花巻貴大（ハイキュー!!）の徹底解説・考察まとめ

花巻貴大の概要

花巻貴大（はなまきたかひろ）とは、『週刊少年ジャンプ』（集英社）にて連載されていた古舘春一原作の漫画『ハイキュー!!』に登場するキャラクター。主人公日向翔陽（ひなたしょうよう）の所属する烏野高校のライバルとなる、青葉城西高校男子バレーボール部でウィングスパイカー（WS）をつとめる3年生。作中でも大きく目立っては見えないが、宮城県の4強に数えられる青葉城西で攻守ともに安定したプレーを行い、レギュラーをつとめる優秀な選手。主将の及川徹（おいかわとおる）を含む3年とは強固な信頼関係を築いており、劇中のプレーにもそれを覗かせる。
作中では特筆して目立たないようなキャラクターであるが、序盤から登場したことや、その切れ長な目元、見た目に反して茶目っ気たっぷりな様子から、女性ファンも多い。

『ハイキュー!!』とは、2012年の宮城県を舞台の中心とする、高校男子バレーボール部の活躍を描いた物語。主人公日向翔陽とそのライバルでありもう1人の主人公である天才セッター・影山飛雄（かげやまとびお）が所属する烏野高校は、かつては全国大会に出場を果たした古豪であった。しかし、日向が進学する頃には、成績は振るわず「落ちた強豪」「飛べない烏」などと揶揄される有様であった。日向は、かつて烏野高校に存在したエース“小さな巨人”に憧れ、ライバルであった影山とともに全国制覇を目指す。
タイトルの由来は、バレーボールを意味する熟語「排球」からである。高校などは基本的に架空（おもに動物）の名称が使われているが、実在校をモデルにした高校も登場する。また、作中にて開催される各大会については、実在の大会が描かれている。ルールも基本的に高校男子バレーのルールに準拠し、プレーも現実の試合で使われるプレーをもとに描かれている。ただし作品の中核を担う主人公の日向と影山のコンビの速攻だけは、現実には有り得ない描写が施されている。
ルールやプレーの説明はバレーに興味がない人にも読みやすいように、物語に組み込まれており、その解説を促すための初心者や未経験者キャラクターも多数登場する。これにより、バレー未経験のファンも多く獲得し、人気を博した。

花巻貴大のプロフィール・人物像

クラス：青葉城西高校3年3組
ポジション：ウイングスパイカー（WS）
誕生日：1月27日
身長：184.7cm
体重：72.0kg
最高到達点：327cm
好物：シュークリーム
最近の悩み：腕相撲でどうしても岩泉に勝てない
CV：櫻井トオル

青葉城西高校男子バレーボール部に所属するWS。背番号は3。日本の男子高校生を描いているため基本的に黒髪～金髪の色合いが中心の本作においては珍しく、ややピンクがかったような茶色の髪をしている。細長い三白眼で精悍な顔立ち。
派手目な髪色に反して冷静な性格で、守備が空いたコート前にボールが落ちても、さらりとフォローしたり、必要があれば主将であり正セッターである及川徹（おいかわとおる）の代わりにトスをあげたりなど、安定感のあるプレーが特徴。
強豪校で活躍する優秀なバレーボール選手の例に漏れず、高身長でガタイも良い。
淡々としているようでも、プレーの調子が良いと無表情でピースを返すお茶目な一面もある。
主将の及川含む3年生とは強固な信頼関係を築いており、プレーミスをしたら奢るように茶化しつつも、成功させると信頼している心象が描かれた。また、引退試合の帰りにはチームの解散を惜しむ姿もあった。

花巻貴大の来歴・活躍

練習試合 VS烏野高校

主人公・日向翔陽（ひなたしょうよう）と、そのライバルであり相棒の天才セッター影山飛雄（かげやまとびお）が烏野高校に進学し、物語が開始する。青葉城西高校への勧誘も虚しく影山を確保できなかった同校監督は、影山を警戒し練習試合をマッチングする。花巻はこの練習試合にレギュラーとして登場する。
試合は、公式試合経験のほとんどない烏野高校のMB日向の連発したミスにより、第1セットを25-13で青葉城西が先取する。第2セットで本領を発揮した日向の超高速移動に合わせて影山が精密トスを送る“変人速攻”（青葉城西は“神業速攻”と呼ぶ）が決まり始めると、第2セットは22-25で烏野に奪取されてしまう。
第3セットは第2セットの勢いのまま烏野が優位に立ち、21-24とマッチポイントを握られてしまうが、正セッター及川が最終盤にピンチサーバーとして出場し、追い上げる。しかし、最後は日向のブロード攻撃が決まり、23-25で烏野に敗北した。
当然花巻は強豪のレギュラーとして十分な働きをしていたはずであるが、その活躍の仔細は描かれていない。

IH予選 VS烏野高校

青葉城西高校は、第二回戦の対戦校・大岬高校をセットカウント2-0で破ると、IH予選の宮城県大会第三回戦で烏野高校と対戦する。これに花巻もスターティングメンバーから参戦しチームに貢献した。
第1セットは主将・及川が期待を裏切るツーアタックで先制、さらにスパイクモーションからのセットアップと巧みに烏野を翻弄する。烏野も負けじと影山のツーアタックでやり返す。しかし、4-3という序盤で影山・日向の間で交わされていたサインを読み取った及川がタイムアウトをとると、思惑に気付いた影山は焦りを深める。これは影山に大きく影響をあたえ、徐々に烏野との点差が開き、11-7の4点リードでゲームが進行する。花巻は、影山がサーブミスで強打できずギリギリ前衛側に落としたボールもフォローしてみせる。花巻がフォローしたボールは及川がわざと影山にファーストタッチさせ精緻なセットアップを妨害すると、3枚ブロックで烏野WS田中龍之介（たなかりゅうのすけ）のスパイクを防ぎ着実に得点につなげていく。
完全に及川率いる青葉城西有利にゲームが進んでいくと、影山は徐々にゲームメイクも早くなり、とうとうコンビネーションミスを起こす。追い打ちを掛けるように、及川の安定したセットアップで花巻がスパイクを決めると、20-11で影山は菅原孝支（すがわらこうし）と交代することになった。天才セッターである影山を主力の要として着実に追い詰めていくことで、青葉城西は有利にゲームを進めていく。
後衛に下がった花巻のサーブでゲームが再開すると、烏野はブロッカーの位置をスイッチする、ブロックのタイミングを遅らせるという気を衒った菅原の作戦を次々に成功させるが、第1セットは序盤の勢いのまま25-15で青葉城西が先取する。
第2セットは、烏野セッター菅原続投により序盤は烏野を抑えきれずに一進一退が続くが、徐々に菅原の前をスパイクで抜くなどし、堅実に攻略していく。17ｰ16で菅原が影山と交代すると、青葉城西のWS花巻とMB松川一静（まつかわいっせい）は、日向とのサインを変えた影山の強力なセットプレーにすぐ対応できず速攻を見破れずに見送ってしまう。そのまま点差を覆され19ｰ21で2点ビハインドとなった青葉城西は、影山が烏野MB月島蛍（つきしまけい）とのコンビネーションを苦手としているのに気づくと、攻撃の穴を狙ってカウンターを仕掛け、追い上げていく。しかし、月島のフェイントに翻弄され点差を覆されると、最後は追い詰められた及川が最も信頼するスパイカー岩泉一（いわいずみはじめ）にセットアップする心理を読み取られ、23-25で第2セットを落とす。
第3セットではチームとしての地力の差を見せつけ、じわじわと烏野を追い詰める。しかし、ここでも調子をあげた影山・日向の速攻が決まるようになり、彼らを警戒した青葉城西は早くローテーションを回すようにと執念深く食らいついていく。15-15でタイムアウトを取った青葉城西は、監督・入畑伸照（いりはたのぶてる）の助言で、影山・日向のブロード攻撃のブロックを諦めレシーブで対応することを決断する。青葉城西の素早い対応力に追い詰められた烏野はピンチサーバーに山口忠（やまぐちただし）を投入するが、サーブは失敗し20-17となる。しかし副効果で及川のサーブに萎縮していた烏野が調子を取り戻し、点差は開かず烏野が執念深く食らいついてくると、24-24とゲームはデュースに持ち込まれていく。田中の強打のスパイクを花巻がレシーブし、着実にフォローする。そのままシーソーゲームは続き、及川の強打サーブで連続得点する。最終的にはチームへの信頼を覚えたばかりの影山の心理を読み取り、速攻を3枚ブロックで封じ33-31で第3セットを奪った青葉城西が勝利した。

決勝戦では白鳥沢学園との雪辱戦に挑んだが、セットカウント0ｰ2で敢え無く敗北し、青葉城西高校はまたしても全国大会出場を逃した。

“狂犬”京谷賢太郎の復帰

1年生の時に当時の3年生と衝突し部を離れていた2年生WS京谷賢太郎（きょうたにけんたろう）が、IH敗退のために上級生が引退したと踏んで部へ復帰してくる。
バレー部が練習中の体育館へ訪れた京谷の遠慮のない「もう引退したと思っていた」という言葉に怒りを顕にする。しかし、衰えぬ実力を持つ京谷の様子から、コミュニケーションも含め思うところはあるものの、レギュラー入りには反対せず新たな攻撃力の参入に復帰を歓迎した。

春高予選 VS烏野高校

準々決勝でセットカウント2-0で伊達工業高校を下した青葉城西は、烏野高校と準決勝で対戦する。

第1セットは及川の放つ強打のサーブから始まるが、綿密な対策を立てていた烏野に1本で切られる。対する烏野からのサーブは影山からのコートギリギリの強打が送られるが、花巻がこれをギリギリでアウトコースと正確にジャッジし青葉城西も得点する。及川、岩泉のさらに強くなったサーブや熟練のチームワークを見せる一方、烏野も新しい神業速攻、シンクロ攻撃、青葉城西のリベロからヒントを得たリベロ西谷夕（にしのやゆう）のトスなど、新しい武器で試合はほぼ拮抗していた。花巻はレシーブやスパイクだけでなく、烏野のスパイカーにない安定したトスでもチームに貢献する。及川が攻めまくった強力なサーブを繰り出しアウトすると、明るく「惜しい」とコミュニケーションをとることもあった。攻めきれない青葉城西は、第1セット最終盤23ｰ24とセットポイントを握られた状況で、もう1つ欲しい攻撃力としてWS京谷を投入する。しかし、京谷は強烈なワンマンプレーで別のスパイカーに上がったボールを奪い取り強打を放ち、ボールがコート外に落ちるとセットポイントを落としてしまう。これには流石の花巻・及川もどこから文句を言っていいかわからず硬直する場面があった。
第2セットも続投した京谷は超インナースパイクを放つなど強力なプレーを見せつけるが、自身の満足感を優先しチームワークを乱す場面も多く、花巻など内部の選手に接触することもあった。噛み合わない青葉城西のウィークポイントに気付いた烏野はリリーフサーバーに菅原を投入し、サーブで京谷を狙うと攻撃に出遅れ失点につながっていく。3連続得点を奪われた青葉城西は、花巻の提案で京谷をサーブレシーブから外しその穴を花巻がフォローしたことで、京谷の強烈スパイクで点を奪い返す。セットポイントへ追い詰めた青葉城西だったが、烏野のピンチサーバーとして投入された山口忠のジャンプフローターサーブにまたも京谷が掴まり、2点を奪われ23-21に点差を詰められる。山口のジャンプフローターサーブに花巻もオーバーで対応し岩泉のスパイクで押し返すも、烏野も負けじと攻撃を返すと、青葉城西はブロックアウトを狙われ得点を奪うことはできず、最終的には山口のサーブで計5点失点し、23-24と点を覆されてしまう。なんとか山口のサーブを切ると着実に点稼ぎ、第2セット28-26で奪い返した。
第3セットに入って、それまで調子を上げていた京谷が烏野WS田中と張り合うようになると、それを読んだ月島のブロッカー位置のスイッチを仕掛けられ、失点していく。8-10の2点ビハインドとなった青葉城西は、冷静さを失った京谷を下げることとなる。コート外で控えセッターの矢巾秀（やはばすぐる）にチームプレーの大切さを説かれた京谷は、それほど時間をかけず10-12でコートに戻り、後にリリーフサーバーとして投入された矢巾ともコンビネーションプレーを果たした。青葉城西と烏野は両者一進一退のシーソーゲームを繰り返し、24-23で青葉城西のマッチポイントとなる。
しかし、烏野がワンポイントツーセッターとして活用するためピンチサーバーに再度菅原を投入し2連続得点すると、24-25となり青葉城西は状況を覆されてしまう。追い上げる青葉城西は烏野エーススパイカー東峰旭（あずまねあさひ）の強烈なスパイクを花巻が拾いなんとか繋ぐが、ボールは大きく乱れコート外へ飛んでしまう。及川はコート外からタイミングの早い超ロングセットアップを岩泉にあげる。ドンピシャのタイミングで岩泉の強打のスパイクが放たれるが、烏野も負けじとこれを拾う。烏野・青葉城西のラリーは続き、最後は影山のセットアップとブロックの隙間を狙ったかのような日向の強烈なスパイクが放たれると、及川はブロックに微かに当たり軌道を変えたボールを大きく弾き、24-26で第3セットを落とし敗北した。

卒業後の進路

物語の開始から9年後、2021年には当時の青葉城西高校のメンバー松川らとスポーツバーに集まり、日本ではなく及川の所属するアルゼンチンチームを応援する様子が描かれた。
この時の解説者が及川を「全国大会出場経験のない無名の選手」と紹介したことについては、「やかましいわ」と不満を漏らしている。
花巻が高校卒業後進学をしたのかは明かされていないが、この時点では東京で転職活動中となっており、一度は就職を果たしたようである。

花巻貴大の能力・ポジション

パワー：4、バネ：3、スタミナ：3、頭脳：4、テクニック：3、スピード：2（5段階評価）

強豪校のレギュラーでWSというポジションに相応しく、安定感のあるスパイクが特徴。パワーで叩きつけるというよりは、相手コートをしっかり見て穴に強打を打ち込むスタイル。また、その体躯を活かしたブロックだけでなく、サーブレシーブもかなりの実力で、さらに烏野高校のパワースパイカーである東峰旭（あずまねあさひ）や田中龍之介（たなかりゅうのすけ）のスパイクも上げているなど守備も強固。攻撃から守備への切り替えも早く、このことから、攻守ともに安定したオールラウンダーとされる。
また、順応力・対応力も高く、主将の及川の指示にすぐ合わせるだけでなく、作中で多くの優秀な選手が舌を巻く日向のスパイクにも試合の後半には対応できるようになっていたり、守備面で多くの味方が苦しめられた烏野高校の1年サーバー山口忠（やまぐちただし）のジャンプフローターサーブにも一発で対応したりしている。ステータスからも頭脳が4と高い設定であり、このことが影響しているよう。
青葉城西高校が、及川を中心とした安定感のあるプレーを得意とする所以の一因といっても過言ではない。

花巻貴大の関連人物・キャラクター

及川徹（おいかわとおる）