レルネン（葬送のフリーレン）の徹底解説・考察まとめ

レルネン（葬送のフリーレン）の概要

レルネンとは、原作：山田鐘人、作画：アベツカサによる漫画『葬送のフリーレン』の登場人物。大陸魔法協会の規定する一級魔法使いの中でも、実績と実力の双方においてその筆頭の立場にある老人。
若い頃はとある国に仕えており、後の宮廷魔法使いデンケンとは同僚にして親友の間柄だった。ある時失脚し、必死に庇おうとするデンケンを「これ以上は君も立場を失いかねない」と諭して国を去る。その後発足したばかりの大陸魔法協会に所属し、もっとも早く一級魔法使いとして認められた。

以降は協会の長であるエルフの大魔法使いゼーリエの一番弟子として活躍。1人目の一級魔法使いとして後進を指導する一方、永遠にも等しい時間を生きるゼーリエを案じ、「自分が死に、大陸魔法協会が無くなった後も、ゼーリエを孤独にさせたくない」との想いから彼女の孫弟子にあたるエルフの魔法使いフリーレンを襲撃。“悪名”という形でゼーリエの心の中に残ろうとした。
デンケンが故郷にして大魔族マハトの呪いによって土地も民も黄金へと変えられたヴァイゼの解放を決意した際は、「今こそ若い時の恩を返す時だ」との考えから彼に協力。マハトと交戦し、その攻略に不可欠な重要情報を持ち帰った。

レルネン（葬送のフリーレン）のプロフィール・人物像

物腰柔らかく、言動も穏やかな老紳士。ゼーリエ曰く「臆病」な性格で、事を起こす際には自分に打てる万全の対策を用意してから取り掛かる。一方、内面はかなり勇猛果敢で、「一見穏やかな人物だが、慎重に機会を探り準備が不十分なら動かないだけで、行動自体は攻撃的かつ無鉄砲」という物騒な人物。
師であるゼーリエのことを深く敬愛しており、彼女からも大陸魔法協会を運営する上での右腕にしてこの時代における一番弟子として頼りにされている。ゼーリエからは「実に惜しい、これだけの実力があっても活かす場所が無い。魔王軍との戦火の時代に生まれていれば、歴史に名を残す英雄になっただろう」と評価されており、レルネン本人も自身を「時代遅れの武闘派」だと自嘲している。

若い頃に共に働いたデンケンとは今も交流があり、親友ともいうべき間柄。かつてレルネンが失脚して国を追い出された際、デンケンが自分の地位を危うくしてでも庇おうとしてくれたことには今も深く感謝している。そのデンケンが故郷を救うために大魔族マハトとの戦いを決意した時は、頼まれるより先に全面的な協力をするべく各方面に働きかけた。
一級魔法使い試験に参加したエーレとはなんらかの関係があるらしく、作中で彼女に仲間を紹介されているシーンがある。エーレは「一級魔法使いの祖父がいる」と発言しているため、祖父と孫の関係なのではないかと思われる。

レルネン（葬送のフリーレン）の魔法・能力

大陸魔法協会に所属する一級魔法使いの中でも、特に実力を評価されている人物。ゼーリエの見立てでは、魔王討伐を果たした英雄の1人であるエルフの魔法使いフリーレンが相手でも勝つ可能性があるとされている。
フリーレンもレルネンのことを「とんでもない手練れ」、「平和な時代には似つかわしくない」と評価しており、これまで魔王にしか見破られなかった自身の魔力制御を見抜かれたことに驚きを示している。

純粋な魔法の技術もさることながら、回復魔法まで使えるゴーレムを大量に作成するなど、魔法の道具の開発者としても優れた技術を持つ。

人を殺す魔法（ゾルトラーク）／一般攻撃魔法（いっぱんこうげきまほう）

「腐敗の賢老」の異名を持つ高位魔族クヴァールが開発した魔法。見た目は“魔力によって生成した五芒星から放つ光線”といった形で、人体を容易に貫通する威力と速射性を備え、魔力効率もいいため連射も可能と極めて優れた性能を持つ。
フリーレンが勇者ヒンメルたちと魔王討伐のための旅をしていた頃は防御法が確立されておらず、“当たれば即死”の攻撃が“高速の弾幕”として展開するこの魔法は、人間側にとって恐るべき脅威となっていた。

しかしヒンメル一行によってクヴァールが封印された後、その優れた性能から人間の魔法使いたちによって徹底的に解析され、「クヴァールのオリジナルの魔法」から「魔法使いなら誰でも使える“一般攻撃魔法”」へと変貌。逆に「防御法の確立された一般攻撃魔法を使わない戦い方」が研究されるようになった。
“人を殺す”のに必要十分な程度の威力を持つが、レルネンはこれを高圧縮した黒い「人を殺す魔法」を得意としている。その威力は「人を殺す魔法」用に開発された防御魔法を貫通するほどで、この一撃でフリーレンにも手傷を負わせている。

防御魔法（ぼうぎょまほう）

「人を殺す魔法」を防ぐために開発された魔法。六角形の防壁を生成して放たれた魔法の魔力に干渉し、それを減衰しながら威力を分散させる。
単純な魔法攻撃に対しては絶対的な防御力を誇るが、消耗が激しいため張り続けることが難しいのと、「魔法による攻撃」への防御に特化しているため大量の水や岩塊のような質量攻撃に対しては相性が悪いのが弱点。

ゴーレム作成技術

懐に入る程度のサイズの三角フラスコの中に、小型化したゴーレムを収納したもの。地面などに叩きつけてフラスコを割るとゴーレムが起動し、人間大にまで大型化して動き出す。このゴーレムは壁をぶち破り、並みの魔法では傷1つ追わず、使用者を抱えたまま迷宮を迷うことなく脱出するだけの知性があり、さらに回復魔法まで使うなど異様に高性能で、実際に使った者たちは感心しきりだった。
大魔族黄金郷のマハト（おうごんきょうのマハト）と戦った際は、戦闘に特化した大型のゴーレムを投入。一瞬にして黄金像へと変えられてしまったが、その間に離脱に成功している。

レルネン（葬送のフリーレン）の来歴・活躍

若き日の挫折と栄光

とある国の貴族の子として生まれ、宮廷で魔法使いとして働き始める。軍人上がりの魔法使いのデンケンとはこの頃に知り合い、性格も立場もまるで異なる関係ながら気の合う友人となっていった。この頃のデンケンは幼馴染の女性と結婚したばかりで、会うたびに惚気話を口にしてはレルネンを辟易とさせるのが常だったが、病弱だった彼女とは早くに死に別れることとなった。
レルネンは穏やかな人物に見えて融通の利かないところがあり、次第に政敵を増やしていく。詳細は不明ながら大きな失敗をしてしまい、必死に自分を庇うデンケンを「これ以上は君が立場を失いかねない」と諭し、母国を後にする。

それからしばらく後、神話にも等しい古の時代から生きるエルフの大魔法使いゼーリエが突如人間社会に介入。大陸魔法協会という組織を立ち上げ、行き場所の無かったレルネンもここに所属する。
ゼーリエは力ある魔法使いを求めており、所属する魔法使いにその実力に応じた「一級」、「二級」、「三級」といった肩書きとそれに応じた特権を与えることを宣言。レルネンはその中でも史上初の一級魔法使いとなり、ゼーリエを師として大陸魔法協会の運営にも関わっていった。

デンケンとの再会

大陸魔法協会で長く働き続け、組織の発展と拡大に貢献。ゼーリエからは「この時代における一番弟子にして右腕」と頼りにされる一方、平和なこの時代にはレルネンの魔法使いとしての高い技量を活かす場所が無いことを嘆かれる。
そんな折、デンケンの故郷でもある城塞都市ヴァイゼが、魔王軍幹部「七崩賢」の生き残りである黄金郷のマハト（おうごんきょうのマハト）という大魔族によって土地も民も黄金に変えられるという事件が発生。ゼーリエ自らがこの討伐に乗り出すも、「マハトを殺せば、黄金に変えられた人々を助ける方法も永遠に分からなくなる」と考えたレルネンを始めとする一級魔法使いたちは彼女を妨害。「マハトを倒すのではなく、黄金へと姿を変えたヴァイゼごと封じる」ことをゼーリエに提案し、これを受け入れさせる。

マハトの黄金化の呪いは封印されてなお周囲を蝕み、ヴァイゼを中心とする地域は“黄金郷”と呼ばれる禁足地となり、一級魔法使い以外の立ち入りが禁止される。レルネンが人生の晩年に差し掛かった頃には、デンケンの生家までもが黄金郷に飲み込まれていた。レルネンがこれを伝えると、宮廷魔法使いの筆頭にまで出世していたデンケンは、ずっと後回しにしていた故郷への里帰りと妻の墓参りをしようと思い立ち、そのためにマハトを討つこと、黄金郷に向かうために一級魔法使いの資格を得ることを決意する。
レルネンはデンケンの思いの強さを知り、「若かりし頃、自分の立場を失いかねないことまでして必死に庇ってくれた親友に、今こそ恩を返す時だ」と考え、試験に手心を加えるようなことはなかったものの彼の帰郷のためにあれこれとサポートしていった。

一級魔法使い試験

デンケンが帰郷を思い立ってからしばらくして、魔法都市オイサーストにて3年に1度の一級魔法使い試験が開催される。実力こそレルネンに匹敵するものを持ちながら、宮廷魔法使いとして多忙だったために試験を受けず二級魔法使いのままのデンケンもこれに参加。その高い実力を発揮して、無事に一級魔法使いとなる。
この時の試験には、魔王を討伐した英雄の1人にしてゼーリエの孫弟子でもあるエルフの魔法使いフリーレンも参加しており、レルネンは一目で彼女が尋常ならざる凄腕であることを看破。「ゼーリエにも匹敵する魔力の持ち主だ、これほどの使い手が他にもいたとは」と感嘆する。

この頃のレルネンはすでに老境に差し掛かっており、ゼーリエからは「平和な時代に生まれたお前は、それだけの実力を活かせないまま人生を終えることになる。実に残念だ」と惜しまれていた。レルネンは「自分の死後、ゼーリエを孤独にさせたくない。悪名であっても彼女の記憶に残り続ける存在でありたい」と考え、一級魔法使い試験を受けた後のフリーレンに勝負を挑む。しかしフリーレンはこれを受けず、「ゼーリエは今まで取った全ての弟子を覚えているし、思うように育たなくても仲違いして別れたとしても“弟子を取った”ことを後悔したことは1度も無い」と言って自分たちが戦う必要などないとレルネンを諭す。返り討ちにされることも覚悟でこの場に臨んだレルネンだったが、この言葉で毒気を抜かれてフリーレンへの挑戦を取りやめる。
これに前後して、レルネンはエーレという少女に知り合いを紹介されている。エーレは「一級魔法使いの祖父がいる」と語ったことがあるため、この時の2人の親しげな態度からして、明言はされていないがエーレはレルネンの孫娘なのだと思われる。

マハトへの挑戦

晴れて一級魔法使いとなったデンケンは、故郷の解放と妻の墓参りという目的を胸に、黄金郷ことヴァイゼに施された結界の維持と管理を自分に任せてほしいと訴える。レルネンの働きかけもあってこれは了承され、デンケンは黄金郷に出入りする権利を得る。
親友にして恩人であるデンケンをサポートする一方、レルネンはマハト攻略のため独自に動き始める。マハトは「人間との共存」を夢見る変わり者の魔族で、全てを黄金へと変える直前までは領主のグリュックの右腕としてヴァイゼで暮らしていた。この時、グリュックに敵対する貴族たちが支配の石環という魔法の道具をマハトに装着させており、その効果で「ヴァイゼの民に悪意を抱いた瞬間に死ぬ」こととなっていた。

レルネンは「支配の石環は故障しており、これを修繕すればマハトを倒せるか、最低でも弱体化させることができるのではないか」と考え、そのための魔法のエキスパートであるエーデルという魔法使いと共に黄金郷と共に向かう。しかし先んじて送り込んだ部下たちはマハトにあっさり全滅させられており、さらにエーデルの解析で「支配の石環は壊れていない」ことが判明する。
魔族であるマハトは、もともと“悪意”や“罪悪感”を持ち合わせていなかった。人間との共存を目指す彼は、「人間独自の感情である“悪意”や“罪悪感”を知れば、彼らとの共存も可能なのではないか」と考えており、ヴァイゼを黄金化の呪いで滅ぼしたのも「自分と強い絆と信頼で結ばれたグリュックやヴァイゼの民を裏切れば、“罪悪感”を感じられるのではないか」と考えたためだった。あてが外れたレルネンは即座に撤退に転じるも、「お前たちのように自分にちょっかいを出す人間を殺せば、同じような面倒を考える者は減る」とするマハトに執拗な追撃を受ける。

レルネンが懸命に耐え凌ぐ中、エーデルが咄嗟にマハトに接近して彼の記憶を写し取る。マハト攻略に必要な情報は得られたと判断してレルネンは、エーデルと共に撤退。遅れてやってきたデンケンにエーデルが得た情報を渡しつつ黄金郷を去る。
後にデンケンは、レルネンの依頼で応援に駆け付けたフリーレンや彼女の仲間たちと共にマハトを撃破。ヴァイゼを解放し、人生の最後の最後に愛妻の墓参りを果たすのだった。

レルネン（葬送のフリーレン）の関連人物・キャラクター

ゼーリエ