黒崎一護（BLEACH）の徹底解説・考察まとめ

斬魄刀異聞（ざんぱくとういぶん）篇

尸魂界で死神の斬魄刀の様子がおかしいという不穏な空気が流れ始める。ある日の夜、総隊長である山本から緊急招集がかかりルキアと隊長格・副隊長格の死神達が集まる。
そこに現れたのは山本ではなく「村正（むらまさ）」と名乗る一人の男だった。村正は斬魄刀を実体化させて仲間に引き入れ、瀞霊廷に攻撃を仕掛けてきたのだった。斬魄刀が実体化したことで始解が出来なくなった死神達は防戦一歩。瀞霊廷は壊滅状態に陥ってしまう。

現世では一護がある日、不穏な気配を感じた場所へ向かうと、突然、穿界門（せんかいもん）が開き、怪我をしたルキアが現れる。そこで実体化したルキアの斬魄刀「袖白雪（そでのしらゆき）」との戦闘になる。戦いの後ルキアから尸魂界では斬魄刀が持ち主に逆らい、自我を持って実体化するという事件が起きていることを聞かされる。尸魂界に帰ったルキアを追って一護も夜一と共に尸魂界へ向かう。しかし、そこへ首謀者である村正が現れ、その能力によって斬月が実体化してしまったことで一護は苦戦する。一護の内なる虚の力もあり、苦しみながらも斬月を屈服することに成功する。

死神と斬魄刀との戦いが終盤に差し掛かる中で、村正の真の目的が空座町に封印された、数百年前の尸魂界で謀反を起こした死神であり村正の持ち主「朽木響河 （くちきこうが）」の封印を解くことだと判明する。村正の狙いが空座町にあると知った一護は現世で仲間たちと激戦を繰り広げ、最後は精神世界で一護が村正と対決し勝利する。

劇場版

劇場版「MEMORIES OF NOBODY（ブリーチ メモリーズ オブ ノーバディ）」

2006年12月16日に東宝系で公開された『BLEACH』の劇場版第1作。
尸魂界篇での戦いの後、死神代行を務める一護と、再び現世に派遣されたルキアの前に、欠魂（ブランク）と呼ばれる認識不能の霊生物が空座町に発生する事態が起きた。

ある時、一護とルキアは茜雫（せんな）という謎の死神の少女が斬魄刀「弥勒丸（みろくまる）」を使い、欠魂と戦う場面に遭遇する。茜雫は自由奔放な性格で、終始一護を振り回していく。
そんな茜雫の正体は魂魄から外れた記憶の集合体「思念珠（しねんじゅ）」と呼ばれる存在だった。所持する斬魄刀「弥勒丸（みろくまる）」も百年前に現世と尸魂界の間にある空間・断界に7日に1度現れる、侵入者を排除するための気流である「拘流（こうりゅう）」に飲み込まれて消滅した死神が持っていたものだった。作中で茜雫が何度も違う記憶を思い出すのは、魂魄から外れた多数の人間の記憶が混じっていた思念珠だったからである。そのため茜雫は尸魂界の崩壊を企む厳龍（がんりゅう）率いる闇の勢力「ダークワン」に尸魂界と現世を衝突させる依り代として付け狙われている。
同時期、尸魂界では「世界崩壊」の前触れとされる空に現世の景色が映し出される現象が起きていた。これらはダークワンの仕業によるものだった。
一護と死神達は茜雫が尸魂界と現世を衝突させる依り代として付け狙われていることを知るが、その矢先に茜雫はダークワンに連れさらわれてしまう。
一護は捕らわれた茜雫を助けるため叫谷（きょうごく）と呼ばれる霊子の空間に向かう。さらにルキア、恋次、護廷十三隊の死神達も叫谷へ集結。かくして死神達とダークワンによる世界の存亡をかけた戦いが始まり、厳龍との戦いの中で茜雫は本来のあるべき魂魄の姿へと還り、消滅してしまった。
茜雫はこの世には元々存在しない人物のため、消滅後、一護たちの記憶からは消えてしまった。

劇場版「The DiamondDust Rebellion（ザ ダイアモンドダスト リベリオン） もう一つの氷輪丸」

2007年12月22日に東宝系で公開された漫画『BLEACH』の劇場版第2作。
物語は尸魂界にある王族の秘宝「王印（おういん）」がキーとなって進んでいく。王印を警護し指定の場所へ運搬していた日番谷・乱菊率いる十番隊が謎の集団に襲撃され王印が奪われてしまい、それと同時に、首謀者と刃を交えていた日番谷がそのまま謎の失踪を遂げる。その後、謎の気配を感じた一護は現世の森へ向かう。一護はそこで護廷十三隊二番隊隊長の砕蜂（そいふぉん）から、王印が奪われたことを告げられる。

一護は森の中で傷つき「クサカ」という言葉を残して倒れた日番谷を発見し保護。目を覚ました日番谷が何も言わず去ろうとするのを止めたところ、日番谷が刀を向けてきたため一護は日番谷と戦闘になる。しかしその途中日番谷の身柄を要求してきた謎の少女、インとヤンが突如現れ、日番谷は彼女らを追うように立ち去ってしまう。その後、一護はルキアと恋次、そして織姫ら現世メンバーと合流し共に日番谷を捜索することにした。
その頃、尸魂界では氷輪丸による攻撃で八番隊隊長の京楽春水（きょうらくしゅんすい）が重傷を負う。同時刻に檜佐木修兵（ひさぎしゅうへい）、吉良率いる「日番谷捜索部隊」を日番谷の姿を確認し応戦。日番谷が逃走したことで、山本総隊長並びに尸魂界は日番谷への疑念を強め、日番谷「処刑」の決定を下す。

反逆の疑いを掛けられながらも全てを捨ててある決意を秘める日番谷。そんな中一護は今までの日番谷の行動の真意に気付く。それは王印強奪事件の首謀者が、かつて日番谷の友人で真央霊術院時代に同期の間柄だった「草冠宗次郎（くさか そうじろう）」であり、日番谷は1人でその野望を食い止めようとしていたことだった。
一護は日番谷とともに草冠の野望を阻止するため戦い、最後は日番谷の手で終止符が打たれた。

劇場版「Fade to Black（フェイド トゥ ブラック） 君の名を呼ぶ」

2008年12月13日に東宝系で公開された漫画『BLEACH』の劇場版第3作。
他の『BLEACH』映画の中では最も原作に近い作品で、一護とルキアの出会いを描いた話とリンクするシーンが登場しており、回想としても使われている。
『劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ』のキャッチコピーは「さよならルキア」と「黒崎一護 対 護廷十三隊」である。

尸魂界の技術開発局ではマユリがある装置の実験開発に成功したが、突然、謎の姉弟に襲われてしまう。弟の鎌で切られたマユリは自分が何者なのか、副官であるネムのことすら分からくなり混乱状態になる。そのまま装置が暴走し、巨大な霊子の大蛇が出現する。そして瀞霊廷はその渦に飲み込まれ壊滅する。異変に気付いたルキアもまた謎の姉弟によって襲われてしまいルキアの記憶が消えてしまう。ルキア自身だけでなく、ルキアのことを知っているすべての死神からルキアの記憶が消えてしまった。一護も同様にルキアのことを忘れてしまうが、コンから渡された「ルキアからの手紙」によって記憶を取り戻すことに成功する。
ルキアに何か起こったことを察した一護は、浦原から瀞霊廷壊滅の一報を聞き、コンと共に尸魂界に向かう。だが恋次を含めた死神達はルキアの記憶と一護に関する記憶を失っていた。一護は侵入者「旅禍（りょか）」と思われてしまい、死神達に追われる身となった。逃亡する一護とコンは途中でルキアを見つけるが、ルキアもまた一護の記憶を失ってしまっていた。

姉弟がルキアに執着する理由は、姉弟が幼い頃南流魂街78地区「戌吊（いぬづり）」でルキアと生活し、ルキアを慕っていたためであった。流魂街でルキアと暮らしていた姉弟はある日、「魂魄に寄生し、記憶を刈り取る虚」に寄生された死神に襲われた。姉弟はルキアを庇って殺されてしまうが、虚を取り込み虚園に流れ着く。姉弟には名前がなく、ルキアが自分たちに名前を付けるという約束をしており、今回の事件を引き起こしたのもルキアを取り戻して名前を付けてもらいたい気持ちと、自分たちとルキアを引きはがした死神に復讐するためだった。

一護のことを信じ協力する恋次と一護達は再びルキアと接触し、ルキアは記憶を取り戻していく。「記憶を取り戻し始めたルキアが自分たちから離れてしまうくらいなら」、と姉弟はルキアと融合し、ルキアは再び一護に関する記憶をなくし、ルキアは一護に襲い掛かる。
一護は意を決してルキアを斬ることで自身の霊力を流し込み、それによってすべてを思い出したルキアから姉弟は分離。姉弟は衰弱しており、今にも消え去りそうだった。
ルキアは2人のそばに行き、2人に名前を告げる。姉には「ほむら」弟には「しずく」、名前を授かった2人は幸せそうに消えていった。

劇場版「地獄篇」

2010年12月4日に東宝系で公開された、『BLEACH』の劇場版第4作。
「地獄」とは生前、現世で大罪を犯した人間が行き着く場所で、地獄に送り込まれた者を咎人（とがびと）という。咎人たちは人間離れした姿を持つ者が多く、何度殺されてもすぐに生き返り、地獄で戦う特殊な力を持ちながら「地獄の番人」であるクシャナーダには絶対に敵わない。幾度も殺され、死と再生を繰り返す内にやがて白骨化し、限界がくると砂のように風化していく。咎人たちの体には地獄に囚われる地獄の鎖がつけられており、地獄の門を抜け出したとしてもクシャナーダからは逃れられないようになっている。

そんな咎人たちが地獄から逃亡する事件が起こる。地獄から解放されるという野望を叶えるため、咎人たちは一護に地獄の門を壊させようとする。
一護達は空座第一高等学校を急襲した「朱蓮（シュレン）」率いる咎人たちと交戦し、妹の夏梨と遊子が捕まってしまう。戦いの中で一護は白い包帯のような装束を纏った「黒刀（コクトー）」という咎人の助けにより夏梨を救うことに成功するが、遊子を地獄に連れ去られてしまう。遊子の奪還を誓う一護は、「他の咎人たちが好き勝手しているのが気に食わない」と言う黒刀とルキア・恋次・雨竜と共に地獄へと乗り込むことを決意する。

地獄に到達した一護達は、そこで咎人達との激しい戦いを繰り広げる。ルキアたちが朱蓮の部下である「群青（ぐんじょう）」「我緑涯（ガロガイ）」「太金（タイコン）」らと対峙している間に一護は黒刀とともに先に進む。
そこで朱蓮と戦い、無事に打ち倒すことができたが、遊子を助けようとした瞬間、正面から一護に刀が突き刺さる。一護に刀を突きさしたのは今まで共闘してきた黒刀だった。
黒刀の陰謀は遊子を引き金に一護を憎悪と怒りで完全虚化させ、地獄と自分をつなぐ鎖を斬らせることだった。黒刀はその目的のために地獄の門を一護に破壊させれば解放されるという情報を流していたのだった。完全虚化した一護は地獄で暴走。恋次のおかげで黒刀の鎖をすべて断ち切る前に現世へ遊子とともに強制送還された一護だったが、地獄で起こした破壊により現世が崩壊しかねない事態を招いてしまった一護は、山本や浮竹によって現世に軟禁状態にされる。

しかし、一護は仲間を助けるために再び地獄へ向かう。地獄に到着した一護を待っていたのは黒刀と、地獄の鎖につながれてしまったルキアたちだった。再び虚化しないように抑えながら黒刀と戦う一護は劣勢を強いられる。さらに背後から押し寄せたクシャナーダに一護は潰されたかと思われたが次の瞬間、クシャナーダの力を身に纏った一護は黒刀に金色の斬撃を放つ。黒刀の鎖は無くなり、自由になれたと喜ぶ黒刀だったが、次の瞬間、地面から出現した無数の鎖によって地獄の奥底に引きずり込まれていった。

黒崎一護の関連人物・キャラクター

黒崎一心（くろさきいっしん）

黒崎一護の父親で、空座町にあるクロサキ医院の開業医である。家族が大好きで、特に娘二人を溺愛したり妻の真咲の巨大なポスタースタイルの遺影を壁に貼るほどの愛妻家。
一護が死神の力に目覚め始めた初期の頃は霊感はまるで無い様な言動をしていたが、実は以前は護廷十三隊十番隊隊長で尸魂界の没落した名門貴族志波家の分家の者。
ある出来事が原因で殆どの霊力を失い現世で人間として生きているうちに真咲と結婚し一護たちが生まれる。
浦原喜助、石田竜弦とはその頃からの付き合いで竜弦とは今でも医者という仕事上、自分の医院では手が回らない時に患者を送っている。

破面篇では妻・真咲の死因でもあるグランドフィッシャーが黒崎一護の肉体に入った改造魂魄のコンを襲っているところに死神姿で登場し、真っ二つにして瞬殺した。

その後、虚圏に出発した雨竜を見届けた竜弦の元へ死神姿で顔見せに行ったりした後、藍染・ギンと一護とが対峙している場面で参陣。
藍染を一護から引き離し、藍染とのタイマンで時間を稼ぐことに成功するも、次元の違う強さに進化した藍染相手に夜一が参戦しても防戦一方。
藍染らが尸魂界に隠された本物の空座町へ向かったのを一護と共に追おうとするも、途中の断界（現世と尸魂界の間にある空間）で拘突（断界に7日に1度現れる、侵入者を排除するための気流）がないことに気づき、この空間を修行の場として使い一護を強化することを思いつく。最後の月牙天衝を習得するための時間を稼いで一護が藍染に勝つための足がかりとなった。

黒崎真咲

一護の母で、原作第一話の時点で既に死亡している。
「うちはおふくろを中心に回っていた」と一護が語っており、家族みんなが彼女を慕っていた。夫の一心は彼女の遺影を巨大なポスターのようにして家の壁に貼るほどの愛妻家。

後に真咲は純血統の滅却師であり、黒崎家の最後の生き残りであることが判明する。
身寄りのない彼女は同じく純血統の石田家に身を寄せ、雨竜の父である石田竜弦（いしだりゅうげん）の婚約者となる。

ある時、護廷十三隊の隊士が次々原因不明の事故死を迎える事件の調査に趣いていた一心が虚に襲われ窮地に陥っているところに真咲は遭遇する。真咲は死神である一心を竜弦の反対を押し切って助けた。これが真咲と一心の出会いである。
このとき戦った虚は藍染が虛化実験のために作り出した特殊なものであり、その虚から傷を受けたことで真咲は虚化を引き起こしてしまう。
一心は真咲の虚化を防ぐため、浦原に助言を求める。一心は自身が死神に戻れなくなる代償があるにもかかわらず、入った死神の魂魄を人間のものとする義骸を真咲とリンクさせ、それに一心が入り死神の力を流し込んだ。
そのまま現世で暮らし始めた一心と真咲は恋仲になり、結婚。そして一心の死神の力、真咲の滅却師の力、二人が抑え込んでいた虚の力を受け継ぐ一護が誕生した。

9年前の6月17日は真咲の命日で、ユーハバッハが行動を起こした日であった。
一護は真咲が死んだのは自分が原因だと思っていたが、実はこの日ユーハバッハは自らが不浄と取り決めた混血統の滅却師から力を奪い取り、自らのものとしていた。真咲は魂魄に虚が混ざってしまったことで不浄と判断され、グランドフィッシャーと戦い始めるのと同時に滅却師の力を失ってしまい、一護を守ったものの自身は命を落としてしまった。
一心の口から全ての真実を伝えられた一護はユーハバッハ打倒の決意を新たにした。

黒崎夏梨（くろさきかりん）

一護の妹で遊子の双子の妹。一護のことは「一兄（いちにい）」と呼ぶ。男勝りな性格で、ほとんど泣いたりすることはなく、弱音を吐こうともしない。家族のことは大事に思っており、一護の様子がおかしい時も心配していた。
一護と同じく霊感が強く、死神・虚もはっきり見えており、一護が死神になったのも霊能力者でTVスターのドン観音寺（かんおんじ）を通じて知っていた。

黒崎遊子（くろさきゆず）

一護の妹で夏梨の双子の姉。とても気弱、優しい性格の持ち主で泣き虫。父の一心に辛らつな一護や夏梨とは違い、父にも優しい。家族の中で唯一、母親である真咲に似ている。
幼い頃から黒崎一家の家事全般を担っている。そのため、家族の中での決定権は強い。黒崎家のルール（ユズ法典と呼ばれている）もすべて彼女が作っている。
一護と夏梨とは違い強い霊力は持っておらず、はっきり霊が見え会話出来る一護や夏梨を羨ましがっていた。物語が進むにつれて徐々に霊の存在が見えるようになった。ドン・観音寺の大ファン。