グラン・トリノ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『グラン・トリノ』とは、2008年にクリント・イーストウッドが監督、プロデューサー、主演を務めたアメリカのヒューマンドラマ映画である。
ミシガン州を舞台に、頑固な元軍人ウォルトと、モン族の隣人、少年タオとの心の交流を描く。一度は、ギャングにそそのかされ、ウォルトの愛車を盗もうとしたタオであったが、ウォルトに仕事を世話してもらい、真面目に働く。一方で、ギャングの、タオへの嫌がらせはエスカレートしていく。タオやタオの家族を守る為、ウォルトは命を賭けて、ギャングを刑務所送りにする。

第一騎兵師団

ウォルトが持っているライターのエンブレムが、第一騎兵師団のマークが入ったものである。
第一騎兵師団(だいいちきへいしだん)とは、アメリカ陸軍の師団の一つで、第二次世界大戦以降アメリカの関わった全ての紛争に参加している師団である。

『グラン・トリノ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ウォルト「朝鮮で3年、銃で撃ち銃剣で突き刺し、まだ10代の子供をシャベルで殴り殺した。そのことは死ぬまで忘れないさ。酷いことだよ。だが背負って生きて行く」

↑ヤノビッチ神父(左)とウォルト(右)

ウォルトとヤノビッチ神父が生と死についての話をしたとき、ウォルトは「朝鮮で3年、銃で撃ち銃剣で突き刺し、まだ10代の子供をシャベルで殴り殺した。そのことは死ぬまで忘れないさ。酷いことだよ。だが背負って生きて行く」と話した。だがヤノビッチ神父に生について問われたとき、ウォルトはうまく答えられなかったのである。
「生より死の方がずっと詳しいようですね」とヤノビッチ神父に言われる重要なシーンでのセリフである。ウォルトのセリフから、今もなお戦争での体験がウォルトを苦しめていることがわかる。

※ちなみにこのセリフは、日本語吹き替えのセリフである。日本語字幕も内容はほぼ一緒ではあるが、少しだけ言い回しが違う。
日本語字幕では、
「俺は朝鮮で3年間、毎日それを見て暮らした。人を撃ちー銃剣で刺し殺し、17才の子をシャベルで殴り殺した。死ぬまで忘れられない。一生頭に焼き付いてる。おぞましい記憶だ」
となっている。

ウォルトの遺言書

↑ウォルトから譲り受けたグラントリノを運転するタオ

ウォルトの遺言書に書かれていたのは、愛車グラン・トリノを、友人であるタオに譲ると言う内容であった。ただし、三つの約束事を守る事が条件である。
因みに、その3つとは、
(日本語字幕)
1.豆食いメキシコ人のように車のルーフを切らずー
2.クズ白人のようにペンキで車体に炎など描かぬこと
3.また後部にカマっぽいスポイラーなど付けぬこと
(吹き替え)
1.タコス野郎みたいにループを取っ払わないこと
2.白人の貧乏くさい田舎者みたいにばからしい炎をペイントしないこと
3.アジアのクズどもみたいにみっともない、リアスポイラーをつけない事

実にウォルトらしい言葉が、遺言書に綴られていた。思わずその言葉に笑みがこぼれるタオだった。

『グラン・トリノ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

初映画脚本で大作を作った男

43歳にして映画脚本デビューした、ニック・シェンク。
初作品にして、大作を書き上げたニック・シェンクは、その後長編映画『ジャッジ裁かれる判事』や、同じクリント・イーストウッドが監督・俳優をこなした『運び屋』などを手掛けた。
『グラン・トリノ』は、以前働いていた工場にモン族の人が大勢いて、知り合いになり、書き上げたと言われている。

音楽はイーストウッドの息子が担当

カイル・イーストウッドは、アメリカカリフォルニア州ロサンゼルス出身で、フランスパリ在住のベーシストである。この映画の監督、俳優、プロヂューサーを務めたクリント・イーストウッドの長男。『ルーキー』以後、父クリント・イーストウッド監督の全作品の音楽に関わっている。
クリント・イーストウッド監督以外の映画では、『ホームレス ニューヨークと寝た男』などの映画音楽に関わっている。

『グラン・トリノ』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング)Jamie Cullum :『Gran Torino』

映画のエンディングで、タオがグラン・トリノを運転しているシーンで流れる曲は、ジェイミーカラムが、映画グラン・トリノに提供した曲「グラン・トリノ」である。
この曲は、ゴールデングローブ賞にて主題歌賞にノミネートされた。
劇中、最初だけクリント・イーストウッドの歌声でこの曲が流れるが、途中でジェイミー・カラムにかわる。
因みにこの映画の音楽を担当しているのは、クリント・イーストウッドの長男でジャズベーシストであるカイル・イーストウッドである。

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