妹の恋人（映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2人はバスに乗り込んだ。だんだんと調子が悪くなるジューンをサムは心配していた。緊張からか次第にジューンは激しい発作を起こしてしまう。

一方、ベニーは車で帰る途中で人だかりを見つける。嫌な予感がしたベニーは車から降りて駆け寄る。ベニーは救急車にジューンとサムが乗っているのを見つける。救急車はそのまま行ってしまった。

救急車の後を追いベニーは病院へ。「ジューンは誰にも会いたくないみたい」とガーペー医師が話す。「俺にも？」と驚きを隠せないベニー。ガーペー医師は「そうよ。病院にいたいと言ってる」と言った。ベニーはショックを受けつつ、部屋を出るとサムが廊下に座っていた。「2度と妹に近付くな」とサムに言った。サムはベニーから目を逸らさずに「嫌だ」と言った。ベニーは「君を見て皆が笑うだろ？君がバカだからさ」と言い放ちその場を後にした。

ジューンとの再会

ビデオ屋で働き始めたサムの元にベニーがやって来た。ベニーは「来てくれ」とだけサムに言った。病院に向かう2人。病院のスタッフにジューンの部屋番号を聞く。「335室だが隔離病棟で面会は禁止されてる」と言われる。「会わせてくれ」と懇願し続けるが、聞いてもらえない。一旦、諦めて3階の待合室に行く2人。隔離病棟への厳重なドアが開いた隙に、帽子を滑り込ませる。ドアに帽子が挟まり、扉は半開きになった。スタッフが目を離した隙にドアの向こうに忍び込んだ。向こうから医師が数名やって来た。サムが機転を利かし患者を装い「マミー？」と言った。医師達は「こんな所で何をしてる？患者だな？」と言い、サムを抱きかかえどこかへ行ってしまった。おかげでベニーはジューンの病室にたどり着く。「1人でいたいのか？こんな所を選ぶ事はないだろ？それならアパートを借りて住んでみるのはどう？」とベニーが言う。ジューンは黙ったままでいる。ベニーがジューンの病室の前にいると、ガーペー医師がやって来た。気まずそうにしているベニーにガーペー医師は「逮捕されてもいいの？」と言った。

その頃サムは医師達に抱えられ1階まで降りていた。そのまま庭へ行き病室の壁をよじ登った。病院の3階までよじ登るサム。サムは窓拭き用のリフトのロープを引っ掛けた。

「よく考えるのよ」と、窓に背を向けてジューンに話すガーペー医師。ジューンが考えを巡らせていると、リフトに乗りロープにぶら下がるサムが、窓の外から顔を覗かせる。ジューンはサムを見つけると一気に笑顔になり、「アパートを借りるわ」と目を輝かせた。ガーペー医師はサムに気付く事なく「許可しましょう」と言った。するとロープが外れてしまい、サムはそのまま下に落ちてしまった。

病室を出たベニーとジューン。ジューンは何か言いたげな様子でベニーの服を掴む。するとベニーはジューンの手を握り「いいんだ。分かってる。退院の手続きを」と言った。ベニーとジューンは、依存し合っていた関係から解放され始めていた。
病院の外へ出るジューン。トーマスが用意してくれたのか、足を怪我したサムは車椅子に乗っていた。ジューンに気付くとサムは優しく微笑む。サムは立ち上がり、2人は抱きしめ合った。

2つの花束を持ってルーシーの元へ行くベニー。外で待っていたルーシーはベニーを出迎える。ベニーはそっと床に花束を置き、2人の住む部屋を後にした。

『妹の恋人』の登場人物・キャラクター

サム（演：ジョニー・デップ）

バスター・キートンに憧れている不思議な雰囲気の青年。字の読み書きが出来ないがパントマイムを得意とする。ベニーの友人でもあるいとこのマイクの所で居候していたが、ジューンがポーカーに負けたことがきっかけでベニーとジューンの元で生活するようになる。風変わりで世間になじめないがピュアな心の持ち主。心に病を抱えていたジューンを癒やし、次第に惹かれ合う。口数が少ないが、交際を反対するベニーに「妹に近付くな」と言われた時、「嫌だ」とはっきりと口にする一面もある。

ジュニパー・”ジューン”・パール（演：メアリー・スチュアート・マスターソン）

幼い頃両親を亡くしたことで心に病を抱えている。独語症で音に敏感な所がある。兄のベニーとは12年間2人で暮らしていた。ある日ポーカーに負けたツケとして、ベニーの友人宅に居候していたサムを預かることになる。初めは警戒していたが、無口だけど純粋な心を持つサムに惹かれていく。ハウスキーパーとは折り合いがつかず何人も辞めていったが、サムに対しては早い段階から心を開くことが出来るようだった。

ベンジャミン・”ベニー”・パール（演：エイダン・クイン）

ジューンの兄。両親を早くに亡くし、12年間妹のジューンの面倒を見ている。ジューンを心配するあまり、自分自身を犠牲にしなければならないという思いに囚われすぎている所がある。サムとジューンの交際に激怒し反対の態度を示していたが、サムと引き離され自分を拒絶するジューンを見て、ジューンを縛り付けていたのは自分だと気付き反省する。サムの存在によってジューンとの共依存のような関係を手放すことができ、ジューンのためにと諦めていたルーシーへの思いを実らせた。

ルーシー（演：ジュリアン・ムーア）

レストランの店員で、以前女優として活躍していた。初めてサムが訪れた時、「”高校生連続殺人鬼”のルーシー・マレネックだ」と自身の出演作品を言い当てられ驚く。女優を諦めやって来た街でベニー達と出会い、ベニーとは恋仲になる。

エリック（演：オリヴァー・プラット）

ベニーの仕事仲間であり友人。ジューンを理由に女性からの誘いを断るベニーを呆れた思いで見ているが、いつも気にかけている。ポーカーに誘ったり、ベニーの相談に乗ったりなど友人思いな性格の持ち主。

ガーペー医師（演：CCH・パウンダー）

ジューンの担当医。ベニーとジューンの2人での生活を心配しており、施設での職業訓練を勧める。ジューンはもちろんの事、ジューンを守れるのは自分しかいないという強迫観念をもっている節があるベニーを気にかけている。

トーマス（演：ダン・へダヤ）