沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。

アラン・B・ランシング(演:マイケル・ゲンチャー)

アラン・B・ランシング

CV:小林清志(アニメ)
アラン・B・ランシング少将は、第3艦隊の司令官としてミッドウェイ級通常空母「ミッドウェイ」での指揮を担当。沖縄沖の海戦でランシングは「やまと」を保護する日本海上自衛隊第2護衛隊群に攻撃を加え、「くらま」をハープーンミサイルで撃沈し、「あさぎり」にも損害を与えた。しかし「やまと」からのチャフ入りハープーンによって電子機器が一時的に無効化された後に魚雷攻撃を受けて「ミッドウェイ」を沈められ、その後も艦艇を次々と失った。
実写版におけるランシングの座乗艦はニミッツ級原子力空母「エイブラハム・リンカーン」に変更されており、階級も劇中で明確にされていないが階級章から中将に見直された可能性がある。この変更は、実写化に伴う設定の更新を反映しており、物語に現代的なリアリティを加えている。

リチャード・ボイス(演:ロブ・フラナガン)

リチャード・ボイス

CV:小村哲生(アニメ)
リチャード・ボイス大佐は、ニミッツ級原子力空母「カール・ヴィンソン」の艦長であり、第7艦隊司令も兼務している。ボイスは感情的な性格で知られ、ランシングには「ヒステリック・ボイス」と呼ばれることもあるが、海江田によれば実績を積み上げた優秀な軍人である。「カール・ヴィンソン」の指揮の下「シーバット」の拿捕や撃沈を試みるが、海江田率いる戦闘国家「やまと」の独立宣言によって計画は難航する。
実写版では、彼の役職は第7艦隊司令官に限定され、座乗艦も当時日本を母港としていた「ロナルド・レーガン」に変更されている。階級は具体的に言及されていないが、階級章からは中将への昇進が示唆されている。この変更は、実写化に際しての物語の現代化と、よりリアリスティックな軍事背景の反映を意図している。

テレンス・B・カーバー

テレンス・B・カーバー

CV:筈見純
テレンス・B・カーバー大佐はアメリカ合衆国海軍第3艦隊所属で、最新鋭のタイコンデロガ級イージス艦「ヴェラ・ガルフ」の艦長。沖縄沖海戦での激しい戦闘中、第3艦隊が甚大な損害を被るなか、彼は辛抱強く「やまと」の捜索を続ける。そして、発見に成功した後は「ヴェラ・ガルフ」の同型艦「レイク・エリー」「ケープ・セント・ジョージ」と協力し、慎重に戦闘を展開。カーバー大佐は極めて慎重な性格の持ち主であり、海江田に「三度も撃って来るとは。石の橋も渡らぬ艦長か」と評されるほどであった。彼の「やまと」への攻撃には通常よりも炸薬量を増やした対潜魚雷を搭載したアスロックを使用し、執念深く「やまと」を追い詰める。しかし、その攻撃が逆に「やまと」の巧妙な脱出作戦に利用されてしまう。最後は自ら考案したアスロックを用いた攻撃戦術で「やまと」を仕留めようとするが、「やまと」の予測を超える反撃によって動きを封じられた。「ヴェラ・ガルフ」は自艦が発射したアスロックの爆発に巻き込まれて大破し、彼の運命は不明のまま終わる。その後のカーバー大佐の生死については物語中で明かされていない。

ヘンドリック・ドール

ヘンドリック・ドール

CV:稲葉実
ヘンドリック・ドールは、アメリカ国防総省統合参謀本部議長として、北極海海戦およびニューヨーク沖海戦での作戦指揮を担当したキーパーソンである。彼の人物像は、湾岸戦争期のアメリカ軍の重要人物であるコリン・パウエル統合参謀本部議長とノーマン・シュワルツコフ中央軍司令官にモデルを取っている。ドールは海江田の思想に関心を寄せ、その後も彼の活動を注視している。

ケリー・J・ネルソン大佐

ニミッツ級原子力空母「エイブラハム・リンカーン」の指揮を執る、攻撃的かつ熱血漢のアメリカ海軍艦長。アメリカ精神の象徴ともいえる彼の姿勢は、ナイアガラ・フォールズ作戦を含む数々の作戦で明らかになっている。その過程で、彼の艦は海江田が指揮する「やまと」によって探信音を駆使され、何度も戦術的に翻弄された。にもかかわらず、ニューヨーク沖での海戦での彼の最終決断は、その状況において艦長として冷静さを失わず責任ある行動を取ることを示している。

アレックス・P・ナガブチ大佐

キティーホーク級通常空母「ジョン・F・ケネディ」の艦長として日系アメリカ人の血を引き、軍人であった父から受け継いだ侍精神に影響を受けている。彼はネルソン大佐とは異なり、その聡明さと理知的な性格で知られており、自己を見失った際には父から学んだ「仕える者のために私心を捨てる」日本の侍精神を思い出すことで自らを律している。ローリング・サンダー作戦では「やまと」に挑戦するが、海江田率いる「やまと」が戦意を示さなかったために攻撃を中止し、その判断力と戦況への適応能力を示した。しかしながら、その後に対潜ヘリ攻撃隊を率いて「やまと」への再攻撃を試みるものの五ヶ国原潜の突如としての登場と「やまと」によるニューヨーク港への強行突破を防ぐことは叶わず、彼のリーダーシップ下での難しい判断が試されることとなった。

ジョン・アレキサンダー・ベイツ

ジョン・アレキサンダー・ベイツ

CV:堀内賢雄(アニメ)
シーウルフ級原子力潜水艦「アレキサンダー」の艦長。ベネズエラ生まれの孤児で、米国の名門ベイツ・ファミリーに養子として迎えられた。彼は義兄のノーマンとその家族に対して深い感謝と信頼を持ち、ノーマンが大統領に就任し、自らが統合参謀本部議長になるという夢を抱いている。北極海で展開された「やまと」撃沈を目指すオーロラ作戦に参加し、ノーマンが指揮する「キング」と協力しながら、シーウルフ級の先進的な能力を活用して「やまと」を追い詰めた。しかし、ノーマンの戦術と自身の戦い方の違いが海江田に看破され、「キング」が撃沈されて義兄ノーマンを失う。この損失にもかかわらずベイツは戦意を喪失せずに戦い続けたが、最終的に「アレキサンダー」が機能停止し、部下の安全を最優先として降伏を選択する。ベイツの勇敢な戦いぶりは、海江田からも「今まで遭遇した中で最強の艦」と評価されるほどの印象を与えた。物語が進む中で彼は「アレキサンダー」の艦長として残り、深町の演説を艦内で聞くシーンが描かれている。

ノーマン・キング・ベイツ

ノーマン・キング・ベイツ

CV:田中秀幸(アニメ)
ノーマン・キング・ベイツ少将は、シーウルフ級原子力潜水艦「キング」の艦長。彼はベイツ・ファミリーの長男であり、義弟のジョンの兄にあたる。その卓越したリーダーシップと能力から次期大統領候補とも称される人物である。彼はオーロラ作戦中、将来の日本との関係を見据え「将来の指導者として、日本という国を相手にするときのために」と部下に語り、海江田に会うことを望んでいた。オーロラ作戦において、ノーマンは弟であるジョンが指揮する「アレキサンダー」と協力し「やまと」に対する攻撃を指揮した。しかし、彼の戦術は「やまと」に読まれ、「キング」は無誘導魚雷によって撃沈されノーマンは戦死。アニメ版では、彼の最期の言葉は「海江田、やはり君には会っておくべきだった」というものであった。ノーマンの死後、「アレキサンダー」艦内には彼の遺影が掲げられ、彼を偲ぶシーンが描かれている。彼の存在はオーロラ作戦の中で重要な役割を果たし、物語に深い影響を与えるとともに、兄弟間の絆と失われた将来の夢を象徴している。

アメリカ政府関係者

アンディ・リード

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