沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。

ユーリ・ゴルシコフは、駐日ソビエト連邦の大使を務める人物。彼はアメリカ大統領特別補佐官であるターナーとの極秘の会談に臨み、その席でターナーから「レッド・スコルピオン」によるアメリカの原潜攻撃を見逃す代わりに「やまと」撃沈のための共同作戦を提案される。ゴルシコフはこの提案を受け入れ、ソビエト連邦として共同作戦に参加することを決定する。この動きは当時の国際政治の微妙なバランスを象徴するものであり、大国間の複雑な駆け引きを反映している。

ビクトル・ロザク

ソビエト連邦および後のロシアで国防議長の職を務める人物。彼は北極海に展開していた米国とソ連の戦略ミサイル搭載原潜を一時的に撤退させる決定に関わり、その後もワシントン・サミットにてソビエト連邦大統領であるミハイル・マレンコフと共に活動する。この行動は、冷戦終結期における米ソ間の緊張緩和や国際政治の変化に寄与する重要な一歩と見なされ、ロザクの政治的手腕と戦略的思考を示している。

フランス海軍・政府関係者

ジャン・ルオー・メルビル

フランス海軍所属のリュビ級原潜「エムロード」の指揮を執る経験豊富な艦長。彼の指揮下の「エムロード」は、世界各国の原潜が「やまと」に接近する中、特異な命令を受けて待機するという独特の立場に置かれる。この命令は、フランス政府の独自の戦略や国際関係における慎重な姿勢を反映していると推測される。メルビル艦長はこの命令に従いつつも、常に状況を鋭敏に観察し、フランス海軍の威信と「エムロード」の安全を守るための準備を整えている。彼の職務遂行能力と与えられた状況下での冷静な判断力は、同僚や上官からも高く評価されている特徴の一つである。

ピエール・モルガン

フランス共和国の大統領で、その性格は皮肉的な傾向があり、また、彼は鼻炎に悩まされていることでも知られている。彼の独特な性格は政治的な対話や会議での彼の発言にしばしば反映され、彼の鼻炎は日常生活や公務に影響を及ぼすことがある。にもかかわらず、モルガン大統領はフランス国内外で重要な役割を果たし、その聡明さと経験を生かして国を導いている。

シャルル・アリダ

フランス共和国の外相であり、国際政治の舞台で積極的な役割を担っている。彼は米ソ間のミサイル原潜撤退の共同声明に関連し、日本の海原からフランスを中心に核軍縮を進めるよう促された。アリダ外相は「やまと」を支持する日本の世論が結束することを条件に、この提案を受け入れることに同意。彼はまた、ワシントン・サミットにフランス共和国大統領のモルガンと共に参加し、フランスの立場を国際舞台で代弁する重要な任務を担っている。アリダ外相の政治的態度と決断は、フランスの外交政策に大きな影響を与えている。

ドイツ・中国関係者

ルートヴィヒ・キージンガー

ルートヴィヒ・キージンガーは、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)の大統領で、日本を除く唯一の非核保有国としてサミットに出席。5ヶ国の原潜がニューヨーク沖に接近するという報告がサミットで共有された際、彼はその状況の意味を把握できなかった。キージンガーは国連が第二次世界大戦時の連合国が基盤となって設立された組織であることを踏まえ、国連が真に公平な国際機関であるとは考えておらず、サミットでの他国首脳への発言の中で国連の解体と、公平性を基盤とした「新国連」の設立の必要性を強調した。

張有為(チャンヨウウェイ)

中華人民共和国の国家主席としてサミットに出席し、核保有国の首脳として東洋の文化を背景に「やまと」問題に対する自身の見解を展開。同時に、彼は中国海軍の漢級攻撃型原子力潜水艦をニューヨーク沖に派遣するという行動を取った。

報道関係者

セシル・デミル

セシル・デミルは、アメリカのテレビ局ACNの社長。彼は、ボブに対して「やまと」への乗艦を指示し、海江田の核廃絶や世界政府構想についての真意を探る任務を与えた。デミルは、海江田の提案に対する世界的な評価を明らかにするため世界中のマスメディアと協力して情報サミットを開催し、世界市民投票を実施。彼のこの型破りな行動はマスコミ界における革新的な試みとして注目され、モルガンからは「情報の時代のデビル」と称されるほどであった。デミルのキャラクターは、CNN社長テッド・ターナーをモデルにしている。

ボブ・マッケイ

ボブ・マッケイはACNで活躍するレポーターで、大滝と共に北極圏およびニューヨークで「やまと」と2度接触する。彼は「やまと」に乗艦した際、自らも「やまと」の国民となり、他のクルーメンバーと共に「やまと」を核としたネットワーク網「情報国家 やまと」の構築を目指した。ボブ・マッケイのキャラクターは、著名なジャーナリストであるバーナード・ショーがモデルになっている。

ルーカス・フォス

通称ルークはACNのレポーターで、海江田が国連総会で狙撃された事件の報道を担当する取材クルーのリーダーを務める。彼は海江田への取材でマッケイとは異なるアプローチを取り、独自のルートで行動する。狙撃事件後、海江田が緊急搬送されたニューヨークの病院への取材に向かうため大滝淳を取材車に乗せ、海江田の治療を受けている病院へ急行する。病院ではマッケイや溝口たちと合流し、海江田の状態や事件の詳細についての報道を行う。ルーカス・フォスの行動は、事件の緊急性と重要性を世界に伝えるための重要な役割を果たす。

室岡(むろおか)

室岡は日本のテレビ局HNKのプロデューサーで、日本の総選挙の投票日が近づく中、従来の党首討論番組とは一線を画す新しい形式の番組を企画した。彼は「党首同士のバトルロイヤル」というコンセプトを採用し、自ら番組の司会を務めることにした。この番組では党首たちが直接対決し、それぞれの政策やビジョンを競い合う様子が描かれる。番組のクライマックスでは、室岡が党首たちに突然、極限状況下でのリーダーシップに関する難問を投げかける。具体的には「大海原でゴムボートに乗り救助を待つ10人のグループがおり、その中の一人が感染症にかかっていることが判明し結果的に全員が感染死する可能性がある状況で、グループのリーダーとしてどのように行動するか」という質問である。これにより、各党首の危機管理能力や倫理観が試されることになった。

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