香港発活劇エクスプレス 大福星(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『香港発活劇エクスプレス 大福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督&出演による、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ出演によるアクション・コメディー作品であり、『福星』シリーズ第2弾。全編日本ロケで行われた。香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)とリッキー(演:ユン・ピョウ)が、日本でヤクザ「かかし組」を追うが、リッキーが捕まってしまう。マッスルは香港から応援としてキッド(演:サモ・ハン・キンポー)を応援に要請し、彼の仲間達も日本へやって来て、リッキー救出と「かかし組」の撲滅に挑む。

キッド「会うのはこれっきりだ」「パトカーは嫌いだ」

物語終盤、「かかし組」一同が逮捕され事件解決し、マッスルがキッドに礼を言う。それに対しキッドは施設時代からマッスルから嫌な扱いを受けてきたので、「会うのはこれっきりだ」と告げる。
それでも「送っていく」とマッスルは言うも、「パトカーは嫌いだ」と一蹴、サンディ達と共にその場を去ろうとする。どうにか仲を緩和させたいと考えたマッスルが、会話をしながら歩くキッドのそばに駆け寄り、「ジャンケン」の歌を歌いだす。するとキッドやサンディ達も共に歌い始め、富士山をバックとした「大合唱」で物語を締めくくる。
マッスルを嫌っていたキッドは、任務を終えたので早くマッスルから距離を置きたい、またその方が互いの関係を保てるのではないかという思いも垣間見える。もし本当に仲が悪ければ、一緒に「ジャンケン」の歌を合唱する事はない。また「パトカーは嫌いだ」というのは、キッド自身が盗み等で逮捕され服役の経験があり、散々「世話になった」警察やパトカーに対しトラウマになっている意味が込められているのではないか。

『香港発活劇エクスプレス 大福星』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「ジャンケン」の歌(『潑水歌』)について

香港から日本へ向かったキッドやサンディ達が、宿泊先のホテルにて、誰がバーバラと一緒の寝室で寝るか決める際に歌った歌。
元々ベトナム童謡だったものが華僑の方へ伝わり、更に台湾で「ル~ララ、ル~ララ♪ルラルラル~♪」という歌詞・メロディーが加えられ改編された童謡『潑水歌』が本作にて使用された。

過酷を極めた撮影スケジュール

本作では初の日本ロケが行われたものの、スケジュールはかなり過酷なものだった。出演のジャッキー・チェン達は1984年12月に来日し、1985年の1月初めまで行われて、東京都内(都営新宿線新宿駅等)や山梨県の富士急ハイランド、そして千葉県浦安等で撮影が敢行された。そして殆どカーアクションは、千葉県浦安市にて湾岸道路を3日間にわたり閉鎖して撮影され、三菱ミニカのジャンプシーンだけで二日間かけて撮影された。三菱自動車は約60台もの車を用意したうえでカーチェイスの撮影に協力した。
またこの時期、本作に出演していたジャッキー・チェンは多忙を極めており、他にも『ポリス・ストーリー』『ファースト・ミッション』(1985年)等の作品の撮影が控えており、睡眠時間は「1週間で合わせて5時間」という過酷スケジュールだった。
そんななか、本作公開前の1985年7月15日にプロデューサーのレイモンド・チョウや共演のシベール・フーとら共に来日、帝国ホテルにて記者会見を開き、7月16日には「筑波EXPPO’85」でイベント、更に7月17日には渋谷東映でのイベント「成龍祭」が開催されハッピ姿登場し御輿を担ぎ、翌日に香港へ帰っていった。

『香港発活劇エクスプレス 大福星』の主題歌・挿入歌

香港公開版主題歌:ジェニー・ツェン『同是世俗人』

1970~1980年代に香港や台湾で活躍した女性歌手のジェニー・ツェン(甄妮)が、本作の主題歌(香港公開版)を手掛けた。

日本公開版主題曲:時代錯誤『幸運序曲』

日本公開版主題曲・時代錯誤『幸運序曲』

本作の主題歌を手掛けたのが、当時人気のあった路上パフォーマンス集団「劇男一世風靡」(このメンバーから一世風靡SEPIAを輩出)のフォロワー的存在として活動していたグループ「時代錯誤」であり、東京・原宿の歩行者天国を中心に活動を開始し、ライブハウスにも進出。1985年に同作の主題歌『幸運序曲〜大福星のテーマ〜』でメジャーデビューを果たす。

日本公開版挿入歌1・時代錯誤『さらばバイカル』

日本公開版挿入歌・時代錯誤『さらばバイカル』

路上パフォーマンス集団「時代錯誤」のメジャーデビュー曲で、本作の主題歌『幸運序曲』のB面曲(2曲目)であるのが、挿入歌の『さらばバイカル』である。

日本公開版挿入歌2・ユン・ピョウ『KUNG FU STAR』

本作に出演のユン・ピョウが挿入歌を手掛けた。同時期には、自身の主演作『チャンピオン鷹』(1983年)も公開され、その主題歌も手掛けた。

minaminaq7
minaminaq7
@minaminaq7

Related Articles関連記事

七福星(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

七福星(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『七福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督・主演のアクション・コメディー作品で、『福星』シリーズ第3弾。『あぶない刑事』の同時上映として公開された。前作『大福星』にてヤクザ撲滅に協力したキッド(演:サモ・ハン・キンポー)ら一同は、褒美としてパタヤ旅行へ行く事となった。またその先でも思わぬ魔の手が立ちはだかっていた。一方で香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)やリッキー(演:ユン・ピョウ)達は香港で捜査に乗り出していた。ジャッキー・チェンやユン・ピョウは『福星』シリーズ出演最後となった。

Read Article

スパルタンX(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

スパルタンX(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『スパルタンX』(映画)とは、スペインのバルセロナを舞台に、トーマス、デヴィッド、そして探偵のモビーの三人が、謎の組織に誘拐された美女シルヴィアを救出すべく奮闘するコメディ・アクション映画である。また、この作品を題材にしたアーケード&テレビゲームが制作された。 本作のクライマックスで繰り広げられる、ベニー・ユキーデとの一騎打ちは、ジャッキー・チェン映画における名ファイトシーンとして多くのファンから絶賛されている。

Read Article

ファースト・ミッション(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ファースト・ミッション(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ファースト・ミッション』とは、1985年に公開されたサモ・ハン・キンポー監督、ジャッキー・チェン主演の香港映画である。刑事のフォン・シャンヤンは上司のウォン警部達と宝石の密輸を行うシンジケートの捜査を行っていた。その矢先、彼の兄シャンタクはある出来事によりシンジケートの事件に巻き込まれる事となる。監督のサモ・ハンの意向でドラマ重視の作品となったが日本公開時にはアクション場面とジャッキー・チェン歌唱の主題歌が追加された。

Read Article

炎の大捜査線(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

炎の大捜査線(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『炎の大捜査線』とは、1991年に台湾・香港で製作・公開された刑務所を舞台としたアクション映画である。警察官のウェイが、異動に伴い署長のもとへ挨拶に行った矢先、何者かにより署長が殺害される。署長を殺害した男は逃走用の車に乗った直後に爆死。男の死体を調べると、彼は3ヶ月前に死刑が執行されていた。ウェイは、犯人が収監されていた刑務所に何かあると考え、自らの入所を試みる。ジャッキー・チェンをはじめ、1990年代の香港の人気俳優が総出演。

Read Article

ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』とは、ジャッキー・チェンが監督・脚本・主演・武術指導を兼ねたアクション映画。 香港警察のチェン刑事は他の刑事達と共に、麻薬密売を行うチュウ率いる犯罪組織の取引現場へ潜入する、張り込みが一味にバレて銃撃戦へと展開。チェンの活躍でチュウ達を逮捕するが、更なる波乱が待ち受けていた。 現在でも、なおジャッキー・チェンのベスト作品としても人気が高い。

Read Article

死亡遊戯(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

死亡遊戯(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『死亡遊戯』とは、1978年に公開されたロバート・クローズ監督、ブルース・リー主演の香港映画である。 スター俳優のビリー・ローはシンジケート組織からの契約を迫られるが、それを頑なに断る。ある日の撮影中に、ビリーは銃弾を浴びて銃弾を受けて殺害されたと思われたが、実はビリーは死んでおらず、単身でシンジケート組織へ戦いを挑む。 1972年にアクション場面を撮影後、ブルース・リーが急逝。 数年後に代役スタントマンを起用して追加撮影したうえで1978年に制作された。

Read Article

ラッシュアワー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ラッシュアワー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラッシュアワー』とは、1998年にアメリカで公開されたアクションコメディー映画である。本作は公開第1週で興行収入3,300万ドルの収益を上げ、北米興収1位となった。大変好評であったため、『ラッシュアワー2』『ラッシュアワー 3』も公開される。いずれもブレット・ラトナーが監督を務めている。香港警察のリーと、ロス市警のカーターが誘拐された領事の娘を救うために協力する話である。

Read Article

デッドヒート(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

デッドヒート(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『デッドヒート』とは、1995年に公開された、ジャッキー・チェン主演のカーアクション映画である。レーサーであるジャッキーは、父親が経営するレーシング・ショップを手伝いつつ、親子で街に蔓延る改造車の摘発を警察の協力のもとで行っていた。そんななか一台の車がジャッキーの目の前を爆走する。運転手は国際テロリストのクーガーだった。ジャッキー・チェンの車好きが高じたのか、全編にわたり、カーアクションが繰り広げられる。

Read Article

ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』とは、1988年に公開された、ジャッキー・チェン主演のポリスアクション作品である。犯罪組織のボスであるチュウ一味を逮捕したチェン刑事だが、彼等逮捕する際に器物破壊等の行為で多大な損害を出してしまう。これにより制服警官への降格、交通係への勤務を命じられる。地道に働くチェンだったが、その背後で爆弾事件が発生する。人気シリーズ第2弾であり、派手な格闘、爆破シーンが話題となった。

Read Article

ラッシュアワー2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ラッシュアワー2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラッシュアワー2』とは、2001年に公開されたアメリカで制作されたアクション・コメディ映画である。『ラッシュアワー』の続編であり、主人公は同じくジャッキー・チェンとクリス・タッカーである。全世界で3億4,730万ドルの収益を上げた。『ラッシュアワー』よりアクションシーンが多くなっている。監督は『ラッシュアワー』に引き続きブレット・ラトナーである。休暇を取り香港観光に来たカーターだったが、リーの父親を殺した犯人の捜査に協力することになり、2人は息の合ったコンビネーションで事件を解決していく。

Read Article

サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サンダーアーム/龍兄虎弟』は、1986年に香港で製作されたジャッキー・チェン主演のアクション映画。 冒険家のジャッキーは、友人アランから恋人のローラが邪教集団に誘拐されたと告げられる。一方で教団は、ジャッキーを利用して世界各地にある五つの「神の武具」をジャッキーに集めさせ、恐るべき力を手に入れようとしていた。 本作品での撮影中に、主演のジャッキー・チェンが頭蓋骨骨折という大怪我を負った事は有名であり、現在も彼の脳が飛び出さない様にプラスチックの栓がしてある。

Read Article

タキシード(2002年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

タキシード(2002年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『タキシード』とは、並外れたドライブテクニックを持ったタクシー運転手のジミー・トンが、タキシードを着ることによりスーパーマンのように強化し、雇い主であるデヴリンの代わりに、ミッションを遂行するアクションコメディー映画である。ジャッキー・チェンの映画では珍しく、「タキシードを着ないと強くならない」という設定である。監督はケヴィン・ドノヴァンである。アメリカでは2002年9月27日に劇場公開され、日本では2003年3月15日に日比谷映画系列で公開された。

Read Article

ダブル・ミッション(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ダブル・ミッション(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ダブル・ミッション』とはアメリカ合衆国で制作され、2010年に公開されたアクション・コメディ映画である。監督はブライアン・レヴァントであり、主人公はジャッキー・チェンが演じている。CGやスタントに頼らない、人間離れした体当たりアクションがジャッキーならではの映画となっている。主人公ボブはジリアンと結婚するために、スパイを引退するつもりでいた。ジリアンの息子・イアンが、ボブのパソコンからテロリストの極秘ファイルをダウンロードしてしまい、テロリストから狙われてしまうという話である。

Read Article

ジャッキー映画に登場した出演者やロケ地の”その後”を紹介!

ジャッキー映画に登場した出演者やロケ地の”その後”を紹介!

ここではジャッキー・チェンの映画に登場した出演者や有名なロケ地の「その後」を紹介する。『拳』シリーズ、『プロジェクトA』シリーズ、『ツイン・ドラゴン』、『ポリス・ストーリー』シリーズ、『ヤング・マスター』、『スパルタンX』、『フーアムアイ?』など名作の数々を幅広く網羅した。

Read Article

目次 - Contents