沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ

『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。

影山 誠治(かげやま せいじ/演:酒向芳)

影山 誠治(左)

CV:仲木隆司(アニメ)
影山誠治は、『沈黙の艦隊』において日本の外務大臣として活躍する政治家である。彼は天津航一郎や海原渉と共に、アメリカの補佐官であるターナーとの間で行われる日米間の交渉に参加し、その過程でハワイでの日米首脳会談や東京での「やまと」と日本の首脳会談にも同席。影山は第2次竹上政権における組閣の計画に関わっていたことから、政府内での重要な役割を担っている。彼のキャラクターは、国際的な交渉の場面で日本の外交政策を担う要として、物語において中心的な役割を果たしている。

曽根崎 登/実写版:曽根崎 仁美(そねざき のぼる/そねざき ひとみ/演:夏川結衣)

曽根崎 登(中央)

CV:田中康郎(アニメ) / 大塚周夫(ラジオドラマ)
曽根崎登は『沈黙の艦隊』における日本国防衛庁長官として登場し、秘密裏に進行された「シーバット計画」に深く関与しているキャラクター。彼は「シーバット」日本初の原子力潜水艦の完成式に出席するなど、この重要な軍事プロジェクトの中心人物の一人として描かれている。実写版では曽根崎登は性別を変更し、曽根崎仁美として防衛大臣の役職で登場する。この変更は実写版の設定年代に合わせたものであり、原作と同様にシーバット計画に関わる重要な役割を果たしている。このキャラクターは物語の軍事的背景や政治的謀略の深い層を象徴しており、『沈黙の艦隊』の世界観をより豊かにしている。

浜本 啓介(はまもと けいすけ)

浜本 啓介

浜本啓介は『沈黙の艦隊』に登場する日本国運輸大臣で、日本政府から「やまと」への親善大使として派遣される。海江田の理念と指導に共感し、彼と「やまと」との間で友好条約を結ぶための準備に積極的に取り組む。衆議院総選挙では竹上登志雄が立ち上げた新民自党の旗の下に立候補し、見事に議席を獲得。第2次竹上政権が発足する際には、その組閣構想にも名を連ねている。彼の選挙区は福岡3区であり、政治家としての活躍の幅を広げる重要な役割を担っている。浜本のキャラクターは、物語における政治的な動きや国際関係の築き方に深く関わる人物として描かれ、『沈黙の艦隊』の世界観において重要な役割を果たしている。

倉池 栄 (くらいけ さかえ)

倉池栄は『沈黙の艦隊』の物語において、日本国大蔵次官(大蔵事務次官)として活躍するキャラクター。彼は物語の重要なプロットの一つである「やまと保険」の成立に向けて、イギリス・ロンドンにて重要な役割を果たす。倉池は大滝淳と共にライズ保険会社との交渉に臨み、「やまと保険」の設立に成功するための外交努力を展開する。このプロセスでは国際的なビジネス交渉の難しさと、異文化間のコミュニケーションの重要性が描かれるとともに、倉池栄の外交的なスキルと彼の任務に対する献身的な姿勢が強調されている。

永江

永江は『沈黙の艦隊』に登場する公民クラブの幹事長で、物語では政治的な駆け引きと裏工作の一端を担っている。彼は社会民主党や革新共産党と共に革新連合を形成し、政治的な変革を目指していた。しかし、衆議院総選挙の後、民自党から大量の金銭を提示され同党の河之内から激しい工作と説得を受ける。永江はこの圧力に抗しきれず、最終的には公民クラブを民自党へ吸収合併させる道を選ぶ。この出来事は永江の政治的な立場と、時には理念を超えた現実の政治の厳しさを示すシーンとなっている。彼のキャラクターは現実の政治家永末英一をモデルにしているとされ、作品にリアリティを与える要素の一つとなっている。

「やまと」関係者

山中 栄治(やまなか えいじ/演:中村蒼)

山中 栄治

CV:麦人(アニメ)
山中栄治は、『沈黙の艦隊』の副長で三等海佐の階級を持つ。彼は以前「やまなみ」の副長も務めており、10年にわたってその艦に乗り込んでいる。山中は真面目な性格で海江田からの信頼は厚く、海江田が国連総会に参加中に「やまと」が奇襲された際、海江田が特に気にかけたのは山中の安否であった。これは、「彼(山中)が無事なら全乗組員も無事だ」と海江田が言及しているほどだ。また、深町洋からもその操艦技術を認められているほど優秀な副長である。
海江田が国連総会に出席している間、山中は「やまと」の指揮を代行した。そして、「やまと」が沈没する際には乗組員の中で最後に脱出し、ストリンガーが指揮する「タービュレント」によって救助された。海江田が負傷した後は、他の乗組員と共にストリンガーの下で活動を続けている。

内海(うつみ)

内海(左)

「やまと」の航海長を務めるキャラクターで、階級は三等海佐。以前には「やまなみ」という潜水艦で航海長を務めており、物語の中で海江田艦長の最も信頼する部下の一人として描かれている。山中と共に海江田の直接的な補佐役を務め、彼の深い海洋戦術の知識と分析能力は敵艦の性能や進路を正確に把握し、戦術的なアドバイスを提供することで「やまと」の潜水艦隊の成功に貢献。内海のキャラクターは、その冷静な判断力と専門知識を生かした役割で物語の中で重要な位置を占めている。

溝口 拓男(みぞぐち たくお/演:前原滉)

溝口 拓男

CV:中博史(アニメ)、大塚明夫(ラジオドラマ)
原子力潜水艦「やまと」におけるソナーマンであり、以前は「やまなみ」でも同じ役割を務めていた。彼の顔の特徴は引き眉で、その特徴的な容姿が彼を識別しやすくしている。同僚の南波栄一からは「自分に次いで耳が良い」と評価され、互いにライバル意識を持ちながらも尊敬し合っている。
物語の中で海江田艦長が負傷した際には、副長の山中から海江田の見舞いを命じられニューヨークに上陸。海江田の呼吸音を聞いた瞬間「俺の艦長は生きてるんだ!」と力強く叫び、海江田との深い絆と彼への忠誠心を示した。溝口のこの行動は彼がただのソナーマン以上の存在であること、そして彼のキャラクターが持つ人間性と専門性の高さを象徴している。

海上自衛隊関係者

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