サスケ烈伝 うちはの末裔と天球の星屑（NARUTO）のネタバレ解説・考察まとめ

『サスケ列伝 うちはの末裔と天球の星屑』の概要

『サスケ列伝 うちはの末裔と天球の星屑』とは、『NARUTO』連載終了後のスピンオフ小説を基にコミカライズした作品である。『NARUTO』の作者・岸本斉史と、スピンオフ小説の著者・江坂純が原作を務め、漫画は木村慎吾によって描かれている。2022年10月23日から「少年ジャンプ＋」で連載が始まり、2023年4月23日に完結した。
原作である『NARUTO』と絵柄や描写の仕方が似ており、ファンからの評判も高い。
『NARUTO』の主人公であるうずまきナルトの、友人でありライバルでもあるうちはサスケが主人公となっている。忍界大戦の終結後、ナルトの病を解き明かす為、サスケが鎖国の地・烈陀国へと赴く物語だ。

『サスケ列伝 うちはの末裔と天球の星屑』のあらすじ・ストーリー

ナルトの病の手掛かりを探るために烈陀国へ

六道仙人（りくどうせんにん）と同じ病を患った木の葉の火影・うずまきナルトの為に、彼の友人でありライバルであるうちはサスケは、手がかりがあるだろうと思われる烈陀国（レダクこく）へと赴く。
険しい谷に囲まれた烈陀国に到着したサスケは「六道仙人について何か知っているか」と尋ね歩いていた。しかし、町民からは「鎖国を長年していたこの国に本当にその仙人が入国してきたとは思えない」と言われてしまう。徒労にならないように良かれと思って忠告した男性に、サスケは礼を言いその場を立ち去った。
そんな彼の近くにいた1人の女性・ライラは六道仙人という名に聞き覚えがあった為、気になってサスケについていく。ライラに尾行されていることを察したサスケは一瞬で姿を隠し、いなくなったと勘違いした彼女は慌てて追いかけた。瞬時にライラの後ろに回ったサスケは後ろ手で剣の柄を握りながら「何故自分についてきているのか」と問う。彼女自身は六道仙人についてあまり詳しくはないが、古物商を営んでいる母親からその言葉を聞いたことがあるようだった。

ライラが母親の店へと案内しようと歩いていると、3人の男が騒がしく通り過ぎる。男たちは母親の店から品物を奪った泥棒だった。サスケは写輪眼を使い、泥棒達を捕縛する。町の治安を守る警ら（けいら）に連行されるのを見送った後、無事に案内された店へと尋ねた。
お店に到着した直後、ライラの母親・カイルはサスケの事を娘の彼氏だと勘違いし、「娘とは真剣な交際なのか？」と質問した。ライラが慌てて誤解を解き、カイルが自分の勘違いに気が付くと、改めてサスケに要件を尋ねる。
サスケは友人のナルトが六道仙人と同じ病を患い、その病がこの烈陀国で治療が出来たと言われていることを知り、手がかりを探しに来たのだと説明した。
カイルは記憶を辿り、「旧列書」という1つの書籍を取り出した。しかしこの書物は、六道仙人に関する記載があったページが抜け落ちていた。カイルは不思議に感じながら「タタル天文学研究所に滞在していた時の記録があったはずなのに」とつぶやく。
サスケはその言葉に先ほど起きたアクシデントを思い出す。捕縛した泥棒達は連行されている途中に「タタル行だな」とぼやいていたのだった。

その後、サスケはタタル研究所に潜伏すべく、研究所の麓で労働させられている囚人の施設に入る事になった。
そこで自分が捕縛した泥棒の囚人達に絡まれてしまうが、簡単に倒す。さっそく警らに注意をされ懲罰房行きになりそうな所で男が1人止めに入った。
警らからザンスール所長と呼ばれた男は、騒動の一部始終を見ていたらしく、「今回は大目に見ましょう」と助言する。すれ違いざまサスケはザンスール所長に「勝手な真似はするな」と忠告される。
その後、先程の騒動を起こした囚人の1人が、サスケの強さに目をつけ「脱獄しよう」と話を持ち掛けてきた。しかしサスケは「ここでやることがある」と言い断る。断られた男は一瞬激昂するが、すぐに落ち着いて「俺はここを出ていく」と宣言した。

翌日、囚人に与えられた仕事場である掘削所へ着くと、脱獄すると宣言した男は瑪瑙（めのう）という塀の門番変わりの恐竜に食われていた。

監獄での出来事

監獄を出る門には施錠はされていない。それは瑪瑙という獰猛な恐竜が門番の役割を担っているからだった。今までにも脱獄を試みたものはいたが、瑪瑙が門を守っている為全て失敗に終わっていた。古参の囚人たちはサスケに脱獄の話を持ち掛けた男の変わり果てた姿を見て、「馬鹿な奴だ」と一蹴するだけだった。彼らの会話で瑪瑙はザンスールによって操られているという事が判明する。

寒さの厳しい中、何を掘削しているのか分からないままサスケはツルハシで地面を掘っていた。そこに自分と同じ独房に入っているジジという男が親しげに話しかけてくる。2人で会話をしながら作業をしていると、ジジが突然「痛」と声を上げ、手のひらをみると前から出来てしまっていたマメが今回の作業によって潰れたようだった。彼は医務室に行けると喜ぶ。不思議に思ったサスケが尋ねると、新しく就任した女医が美人で優しいと評判が立っているらしく、ジジはその女医に会いたいようだった。その女医が独身だと断言したジジに「何故そんなことが分かるのだ？」と尋ねると、烈陀国の風習には、結婚するときはお互いに指輪を交換する習わしがあると教えてくれた。女医にはその指輪が無かったため、独身だと考えたようだった。その話を聞いて、烈陀国に最初に訪れた際にサスケが助けたカイルが、何故危険を顧みず泥棒を追いかけ指輪を取り戻そうとしたのか理解した。その時後ろから囚人を見張る役割である巡邏（じゅんら）が見回りにやってくる。ジジは慌てて掘削するふりをした。巡邏が通り過ぎるのを待ち、ほどなくして彼はサスケに「巡邏はお前を怖がっている」と断言した。

その夜、サスケと同じ独房に入るジジはベンジラという名の男と共に賭け事をしていた。その場にいたもう1人のガンノという名の男は、自分の足の爪に絵付けをしている。サスケはどうにも瑪瑙という生き物に引っ掛かりを感じ、タタル研究所を探索すべく、誘ってきたベンジラの賭けに乗ることにする。賭けの報酬は巡邏による独房の見回りを適当にごまかすというもの。賭けのゲームはサイコロで数字の大きい出目を出して勝敗を付けるもので、サスケを幻術を使用しサイコロの1番大きい数字を出して勝った。サスケはジジの「外出は自殺行為だぞ」という忠告を無視して、独房から出て探索に回る。

独房から出ると早速瑪瑙と鉢合わせ、許可なく独房から出ていたサスケに襲い掛かってくる。その瞬間サスケは写輪眼を使用するが何故か術は効かず、瑪瑙は身体の大きさに反して素早い動きで攻撃してきた。サスケは廊下に戦いの痕跡を残してしまい、また瑪瑙には致命傷とも言える程の傷を与えてしまう。瑪瑙は彼との戦いで深手を負い、唸り声をあげながら逃げていった。

翌日、サスケはジジからの「どこへ行ってたんだ」という強い追及を軽く流し施設の外を見る。すると、死んでいるだろうと考えていた瑪瑙が負わせたはずの傷がない状態で生きており、目を見開いて驚いた。

サクラと合流

瑪瑙が生きていた事に唖然としていたサスケの後ろに忍び寄ったザンスール所長は「瑪瑙を傷つけたのはお前か」と詰問した。サスケは咄嗟に写輪眼で術を掛けようとするが、義眼であるザンスールには効かない。彼は「これ以上好き勝手するなら相応の対応をする」と忠告し去っていく。

その日はザンスールの命令なのか、掘削場にてサスケは2人の巡邏に暴行を受ける。何度殴っても反抗的な目つきをするサスケを、巡邏は更に殴り飛ばした。倒れ込みうつ伏せになるサスケに満足し、彼らは別の囚人を監視する為その場を移動した。サスケは殴られている最中に、巡邏から独房の外を出歩く権利を持つ「巻布（まきぬの）」を抜き取っていた。その巻布を持ってサスケはその日の夜も独房を抜け出し探索する。
深夜、ジジは潰した手のひらのマメの痛みで目を覚ます。そこでサスケが独房を抜け出していることに気づいた瞬間、巡邏が見回りにやってくる。彼はサスケが抜け出している事に気づかれないよう咄嗟に「医務室へ連れて行ってくれ」と頼み込む。頼まれた巡邏は了承し、ジジを連れ出すため懐のポケットに手を入れて巻布を取り出そうとするが、入れていたはずの巻布が無い事に気がついた。

サスケがタタル研究所をくまなく探索していると、ロッカー内で苦しむ声が聞こえ、ドアを開けると1人の青年が閉じ込められていた。青年は古参の囚人によっていじめに遭い、巻布を奪い取られ身動きが取れないでいた。サスケは独房に戻れるよう自分の巻布を彼に渡す。
青年が去った途端に瑪瑙に襲われる。もう1度瑪瑙に写輪眼を掛けてみるものの、やはり術は通らなかった。自分が付けた傷も全く無く、「今襲ってきている瑪瑙は別の個体なのでは」と推理していると、突然目の前が酩酊する。危ないと判断したサスケは慌てて瑪瑙の元から離れた。毒を盛られたと気が付いたサスケの元に1人の足音が聞こえる。誰かは分からないが写輪眼を掛けて、難を去ろうとした瞬間、その相手の手のひらで自分の目を覆い隠された。手のひらの主は妻であるサクラで、気が抜けたサスケは気を失う。

目が覚めると、サスケは医務室にいた。「何故ここにいるのか」とサクラに問うと、新たな情報が入ったため任務の内容が変わった事を伝える為に来たのだと言う。新たな情報とは「極粒子」という隕石のカケラによって六道仙人の病が治ったという伝承だった。サスケはサクラの任務は終えたとし、里に帰れと命令すると「協力者がここでは必要でしょ」と言いくるめられた。夫婦のちょっとした口論の果てに1人の訪問者が訪れる。サスケの脱獄をごまかしたジジだった。サクラはサスケを隠し、ジジの手のひらを治療する。ジジはサクラの美貌と髪の美しさにデレデレだった。彼が彼女に触れてみたいと思い手を伸ばしたところ、サスケに止められる。その結果、サクラとサスケが夫婦であることがばれてしまった。

新たな手掛かり

「極粒子」という新たな情報を得たサスケは、「天体絵図」という書籍から情報を得る方法としてジジから書庫で調べるといいと紹介される。書庫を管理する囚人は偶然にも同じ独房に入るベンジラであった。
早速情報を得るためにベンジラに声をかける。彼は絶滅した竜獣の本がお気に入りだと手に持っていた本を見せてくれた。「天体絵図」という本を探していると説明すると、早速タタル研究所が保有している書籍全てが記載されている蔵書目録を引っ張り持ってくる。調べてみると目的の本は禁書扱いとなっており、閲覧はもちろん持ち出す事すらかなわない場所に保管されていた。もし持ち出したことが見つかったら、問答無用で最高懲罰行きになる程の厳しい処遇が待っている。その場では諦めたサスケに、後ろからサクラが「とても興味があるから蔵書の鍵を貸してほしい」とベンジラにお願いする。許可なく貸しただけでも懲罰行きである為、断る彼にサクラは「ギャンブルで鍵を貸すのはどうかな」と条件を持ち掛けた。賭け事に弱いベンジラはその勝負に乗ることにする。サクラが賭け事に強いと思わないサスケは、彼女に幻術を掛けて勝ったことにしようと提案するが、イカサマになるからと断られる。カードの札を揃えて強い目を出すゲームでサクラは、「引き分け」になる札を5回故意に揃えて出した。賭け事を見物していた観客たちも続けての引き分けを不思議に感じていたものの、勝負相手のベンジラは実質的には負けている事を悟り、降参した。渡された際に「蔵書が必ずあるとは限らない、何故なら結構な本が喪失しているから」と説明される。

その晩、サスケとサクラは禁書を有する保管所へ向かう。向かいながらサスケはサクラにどうやって引き分けに持っていけたのかを聞いたところ、答えはシンプルであった。サクラは60枚全てのカードの汚れや傷を覚え、ベンジラが持つカードと同じ強さを持つカードを自分も揃えて、故意に引き分けにしていたのだった。

目的の場所へ到着してみると、無事天体絵図の書籍は存在していた。本を開いてみると、風景画が描かれている。それは木の葉隠れの里のみに伝わる絵の技法で描かれていた。2人は、作者は烈陀国の者ではなく木の葉隠れ出身の者だと推測し、これを描き残したのは「六道仙人」本人ではないかと仮説を立てる。
絵には動物や焚火が描かれていて、推理した結果、「星座に見立てているのではないか」という答えにいきついた。大きな手掛かりを得たサクラは「この場所に置かれている書物で調べたら2日で星座の順番が分かるだろう」と断言する。そんな彼女をサスケは「頼もしい」と誇らしく思った。

『サスケ列伝 うちはの末裔と天球の星屑』の登場人物・キャラクター

主要人物

うちはサスケ

火の国、木ノ葉隠れの里生まれであり、うちは一族の唯一の生き残りである男性。
家族構成は両親と兄、サスケの4人だったが、幼少の頃、尊敬していた兄が突然、自分以外の一族郎党を殺害する。そのため、うちは一族で生き残ったのは兄とサスケの2人だけになった。「何故自分が生かされたのか、何故一族は殺されねばならなかったのか」が分かるまで、兄への復讐に燃えていた。
真実が判明した後、紆余曲折を経て、サスケは自身が火影になる選択に行きつく。里を抜けた際にナルトと戦った場所で再度彼と戦うも、ナルトの想いの強さに負ける形で終わる。片腕をなくしてまで引き留めたナルトの想いに応える為、そして、自分が犯した蛮行の贖罪をするために里を外から支える旅に出た。その際には密かに愛していたサクラが同行し、やがて結ばれ、1児の父となった。この物語ではナルトの病を治すために強引に任務を遂行する。

うちはサクラ

サスケの妻。サスケとナルトとは忍者養成スクールの頃から同級生で、卒業後はスリーマンセルの仲間でもあった。
サスケが強くなる為に里を出奔しようとする際、その罪を「一緒に背負う」「あなたの復讐も手伝う」と言い、着いて行こうとした。サスケはサクラのひたむきな優しさに救われていたが、当時は無理やり1人で里を去った。
彼を止められなかった悔しさからサクラは6代目火影・綱手に弟子入りし、強力な金剛力と秀でた医療忍術を身に付ける。その後、1度里に戻り再び旅に出ることになったサスケには、着いていくことに成功した。
サスケを一途に愛する逞しい精神を持つ女性である。この物語ではサスケを手伝う為、女医としてタタル研究所に潜入する。

仲間

うずまきナルト

火の国・木の葉隠れの里の7代目火影。身体の中に災厄の獣「九尾の狐」を封じられており、幼少の頃はそれが原因で一部を除く里のほとんどの大人たちに忌み嫌われていた。
成長と共に自身の中にいる九尾をコントロールする事が出来るようになり、里の窮地には大きく活躍し里の民達に英雄として認められていく。国だけでなく、忍びの世界全てを巻き込んだ戦争・忍界大戦の後に火影へ就任した。
強さを求めてサスケが里を抜けた際には、自身の持ち得る全ての力で食い止めようとしたが負けてしまう。その後、再び同じ場所で戦った際には、片腕を失うほどの怪我をしながらも勝利した。

奈良シカマル（なら しかまる）