北斗の拳 イチゴ味(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『北斗の拳 イチゴ味』は、武論尊・原哲夫(原案)、河田雄志(シナリオ)、行徒妹(作画)による漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。『WEBコミックぜにょん』において2013年より配信された。1980年代に一斉風靡した『北斗の拳』を原典とし、南斗六聖拳「将星」の男・聖帝サウザーを主役としたパロディギャグ漫画である。『北斗の拳』に似せた作画でギャグを連発するのが特徴。次第にオリジナルのストーリー展開による群像劇へと移行し、好評を博した。2018年に作画の行徒妹の体調不良により無期限の休載となった。
修羅の国に伝わる、ラオウが救世主として修羅の国を平定し、民を解放するという伝説。
今作ではサウザーがラオウに先んじて「聖帝伝説」を始めようと、修羅の国に侵攻するきっかけとなる。
『北斗の拳 イチゴ味』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
サウザー「敵は全て下郎!!!」
「聖帝(せいてい)」を名乗り覇道を突き進むサウザーに、“世紀末救世主(せいきまつきゅうせいしゅ)”ケンシロウが戦いを挑む。
心臓の位置と秘孔の位置が左右表裏逆という特異体質のサウザーに苦戦するケンシロウ。しかし、ついにサウザーの体の秘密を見抜き、秘孔をつく。
もはや勝機がなくなったかに見えたサウザーだが、南斗極星奥義として「敵は全て下郎!!!」と叫びながら繰り出したのは、全力のダブルピースだった。
その姿に、戦いを見届けたラオウとトキは戦慄する。
そして、サウザーとケンシロウの終わりのない戦いは続いていくことになる。
ハン「童貞ではないな!!」
ラオウの首をとるため、修羅の国(しゅらのくに)から羅将(らしょう)ハンが海を渡ってやってくる。
上陸してすぐ、南斗五車星(なんとごしゃせい)・雲のジュウザと遭遇したハンは、気を感じて間をとったジュウザを「なる程…さては貴様 童貞ではないな!!」と評す。
垢抜けないものをすべて「童貞」呼ばわりし、感嘆すると「肌が粟立つ」という独特の表現を多用する、作品中随一の特異なキャラクターであるハンの初登場場面。
この先もハンは度々登場し、その濃さで他のキャラクターを圧倒し、童貞問答を繰り広げていく。
ケンシロウ「みかん」
ラオウと戦おうとするケンシロウを、「今はまだラオウと戦う時ではない」と止めようとするレイ。
「たとえ99%勝ち目がなくとも1%あれば…おれは負けん!!」と言うケンシロウに、「ラオウがリンゴを99個持っていたとすればケン…おまえはリンゴをひとつしか持ってないことになるんだぞ」とリンゴに例えて勝機が薄いことを諭そうとする。
それでも話が通じないケンシロウに、今度はトキが「今のおまえにはリンゴがひとつもない!」と告げる。
その言葉に、リンゴにこだわるケンシロウはショックを受けるが、「リンゴはなくともみかんいっぱい!!」と自分を鼓舞する。
以降、「みかん」はケンシロウの口癖となり、「みかん」以外の言葉をほとんど発しなくなる。
ハン「無数の童貞達がっ!!!」
羅将ヒョウが魔界に堕ち、羅将カイオウを止められるものがいなくなり、修羅の国は地獄と化した。
この状況を打開するため、シャチはラオウの元に救援を乞いにやってくる。そこへ羅将ハンもラオウを討つために現れた。
ラオウを前に対峙した2人は、「愛」と「童貞」を語り、拳を交える。
シャチを圧倒し「女は女である時点で誰もが素晴らしい ひとりに選べぬ程に!!!」「 理由などいらぬ オレは女が女である時点で愛するのだ!!」と語るハンに「博愛」を感じ取り、希望を失いそうになるシャチ。しかし、恋人・レイアの幻に励まされ、立ち上がる。
その背後に無数の童貞の闘気を見たハンは「バカな… 奴の背に浮かぶあの闘気 無数の童貞達がっ!!!」と戦慄する。
作中の戦闘シーンで屈指の盛り上がりを見せる名場面だが、くだらない童貞問答に業を煮やしたラオウの介入で戦いは痛み分けに終わった。
ユダ「ブフウ…」
ケンシロウが使う北斗神拳究極奥義「無想転生」。その背後の幻影に自身が含まれていないことを知ったユダは、「無想転生」に入るには、「ケンシロウと闘う」「その散り際をケンシロウに印象づける」ことが必要だと知る。
ユダは「無想転生」に入るため、拳を磨き、ケンシロウに闘いを挑む。
北斗神拳奥義「七星点心」によって敗れ、名言をケンシロウの心に刻みつける機会が訪れるが、あまりのダメージに「ケッ…ケンシロウ みっ見事… …ガフフ… ハ…ブッ… い…息が…なんていうか…ブハァッ おれが…この…ブッ… おっ…ブフウ…」としか言えず、その試みは失敗に終わった。
『北斗の拳 イチゴ味』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
原典『北斗の拳』との違い
『北斗の拳』はもともと、その荒唐無稽な設定とストーリーを大真面目に展開することから、ギャグのネタにされやすいという特徴があった。
今作はそれを、あえてギャグ調にデフォルメ化したキャラクターを使わず、原典の作画者である原哲夫の作風に似せて描くことを実現したところに特徴がある。
当初は原典『北斗の拳』に登場する聖帝サウザーを主人公にしたパロディギャグ漫画にすぎなかった今作だが、次第にオリジナルのストーリー要素が追加されるようになり、サウザーを中心にした群像劇へと移行する。
そのため、原典にはないキャラクター同士の関係性や闘いが数多く描かれる。
例をあげると、以下の通り。
・サウザーはケンシロウとの闘いでは死なず、その後、数々の強敵(リュウガ、ジュウザ、ファルコ、ハン、カイオウなど)と激闘を繰り広げる。また、シュウ、シン、ヒューイ、シュレンなどを倒した描写がある。
・サウザー、ラオウがそれぞれ修羅の国へ侵攻する。
・ラオウ対ハン、ラオウ対ヒョウ、ケンシロウ対ユダ、ユダ対カーネル、トキ対シュウ、シャチ対ハン、ファルコ対カイゼル、シン対カイゼル、アミバ対カイゼルなどの原典にない対決。
・南斗五車星のヒューイとシュレン、ラオウの右腕であるリュウガはやられ役で、頻繁に登場しては誰かに倒されている。
・アインが南斗五車星に入る。
・シンはユリアではなくケンシロウに惚れており、ケンシロウを振り向かせたいがために成り行きでユリアをさらう。
・これらにより、ヒューイ、シュレン、リュウガ、アミバ、ターバンのガキなど、原典では少ない登場だったキャラクターの出番が大幅に増えている。また、南斗六星拳やハンなど、見せ場が増えてたキャラクターも多い。相対してケンシロウをはじめとする北斗神拳側のキャラクターは原典よりも影が薄い。
これらにより、むしろ原典よりも奥行きのある世界観を構築しているといえる。
“外伝”の存在
2022年時点で、単行本は9巻まで発売されている。
それぞれの単行本の巻末には、今作の作画を担当する行徒妹の姉・行徒が描く「外道伝」「GAI伝」が掲載されおり、そのため、今作のクレジットには「協力」として行徒の名前がある。
その内容は以下の通り。
・「HEART of Meet あの日の約束」核戦争前のハートを描く。
・「南斗 of Meet 五つの星が出会いし刻」少年時代のサウザーを描く。
・「Red Blue 片翼の少年たち」少年時代のヒューイとシュレン、リハクの出会い。
・「SCRAP MOUNTAIN」少年時代のフドウの物語。
・「Ultimate Desire」少年時代のユダとレイ、シンとの出会い。
・「RIGHT ON KING」少年時代のシンとケンシロウ、ユリアを奪うまでの物語。
・「GOLDEN GUI」少年時代のファルコ、ソリア、ショウキを描く。
・「USA ULTIMATE SADDISTIC ACTION 〜約束の場所〜」学生時代のアインと核戦争。
・「OH!!GUY」オウガイと少年時代のサウザー描く。
・「北斗の拳 インターナショナル」原典『北斗の拳』の初期の内容をカタカナ英語化した作品。
・「リバース サイド デビル」核戦争前のデビル・リバースを描く。
・「北斗犬」『北斗の拳』の登場人物を犬にした企画案。
特殊なテレビアニメ化
今作は「聖帝サウザー様生誕30周年記念作」と銘打ってアニメ化され、2015年10月から12月までテレビ東京他で放送された。
ただし、単独でのアニメ化ではなく、今作と同じく『北斗の拳』を題材にしたギャグ漫画『DD北斗の拳』のアニメ版第2シリーズ『DD北斗の拳2 イチゴ味+』の中で、2分間のショートアニメとして放送されるという、変則的なものであった。
そのため、今作には単独作品としての主題歌・エンディングテーマが存在しない。
主人公のサウザーには、原典『北斗の拳』のアニメ版でもサウザーを演じた銀河万丈が起用された。
2016年3月にDVDが発売されている。
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目次 - Contents
- 『北斗の拳 イチゴ味』の概要
- 『北斗の拳 イチゴ味』のあらすじ・ストーリー
- 聖帝(せいてい)再降臨
- サザンクロスの涙
- 「南斗 DE 5MEN(なんとでごめん)」誕生
- 南斗聖拳(なんとせいけん)対北斗神拳(ほくとしんけん) 全面対決
- 南斗の乱
- 聖帝 vs 羅将(らしょう)
- ユダの無想転生(むそうてんせい)入り
- ラオウの修羅の国(しゅらのくに)への侵攻
- 修羅の来襲
- 『北斗の拳 イチゴ味』の登場人物・キャラクター
- 南斗六聖拳(なんとろくせいけん)とその関係者
- サウザー
- シュウ
- レイ
- ユダ
- シン
- ユリア
- オウガイ
- シバ
- アイリ
- 北斗神拳(ほくとしんけん)四兄弟とその関係者
- ケンシロウ
- ラオウ
- トキ
- ジャギ
- アミバ
- リュウケン
- バット
- リン
- 南斗五車星(なんとごしゃせい)とその関係者
- ヒューイ
- シュレン
- フドウ
- ジュウザ
- リハク
- アイン
- トウ
- アスカ
- 聖帝軍(せいていぐん)
- 副官
- リゾ
- 拳王軍(けんおうぐん)
- リュウガ
- 獄長(ごくちょう)ウイグル
- 黒王号(こくおうごう)
- 南斗聖拳(なんとせいけん)
- ダガール
- カーネル
- 元斗皇拳(げんとこうけん)
- ファルコ
- ソリア
- ショウキ
- 北斗琉拳(ほくとりゅうけん)
- カイオウ
- ヒョウ
- ハン
- シャチ
- 天帝(てんてい)とその関係者
- ルイ
- ジャコウ
- 修羅の国(しゅらのくに)
- 名もなき修羅(しゅら)
- ゼブラ
- 郡将(ぐんしょう)カイゼル
- レイア
- 赤鯱(あかしゃち)
- その他
- ターバンのガキ
- マミヤ
- レン
- リュウケン
- 『北斗の拳 イチゴ味』の用語
- 拳法
- 南斗聖拳(なんとせいけん)
- 北斗神拳(ほくとしんけん)
- 元斗皇拳(げんとこうけん)
- 北斗琉拳(ほくとりゅうけん)
- 無想転生(むそうてんせい)
- 国や団体・グループ
- 南斗六聖拳(なんとろくせいけん)
- 南斗 DE 5MEN(なんとでごめん)
- 南斗五車星(なんとごしゃせい)
- 聖帝軍(せいていぐん)
- 拳王軍(けんおうぐん)
- 帝都軍(ていとぐん)
- 修羅の国(しゅらのくに)
- その他
- 『北斗の拳(ほくとのけん)』
- 聖帝十字陵(せいていじゅうじりょう)
- ラオウ伝説
- 『北斗の拳 イチゴ味』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- サウザー「敵は全て下郎!!!」
- ハン「童貞ではないな!!」
- ケンシロウ「みかん」
- ハン「無数の童貞達がっ!!!」
- ユダ「ブフウ…」
- 『北斗の拳 イチゴ味』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原典『北斗の拳』との違い
- “外伝”の存在
- 特殊なテレビアニメ化
- 世紀末清純派アイドルグループ「南斗 DE 5MEN(なんとでごめん)」
- 作者の体調不良による休載
- 『北斗の拳 イチゴ味』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):アルスマグナ『世紀末スクールウォーズ』
- ED(エンディング):放課後プリンセス『消せない、七つの星』
- 挿入歌:南斗 DE 5MEN『それが大事』