デッドマウント・デスプレイ(DMDP)のネタバレ解説・考察まとめ
『デッドマウント・デスプレイ』とは、原作・成田良悟、作画・藤本新太による漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。2017年から『ヤングガンガン』で連載を開始した。略称は『DMDP』。勇者に倒され、現代の新宿で生きる少年・四乃山ポルカに憑依し転生したネクロマンサー・屍神殿が、警察や犯罪者、親戚の陰謀に巻き込まれながら、仲間と共に戦い、人間としての成長しつつ、平穏な暮らしを目指す戦いを描いていく。逆異世界転生モノであるが、ベテランがあえて挑む類のなろう系で、群像劇形式が魅力の作品である。
火吹き蟲の戦闘中のソリティアの言葉。「人生を楽しむコツは無駄を楽しめるかどうか。無駄な時間、無駄な努力、無駄な散財。それを省くという事は、究極的にただ呼吸と食事と睡眠をするだけの装置と成り果てる事だ!」とは、無駄なことが大好きだと言った彼の真意はここにあると思わせるような、共感したくなる名セリフ。彼が今迄自らの奇術を使い、犯罪を犯してきた動機は「本物の反応が見たい」ということ。世間から見れば無駄な行為だが、心からオカルトを信じて、無駄なことに全力で取り組むソリティアという人間の性質が見え隠れする。
荒瀬 耿三郎「私が鞭ならイワさんが毒混じりの水飴だ」
「私が鞭ならイワさんが毒混じりの水飴だ」とは、屍神殿の占いで自分と細呂木しか知らないメッセージに動揺した岩野目に荒瀬が放った言葉。普段から組んでいる二人にはそれぞれ適した役割があるはずなのに、らしくもない言動をした上司を心配した部下の諭す光景だ。そこには長年付き添ってきた二人の信頼の深さがある。
四乃山小夜「貴方を信じて契約した魂の事を貴方も信じてあげなさい」
転生した今でも契約を続けてくれた魂たちに対して罪悪感を感じている屍神殿。一度「世界の厄災」扱いされてしまった自身が、どんな顔をして喚べばいいかと悩む彼に、「泣き言はそこまでよ」と止めた。
「貴方を信じて契約した魂の事を貴方も信じてあげなさい」と堂々と力強く放たれた言葉は、しっかりとした姉のような小夜らしい。後ろ向きになりがちな屍神殿を、叱咤激励して背中を押してくれる頼もしいものであった。
雷小幽「僕のこの血は、四乃山を護る雷だ」
マジリに「私の助けが欲しいですか? 私の家族となって気ににとって忌まわしい『黒雷』と皆殺しにしましょうか?」と提案される小幽が、恐怖に抗いつつ自分の意思を伝えた。
「僕のこの血は、四乃山を護る雷だ」とは、実の家族に使い潰されそうになった自分を救ってくれた四乃山家に対する忠誠と恩に報いるという覚悟が示された言葉だ。
崎宮ミサキ「どうせなら私も巻き込まれたいと思っているからね。一緒にポルカ君を助けに行こう」
サバラモンドの落とし子からポルカを救うための準備をしている最中、自分がこの事態にみんなを巻き込んだと悩む屍神殿。そんな彼に寄り添って「自分がいいと思ったことに巻き込めばいいよ」と励ました。
「どうせなら私も巻き込まれたいと思っているからね。一緒にポルカ君を助けに行こう」というセリフには、自分一人で何でも気負いすぎる屍神殿の友達としての彼女なりの気遣いが見て取れる。
繰屋匠「必要以上に悪ぶることも善人ぶることもねぇ。やりたいように全力でやれよ『屍神殿』!!」
シヴィルとの戦いで「こんな力を持った化け物はここにいちゃいけない」という言葉に同意してしまった屍神殿は戦いを終わらせて、新宿の街での「平穏な暮らし」を諦めようとする。勝手に別れを挨拶をし始める屍神殿に匠が「友達をなめるな!!」と激怒した。最初は彼が恐かった匠だが、一度拉致された際に助けてくれたことから、もうとっくに相容れていると叫ぶ。
「必要以上に悪ぶることも善人ぶることもねぇ。やりたいように全力でやれよ『屍神殿』!!」という彼なりの励ましは、今まで誰かのために自分の心に嘘をついて来た屍神殿の枷を破り、「自分の我儘のために力を使うことを諦めなくてもいい」というメッセージも込めた感動的な場面での名セリフだ。
岩野目ツバキ「お前の復讐は別の形で果たしてやる。少なくとも日本の中にいるサバラモンドとかいう連中は俺が潰す」
催眠術によって、何も罪もない一般市民に自分達の意識を植えてつけていた火吹き蟲。仮に復讐を果たしたとしても彼らが「人を殺した」という事実は残ってしまう。他人の人生と捻じ曲げてでも、復讐を果たそうとする火吹き蟲の暴走に憤りを感じた岩野目は「お前の復讐は別の形で果たしてやる。少なくとも日本の中にいるサバラモンドとかいう連中は俺が潰す」と彼らの意思を引き継ぐという覚悟を見せる。生活安全課として「何の罪のない人々を守る」という誇りと名誉にかけて叫んだ言葉は、彼の情に厚い性格がよく表れたセリフである。
フラムロディア・バャディラーズ「この世界で……自分の意思で…今度こそ守りたいものを守れ!」
親友を暗殺してしまったことを気に病んでいた屍神殿に「永く永く生きて償ってもらうぞ?」と声をかけたフラム。冗談のつもりで何気なく言ったつもりの言葉が思った以上に屍神殿の心を縛ることになり、それから屍神殿は誰かのためにずっと自分を殺し続けてきた。それがようやく自分の我儘のために、前を向くようになり、そんな彼を「この世界で……自分の意思で…今度こそ守りたいものを守れ!」という心からの言葉で後押しした。
100年経っても、屍神殿が「世界の敵」になっても、転生しても、ずっと傍で味方でいるという彼と屍神殿との絆が垣間見える。
『デッドマウント・デスプレイ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
屍神殿が討伐された後を描く本編同時進行の書き下ろし小説
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目次 - Contents
- 『デッドマウント・デスプレイ』の概要
- 『デッドマウント・デスプレイ』のあらすじ・ストーリー
- 新宿へ転生した死霊術士
- 『怪人ソリティア』の復帰講演と没落した帝国の国章
- 阿牙倉一家と秘密結社「サバラモンドの落とし子」
- 「火吹き蟲」の正体と新宿大戦
- 死体探し
- 『デッドマウント・デスプレイ』の登場人物・キャラクター
- 主要メンバー
- 屍神殿(かばねしんでん)
- 四乃山 ポルカ(しのやま ぽるか)
- 崎宮 ミサキ(さきみや みさき)
- 繰屋 匠(くるや たくみ)
- 細呂木 雅 (ほそろぎ みやび)
- 四乃山 小夜(しのやま さよ)
- 雷 小幽(レイ シャオユウ)
- クラリッサの関係者
- 倉木 リサ(くらき りさ)
- 一ノ瀬 古瑠斗(いちのせ こると)
- 阿字城 イズナ(あじしろ いずな)
- デスクロー 佐谷(ですくろー さや)
- カルラ・ウォン
- 裏井(うらい)
- 西田(にしだ)
- 浅浦 カザミ(あさうら かざみ)
- 幌島 リンネ(ほろしま りんね)
- 幌島 ヒイロ(ほろしま ひいろ)
- その他の仲介屋
- 氷室 久遠(ひむろ くおん)
- 安藤 瑠士亜(あんどう るしあ)
- ジョッアキーノ・ソルダーティ
- カタシロ
- 厄ネタ
- レミングス
- 怪人ソリティア(かいじんそりてぃあ)
- 火吹き蟲(ひふきむし)
- 雑貨殿(ざっかでん)
- サバラモンドの落とし子
- シヴィル・A・サバラモンド
- アラハバキ
- ルル
- 阿牙倉家
- 阿牙倉 マジリ(あがくら まじり)
- 阿牙倉 百矢(あがくら ももや)
- 阿牙倉 夏南(あがくら かな)
- 阿牙倉 ダリア(あがくら だりあ)
- 阿牙倉 夢路(あがくら ゆめじ)
- 警察関係
- 岩野目 ツバキ(いわのめ つばき)
- 荒瀬 耿三郎(あらせ こうざぶろう)
- 戸沢 弾正(とざわ だんじょう)
- 八津 蘭丸(やつ らんまる)
- 合川 咲姫(あいかわ さき)
- 山田 文代(やまだ ふみよ)
- 幅木 秀秋(はばき ひであき)
- 鷹巣 次郎太郎(たかす じろたろう)
- 西明寺 水琴(さいおんじ みこと)
- 四乃山家
- 四乃山 呂算(しのやま ろざん)
- 四乃山 カノン(しのやま かのん)
- 四乃山 岳(しのやま がく)
- 四乃山 尊(しのやま たける)
- 四乃山 希吏(しのやま きり)
- 四乃山 涼火(しのやま すずか)
- 四乃山 華月(しのやまかづき)
- 四乃山 紫月(しのやましづき)
- 四乃山 五郎(しのやま ごろう)
- 龍宮機関
- 暴(パオ)
- 太貝(タイペイ)
- 蓬(よもぎ)
- その他
- 山ノ浦 章太(やまのうら しょうた)
- ばあや
- 胡蝶・エイトポート(こちょう・えいとぽーと)
- 神薙 涼馬(かんなぎ りょうま)
- 偽火吹き蟲(にせひふきむし)
- 屍神殿と契約した霊
- 皇帝/フラムロディア・バャディラーズ
- パロミー
- ラカベニア
- ルフ・ヴェルライズ
- 異世界
- イーズリーズ・ソルドフレイル
- シャグルア・エディス・ルグリッド
- ロメルカ・リメルカ
- ピラウィッゾ
- シルク・マラクーガー
- ウルドヴィジア
- シュラ・ゾーゾルッゾ・クランプランプ・ランプトン
- レクリア・ローフィラルド
- パニ
- アリウス・サバラモンド
- 屍神殿の父親
- 聖女/エルシア・サバラモンド
- 『デッドマウント・デスプレイ』の用語
- 亜眼(あがん)
- 死霊術(しりょうじゅつ)
- 魔溜石(まりゅうせき)
- 厄ネタ(やくねた)
- 拷問ビル
- バヤディ帝国
- 三纂(さんさん)
- サバラモンドの落とし子
- 『デッドマウント・デスプレイ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 屍神殿「軽々しく命に触れるな。命は全部、僕の玩具だ」
- 屍神殿「クズとかゴミとか穢れてるとか、そういうのを決めるのは社会なんだと思います。それは否定しません。でも誰と友達でいるかは、僕が決める」
- 四乃山呂算「何より俺は親だぜ? 理屈なんているかよ」
- 怪人ソリティア「人生を楽しむコツは無駄を楽しめるかどうか。無駄な時間、無駄な努力、無駄な散財。それを省くという事は、究極的にただ呼吸と食事と睡眠をするだけの装置と成り果てる事だ!」
- 荒瀬 耿三郎「私が鞭ならイワさんが毒混じりの水飴だ」
- 四乃山小夜「貴方を信じて契約した魂の事を貴方も信じてあげなさい」
- 雷小幽「僕のこの血は、四乃山を護る雷だ」
- 崎宮ミサキ「どうせなら私も巻き込まれたいと思っているからね。一緒にポルカ君を助けに行こう」
- 繰屋匠「必要以上に悪ぶることも善人ぶることもねぇ。やりたいように全力でやれよ『屍神殿』!!」
- 岩野目ツバキ「お前の復讐は別の形で果たしてやる。少なくとも日本の中にいるサバラモンドとかいう連中は俺が潰す」
- フラムロディア・バャディラーズ「この世界で……自分の意思で…今度こそ守りたいものを守れ!」
- 『デッドマウント・デスプレイ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 屍神殿が討伐された後を描く本編同時進行の書き下ろし小説
- アニメ収録前にお祓い
- ソリティアはアニメより先にCMで先行出演
- ヤングガンガンにてDMDP外伝小説を先行公開
- 『デッドマウント・デスプレイ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):Sou「ネロ」
- 第2クールOP(オープニング):水瀬いのり「スクラップアート」
- ED(エンディング):水瀬いのり「アイオライト」
- 第2クールED(エンディング):内田雄馬「Hope」