フェルン（葬送のフリーレン）の徹底解説・考察まとめ

フェルン（葬送のフリーレン）の概要

フェルンとは、原作：山田鐘人、作画：アベツカサによる漫画『葬送のフリーレン』の登場人物。戦争によって家族を失い孤児となり、生きる気力を無くして自殺しようとしていたところで、勇者ヒンメルと共に魔王討伐を果たした僧侶ハイターと出会う。彼から「あなたが死ねば、あなたが家族と一緒に重ねてきた思い出も消えてしまう。そんなのもったいない」と言われて毒気を抜かれ、そのまま引き取られる。ハイターと共に暮らす中で、自分の命を未来につないでくれた彼に深い恩義を感じ、「老境にあるハイター様が生きている間に恩を返したい」と考えるようになる。

「ハイター様は自分の死後に私が1人で生きていけるかどうかを心配している。だから1人で生きていける力があることを示して安心させてあげよう」と考え、魔法の修行に没頭。ハイターを訪ねてきた勇者一行のメンバーでエルフの魔法使いのフリーレンの指南を受け、魔法使いとして一人前と称されるだけの力を身に着ける。これに安堵して安らかに息を引き取ったハイターを弔った後、魔法使いとしての師となったフリーレンに従って彼女の旅に同行する。
旅の中で戦士のシュタルク、僧侶のザインといった仲間たちとの出会いと別れを重ね、フリーレンの目指す大陸の北の果て「魂の眠る地」（オレオール）へと向かう。

フェルン（葬送のフリーレン）のプロフィール・人物像

CV：市ノ瀬加那

常に冷静で物静かな少女。魔法の師匠ながら普段はだらしないフリーレンの私生活を支え、子供っぽいところの多いシュタルクが「夜更かししない」という約束を破ると叱るなど、一行の母親役を務める。これについては自然体でやっている一方、自分より遥かに年上のフリーレンの面倒を見る立場になっていることにふと気付いた時は愕然としていた。
旅の途中で一級魔法使いの認定が必要になった際は、大陸魔法協会の試験に参加して見事にこれを獲得している。この際、フリーレンの師のさらに師であるエルフの大魔法使いゼーリエに才能を見込まれ弟子に誘われているが、自身の師への強い信頼から「私はフリーレン様の弟子です」と言って断っている。

自分の命の恩人であるハイターに対しては強い恩義と肉親も同然の信頼を抱き、彼の良い面も悪い面も敬愛している。酒好きのハイターが言ったと思われる「酒は百薬の長であり健康にいい」という話をすっかり信じ込むなど、若干世間知らずなところがある。
旅の仲間であるシュタルクに対しては、最初に出会った頃はその臆病な気質と子供っぽさに呆れていた。しかし彼が「どんなに逃げ出したくても、自分を頼りにする人々を見捨てることがどうしてもできない」という優しさとそこから生まれる強さを持つことを知ると見直していき、戦闘における相棒としても良いコンビとなっていく。同時にシュタルクに対して異性としての好意も抱いていくが、フェルン本人はこれを自覚していない。

フェルン（葬送のフリーレン）の魔法・能力

独学か肉親に教わったのか、幼い頃からごく簡単な魔法を修得していた。ハイターにこれを褒められたことから本格的に学び始め、「ハイター様に恩返ししたい。その死が間近に迫っているなら、早く独り立ちして“一人になっても生きていける”ことを証明し、心残りなく安らかな最期を迎えさせてあげたい」との思いから特訓に特訓を重ね、フリーレンの指南もあって10代前半にして本職の魔法使いに相当する力を身に着ける。
その才能はこの時代の人間の魔法使いの中でも群を抜いており、フリーレンも「このまま成長していけば生きている間に私を越える」と感心するほど。そのフリーレンさえもが感知できなかった「エルフの大魔法使いゼーリエの“魔力の揺らぎ”」を初見で見抜いたのはフェルンだけであり、ゼーリエからは「未だあらゆる魔法使いが辿りつけなかった境地へと至れる逸材」と目されている。

魔法使いとしての戦法は「基本的な魔法の手数と精度で圧倒する」という古典的なもので、作中では「若いのに歴戦の老いた魔法使いを相手にしているようだ」と評されている。これは基礎がしっかりしていればそれで十分だとするフリーレンの指示によるもので、他の魔法が使えないわけではない。
フリーレンが好む日常用の魔法こと民間魔法についても、彼女と共に旅をする中で様々なものを修得している。中でも一級魔法使いに合格した時にゼーリエから譲ってもらった「服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法」はお気に入りで、フリーレンにも自慢している。

魔力制御

魔力を持つ生き物が常に放出している魔力を制限する技術。それほど難しいものではないが、片足立ちのようなものなのか「ずっと続けるのは疲れる」とされている。
この技術自体にはほとんど意味は無いが、「魔力の強弱で相手の実力を判断する」魔族に対しては大きな効果があり、自分の実力を誤認させることができる。

フリーレンが師であるフランメから学んだ技術で、そのフリーレンの弟子であるフェルンもこれを受け継いでいる。この状態を続けている者の魔力は微妙な“魔力の揺らぎ”を起こすのが普通だが、フリーレンはこの技術に熟達しており、作中で彼女が魔力を制御していることを見抜けた魔法使いは片手で数えるほどしかいない。
もともとはフランメのさらに師であるゼーリエが開発した技術だが、彼女自身は「強くなるためには効率的ではない」と否定的に捉えている。

人を殺す魔法（ゾルトラーク）／一般攻撃魔法

「腐敗の賢老」の異名を持つ高位魔族クヴァールが開発した魔法。見た目は“魔力によって生成した五芒星から放つ光線”といった形で、人体を容易に貫通する威力と速射性を備え、魔力効率もいいため連射も可能と極めて優れた性能を持つ。
フリーレンがハイターたちと共に旅をしていた頃は防御法が確立されておらず、“当たれば即死”の攻撃が“高速の弾幕”として展開するこの魔法は、人間側にとって恐るべき脅威となった。

しかし勇者一行によってクヴァールが封印された後、その優れた性能から人間の魔法使いたちによって徹底的に解析され、「クヴァールのオリジナルの魔法」から「魔法使いなら誰でも使える“一般攻撃魔法”」へと変貌。フリーレンも解析されて以降はこの魔法を主な攻撃手段として愛用している。
フェルンはこの魔法を得意としており、その攻撃速度と連射力においてはフリーレンを上回る。さらに高圧縮したものを相手の魔力探知可能な距離の外から撃ち込む使い方も開発し、これを用いてフリーレンとの連携で高位魔族に致命傷を与えている。

魔族を殺す魔法（ゾルトラーク）

人を殺す魔法をフリーレンが改良したもの。基本的な仕組みや効果はほぼ同じだが、発射する際の五芒星が六芒星になっており、威力も「人を殺すのに最低限必要」なものから「平均的な魔族を殺すのに必要」なものにまで高められている。

防御魔法

人を殺す魔法を防ぐために開発された魔法。放たれた魔法の魔力に干渉し、それを減衰しながら威力を分散させる。
単純な魔法攻撃に対しては絶対的な防御力を誇るが、消耗が激しいため張り続けることが難しいのと、「魔法による攻撃」への防御に特化しているため大量の水や岩塊のような質量攻撃に対しては相性が悪いのが弱点。

飛行魔法

人間大のものを空に浮かせる魔法。基本的には術者にのみ作用する。
魔族が使っていたものをそのまま利用しているため、人間が使うには魔力の効率が悪く、あまり遠くまで飛ぶことはできない。基本的には戦闘時に機動力を補うために使用する。空を飛べないシュタルクを運ぶ際は、フェルンが担当することが多い。

服が透けて見える魔法

民間魔法の一種。服が透けて見えるようになる。相手が隠し武器を持っているかどうかの判別に使うと便利だが、フェルンはこれを使ったままうっかりシュタルクを見てしまい、「小さい」との感想を漏らした。

鳥を捕まえる魔法

民間魔法の一種。その名の通り鳥を捕まえる力を持ち、これをかけられた鳥は時間が停止したかのようにまったく身動きができなくなる。
「鳥」であればなんでもいいらしく、作中では小鳥から見上げるような怪鳥まで動きを封じていた。

服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法

民間魔法の一種。その名の通り、汗や皮脂なども含めて服に着いた汚れを綺麗に落とし、フローラルな香りまで漂わせることが可能。一級魔法使いの特権としてゼーリエから譲られたものだが、「魔法使いは特別な存在であるべき」とする彼女からは非常に嫌な顔をされた。
神話の時代に存在したとされる伝説級の魔法で、フリーレンたちと共に「旅の快適さが大きく変わる」と大喜びした。

フェルン（葬送のフリーレン）の来歴・活躍

ハイターとの出会い