深夜のダメ恋図鑑(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『深夜のダメ恋図鑑』とは尾崎衣良による漫画作品。2013年より『プチコミック増刊』で連載し、その後『プチコミック』に移籍して2015年より2022年まで連載した。2018年にはテレビドラマ化され、馬場ふみか、佐野ひなこ、久松郁実が主要キャストを務めた。恋に仕事に悩める女子3人の恋愛エピソードが描かれる。
福間千代、古賀円、千鳥佐和子の3人は、定期的に集まり、恋愛話に花を咲かせていた。言い寄ってくる既婚者や、家事を全くしない彼氏、体毛が気になる彼氏の話など、ダメンズたちの話で盛り上がる。

『深夜のダメ恋図鑑』の概要

『深夜のダメ恋付図鑑』とは尾崎衣良による漫画作品。2013年より『プチコミック増刊』で連載し、その後『プチコミック』に移籍して2015年より2022年まで連載した。恋に仕事に悩める女子、福間千代(ふくまちよ)、古賀円(こがまどか)、千鳥佐和子(ちどりさわこ)の3人の恋愛エピソードが描かれる。その恋愛話は主に、過去出会ってきた「ダメンズ」たちの話であり、多くの女性の共感を呼んでいる。単行本は、全10巻である。2016年に『このマンガがすごい!2017』のオンナ編にて4位を獲得し、2017年2月には、『全国書店員が選んだおすすめコミック2017』において2位に選出される。
また、2018年10月7日から12月9日まで朝日放送テレビ(ABCテレビ)の制作により、テレビ朝日ほか同系列局の一部で放送の『ドラマL』にて連続ドラマ化され、馬場ふみか、佐野ひなこ、久松郁実が主要キャストを務めた。全10話の放送で、原作からいくつかのタイトルが抜粋されているが、内容は概ね原作通りである。原作の主要キャラである市来信博(いちきのぶひろ)や五十市丈(いそいちたけし)は登場しない。
千代、円、佐和子の3人は、定期的に集まり、恋愛話に花を咲かせていた。千代は最近知り合った男性の八代智司(やつしろさとし)と交際することになるが、いざ彼の部屋に泊まろうとした際、どうしても少女漫画とはかけ離れた現実に耐えられず、逃げ出してしまう。円と佐和子はそのエピソードにツッコミを入れつつ、自身の恋愛話についても語る。円は一見清楚系美人に見えるが、元ヤンで、最近言い寄ってきた既婚者に見事な制裁を加えたらしい。一方で佐和子は付き合い立ての彼氏と上手くいっている様子だが、彼氏の国分諒(こくぶりょう)が何もしない男のため、あれこれ世話を焼きすぎているという。3人の恋愛は一体どうなっていくのか見どころである。
本作は「File.~、~な男」という記載のタイトルで話しが進んでいき、ダメンズたちの図鑑のような書かれ方をしている。

『深夜のダメ恋図鑑』のあらすじ・ストーリー

深夜に繰り広げられる恋愛話

諒への怒りを淡々と告げる佐和子。

古賀円(こがまどか)、千鳥佐和子(ちどりさわこ)、福間千代(ふくまちよ)の3人は、晩酌をしながら恋愛話について語っていた。その内容は惚気話ではなく、浮気性の元彼や、既婚者に狙われる話など、今まで出会ってきたダメ男たちの話が主である。
千代は、行きつけのバーで出会って何度かデートを重ねていた、八代智司(やつしろさとし)と良い雰囲気になり、彼の家に泊まることになる。だが、彼がいそいそと布団を敷いている姿を見て、一気に冷めてしまい、その場から逃げ出してしまったらしい。その話を聞いた円と佐和子は呆れてしまう。後日、八代から急に逃げ出してしまったことについて問われた千代は、「好きな人には王子様みたいにしてほしい」と八代に打ち明ける。八代は困惑するが、千代に好かれるべく、王子のような男を目指して奮闘することとなる。
話は変わり、佐和子の交際3ヶ月目の彼氏の話になる。彼氏の国分諒(こくぶりょう)は、彼女が自分のために何かをしてくれるのが当たり前という考えの、典型的な駄目男である。しかし、諒の自己中心的な言動や行動を佐和子が嗜めつつ、2人の交際は上手くいっているようだ。その後、佐和子の家で2人は同棲を始める。生活費を出さず、家事も一切せず、自分で出したゴミを片付けない諒に、佐和子はもやもやした感情を少しずつ募らせていた。ある日、佐和子が家に帰ると、先に帰宅していた諒が、同僚を家に招いて話し込んでいた。佐和子が細かくてうんざりするという愚痴をこぼしていた諒だが、佐和子が帰宅したことに気がつき、慌てる。それを見た佐和子は「ゴミに気づいたら捨てるべきだよね。オマエが1番いらねぇわ」と、諒に静かに怒りをぶつけた。諒は慌てて佐和子に謝罪をする。後日、仲直りをした2人は広い部屋に引っ越しをする。それを機に、生活費はきっちりと折半することになるが、家事は全て佐和子に任せっきりの上、文句ばかりの諒に再び佐和子はキレてしまう。諒は佐和子と結婚する未来を思い描いていたため、なかなか結婚を前向きに考えられない彼女を見兼ねて、子持ちの友達と佐和子を会わせる作戦に出る。しかし、佐和子がついていけない話題ばかりで全く楽しめない上、躾のなっていない子供の世話を押し付けられるなど、佐和子は諒と同類の友達に振り回され、呆れ返る。その後、諒が家に招き入れるかたちでその友人夫妻と再び会う佐和子だが、上から目線の2人と対立し、それを見た諒は佐和子に別れを告げた。諒との生活にうんざりしていた佐和子は、冷めた様子で家を出て行き、諒は自由を謳歌する。

それぞれの恋愛の発展

円は久々に会った友人と食事を楽しんでいた。言い寄ってくる男はが既婚者ばっかりであると話をしていると、「そんなにダメンズが続いたらさぁ、フツー自分に原因があると思わない?」と突然、隣の席の男性に言われる。いつもの調子で容赦なく反撃をする円であったが、後日、会社の来客としてその男性・市来信博(いちきのぶひろ)と再会してしまう。円は驚きのあまり言葉を失い、市来は先日の仕返しと言わんばかりの嫌味を円へ言い放つ。
その頃、佐和子と別れた諒は、部屋が荒れ、貯金も底をつき、途方に暮れていた。佐和子がまだ、自分のことを好きであると信じてメッセージを送るも、返事は来ない。大学時代からの友人である市来にアドバイスを求めると、市来は「今から彼女に会いに行こう」と言う。無事に佐和子と再会する諒だが、すっかり気持ちの冷めた佐和子から、容赦無く別れを告げられたのであった。
一方で千代は、八代と順調に交際を重ねていた。いつものようにデートをしていると、八代から「結婚してくれないか」と、指輪を渡される。胸をときめかせる千代だったが、指輪のデザインが壊滅的にダサかった。しばらく言葉が出ない千代だったが、「結婚指輪は一緒に買いに行こう」と八代に言う。結果的にプロポーズが成功した八代は喜び、2人は結婚準備を始めることとなった。
一方で円は、思わぬ再会をした市来と、なんだかんだで交流が続いていた。ある日、円は映画館で偶然市来に出会う。彼は迷子の女の子を保護したものの不審者と勘違いされてしまい、通りがかった円がその誤解を解いたのだ。その後2人は一緒に映画を見ることになる。映画後にお茶をしながら2人は話をし、円に男性経験がないことを聞かされて、市来は驚く。「そんなんでいつもそんなにエラソーにしてたの?」と円に言う市来だったが、いつも理不尽に感じていた姉妹たちの言葉と同じであることに気がつき、円に謝る。しかし、円は気にする素振りを見せず、「そしたらまたつき合うよ、映画」と市来に言い、2人の距離は少しだけ縮まる。

佐和子の受難と市来の思い

佐和子は仕事帰りに待ち伏せしていた諒に捕まってしまう。諒曰く、彼女のあゆみが喧嘩をきっかけに自殺を考えているというのだ。仕方なく彼女探しを手伝う佐和子だが、あゆみはのんきにカラオケを楽しんでいた。佐和子を見たあゆみは、唐突に佐和子の頬を叩く。呆れた佐和子は二度と関わりたくないと願いつつ、その場を去った。
円と市来は食事会の帰り、公園で酔っ払いに絡まれる。市来は殴られてしまうが、円を守るために酔っ払いに土下座をして謝った。円はそれでも絡んでくる酔っ払いを鞄で殴り、撃退する。市来の怪我も大した事はなく、一件落着した。しかし、自分の力で円を守る事ができず、円にとって自分が必要でないと感じた市来は落ち込む。そんな市来に対して円は、「お互いできることをやっただけ」と言い、笑顔でお礼を伝えた。市来は円の腕を掴み、「あんたの事スキだわ」と言う。自分の言葉に動揺する市来だが、予想に反して円に軽くあしらわれてしまう。
後日、改めて気持ちを伝えるべく、円を食事に誘う市来だが、妹の市来実加(いちきみか)が押しかけてきたことで、またもや有耶無耶になってしまう。

千代と八代の結婚

マリッジブルーに陥りながらも、千代はついに八代との結婚式を迎える。円と佐和子も参列し、ゲストからの祝福を受けながら、幸せムードで無事に式を終える。
一方で佐和子は、従兄弟の紹介で会った五十市丈(いそいちたけし)と、なんだかんだで付き合いが続いていた。仕事と資格試験の勉強の忙しさもあり、つい弱音を吐いてしまった佐和子に、五十市は唐突にキスをする。五十市の意外性や懐の深さに惹かれつつあった佐和子は胸をときめかせるが、3ヶ月後に大事な試験を控えていることから、現実に引き戻された。そこで、五十市に「3ヶ月待ってほしい」と伝え、快諾される。佐和子は、五十市との楽しい毎日を夢に見ながら、仕事と勉強に奮闘する。ようやく試験が終わるが、なんと五十市に別の彼女ができていた。それを期に、仕事に生きると決めた佐和子は、新しく立ち上げる事務所を任されることになり、益々仕事に熱が入る。しかし、女性が代表だとナメられるという理由で、後輩を代表にすると上司に告げられて、佐和子は落ち込んでしまう。心配して市来と一緒に佐和子の自宅へ訪ねる円だったが、ちょうど、佐和子の自宅へ押しかけていた諒と鉢合わせる。なんと諒は、あゆみの差し金で探偵を使って佐和子の自宅を突き止めたというのだ。一旦、4人は外に出て、佐和子は落ち込んでいる理由を話す。その話を聞いても、大したことはないと言わんばかりの諒の態度に憤慨する円。諒に対してあきれた様子で淡々と対応する佐和子であったが、溜め込んでいたものを吐き出すかのように号泣し、その様子を見た諒は驚く。円は佐和子を家に連れ帰り、市来は諒に付き添う。

それぞれの行く末

その後、上司から謝罪され、正式に事務所の代表を任されることになった佐和子は、喜ぶ。
一方、八代と無事に結婚した千代は、妊娠がわかり、喜びつつも不安を募らせる。しかし、そんな千代を少々置いてけぼりにして浮かれる八代に、千代はイライラを募らせる。しかし、未だ安定期に入っていない段階で、親戚中に報告をする八代を彼の母親が嗜めることで、千代は自分の心の内をさらけ出すことができていた。
未だに円へ告白できていない市来であったが、ついに思いを告げる。驚く円だが、「私も市来さん以外と付き合える気がしない」と、告白をOKする。
こうして、それぞれが前に進みだした佐和子、円、千代は、久々に集まることになった。そしてこれからも定期的に集まることを約束し、近況報告をしつつ、楽し気に乾杯するのであった。

『深夜のダメ恋図鑑』の登場人物・キャラクター

主要人物

福間千代(ふくま ちよ/演:久松郁実)

少女漫画のような恋愛に憧れており、彼氏には王子様らしくしてほしいという願望を持っている。彼氏の八代智司(やつしろ さとし)が王子のイメージからはかけ離れた行動をすると、その場から逃亡する癖がある。おおらかな性格だが、八代と婚約してからは心の声がブラックな内容になることがしばしば見られる。円、佐和子と共に、ダメンズたちの話で度々盛り上がるが、3人の中で唯一、作中で結婚と出産をしている。

古賀円(こが まどか/ 演:馬場ふみか)

会社の受付に勤務している。見た目は清楚な美女だが、元ヤンではっきりとした性格。また、本作に登場するダメンズに対しては容赦がないので、なかなか彼氏ができない。一方で、友達思いで気遣いのできる性格であり、仕事上、英語力が必要なために通っている英会話スクールで、上級クラスに在籍するなど、努力家である。料理が苦手。

千鳥佐和子(ちどり さわこ/ 演:佐野ひなこ)

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