天国大魔境の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『天国大魔境』とは、2018年3月から『月刊アフタヌーン』にて連載をしている、石黒正数による漫画作品。
閉鎖的な施設で暮らす子供たちと、崩壊した日本を旅する二人の少年少女、二つの視点で物語が進行していく。
物語が進むにつれ、二つの視点には時差があることが分かっていく。何気ない一言、なんてことない背景、それらが互いの視点の伏線となっている。作中にちりばめられた伏線回収の鮮やかさが魅力の作品である。

たったひとりの同学年であるアスラを失い塞ぎこむコナ

アスラは自分が兵器として創られたことを知り、未来に絶望する。自殺を止めようとするコナだが、アスラの意志は固く、コナの目の前で首を吊る。

コナの同期であるアスラは、予知能力や思考能力に長けていた。その力は、他の学園の生徒より群を抜いて、アスラ自身もその能力を熟知していた。そのため、自分たちが兵器として学園に創られた生き物であることを察知する。自身の境遇に絶望したアスラは自殺をしてしまう。アスラの死を目の当たりにしたコナは塞ぎこむようになる。落ち込むコナに対して、どのように接すれば良いかわからない学園の子供たちだったが、トキオはぎこちなくコナに寄り添う。不器用だが、何も言わずに傍にいてくれるトキオに、コナは異性として特別な感情を抱き始めるのだった。

タカ/南方弥刀の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「乃亜に手は出させねぇ」

ミチカはタカに「一緒に戦おうぜ!!」と誘う。しかし、あのヒルコがアンズであることを知っているタカは険しい表情を見せる。

学園の外に出たタカは、オーマとミチカに数年ぶりに再会した。ミチカは、学園にいた頃から身体能力が高かったタカを、近くにいるヒルコとの戦いに誘う。タカは断るが、戦闘狂であるミチカは一人でも戦いに行こうとする。タカがミチカを引き留め、翌日二人でヒルコの元へ行くことを提案する。
翌日、待ち合わせ場所に現れたミチカに、タカは突然刃を向ける。ミチカはタカの攻撃を簡単に躱し、二人は戦闘になった。タカは「乃亜に手は出させねぇ」と言うことから、ミチカが倒しに行こうとしているヒルコがアンズ(乃亜)であることが判明する。タカの斬撃によりミチカは手首を切り落とされ、首を負傷する。しかしミチカの反撃が、タカの首に命中し、タカはこの戦いで死亡するのだった。
このストーリーより前に、タカとアンズの娘であるトトリが登場している。しかしトトリは孤児で、自身が親から捨てられたと認識していた。しかし実際には、タカがアンズを守るためミチカとの戦闘に敗れ、トトリが孤児となってしまったことが判明するエピソードとなっている。

学園長(上仲詩乃)/三倉まなかのの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「性の概念も……男女の区別さえ 教えず育てたのに……」

トキオの妊娠に緊急会議を開く職員たち。性の概念や、恋愛感情を教えずに育ててきた職員たちにとっては信じがたい出来事となった。人間は教育されずとも「性」や「愛」を生まれながらにして備えていることを教えてくれるシーンである。

高原学園の幹部職員たちが集められ、緊急会議が行われた。トキオがコナの子を妊娠したのだ。コナとトキオの性行為が発覚したことにより、職員たちは二人の間に異性としての関係が築かれていることに驚愕する。
学園にいる子供たちは閉鎖的な空間で、不自由なく生活をしているが、何のための教育機関なのかはこれまで不明だった。この事件では学園長が「性の概念も……男女の区別さえ 教えず育てたのに……」と発言し、教育理念の一部が垣間見える。しかし、非常に偏った思想であることから、依然高原学園の目的は不明瞭なままストーリーが進んでいくこととなる。

「まず青島さんになります 私は」

自身の目的のためにおぞましい計画を打ち明ける学園長。その表情は不気味な笑みを浮かべている。

タラオを死に至らしめた病が、他の子供たちにも発症する可能性があるのか、学園長は思案していた。猿渡は「可能性はあります」と答える。それを聞いた学園長は「コナとトキオの子に賭けるしかない」と言う。ミーナが産んだ子供ではなく、「子供たちの子供たち」であるコナとトキオの子供は、学園の職員たちにとって未知の存在だった。学園長は「この世界に天国が芽吹くのを見届けるために寿命という足かせを外さなければならない」と言う。そのため、コナとトキオの子のクローンに、脳移植を試みる算段だ。しかし、脳を移植するための身体は早くても13歳まで成長を待たねばならなかった。「まず青島さんになります 私は」と、学園長は一時的に自身の脳を、青島に移植するという恐ろしい計画を立てる。

「あきらめません 勝つまでは……!!」

学園長の口癖「あきらめません勝つまでは」を口にする三倉まなか(ナタ)。学園長の脳が三倉まなかの身体に移植されていたことが判明する。

ナタは学園への爆撃に巻き込まれ意識不明となっていた。外の世界に連れ出されたナタは、三倉まなかという名前を与えられ、病院で療養することになる。ナタは意識を取り戻すも、記憶喪失となっていた。学園に居た頃から仲が良かったマコやサクヤの顔を見ても、自身が何者なのか思い出せずに、入院生活も数ヶ月が経った。
突然、大地震に見舞われ、ナタは病室でひとり震えていた。病室の中にある荷物が散乱し、そこにマコのものと思われるリュックがあることに初めて気づく。リュックの中を漁ると、そこには拳銃が入っている。拳銃のグリップ部分には鳥の紋章が埋め込まれていた。
ナタが拳銃を目にした瞬間、目の色が変わる。すべてを思い出したナタは「あきらめません 勝つまでは……!!」と言い不敵に笑う。それは学園長の口癖だ。ナタは、学園長の脳を移植されていたのだった。
キルコにマルのボディーガードを依頼したミクラさんとは、三倉まなかのことである。このエピソードでは、マルとキルコは三倉まなかこと学園長の思惑で、天国を目指す旅をしていることが判明した。

「照彦ちゃんはお父さんとの折り合いが悪く母方の姓を名乗っているんです 迫田照彦!!」

猿渡が実はキルコの探していた医者・迫田と同一人物わかるシーン。人相が変わりすぎて読者も同一人物とは気付けない。

ミーナのシステムにログインするため、学園長本人しか知りえない質問に回答する三倉まなか。職員の名前を聞かれた際、猿渡の本名を「迫田照彦」と答える。次々と出題される質問に答えていくため、たった1コマの描写だが「迫田」とは、キルコが探している医者の名前と合致しているのである。キルコの手術をした医者が猿渡であることが判明する。

迫田照彦/猿渡の名言・名セリフ/名シーン・名場面

トキオの子供に、マル印をつける猿渡

トキオの子供と、そのクローンの世話を任されている猿渡(迫田)。

コナとトキオの子供を世話している最中、学園は爆撃に見舞われる。ちょうど世話をしていた猿渡が二人の赤子のうちどちらがトキオの本当の子供で、どちらがクローンであるかわからなくなってしまった。猿渡は「あとで遺伝子検査をして調べるからとりあえず片方にマル印をつけておこう」と足の裏に印をつけた。これがマルがマルと呼ばれるようになった所以である。猿渡はマルの名付け親であり、キルコが追い求めていた医者でもあったのだ。しかし、他の職員たちから「どっちがトキオの本当の子か」と聞かれた際、「どっちがどっちかわからなくなった」と言い出せなくなった猿渡は適当に答えてしまう。そのため、マルがトキオの本当の子供か、クローンなのかは不明なままである。

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