性別「モナリザ」の君へ。(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『性別「モナリザ」の君へ。』とは、『ガンガンONLINE』にて連載された吉村旋が手がける恋愛漫画。単行本は全10巻。次にくるマンガ大賞2020ではWebマンガ部門で20位を受賞した。
人間が性別を持たない状態で生まれ、12歳ほどでなりたい性別に変化する世界。主人公の有馬ひなせは、18歳になっても性別が変化せずにいた。このまま変化せずに生きていくのだと考えていたひなせだったが、幼馴染の加賀りつと高山しおりに同時期に告白されたことをきっかけに3人の関係は変化していく。

『性別「モナリザ」の君へ。』の概要

『性別「モナリザ」の君へ。』とは、スクウェア・エニックスが開設したウェブコミック配信サイト『ガンガンONLINE』にて2015年5月から2021年12月まで連載された吉村旋による恋愛漫画。単行本は全10巻で、累計発行部数は100万部を突破している。次にくるマンガ大賞2020ではWebマンガ部門で20位を受賞した。

人間が性別のない状態で生まれ、12歳ほどで本人の望む性別に変化していく世界。18歳になっても性別のない主人公・有馬ひなせ(ありま ひなせ)は、これからも性別がないまま生きていくのだと考えていた。男性にも女性にも興味がなく、恋愛感情もわからない。昔は抱いていた性別が変わることへの期待も既に失ってしまった。そんなひなせの人生は、幼馴染の加賀りつ(かが りつ)と高山しおり(たかやま しおり)から同時期に告白されたことで変化していく。性別の変化に戸惑いながらも様々な経験を通じて受け入れていくひなせと、ひなせの変化と共に少しずつ性別への考え方が変化していく幼馴染が描かれる。恋愛だけでなく、性別による違いとそれによる悩み、同性に対する恋愛感情に焦点を当てた作品。

『性別「モナリザ」の君へ。』のあらすじ・ストーリー

幼馴染2人からの告白

右は幼馴染の高山しおり(たかやま しおり)からひなせが告白されるシーンで、左が幼馴染の加賀りつからひなせが告白されるシーン。

人間が性別を持たない状態で生まれ12歳ほどで本人が望む性別へと変化する世界において、18歳を迎えても未だ性別の変化がない主人公・有馬ひなせ(ありま ひなせ)。18歳の春、ひなせの人生は幼馴染からの告白によって大きく動き出す。
ある日、ひなせに片思いをしていた加賀りつ(かが りつ)は自身の想いを打ち明け、「私がひなせを男にする。返事は後でいいから」と言って去ってしまう。りつからの告白に複雑な想いを抱えるひなせは放課後の教室で高山しおり(たかやま しおり)と出会う。しおりもひなせに「俺がお前を女にする」と告白するものの、困惑したひなせはその場から逃げ出してしまう。
複雑な想いを抱えたまま、ひなせは病院の定期健診に向かう。そこで担当医師である高山あずさ(たかやま あずさ)から男女両方のホルモン値が上がっていることを告げられる。ひなせはそれに戸惑い、性別の変化を受け入れられないまま次の登校日を迎えるのだった。
週明けの昼休み、同級生にひなせとしおりは付き合っているのかと聞かれたことをきっかけに互いがひなせに告白していたことを知るりつとしおり。2人は自分たちの告白の結果はひなせの性別の変化でわかると言い、それぞれ男性/女性になってほしいとひなせに告げるのだった。

無性別者最年長になるひなせ

ひなせはあずさから自分が最年長の無性別者になったこと、今まで以上に研究のための検査に協力してもらう必要があることを告げられる。今まで最年長だったポーランドの無性別者はどちらの性別になったのかと問うひなせに、あずさは言葉を濁す。ポーランドの無性別者は亡くなったのだが、ひなせには伏せておく決定がされていたためだ。無性別者で20歳を超えた者はいないという情報が伏せられたまま、ひなせは自分の性別の変化と向き合うことになるのだった。
その帰り道、あずさに車で送ってもらうことになったひなせは幼馴染2人に告白されたことを打ち明ける。あずさは恋愛が性別の変化に影響を及ぼすこともあると告げるが、その言葉にひなせは複雑な表情を浮かべる。それに気付いたあずさは、2人の好きにやらせておいてなりたい自分になればいい、君の性別は彼らの性別とは関係ないとアドバイスをする。

変化を受け入れられないひなせ

次第に性別の変化を気持ち悪いと感じるようになるひなせ。幼馴染2人が好きな気持ちも手をつなぎたい気持ちも変わらない。しかし、その感情は以前とは異なるもののように思え、それを意識すると自分も幼馴染も気持ち悪く感じてしまう。しおりやりつに触れられた手に気持ち悪さを感じ振り払ってしまうが、それがきっかけでしおりとすれ違うようになってしまう。
思い悩んで体調を崩したひなせは病院で診察を受けるものの、体に異常はない。なんでも相談していいと言うあずさに、ひなせは性別を持つのが嫌だと思っても性別は変わるのかと問う。あずさはその問いに変わると答え、みんながみんなはっきりと望んだ性別に変わっていくわけではないことを話すが、それを聞いたひなせはショックを受ける。

気持ちの変化

ひなせの体調を心配したりつからの電話に「自分やっぱりなんか変なんだ」と打ち明けるひなせ。心配して駆けつけたりつと家で話をすることにしたひなせは、りつに自分の感じている不安を打ち明ける。りつもしおりも自分より大人になっていて、自分の心は子どものままだから性別が変わらないんじゃないか。いざ性別が変わると思ったら色々なことが今までと変わってしまいそうで怖い。幼馴染への感情が以前と違うような気がして自分も幼馴染も気持ち悪く感じる。幼馴染2人と手をつなぐとドキドキして息がしにくくなって、手が汗ばんでくること。そんなひなせの悩みを聞いたりつは、ひなせと手をつなぐとドキドキする気持ちは自分も同じだと告げる。その気持ちは性別が変わる前からあったと言うりつ。その言葉で自分の気持ちが体の変化とは関係がないと知ったひなせは、りつに触れても以前感じた気持ち悪さを感じなくなっていることに気付く。しおりにもそのことを打ち明け、仲直りするのだった。

無性別者の友人を持つなおとの出会い

幼馴染との関係に悩み心ここにあらずの状態でトラックにひかれそうになったひなせは、偶然居合わせた石和なお(いさわ なお)に助けられる。その後しおりはなおの落とし物をきっかけに話をして、なおがひなせを助けてくれた女性であることを知る。助けてもらったお礼をしたいと言うひなせと共になおの元を再び訪れたしおり。会話の中で無性別者リザの写真を見たしおりとひなせは、なおからリザの話を聞く。帰り道、自分と同じ大人の無性別者がいることがわかって安心したと言うひなせ。一方、なおの口ぶりに違和感を覚えたしおりは忘れ物をしたとひなせに伝え、なおの元に戻る。しおりはなおに写真の人は今も生きているのかと問い、なおはリザが亡くなっていることを告げた。それを聞いたしおりは、ひなせが無性別のまま生きられるならそれが一番いいのではないかという悩みを打ち明ける。なおはそれに対し性別がない時の方が楽だったと思うことはたくさんあるけど、性別があることで得をしたこともたくさんあるはずだとアドバイスを送るのだった。

ひなせの性別の変化に悩む幼馴染

性別の変化を受け入れていくひなせとは反対に、幼馴染2人はひなせの性別の変化に悩むようになる。ひなせが自分と同じ性別に変化しても今と変わらず好きでいられるのか。思い悩むりつは親友に相談するが、悩みは解消できないまま女子会はお開きになる。一方、しおりは塾の帰りに出会った白銀あおい(しろがね あおい)にひなせが男性になっても好きなままでいられるのかと問われ、人間として好きなままなのは間違いないが恋愛として好きなままでいられるのかはわからないと答える。
その帰り道、しおりは雨の中座り込むりつに出会う。2人は一緒に帰ることにして、お互いのひなせへの想いを語り合う。りつは自分の気持ちはひなせが女性になっても変わらないかわからないこと、女性になったひなせと付き合う想像がどうしてもできないことを打ち明ける。しおりは自分が男としてひなせが好きなことを打ち明け、りつはひなせが女性になったときに自分が男役をするのがしっくりこないだけなのではないかと言う。しおりとの触れ合いを通して、りつは自分のひなせへの想いを再確認するのだった。

幼馴染3人の気持ちがすれ違う夏祭り

毎年幼馴染3人で行っていた夏祭り。りつはひなせと2人で行くために夏祭りに誘うが、ひなせはしおりも一緒に3人で行きたいと思っていた。ひなせはしおりを誘うものの、りつは2人で行きたいはずだと断られてしまう。幼馴染と今まで通りの関係でいられないことに戸惑うひなせ。夏祭りでもしおりのことを頻繁に口にするひなせに複雑な心境のりつは、花火を見ながら改めてひなせに告白をする。ひなせはりつが大好きだけどしおりも同じように好きだと返すが、りつはその答えにショックを受け泣きながら去ってしまう。
ひなせは夏祭りの帰りにあおいに出会う。相談に乗るというあおいに、ひなせは幼馴染と今まで通りでいられないことに対する悩みを打ち明ける。それを聞いたあおいは自分とちあきの関係も変わってしまったことを打ち明け、ひなせにアドバイスをする。全部今まで通りでいることは難しく、時間の経過と周囲の動きで関係性が変わっていくのは当たり前だということ。ひなせの言うずっと一緒にいたいはりつとしおりの好きとそこまで違わず、2人はひなせと離れたくなくて告白したんじゃないかということ。そして、性別が変わったら異性を選ぶのは本当に当たり前のことなのかと問いかけ、性別とは関係なしに2人とどうありたいかの方が大事なんじゃないかと言う。その言葉を聞いたひなせはりつとしおりを呼び出し、どっちも好きで今はまだ選べないと自分の気持ちを告白するのだった。

性別の変化

りつの提案した1日女性体験、無性別の友人を失ったなおとの会話、同級生との関わり、幼馴染とのすれ違いと仲直り。様々な経験を通じてひなせは自分の性別の変化を受け入れ、性別を変えることを決意した。病院での定期健診で、ホルモンが片方の性別に偏っているからこのまま変化するだろうと告げられるひなせ。ひなせはどちらの性別に変化するかを問い、その返答に対し望み通りの性別だと答えるのだった。

『性別「モナリザ」の君へ。』の登場人物・キャラクター

主人公

有馬ひなせ(ありま ひなせ)

mmi3733mmi
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