ルパン三世VSキャッツ・アイ(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』とは、モンキー・パンチ原作の『ルパン三世』と北条司原作の『キャッツ・アイ』が時に戦い、時に協力しながら巨悪と対決していく2023年のアニメ作品。怪盗を題材とする有名作品のクロスオーバーとして、公開前から注目を集めた。
「ハインツ・コレクション」と呼ばれる美術品ばかりを狙う怪盗キャッツ・アイの泪、瞳、愛の来生3姉妹。しかしある時、彼女たちが回収した「少女と花束」という絵画がアジトからルパン三世に盗まれる事件が発生。その絵に隠された秘密を巡る大冒険が幕を開ける。

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』の用語

ハインツ・コレクション

画家であるハインツが描いた、あるいは収集した数多くの美術品。彼を追っていた美術品シンジケートによって大部分が回収され、ブラックマーケットに流された。
ハインツの隠れ家に関する情報が隠されており、来生3姉妹が世間を騒がす怪盗となってまでハインツ・コレクションの回収を進めているのは「父の居場所が分かるかもしれない」、「このことを父の敵が知ったら、隠れ家の場所を突き止められて今度こそ殺されてしまうかもしれない」との想いからである。

「花束と少女」

ハインツ・コレクションの中の1つ。幼い頃の泪、瞳、そしてまだ母親のおなかの中にいた愛を題材とした3連作になっている。
ハインツはこの作品をフォルトゥナの石の隠し場所としても利用しており、これを巡ってルパン一味、キャッツ・アイ、ファーデンが激しく火花を散らすこととなった。

ファーデン

表向きは国際的な美術品販売会社、その実態はナチスドイツの流れを組む兵器密輸組織。各国の司法の目を誤魔化すため、商品の売買の際には現金ではなく美術品を利用するという特徴を持つ。

フォルトゥナの石

ファーデンのボスに代々伝わっていた宝石。3つ集めて真の所有者であることを証明する儀式を行えば、その者に栄光と繁栄をもたらすという伝説がある。その反面、一度所有した者がなんらかの形で手放すと破滅するともされている。
ハインツの依頼で、ルパンがファーデンから盗み出す。ハインツはこれを「ファーデンが確保しているナチスドイツが強奪した美術品」と交換しようと考えていたが、その実行前に姿を隠すこととなった。なおこの盗難には、ハインツから情報を得たベルガーによる工作も大きく影響していたことが本作終盤で明らかとなっている。

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ルパン「お前の親父さん、心底ロマンティストだぜ」

愛に自分とハインツの関係と、フォルトゥナの石について説明した後、ルパンは最後にこう言葉を付け加える。
「(この石が本当に所有者に栄光をもたらすなら)立派な人物に渡せば、世界は平和になるんじゃないかって。お前の親父さん、心底ロマンティストだぜ」
ルパンらしい揶揄を含んではいるが、純粋に誉め言葉のつもりだったらしく、不服そうにした愛にそう弁解している。裏家業の人間であるルパンにとって、“略奪された美術品を取り返す”というハインツと組んで行った仕事は誇らしく感じられるものであり、同時に彼の高潔な思想はどうにも眩しく思えたに違いない。憧れとも自嘲とも取れる思いが内に込められた名セリフである。

ルパン「俺たちはこっからが強いんだぜ」

ベルガーが倒れ、ファーデンの壊滅が確実となった後、それぞれに傷を負ったルパンたちの前に立ち塞がったのはデニスだった。「自分の真の仇はベルガーだったが、父の死にお前が関わったことも事実だ」と言って拳銃を構えるデニスに、ルパン、次元、五ェ門はそれぞれが不敵に笑う。
まさかその深手で戦うつもりなのか、勝てるつもりなのかと驚くデニスに、満身創痍のルパンは「俺たちはこっからが強いんだぜ」と悠然と語り掛ける。

この時、特にルパンは物語中盤から受けたダメージがほとんど回復しておらず、どうして立っていられるのかも分からない状態である。ハッタリなのか本当に自信があるのか、それでもなお自分たちの勝利を疑わないルパンの姿は“退くわけにはいかない戦場”を前にした男の魅力に溢れている。

ルパン「父の想いは家族の下へ、花束は愛へと変わる」

物語のラスト、ルパンからマスコミ各社に「約束を果たす。父の想いは家族の下へ、花束は愛へと変わる」とのメッセージが届けられる。新たな犯行予告ではとアナウンサーや銭形が気色ばむ中、その様をテレビで見ていた来生3姉妹は「もしかして」と慌ててアジトの奥を確認する。果たしてそこには、彼女たちが必死になって回収しようとしていた3枚の「花束と少女」が飾られていた。

ルパンは泥棒で、れっきとした犯罪者だが、同時に義賊としての一面も時折見せるキャラクターである。本作ではその義賊的側面が色濃く表れており、才能はあれど自分と比べてまだ経験の浅い泥棒であるキャッツ・アイの面々に対する態度などにはそれが顕著である。
それがもっとも強く出ているのがこのシーンであり、何も言わずに去っていくルパン一味の姿は、なんともいえずカッコいい。物語の結末にふさわしい名シーンだ。

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』の主題歌・挿入歌

主題歌:杏里 ANRI『ルパン三世VSキャッツ・アイ』

メインテーマ:You & Explosion Band『THEME FROM LUPIN III 2019 ~ Playback'80』

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

Related Articles関連記事

キャッツ・アイ(Cat's Eye)のネタバレ解説・考察まとめ

キャッツ・アイ(Cat's Eye)のネタバレ解説・考察まとめ

『キャッツ♥アイ』とは、1981年から1984年にかけて「週刊少年ジャンプ」に連載された、北条司氏による漫画作品。レオタードという来生姉妹のセクシーな衣装や、泥棒と刑事の恋愛描写が人気を博し、アニメ、実写映画、ラジオドラマなど、様々なメディアミックスがされた。瞳、泪、愛の三姉妹が『キャッツアイ』と名乗り、美術品の裏シンジケートに奪われた父親のコレクションを取り戻していく。行方不明の父親を捜す来生3姉妹の物語と、主人公・瞳と恋人で刑事の内海敏夫との恋模様を描く。

Read Article

ルパン三世(Lupin the Third)のネタバレ解説・考察まとめ

ルパン三世(Lupin the Third)のネタバレ解説・考察まとめ

『ルパン三世』はモンキー・パンチのピカレスク漫画を原作としたアニメ、映画。もはや日本人のスタンダードになっている作品である。様々なお宝を追い求めて世界中を駆け抜けるルパン、次元、五エ門と、時に協力者となり時に裏切りを見せる不二子、さらに彼らを追及する銭形警部の5人の冒険は多くの人々を惹きつけ続けている。

Read Article

次元大介(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

次元大介(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『次元大介』(実写映画)とは、モンキーパンチ原作の人気漫画『ルパン三世』のスピンオフ映画作品。『ルパン三世』では“主人公の相棒”という立場である次元大介が主役を務めている。主演は玉山鉄二、監督は橋本一。Amazon Prime Videoで公開された。 銃の修理のために日本の泥魚街へとやってきた次元は、そこでオトという名の少女と出会う。成り行きで面倒を見る内に彼女に懐かれてしまう次元だったが、泥魚街のボスであるアデルもまた新型麻薬精製の鍵を握るオトの身柄を狙っていた。

Read Article

ジャンプの歴代ヒロインまとめ

ジャンプの歴代ヒロインまとめ

日本でもっとも発行部数の多い漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』は、人気でも知名度でも漫画という文化の頂点に位置する存在であり、幾多の傑作を生み出してきた。少年漫画であるだけにほとんどの作品の主人公は男性キャラクターだが、彼らを盛り立てるヒロインもまた魅力的な造形の人物ばかりである。 大人に子供、主人公に守られるだけの存在から共に戦う相棒、正規のヒロインを蹴散らして主人公と結ばれた者、“少年漫画”の常識を超えたヒロインかつ女性主人公というタイプ。ここでは、ジャンプ作品を彩ったヒロインたちを紹介する。

Read Article

GODZILLA 怪獣惑星(アニゴジ)のネタバレ解説・考察まとめ

GODZILLA 怪獣惑星(アニゴジ)のネタバレ解説・考察まとめ

『GODZILLA 怪獣惑星』とは1954年から続く怪獣映画「ゴジラ」を原作としたアニメ映画作品。脚本は虚淵玄、監督は静野孔文、瀬下寛之。 人類は環境変化が原因で地球上に出現した巨大生物「怪獣」の脅威に晒されるようになった。その中でも圧倒的な力を持ったゴジラによって半世紀に渡り敗走を重ねた人類は、種全体の存続のため宇宙への脱出を余儀なくされる。22年後、再び地球を人類の手に取り戻すため、主人公ハルオを筆頭にゴジラと戦う様を描く。

Read Article

GODZILLA 決戦機動増殖都市(アニゴジ)のネタバレ解説・考察まとめ

GODZILLA 決戦機動増殖都市(アニゴジ)のネタバレ解説・考察まとめ

『GODZILLA 決戦機動増殖都市(アニゴジ)』とは、2018年公開の日本のアニメーション映画である。監督は静野孔文と瀬下寛之。 通称アニゴジと言われている3Ⅾアニメーション作品であり、全三部作で構成されている。 ゴジラが出現したことで、人類は滅亡の危機に見舞われていた。主人公のハルオは、生き残った仲間やフツアと呼ばれる民族たちと協力し、再びゴジラに挑むのだった。 見所はフツアの民族との交流や、ナノメタルという大きな希望とそれに伴う犠牲に苦悩するハルオの心の葛藤である。

Read Article

ルパン三世 カリオストロの城(Lupin III: The Castle of Cagliostro)のネタバレ解説・考察まとめ

ルパン三世 カリオストロの城(Lupin III: The Castle of Cagliostro)のネタバレ解説・考察まとめ

『ルパン三世 カリオストロの城』とは、モンキー・パンチ原作の漫画「ルパン三世」の劇場用アニメーション映画化第2作。1979年12月東宝系公開。 宮崎駿が初めて劇場用作品の監督を手掛け、映画史上に残る不滅のアニメーションとして世界的に親しまれている名作。ゴート札なる偽札を製造し、世界経済の裏側で暗躍していると伝えられるカリオストロ公国で、カリオストロ伯爵の妻にさせられようとしている公女クラリスを救うため、そして国の秘密を暴くため、ルパン三世とその仲間たちの活躍を描く。

Read Article

ルパン三世 ルパンVS複製人間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ルパン三世 ルパンVS複製人間(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ルパン三世 ルパンVS複製人間』とは、モンキー・パンチの漫画が原作の人気TVアニメ『ルパン三世』の劇場用映画化第1作。1978年12月東宝系公開。劇場公開時のタイトルは『ルパン三世』。観客層は大人をターゲットに想定し、1年間の製作期間と5億円の製作費を投じて製作された。エジプトのピラミッドから、人間に永遠の生命を与えるという“賢者の石”を盗み出したルパン三世。複製人間(クローン)を操る天才科学者マモーとルパン一味との”賢者の石”をめぐる激しい争奪戦を描く。

Read Article

GAMERA -Rebirth-(ガメラ リバース)のネタバレ解説・考察まとめ

GAMERA -Rebirth-(ガメラ リバース)のネタバレ解説・考察まとめ

『GAMERA -Rebirth-』(ガメラ リバース)とは、日本の特撮作品『ガメラ』シリーズを原作とするオリジナルアニメ。『ガメラ』シリーズに登場する怪獣のほとんどが登場するという豪華な内容で話題となった。2023年にNetflixから全6話で公開される。 20世紀末の日本。小学生最後の夏休みを迎えたボコ、ジョー、ジュンイチは、在日米軍司令官の息子であるブロディとトラブルを起こす。これを解決しようと奔走する中、街に巨大な怪獣が出現。窮地のボコたちの前に、亀型の大怪獣ガメラが現れる。

Read Article

亜人(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

亜人(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『亜人』は、桜井画門による漫画作品で、講談社の『good!アフタヌーン』にて、2012年から連載。2015年には3部作の劇場アニメが上映、2016年からはTVアニメが放送された。2017年には実写映画も公開され、シリーズ累計発行部数は900万部を突破するほどの人気を誇る。 主人公の永井圭は、ある日交通事故により亡くなってしまうが、直後に生き返った。それにより、自身が死ぬことがない生物「亜人」だと判明する。亜人であるが故に、政府に追われる身となり、様々な困難立ち向かう物語となっている。

Read Article

【ルパン三世】次元が吸っているタバコまとめ

【ルパン三世】次元が吸っているタバコまとめ

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。 日本のアニメ作品では非常に珍しく登場人物の大半が大人で、そのため飲酒や喫煙シーンが頻繁に登場する。中でもルパンの相棒の次元大介は愛煙家で、作中でも様々な銘柄のタバコを手にしている。その一覧を紹介する。

Read Article

ルパンが女の命を奪ったシーンまとめ【ルパン三世】

ルパンが女の命を奪ったシーンまとめ【ルパン三世】

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。主人公のルパンは根っからの女好きで、特に美女ともなれば自分を裏切ろうと許してしまう。しかし、そんな彼でも“どうあっても許してはならない”、“世のためにならない”と判断した時は女性を手にかけることもある。

Read Article

『ルパン三世』の名言・名セリフまとめ

『ルパン三世』の名言・名セリフまとめ

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。 少年少女の活躍を描くことが多い日本のサブカル作品の中では非常に珍しく、登場人物のほとんどが大人である。それだけに彼らが口にするセリフは大人としての魅力や含蓄に溢れたものが多く、多くのファンを魅了している。その一部を紹介する。

Read Article

ルパン三世にまつわる都市伝説・豆知識まとめ

ルパン三世にまつわる都市伝説・豆知識まとめ

狙った獲物は逃がさない天下の大泥棒ルパン三世とその仲間たち、そしてルパン逮捕にすべてを掛ける銭形警部とのドタバタ劇を描いた大人気作品『ルパン三世』。コミックス以外にも多くのアニメ作品や映画作品が創られている。そんなルパン三世にまつわる都市伝説や、ちょっとした豆知識をまとめてご紹介する。

Read Article

『ルパン三世』の峰不二子の実写版キャストは誰がいい!?みんなの「ベストオブ峰不二子」まとめ

『ルパン三世』の峰不二子の実写版キャストは誰がいい!?みんなの「ベストオブ峰不二子」まとめ

ここでは『ルパン三世』の実写版「峰不二子」は誰が演じるのがベストなのか、SNSに寄せられた投稿などをまとめている。 モンキー・パンチ原作の大人気漫画『ルパン三世』は、2014年に小栗旬主演で映画化された。その際のルパン一味の紅一点である「峰不二子」は、女優の黒木メイサが演じている。SNSには「峰不二子」役に最適な女優としてさまざまな名前が挙がっており、その一部は藤原紀香や米倉涼子だった。

Read Article

『LUPIN the Third -峰不二子という女-』キャプチャ画像壁紙まとめ

『LUPIN the Third -峰不二子という女-』キャプチャ画像壁紙まとめ

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。 50年以上続く人気作品で、テレビアニメシリーズも断続的に製作されている。『LUPIN the Third -峰不二子という女-』は、本作のヒロインである峰不二子にクローズアップした作品で、彼女を中心とした悪党たちの様々な駆け引きが見所となっている。

Read Article

【大人のルパン】LUPIN the Third -峰不二子という女-の感想まとめ

【大人のルパン】LUPIN the Third -峰不二子という女-の感想まとめ

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。 断続的にアニメが製作されている長寿作品であり、『LUPIN the Third -峰不二子という女-』はヒロインである峰不二子にクローズアップしたシリーズ。姦計と駆け引きを用いて悪党を出し抜く不二子の活躍が描かれている。

Read Article

【ルパン三世】ルパンと峰不二子の画像まとめ

【ルパン三世】ルパンと峰不二子の画像まとめ

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。 そんなルパンが熱を上げているのが、ヒロインの峰不二子である。策略と姦計を用いて、時にルパンすら欺いて宝を横からかっさらう油断ならない美女だが、それも含めてルパンは彼女に惚れ込んでいる。駆け引きか本心か、そんなルパンと不二子の仲睦まじい姿を紹介する。

Read Article

【ルパン三世】峰不二子のコスプレ画像まとめその1

【ルパン三世】峰不二子のコスプレ画像まとめその1

『ルパン三世』とは、大泥棒ルパン三世の奇想天外な活躍を描いた、モンキー・パンチ原作の漫画作品。 峰不二子は作品を通してのヒロインで、策略と姦計を用いて、時にルパンすら欺いて財宝をかっさらうしたたかな美女。味方とも敵とも言い切れないそのユニークな人物像に魅了された者は多く、非常に人気の高いキャラクターである。

Read Article

目次 - Contents