ルパン三世VSキャッツ・アイ（アニメ）のネタバレ解説・考察まとめ

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』の概要

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』とは、モンキー・パンチ原作の『ルパン三世』と北条司原作の『キャッツ・アイ』が時に戦い、時に協力しながら巨悪と対決していく様を描いた2023年のアニメ作品。
共に“怪盗”を題材とする有名作品のクロスオーバーとして、公開前から注目を集めた。特に『キャッツ・アイ』は登場するキャラクターの多くが以前の声優を引き継いでおり、「往年の名作の復活」だとファンから好評を得る。Amazon Prime Videoで世界同時配信されるという、今までの『ルパン三世』シリーズの長編作品には無い試みが取られている。

「ハインツ・コレクション」と呼ばれる美術品ばかりを狙う女怪盗キャッツ・アイ。その正体はハインツの娘である泪（るい）、瞳（ひとみ）、愛（あい）の来生（きすぎ）3姉妹で、彼女たちは行方不明となった父の行方を突き止めるために彼の収蔵品を回収し、そこに隠された手掛かりを調べていたのだった。
しかしある時、彼女たちが回収した「少女と花束」という絵画が、アジトから世界的大泥棒ルパン三世（以下ルパンと略す）に盗まれるという事件が発生。これを取り返そうとするキャッツ・アイは、首を突っ込むなと警告するルパンや彼の仲間たちと争い、同時に絵に隠された秘密を巡って巨悪と対決することとなる。

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』のあらすじ・ストーリー

大泥棒参上

「ハインツ・コレクション」と呼ばれる美術品ばかりを狙う女怪盗キャッツ・アイ。その正体はハインツの娘である泪（るい）、瞳（ひとみ）、愛（あい）の来生（きすぎ）3姉妹で、彼女たちは行方不明となった父の行方を突き止めるために怪盗行為を続けていた。
高名な画家であるハインツは、とある秘宝を巡って世界的に暗躍する美術シンジケートから命を狙われており、家族に危険が及ばないように20年近く前に失踪。3姉妹は本来自分たちが受け継ぐはずだったハインツ・コレクションを回収しつつ、父の無事を確認したい一心でそこに隠された彼の隠れ家に関する暗号を解き明かそうとしていた。

なんとしてもキャッツ・アイを逮捕しようと入れ込む刑事の内海俊夫（うつみ としお）を出し抜き、その日も「花束と少女」というハインツ・コレクションの絵画を回収した3姉妹だったが、この時同じ東京の一角で世界的大泥棒ルパン三世（以下ルパン）もまたもう1枚の「花束と少女」を入手していた。ルパンを専属で追うICPOの警部銭形幸一（ぜにがた こういち）、絵の回収のために動いていた傭兵デニス・キルヒマンがこれを追撃するも、ルパンの仲間である早撃ちの名手次元大介（じげん だいすけ）、剣術の達人石川五ェ門（いしかわ ごえもん）らの活躍もあって取り逃がすこととなる。
この翌日、3姉妹が表向きの立場として経営している喫茶店「キャッツ・アイ」に、ハインツの知り合いだというハインリッヒ・ベルガーという画商が現れる。彼は「花束と少女」は本当は3連作であること、ルパンがこれを狙っていることを瞳たちに告げて、恩人たるハインツのために回収に協力したいと申し出る。しかしこの時、キャッツ・アイのアジトにはすでにルパンが潜入しており、3姉妹に「命が惜しかったら首を突っ込むな」と警告しながら「花束と少女」を奪っていく。

ルパンVSキャッツ・アイ

来生3姉妹が「花束と少女」の回収のために改めて動き出した頃、俊夫は憧れの銭形警部と対面して感動を露わにしていた。銭形は「昨日のルパンの動き、ヤツと銃撃戦を繰り広げた外国人の一味、そしてキャッツ・アイによる絵画盗難、これらが偶然一度に近い場所で発生したというのは考えにくい。何かつながりがあるのではないか」と考えており、俊夫と共に関連する情報を片っ端から調べていく。やがて彼らは、ルパンたちが敵に回しているのがナチスドイツの流れを組む「ファーデン」という武器密売組織であることを突き止める。
3枚目の「花束と少女」が某国の軍用列車で輸送されることを突き止めた来生3姉妹は、これを手に入れようと準備を進めていく。一方、ルパンもまた同じものを狙っていたが、彼と因縁深い美しくもしたたかな食わせ者の峰不二子（みね ふじこ）が軍用列車を護送する兵士たちの中にいるのを確認した次元と五ェ門は、面倒ごとに巻き込まれることを嫌って手を引いてしまう。最終的に何を狙っているのかは誰にも語らないまま、やむなくルパンは単独で軍用列車に潜入する。

来生3姉妹は巧みな連携で兵士たちを翻弄するも、肝心の3枚目の「花束と少女」はルパンが一足早く手に入れる。1枚目と2枚目がそれぞれ幼い頃の泪と瞳を描いたものだったことから、愛は「3枚目は自分の絵に違いない」と期待していたが、そこに描かれていたのが花束を持つ大人の女性であることを知って少なからずショックを受ける。しかしデニスは「ルパンとキャッツ・アイは、最後は必ず絵を手に入れようとするはず」と読んでおり、不二子にその時を狙って増援を送り込むようあらかじめ指示を出していた。
ルパンは来生3姉妹の盾になるように振る舞い、巧みな話術で「不二子は自分たちと結託している」とデニスに不信を抱かせる。しかしもともとデニスは「信用ならない不二子はそろそろ切り時だ」と考えており、これ幸いとまとめて始末しようとする。

派手な銃撃戦が始まったのを察して戻ってきた次元と五ェ門の援護で泪と瞳は離脱に成功するも、あくまで「花束と少女」を取り戻そうとした愛は逃げ遅れ、彼女を庇ってルパンは負傷。傷だらけになりながら橋を落下し、それでもなお愛を守りつつ川の中に没する。

フォルトゥナの石

半死半生のルパンと共に岸辺に上がった愛は、彼を手当てしつつ「どうして自分を庇ってくれたのか」と尋ねる。誤魔化そうとするルパンだったが、納得しない愛に根負けして、以前ハインツと共に仕事をしていたことを明かす。ハインツはかつてナチスドイツが略奪して闇に葬られた美術品を回収する仕事に従事していたことがあり、正攻法ではどうにもならない案件にぶつかるたびに当時売り出し中だったルパンの力を借りたのだった。
「花束と少女」の絵画の中には、所有者に栄光をもたらす「フォルトゥナの石」という宝石が隠されていた。これはファーデンの正当な継承者であることを証明する品ともなっており、デニスはこれを回収するために動いていたのだ。

ルパンはルパンで、新人の頃に世話になった上に命を救ったもらったこともあるハインツの恩に報いるため、来生3姉妹が本格的にファーデンとぶつかる前にフォルトゥナの石を回収しようとしていたのである。ルパンがここまで話したところで、2人はデニス率いるファーデンの兵士たちに追いつかれ、そのまま捕まってしまう。
同じ頃、別の場所で、いつの間にやらフォルトゥナの石の1つを押し付けられていた次元と五ェ門は、泪たちとの和解を果たしていた。「ルパンのことだから、そこまでしてでもこの姉妹を助けたい理由があるのだろう」と納得した次元と五ェ門は、泪たちに協力することを決める。そこに不二子が現れ、「手ぶらでは帰れない」としてルパンと愛がファーデンのパリ事務所に連れ去られたとの情報を彼らにもたらす。次元たちの介入で現場が引っ掻き回される間に金目の物を頂戴しようというのが彼女の計画だったが、一行はその情報を信じてパリへと向かう。

泥棒の心得

ファーデンパリ事務所に連れ去られたルパンは、そこで「フォルトゥナの石の隠し場所」を吐くよう拷問を受ける。頑として口を割らないルパンに業を煮やしたデニスは、今度は愛に矛先を向けようとするが、そこに思わぬ来客が現れる。「ルパンとキャッツ・アイはファーデンを敵に回して何か暗躍している」と踏んだ銭形と俊夫が、いきなりパリ事務所に乗り込んできたのである。
捜査令状があるわけでもなし、あっさり追い返される2人だったが、銭形は「あまりに手際が良すぎる、やはりここには何かある」と判断して嫌がる俊夫をむりやり巻き込んで事務所に潜入。一方、このアクシデントを利用して拘束から逃れたルパンと愛は、フォルトゥナの石の奪還を目指して動き出す。そんな中で、ルパンは先達として愛に泥棒の心得について語って聞かせるのだった。

同じ頃、美術商として顔の利くベルガーに協力してもらう形で次元たちも事務所に忍び込んでいた。先んじて事務所の奥に入り込んだ不二子はルパンと愛を発見し、彼からお宝の隠し場所を教えてもらう代わりに「いざとなったら来生3姉妹を無事に逃がす」という依頼を受ける。一方の次元たちは、事前に彼らの動きを知っていたかのように兵を展開するデニスに包囲され、フォルトゥナの石を渡さざるを得なくなる。
ここに来て、実はベルガーこそがファーデンの現在のボスであり、デニスに指示を出していた人間であることが判明。窮地の次元たちを救ったのは、意外にも銭形と俊夫のコンビだった。事務所の奥深くまで入り込んだ2人は、ファーデンが武器の密輸に関わっている証拠を探し回っており、デニスは慌てて彼らを排除しようとする。その隙をつく形で次元と五ェ門が奮闘してファーデンの兵士たちを抑え、彼らに促されて泪と瞳がルパンたちの救助に向かう。

ファーデン壊滅と3枚の絵

3つのフォルトゥナの石を手に入れたベルガーは、その正当な所有者であることを証明するファーデンに伝わる儀式を執り行う。しかしこの場にルパンと愛が現れ、「儀式の間に爆弾を仕掛けた」といってベルガーを脅す。3枚の「花束と少女」の返還と、キャッツ・アイには2度と手を出さないことを条件に交渉を試みるルパンだったが、愛がデニスに人質に取られたことで形勢逆転。銃弾を浴びてルパンは倒れ込む。
デニスの父はファーデンの私兵として活動しており、ルパンがフォルトゥナの石を盗んだことが原因で命を落としていた。父の復讐という意味合いもあってルパンに対して強い敵意をにじませるデニスだったが、「石を盗んだのはルパンだが、そうなるよう仕向けたのは先代のボスの排除を企てたデニスである」という真実をルパンが暴露。何も知らないまま本当の仇の下で働いていたことを知ったデニスは衝撃を受け、ベルガーに反旗を翻す。

ここに泪と瞳が駆け付け、愛を救出。愛はルパンに教えてもらった泥棒の心得を思い出しつつ、2人の姉とのコンビネーションで兵士たちを倒していく。優位を失ったベルガーは慌てふためいてその場を逃げ去り、ルパンは傷を押してこれを追う。それぞれに手傷を負いながらもファーデンの兵士たちを蹴散らした次元も五ェ門もここに加わり、逃げ場を失ったベルガーは父の仇を追ってきたデニスによって射殺される。
「真の仇はベルガーだが、ルパンはルパンで父の死に関わったことに違いはない」とするデニスだったが、傷だらけながらも闘志に満ちたルパン一味を前に「勝てるか分からないし、この場で無理に勝つほどの意味はない」と判断。負けを認めて引き下がる。そんな彼に、ルパンは「今後キャッツ・アイに関わったら今度こそお前の命は無い」と告げ、3枚の「花束と少女」を回収して事務所を去る。

銭形と俊夫もまたなんとか脱出に成功し、彼らが入手した証拠によってファーデンの悪事は世に暴かれることとなった。2人が大手柄を挙げる一方、不二子の手引きで無事に逃げ延びた来生3姉妹は、「ルパンたちは無事に逃げられたのだろうか」と一緒に仕事をした大泥棒一味の身を案じる。
そんな折、ルパンからのメッセージがマスコミに届けられる。「父の想いは家族の下へ、花束は愛へと変わる」というその謎めいた内容を知った来生3姉妹がアジトの奥を調べてみると、そこにはいつの間にか3枚の「花束と少女」が飾られていた。最後の1枚は花束の下に隠されていた部分が露わとなっており、それが“愛を妊娠した母・真璃絵（まりえ）”の姿を描いたものであることは一目瞭然だった。

来生3姉妹がそれを見届けたのを待っていたかのように、喫茶店キャッツ・アイの前に停まっていた車が動き出す。そこには、熾烈な戦いを飄々と切り抜けたルパン、次元、五ェ門の姿があった。

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』の登場人物・キャラクター

ルパン三世（ルパンさんせい）

CV：栗田寛一

年齢不詳、本名不明、世界的にその名を知られる大泥棒にして飄々とした伊達男。恐るべき頭脳と身体能力の持ち主で、狙ったお宝は逃さない。根っからの女好きで、騙されていると分かっていても美女の誘惑は断らない。

本作においては、来生3姉妹の父であるミケール・ハインツとはかつて組んで仕事をした仲で、彼に命を助けられたこともあるという設定になっている。そのため終始来生3姉妹を守るために立ち回り、女好きな面はほとんど見せない。

次元大介（じげん だいすけ）

CV：大塚明夫

ルパンの相棒で、百発百中の腕前を誇るリボルバー拳銃の名手。早撃ちも精密射撃もすさまじい技量を誇り、本作では“弱点に連続で命中させ続ける”ことで軍用ヘリを拳銃で撃墜するという離れ業を披露している。
ルパンとは長い付き合いで、互いに気心の知れた間柄だが、それだけに文句があれば平然と口にするし納得できないことは公然と反論する。

石川五ェ門（いしかわ ごえもん）

CV：浪川大輔

十三代目石川五ェ門を襲名する剣士。非現実的なレベルの達人で、手にした日本刀で飛来する銃弾を斬り捨てることすら造作もなくやってのける。物静かでストイックな人物だが、ある意味でルパン以上に女に弱く、助けを求められるとコロッと騙される。
普段はコンニャク以外はなんでも切り裂く「斬鉄剣」という刀を得物としているが、本作では何かしら事情があったのかこれとは違う刀を持っていたらしく、マシンガンを相手に弾丸切りを敢行した際に刀身を砕かれて珍しくピンチに陥っていた。