シェフ 三ツ星フードトラック始めました(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』とは、2014年にアメリカで製作された、コメディドラマ映画である。『アベンジャーズ』シリーズなどで知られるジョン・ファブローが監督から主演まで務めている。一流レストランでシェフを務めていたカールは、オーナーと意見が合わないだけでなく、ネットの晒し者となり店を辞めてしまう。そこで心機一転、フードトラックで移動販売を始め、旧友のマーティンや息子パーシーと共にアメリカを縦断することになる。料理を通して、家族の絆の再生を描く心温まる作品。
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の概要
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』とは、2014年にアメリカで製作された、コメディドラマ映画である。『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブローが製作・監督・脚本・主演の4役を務めている。フードトラックの移動販売をはじめた一流レストランのシェフのアメリカ横断の旅を描いたハートフルコメディ。全米6館で上映スタートという小規模の始まりであったというものの、映画内容同様口コミで広がり、1298館へと拡大し、6か月以上に渡るロングランヒットを経験した。Twitter上の映画ファンを招待し行われたcoco独占試写会後のアンケートでは参加者の97.5%が「作品に満足した」と日本においても高評価であった。
ロサンゼルスの有名レストランで総料理長を務めるカールは、店のオーナーとの対立や自分の料理を酷評する評論家と騒動を起こしたしたのをきっかけに店を辞めてしまう。悲しみに沈むカールは元妻イネズの提案により、息子パーシーと共に故郷のマイアミを訪れた。そこで食べたキューバサンドイッチの美味しさに驚き、フードトラックでキューバサンドの移動販売をすることを決める。カールはイネズやパーシー、同僚のマーティンの協力を得て、マイアミからロサンゼルスへと旅を続けていく。そんな旅の中でパーシーとカールの関係は少しづつ変化していく。料理を通して描く、家族の絆の再生の物語。パーシー役を務めるのは、本作で俳優2作品目となる子役のエムジェイ・アンソニー。「3人のエンジェル」でドラッグ・クイーン役を務めたのジョン・レグイザモがマーティン役を、「マチェーテ・キルズ」のソフィア・ベルガラが元妻役を演じる。他にも、ロバート・ダウニー・Jr.、スカーレット・ヨハンソン、ダスティン・ホフマンら豪華な顔ぶれが揃っている。
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のあらすじ・ストーリー
シェフ カール・キャスパーの生活
カール・キャスパーは、天才的な料理センスを持つ一流シェフ。若かりし頃から有名であった彼は、ロサンゼルスにある有名なレストランで雇われシェフをしていた。
ある日店に、とても強い影響力を持つ料理評論家がレビューに来ることが決まった。その評論家の名前はラムジー・ミッシェル。彼は、若かりし頃のカールの料理を褒め称え、彼のファンであると明言している人物だった。カールはその評論家に再び自分の料理で衝撃を与えようと、新たなメニュー作りに勤しんでいた。
そして、とうとうラムジーが来る当日。カールと彼のスタッフ達は、気合十分に料理の準備を行っていた。しかし、そんな厨房にレストランのオーナーであるリーバが来たと、ソムリエのモリーが伝えに駆けつける。彼は、カールにオリジナル料理ではなくこの店の定番コースを提供するようにと命じる。リーバは伝統を重んじる性格で、新しいことはせず定番のメニューを出すようカールに指示をする。厨房の事には口は出さない約束だと怒るカールであったが、リーバは聞く耳を一切持たない。仕方なく、カールはリーバの指示に従い定番のメニューを提供する事になった。結果、ラムジーはその料理に対して「退屈であり、客に媚びている」と最悪の評価をつきつけた。そのレビューは多くの人の目に入り、カールにもそのレビューは届いた。落ち込むカールをモリーが元気づけるが、ショックは大きいようだ。次の日カールは息子のパーシーと遊んだ夜に、新しいメニュー作りに勤しんでいた。それは朝まで続き、ついには同僚のマーティンやトニーが出勤するまで続いた。マーティンやトニーはカールの料理を食べ、そのおいしさに舌鼓を打っている中、評論家の話をしていると2人はツイッターのことを話題に挙げる。後日、ツイッターを知らなかったカールはパーシーにアカウントを作ってもらうと、ラムジーの批評がツイッターに拡散されていることを知る。そんなやり取りをしていると、ふとパーシーはカールに「こういうのいいね」と言葉をこぼす。何かよくわからないカールに対して、パーシーは「どこかに遊びに行くだけじゃなく、以前一緒に住んでいた時にようにできるのがいい」と思いを打ち明ける。カールは考えた末「お前が悪いわけじゃないんだ。でも、ママと別れたからそれはできないんだ」と返す。
シェフ VS 料理評論家
その夜、カールはひたすらツイッターやネットを眺め、自分に対して多くの批判が集まっていることを知る。我慢できなかったカールは、ツイッターで評論家のラムジーに喧嘩を売ってしまうのである。翌日パーシーがカールのツイッターをみると、一晩でフォロワーが千人を超えていることを発見する。その理由を探ると、カールはラムジーのツイートに返信する形で喧嘩を売っていたのだ。カールは個人的にメッセージを送ったと勘違いしており、自分のメッセージが公開されていることを知らなかったのだ。さらに、ラムジーはもっとひどい中傷の言葉を返していた。その後レストランでマーティンらとツイッターを眺めるカール。ラムジーの返答に言い返そうとするカールを止めようとするマーティンやトニーだったが、その制止も聞かず「今夜もう一度店に来い。新メニューがあるぞ」と返答してしまう。カールはマーティン達に自分がパーシーを送ってる間に、新作料理の準備をしておけと話す。パーシーをイネズのもとへ送ると、イネズに自分の広報と話をしてと言われる。ツイッターで大変なことになっているのを放っておけなかったイネズは広報と話をするように進めていたのだ。また、前々から自分の作りたい料理を作れないカールのことを気にかけており、フードトラックを勧めていた。しかし、カールは「自分の好きなことはできている」と頑なに拒む。レストランへと戻ったカールは、新しいことができる状況にワクワクしていた。さらにカールとラムジーのやり取りはツイッター上でたちまち注目の的となり、レストランの予約は満席となっていた。しかし決戦の時、再びリーバはカールに通常メニューを作る事を強要するのだった。自分の言うとおりにしないのであれば首だと言うリーバに対して、カールは自らチーフシェフの職からおりる。
自分を見つめなおすカール
そして、その日のメニューはカールに変わってトニーが担当する事となった。以前と同じ料理を出され、さらにはカールが店にいないことに対して、ラムジーはカールを「敵前逃亡をした」とツイートする。それをみたカールは怒りのあまりレストランへと戻ってくる。カールはラムジーに対してその怒りをぶつける。その様子はネットで流れてしまい、カールは次の仕事を探す事が出来ない状況に陥ってしまうのであった。カールは以前イネズが紹介した広報のジェンに、ネットから消すことができないか頼むが、ジェンはそれは無理だと答える。ジェンはこの状況を逆に利用して、リアリティーショーの「地獄の厨房」に出る気はないかと尋ねるが、カールはそんな必要はないと答える。その夜、マーティンやトニーらレストランの仲間と久々に会い、お酒を交わすカール。強がりからか同僚に「いろんな店から声がかかっているから心配するな」と話すが、モリーに対しては本音を打ち明ける。ツイッターでの炎上により、カールはどこの店からも声はかかってはいなかったのだ。カールにはモリーは「料理も大事だけど、パーシーのことは疎かにしてないか」とカールに尋ねる。「あの年ごろの子供はよくわからない」と返すカールに、「この機会にパーシーのことを知ろうとする努力をしてみたら。人生を楽しまないと」と話す。
後日カールはイネズにイネズの父に会いにマイアミに行かないかと誘われる。カールのためにも、パーシーのためにも2人の時間を増やしてほしいとイネズに言われ、カールは承諾する。マイアミについた夜、カールたちはイネズの父が歌っているライブハウスを訪れる。ライブが終わり、キューバサンドを食べるカールたち。そのおいしさに心をうたれ、イネズに「ロサンゼルスでもうけるか?」と聞く。イネズは笑みを浮かべながら「もちろん」と答える。カールはその答えを聞き、イネズの元夫であるマーヴィンにフードトラックの話を聞いてみるとイネズに話す。マーヴィンは以前にもカールにフードトラックをやってみないかと薦めていたのだ。
その後カールは建築機材のレンタル業を営んでいる、マーヴィンのもとを訪ねる。イネズはマーヴィンに掛け合い、カールにボロボロではあるがフードトラックを用意してくれたのである。カールがフードトラックを清掃していると、イネズとパーシーがそこに訪れ、パーシーも掃除の手伝いをすることになった。掃除の指図をされ続けるパーシーは徐々に不機嫌になり、腐ったものが入ったトレーを掃除しろとカールに言われ、「掃除じゃなく料理がしたい」と怒鳴ってしまう。きつく当たりすぎたことを反省したカールはパーシーに謝罪し、調理用具の購入を手伝ってもらうように頼み、パーシーは承諾する。調理器具を購入する中で、カールは新たなシェフナイフをパーシーにプレゼントする。「ナイフはシェフのものだ。大切に使い続けろ」と話すカールに、パーシーは真剣な表情でうなずき、感謝をする。
いざ、フードトラック開店
フードトラックのもとへ戻り、その場にいた青年たちに調理器具の設置を頼むカール。マーヴィンに彼らを頼ってくれと言われていたのだ。しかし、言葉が通じないのか手伝いをしてくれない。そんな時にマーティンが現れる。なんとレストランをやめてまでもカールと一緒に働きたいと駆けつけてくれたのだ。マーティンはお得意のスペイン語で青年たちにキューバサンドをタダでごちそうする代わりに手伝うように頼み、承諾を得る。青年たちの手伝いもあり、準備が整い、フードトラックが開店する。カールとマーティンが忙しなく調理をする中で、パーシーもその手伝いをする。そこでパーシーは青年たちへのお礼のためのサンドイッチを一枚焦がしてしまう。「タダだからいいじゃん」と言うパーシーに対して、カールは真剣な表情で話をする。「パパは立派な人間じゃない、良い夫でもなく、良い父親でもないと思う。だが、料理は上手だ。料理で人をちょっと幸せにできる。それがパパの喜びなんだ。それをお前に伝えたい」。パーシーは素直にカールの話を聞き、「はい、シェフ」と答え、気を取り直して調理に励む。その夜、カールはサウスビーチからロサンゼルスまでフードトラックを走らせ、道中でサンドイッチを売ろうと考える。パーシーもそれに参加したいと言い、いよいよカールとマーティン、そしてパーシーの3人でマイアミからロサンゼルスに向かうフードトラックの旅を開始したのである。
最初のビーチでは大盛況であった。しかし、警察官が許可証を確認しにやってくる。カールは許可証を見せるが、もう少し移動するように頼まれ、承諾する。移動しようとした矢先に警察官がカールの正体に気づく。ラムジーに怒鳴った動画を見ていたのだ。写真撮影をしてくれとせがむ警官に、カールはしぶしぶ承諾するが、それはトラックの中での撮影にも及んでしまう。気を取り直し、フードトラックは走り出す。警官だけでなく、ツイッターでの炎上騒動でカールはすっかり有名人になっている為、彼らのトラックが向かう先には次々と人だかりができていた。さらにはパーシーがFacebookやTwitterを活用しその人気を押し上げていたのだ。今迄あまり触れ合う時間のなかったパーシーとカールであったが、この旅を通じて親子の絆が少しずつ深められていく。しかし、そんな旅にも終わりが見え始めていた。
父と息子
ある夜、カールとパーシーは2人で話をしていた。最終目的地のロサンゼルスにまもなく到着するのである。ロサンゼルスに帰れば、パーシーの夏休みは終わり、今までの様にカールとフードトラックで旅をすることはできなくなる。パーシーはそのことを嘆いていた。カールは後で悲しんでほしくないと、「もう一緒にフードトラックで旅をすることはできない」と話すが、パーシーとやっと分かり合えたことをしみじみと感じていた。ロサンゼルスへと戻ってきたカールとパーシー。パーシーはカールに向けてあるムービーを送っていた。それは、旅の記録として毎日撮影していた1秒の動画を繋げたムービーであった。カールはそのムービーを見て笑顔になり、何かを考える。パーシーに電話をかけ、「放課後と週末だけ、屋台を手伝ってもらいたい。宿題を終らせて、バイト代は大学費用に貯めること。それでもいいか?」と話す。パーシーは二つ返事で「やりたい」と返答するのであった。
ある夜、ロサンゼルスでフードトラックを出していたカールの店はいつも通り行列が絶えない。するとそこに評論家のラムジーが現れ、「話をしたい」とカールに声をかける。なんとラムジーはカールの作ったキューバサンドを食べ、再び感銘を受けたことを伝えに来たのだった。さらに、カールの店を出すための資金援助を申し出たのだった。半年後、カールは一軒のレストランを構えていた。それは、カールが作りたい料理を作れる自由な店。そしてその日、そのレストランを貸し切りにして、カールとイネズの再婚を祝うパーティが開かれているのだった。
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の登場人物・キャラクター
カール・キャスパー(演:ジョン・ファブロー)
日本語吹き替え:木村雅史
ロサンゼルスの有名料理店でシェフを務めていた、一流の料理人。若いころ料理評論家のラムジーに大絶賛され、天才と称されてきた。料理のことを常に考えており仕事への情熱がある反面、家族との交流が疎かになってしまい、妻のイネズとは離婚し、息子のパーシーとは別居状態となってしまった。ただ週に何回かパーシーとは会っている。レストランで忙しない日々を過ごしていたカールだが、レストランのオーナーとの対立や料理評論家との騒動により店を辞め、イネズの助言でフードトラックを始めることになる。息子のパーシーやレストランでの同僚のマーティンと共にフードトラックでアメリカをマイアミからロサンゼルスまで横断する中で、家族と触れ合う時間が増え、その大切さに気づくことになる。その後、妻イネズとは再婚することになる。
性格は職人肌気質で、フードトラックの準備を手伝ってくれた青年たちにキューバサンドをタダで提供する際、パーシーが焦げたキューバサンドを「お客に出せばいいのに。タダなんだから」と発言した時に「パパは立派な人間じゃない、良い夫でもなく、良い父親でもないと思う。だが、料理は上手だ。料理で人をちょっと幸せにできる。それがパパの喜びなんだ。それをお前に伝えたい」と伝えるなど、料理へは人一倍真摯な思いがある。
パーシー(演:エムジェイ・アンソニー)
日本語吹き替え:高山みなみ
カールとイネズの息子で10歳。母親であるイネズが父親のカールと離婚したため、イネズと共に住んでいる。しかしカールによく懐いており、たまの遊ぶ機会を楽しみにしている。しかし、カールは仕事の忙しさによってパーシーとの約束を無下にすることが多く、呆れることもしばしばだった。家族愛に飢えており、カールと遊びに行くだけでなく一緒に話をするだけでも幸せを感じるとカールに伝えている。カールの影響で料理に強い興味を持っており、仕入れに連れて行くようにせがむなど子供らしい一面もある。10歳ながらもスマートフォンを使い慣れており、フードトラックでアメリカを横断中にはツイッターで情報発信を行いお客を集めるなどフードトラックの宣伝に貢献した。
マーティン(演:ジョン・レグイザモ)
日本語吹き替え:高木渉
カールと同じレストランで働いていた、カールの助手であり親友。カールがレストランを辞めた後自らも退職し、カールのフードトラックを手伝う。陽気な性格で、パーシーもよく懐いている。スペイン語が堪能で、カールのフードトラックを整備する際、カールの言葉が通じない青年たちに手伝いを求めるなどカールにとってなくてはならない存在。
イネズ(演:ソフィア・ベルガラ)
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目次 - Contents
- 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の概要
- 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のあらすじ・ストーリー
- シェフ カール・キャスパーの生活
- シェフ VS 料理評論家
- 自分を見つめなおすカール
- いざ、フードトラック開店
- 父と息子
- 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の登場人物・キャラクター
- カール・キャスパー(演:ジョン・ファブロー)
- パーシー(演:エムジェイ・アンソニー)
- マーティン(演:ジョン・レグイザモ)
- イネズ(演:ソフィア・ベルガラ)
- トニー(演:ボビー・カナヴェイル)
- モリー(演:スカーレット・ヨハンソン)
- ラムジー・ミッシェル(演:オリヴァー・プラット)
- リーバ(演:ダスティン・ホフマン)
- マーヴィン(演:ロバート・ダウニー・Jr)
- ジェン(演:エイミー・セダリス)
- マイアミの警官(演:ラッセル・ピーターズ)
- 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の名場面・名セリフ/名シーン・名言
- カール「パパは立派な人間じゃない、良い夫でもなく、良い父親でもないと思う。だが、料理は上手だ。料理で人をちょっと幸せにできる。それがパパの喜びなんだ。それをお前に伝えたい」
- 息子から父への贈り物
- 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 監督ジョン・ファブローは『アイアンマン3』を降板して『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を制作
- 料理指導はアメリカでフードトラックブームを生み出したロイ・チョイ
- 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:Pete Rodriguez 「I Like It Like That」
- 挿入歌:Courtney John 「Lucky Man」
- 挿入歌:Liquid Liquid 「Cavern」
- 挿入歌:Roberto Roena 「Que Se Sepa」
- 挿入歌:Louie Ramirez 「Ali Baba」
- 挿入歌:GENTE DE ZONA 「Homenaje Al Beny (Castellano Que Bueno Baila Usted)」
- 挿入歌:Quantic & Nickodemus feat. Tempo & The Candela Allstars 「Mi Swing Es Tropical」
- 挿入歌:The Hot 8 Brass Band 「Sexual Healing」
- 挿入歌:Perico Hernandez 「La Quimbumbia」
- ED(エンディング):Perico Hernandez 「Oye Como Va」