台となっている。海の底には龍刻の砂時計が存在する水中神殿がある。ドロップ品の中には先住民を象った「着ぐるみ装備」が出ることがあり、この装備は見た目の割りに高性能で、ステータス補正だけでなく一時的に種族を変える効果も持つ。

ゼルトブル

傭兵の国であり、斧の勇者が所属していた。石造りの建物が多く、冒険者業の統括を行うギルドと深いパイプを持ち、武器防具の流通や薬などの消耗品を一挙に引き受ける商業都市の側面を持つ。王は存在せず、大商人が議員となって運営している。戦争にはゼルトブルの影があると言われるほど闇の深い国であり、コロシアム、大食い大会、フィロリアルレースなどが名物として知られている。タクト一派の世界征服の際には、斧の勇者が殺され、メルロマルク・シルトヴェルトの陣営に協力していた。

シルトヴェルト

北東に位置する亜人や獣人の国であり、ツメの勇者が所属していた国。夜行性の亜人/獣人も多く、ゼルトブルと並んで「眠らない国」と呼ばれている。盾の勇者(先代盾の勇者の城野守)を信仰することによって建国された国であり、メルロマルクとは長年戦争を続けてきた。メルロマルクとは逆に、盾の勇者を神と崇める盾教が国教となっている。亜人至上主義であり、人間を奴隷とし、そうではない人族も差別しているため、メルロマルクと本質的には大差ない。また、伝承にわずかに出て来るため、弓の勇者に対しては盾の勇者ほどではないが寛大となっている。現在はメルロマルクに対して昔ほどの敵視はしておらず、鎖国していたクテンロウと交易関係にあった。かつての盾の勇者が多様性を重視する言葉を遺したため、様々な種類の亜人種族ごとに建築様式を変えており、野性的な雰囲気がある。血筋が重要視されており、最上層にはハクコ、アオタツ、シュサク、ゲンムという四神に似た亜人がいる。しかし、ハクコは過去の大戦の責任を負って勢力的に弱体化し、アオタツ種は過去のハクコ種に追い出されたことで権力は低く、現在はシュサク、ゲンム種が仕切っている。尚文を勧誘しようとしたが、当時の尚文が人間不信であったため断られていた。ジャラリスの敗北後、尚文に全面的に協力するようになり、メルロマルクと連合軍を組むことになる。タクト一派の世界征服の際にはメルロマルクと共に戦い勝利し、オルトクレイの考えが改まったこともあり、過去の溝は完全になくなる。

クテンロウ

シルトヴェルトから東に位置する島国で、ラフタリアの両親やサディナの故郷。天命と呼ばれる国主によって統治されており、和風な街並みが特徴。国のエネルギーを生産する「桜光樹」という桜のような植物が生えており、また、国の守り神である海のドラゴンの水竜を称えている。鎖国をしており、入国手段はシルトヴェルトとの交易関係にある交易船のみである。天命は聖武器や眷属器の所持者である勇者の調停者の役割を担っており、役割を放棄し悪行をはたらく勇者を裁く権利がある。このため、入国を制限する結界が張られており、勇者は許可がない限り入国が難しい。また、水竜を祭る水竜の巫女や、天命の威光を示すための処刑などを行う殺戮の巫女の役割を兼用する一族も存在する。シルトヴェルトから来たマキナによって国が荒らされ、天命一族の多くが壊滅。ルフトが傀儡にされ、さらに国が荒らされたが、尚文たちの革命と過去の天命によって黒幕たちは討ち取られ、シルトヴェルトと共同で国内制度の改善が行われるようになる。

鳳凰国

鳳凰が封印されている西側の土地の国で、小手の眷属器が存在する。中華風の文化を持つ国で、一昔前には小手の勇者の伝説によって繁栄を極めていた。しかし、霊亀の騒動によって住民や国王が逃げ出し、現在は少年の王が即位している。小手の眷属器が埋め込まれた石碑がある寺院があり、新たな勇者を選ぶため一般に公開され、挑戦者を募っている。

フォーブレイ

尚文たちの異世界で最も大きい国。近隣に麒麟が封印された地がある。四聖勇者全てを平等に崇める「四聖教」の教会本部があり、また七星勇者を崇める「七星教会」も存在する。スチームパンク風の近代化された街並みを持ち、車や飛行船、銃器などが発展している。古来より王族は四聖、七星勇者の血筋を取り入れる慣わしがあり、王族には勇者の末裔が多い。勇者に対する信仰心が厚く、国力と発言力があり世界の中心とも言える国。四聖教会と七星教会には勇者の生存と選定者が現れたことを証明するステンドグラスがある。鞭のタクト、ツメのルハバート、槌、斧、投擲具の五人の七星勇者を抱えているが、各国へ援助・派遣し指示を行う連合軍のような体制をとっている。タクトがクーデターを起こし、フォーブレイの王や王族、ツメ、槌、斧、投擲具の勇者が殺害される。その後メルロマルクに戦争を仕掛けるが敗北し、権力を失って敗戦国となる。オルトクレイの支援を受けることとなる。

シルドフリーデン

南東に位置する人間と亜人の国。槌の勇者が所属していた国。作中では一度も訪れたことがない。シルトヴェルトの血筋重視に異を唱えた亜人たちによって建国され、設立して百年ほどの新興国である。シルトヴェルトからは下賎な種族が伝統に従えずに建国したと見下されている。過去には人間と亜人間で奴隷戦争を行い、現在は表面上差別が無いとされている。亜人であるアオタツ種の族長が国の指揮を執っているが、その信頼性は『槍の勇者のやり直し』の尚文から怪しまれていた。現在の族長はタクトのハーレムメンバーであるネリシェンであり、科学力はフォーブレイに次ぐ。タクト一派の世界征服に便乗するが、フォーブレイと共に敗戦国となり、上層部で責任の擦り付け合いが行われた。信用を失い、尚文からは今後も金銭を請求され続けると予想された。

フィロリアルの聖域

フィトリアが管理する遺跡で、人が入らないように結界が張られており、フィトリアの転移によって出入りしているため正確な場所は不明。かつて最初の勇者たちが守った跡地で、フィトリアの生まれる前のことであるため、詳細は不明である。現在はフィトリアとその配下のフィロリアルの住処となっている。劇中では、三勇教事件の際にフィトリアが尚文たちを連れて行った場所であり、遺跡の奥には時計を模した装飾の祭壇が存在し、その床の真ん中に武器を差し込むことで1人だけ、竜谷の時計の武器が手に入る。過去の天命によれば、時間を司る神殿とされている。

守たちの過去の異世界

尚文たちが村の異変によって飛ばされた、先代盾の勇者である城野守が召喚されていた過去の世界。当時は波による一回目の世界融合によって、盾の世界と弓の世界が融合した状態であり、まだ剣と槍の世界とは融合していなかった。そのため、聖武器の所有者は四聖勇者ではなく、双聖の勇者や聖武器の勇者と呼ばれていた。過去の世界であるため、未来では絶滅または絶滅寸前の魔物が多く住み着いており、フィロリアルはまだ存在していない。未来では残されていなかったが、波やその先兵に関する情報は把握されている。当時の聖武器は盾と弓。眷属器は槌、ツメ、鞭、馬車。

シルトラン

城野守を召喚した国で、後にシルトヴェルトとなる国。「古代シルトラン国」とも呼ばれる。古代シルトヴェルトよりも前の亜人・獣人の国であり、尚文たちは風景がどことなく似ていると感じている。王は城の魔術師の裏切りによって殺され、大臣が代表として公務を行っている。

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