沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。

ジョセフ・ローリィ

イギリスの首相であるジョセフ・ローリィは、イギリス海軍のトラファルガー級原潜「タービュレント」が「やまと」を支援し、沈黙の艦隊の結成に関与することを正式に承認した。

ジュリアス・ロードン

イギリスの大手保険会社ライズ社(ロイズ保険組合がモデル)の筆頭アンダーライター、ジュリアス・ロードンは、当初大滝淳が提案した「やまと保険」計画に対して、世界規模でのインフレ発生の懸念から反対の立場を取っていた。しかし、大滝が提示した保険内容と彼の信念に触れたことで考えを改め、最終的にはこの革新的な保険プランを受け入れる決断を下した。

ウィリアム・スコット

ウィリアム・スコットはライズ保険委員会の会長を務める人物で、海江田を「真に世界平和を望む英傑か、それとも核による世界制覇を目論む狂人か」と評価するなど、その発言には狡猾さが感じられる。彼は委員会内での討論において、メンバーたちに自由に発言させ、自身の見解は議論の最後に持ち出すことで広い心とリーダーシップを示している。

ゴッドフリー・ローレンス

ライズ保険委員会の副会長であるゴッドフリー・ローレンスは、ジュリアス・ロードンによって提示された大滝淳の提案する「やまと保険」の詳細に対し、深い関心を寄せた。彼は、この保険案が世界に新たな安全保障体制をもたらし、アメリカの役割に変わる形で「やまと」が加盟国間の平和と安定を保つ存在となることに期待を示した。この保険案に賛同し、ロードンと共にワシントン・サミットに参加。そこで彼らは「やまと保険」の実施に向けた具体的な行動を起こすため、イギリス首相ジョセフ・ローリィと協力して計画を前進させた。

コーエン

ライズ保険委員会の一員であるコーエンは、当初「やまと保険」の提案を「過度にリスクが高い」として厳しく反対した。しかし、副会長ゴッドフリー・ローレンスの熱心な説得によって考えを変え、結局はこの大胆な保険案に賛成する立場を取った。彼の変心は、保険案に対する委員会内の見解が一致する重要な転換点となった。

ソビエト連邦海軍・ロシア海軍関係者

ユーリ・アンドロポフ

ユーリ・アンドロポフは、ソビエト連邦海軍太平洋艦隊の司令官で、キエフ級航空巡洋艦「ミンスク」にて指揮をとった。彼は、アメリカ海軍第3艦隊と協力して「やまと」の撃沈を試みたが、「ミンスク」が残した航跡を利用した攻撃により、自艦隊の艦艇を次々と失う結果となった。

アンドレイ・ロブコフ

アンドレイ・ロブコフ大佐は、ソビエト連邦海軍のアルファ級原子力潜水艦「レッド・スコルピオン」を指揮する貧しい農家出身の自らを高めた軍人。若いながらにしてその能力は非常に高く、気鋭の存在として知られている。海江田もロブコフの前任者であるボロジンと比較して彼の技量を高く評価し、「2年前の日本海で遭遇した者とは異なる」と述べている。党への絶対的な忠誠心を持ち、長身巨躯から繰り出される怪力でボロジンを文字通り手で掴んで処刑するほどの力を持つ。彼の愛読書はトルストイの作品である。ロブコフは、フローティング・アンテナを使用した戦法でアメリカの原潜2艦を衝突させ大破させる戦果を上げるが、「やまと」に対しては裏をかかれて敗北を喫する。ソビエト連邦の解体後もロシア海軍で「レッド・スコルピオン」の艦長を続けており、基地の埠頭で深町の演説を聞く姿が描かれている。このキャラクターは、その出自からのし上がった背景や圧倒的な物理的能力、そして軍事戦略における高い技術を持つ人物として描かれている。

イワン・ボロジン

イワン・ボロジンは、ソビエト連邦海軍アルファ級原潜「レッド・スコルピオン」の元艦長で、大佐の階級を持っていた。彼は突如として艦長職を解任されることに大きな不満を抱いており、自分よりも若いロブコフが後任に選ばれたこと、そしてその任命を決定した党への激しい怒りを表明した。その結果、彼はロブコフによって処刑される運命となった。ボロジンは2年前、日本海で当時「やまなみ」の艦長だった海江田と直接対決した経験がある。

ミハイル・セルゲイビッチ

ミハイル・セルゲイビッチは、ソビエト連邦海軍所属のシエラ級原潜の艦長であり、彼の立場は政治将校にあり階級は大佐である。「やまと」が「レッド・スコルピオン」との戦闘で勝利を収めた後、ミハイルは海江田に対し、同盟の締結を提案する。しかし、その提案は海江田によって拒否される。この拒否を受けて、ミハイルはやむを得ずロブコフに「やまと」の撃沈を命じることになる。ミハイルはロシアを自らの母国と称しており、彼自身の英語にはウクライナ訛りがあると自認している。

ソビエト連邦・ロシア政府関係者

ミハイル・マレンコフ

ミハイル・マレンコフ

CV:秋元羊介(アニメ)
ソビエト連邦からロシア連邦へと変遷する時代の大統領。彼はソ連の民主化を推進する運動の中心人物として「やまと」が北極海を通過する際には、アメリカ合衆国大統領ニコラス・J・ベネットとホットラインを通じて対話を行った。その結果、テレビ放送を通じた共同声明で、北極海に展開していた米国のオハイオ級とソビエト連邦のタイフーン級の両戦略ミサイル原潜を一時的に撤退させることを発表。この行動は、国際的な緊張の緩和に寄与するものであり、マレンコフの外交手腕を示す出来事となった。

ユーリ・ゴルシコフ

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@go-1003469847490291302435

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