プロメア(PROMARE)のネタバレ解説・考察まとめ

『プロメア』とは、『キルラキル』などで知られるアニメーションスタジオ・TRIGGERと『モンスターストライク』などバトルエンタメコンテンツを創出するXFLAGがタッグを組んだ、日本のアニメ映画。
30年前の世界大炎上により人類の半数が減り、今日まで炎を操るバーニッシュと人間は対立していた。ガロは「バーニングレスキュー」として消火活動に精を出していた。ある火災をキッカケに指名手配グループ「マッドバーニッシュ」のリオとぶつかりながら仲間たちとともに立場を越えて国の陰謀・地球の危機に立ち向かう。

『プロメア』の概要

『プロメア』とは、2019年5月24日に国内で上映開始した日本のアニメ映画。『天元突破グレンラガン』など人気TVアニメでのコンビ、監督・今石洋之と脚本・中島かずきが手掛けた初のアニメ映画である。
初週観客動員数が8位スタート。第23回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品に選ばれた。
ダイナミックなアニメーション、怒涛なテンポで最後まで突き進む展開は、爽快感があり観客を飽きさせない。

中島かずきが描く、魅力的なキャラクターたちが織り成す王道でとにかく熱い。壮大なストーリーに、シンプルかつスタイリッシュなデザインランゲージ。またスタイリッシュで中毒性のあるサウンドが場を更に盛り上げる。

主人公2人は「炎を消す」「炎を燃やしたい」と相反し、「差別」「被差別」の対立関係である。
ごく普通の人間は、たまたま選ばれてしまった炎を操りだす人間を恐れ差別している。
しかし本作の世界観、その中には完全な悪は存在しない。それぞれの立場で世界の未来を救うため、互いの正義と信念がぶつかり合う。
現実のように人間同士の差別・対立のある世界で、彼らは立ち向かっていく。等身大の熱い想い、演技からは目が離せない。

情報量が膨大である本作は、他作品より劇場のリピーターが多いのが特徴だ。
上映期間の延長、劇場の追加、応援上映の開催、前日譚が再編して上映が行われ、また2019年10月18日より4D上映が開始された。
OVAであるが1年以上に渡りロングラン上映が続いている。

『プロメア』のあらすじ・ストーリー

バーニッシュと炎

火災現場に現れたバーニングレスキューの新人隊員ガロ

突然変異で世界中に現れた人種、炎を操るバーニッシュ。
世界中で混乱を極め、人々は対立し全人類の半数が焼失するほどの大惨事が起こった。
それから30年、「マッドバーニッシュ」を名乗るバーニッシュのテロリストが現れ、世界は再び混沌の渦へ。

自治共和国プロメポリスにて、製薬会社ビルでバーニッシュによる火災が発生。
対バーニッシュ火災消防隊、バーニングレスキューへの出動要請から物語が始まる。
現場に急行したバーニングレスキュー。
副隊長レミーと隊員バリスは特殊な専用パワードスーツ、レスキューギアを使いビル内の逃げ遅れた人の救助へ向かう。
飛行型レスキューモービル「スカイミス」に搭乗した隊員アイナが屋外に取り残された人を把握。新人隊員の主人公ガロと共に連携をしながら誘導・救助する。
順調に進む人命救助の最中、ビル屋上から強烈なバーニッシュ反応を感知する。

すぐさま炎を纏う煙から指名手配中の炎上テロリスト、マッドバーニッシュが姿を現す。

救助者をアイナにまかせ、ガロはマッドバーニッシュと対峙。
猛攻を受け窮地に立たされるガロは、レスキューギアにガロ専用パーツを加えたマトイテッカーを駆使し相手を翻弄。
バーニングレスキューの仲間と力を合わせマッドバーニッシュの拘束に成功。
その後、警察兼軍部組織フリーズフォースによりリオたち三人はバーニッシュ収容施設に連行される。

バーニッシュへの差別

一方プロメポリスでは、マッドバーニッシュの逮捕に貢献した功績が認められ、ガロは司政官であり恩人、クレイ・フォーサイトから勲章を授与する。

勲章を胸に、ガロたちはプロメポリスにあるピザ屋で昼食をとる。
会話の中で、ガロは幼い頃クレイに命に救われたこと、その恩を返すためにも活躍したい想いを仲間に伝える。

程なくして店に突如ヴァルカン大佐率いるフリーズフォースが現れる。

バーニッシュの疑いをかけられたピザ屋の青年。
彼は動揺し、ピザ窯の炎から生み出したバーニッシュフレアを暴発。青年が本当にバーニッシュだと判明し、捕まってしまう。
連行される青年に対し、誰も傷つけていないとピザ屋店主は庇う。
しかし店主はバーニッシュだと知っていながら隠していたため、共謀罪として二人共逮捕だと、ヴァルカンは告げる。
ガロたちは間に入るが、「テロ関与の可能性調査のため」の一点張りで聞く耳も持たずそのまま連行されてしまう。

騒動後の店内ではバーニッシュが作った料理に嫌悪感を示す客がほとんどで、居たたまれなくなったガロはその場を離れた。
逮捕されたマッドバーニッシュは収容施設からの移送が決まる。
収容施設からバーニッシュ全員の脱走を計画したリオ。

移送中の警備が手薄なタイミングを見極め、瞬間冷却を搭載した拘束具に何度も炎で負荷をかけ破壊。
警備を次々と気絶させ、強制収監されたバーニッシュたちを解放し共に用意していたヘリで抜け出す。

一方、ガロと追いかけてきたアイナは山奥の凍った湖に。
頭を冷やしにきたガロはアイナと会話を交えながら、夜空を飛ぶバーニッシュの姿を見つけ追う。

洞窟の中にはバーニッシュ複数の反応。
確認後、ガロが忍び込むと、リオと共に脱走したバーニッシュが休んでいた。
思わず固まったガロは後ろから殴打され、気絶する。

気がつくと、拘束され目の前にはリオが。
食事をとる様子を怪しむガロ。リオは同じように人間で食事を取らなければ死んでしまうと叱責する。
ガロは自分の発言を反省し、炎を出さずに暮らせないのかと提案する。

そこでリオからクレイが理事長を務めるフォーサイト財団が、
裏ではバーニッシュたちを使い違法な人体実験をしている事を聞かされる。

クレイの裏の顔

衝撃を受けたガロは翌日、クレイに事実確認をしに行く。クレイはついてこいと席を立つ。

そこでは近年地球のマグマ活動が活発化しており、半年を待たずに住めなくなること、
そのために移住可能な惑星を見つけ、星間航行船パルナッソスに1万人の市民を乗せワープし移住する「パルナッソス計画」を進めていることを明かす。

またエリスが率いる研究チームの実験を見せられる。バーニッシュのピザ屋の青年が拘束されたまま装置が作動。
青年のバーニッシュフレアで小さなワープゲートが開き、人一人のワープが成功する。

そこでリオの言う通り、クレイがワープエンジンの動力としてバーニッシュを利用して実験をしていたと分かる。
他にも方法があると言うガロを殴り、クレイは拘束し収監を命じる。

憤りと憎しみ

時を同じくして、火山付近のバーニッシュたちの隠れ集落をフリーズフォースが襲撃。
マッドバーニッシュは立ち向かうが、リオが突如氷漬けになってしまう。
収監施設で助けた老人が内通者で、命ほしさに位置を教えリオに新型の凍結剤を取り付けていた。

ヴァルカンはリオも含め連行しようするが、メイスとゲーラが自らを犠牲にリオを火山火口へ逃がす。

火口でリオは仲間を奪われた怒りに満たされ、新型の凍結剤を優に超える炎を纏う。
炎の龍となり、クレイへ憎悪を持ち市街地へ。

リオはプロメポリス内で暴れ、多数の火災が発生。
その際、収監されたガロは運よく脱走し、リオを止めるため仲間と合流する。

そしてアイナの乗るスカイミスと共に炎の龍へ。怒りに満ちたリオはクレイを見つける。
一触即発の瞬間、寸前でガロが間に入り復讐を止める。

事を急ぐクレイは捕まえたバーニッシュたちからエネルギーを供給、パルナッソス号を起動へ。

ガロはリオをスカイミスへ押し込み、拳を交えながら説得。
「バーニッシュは人を殺さないという誇りを忘れたのか!」という言葉にリオは正気を取り戻した。

しかし二人の様子が分からないアイナは、暴れていた二人の頭を冷やすため凍った湖に落とす。

「プロメア」とクレイの罪

落下中、咄嗟の判断で出したリオの炎で湖の氷が蒸発。
分厚い氷から巨大な研究所が現れる。
驚いた三人は謎の人物により研究所に招かれ、言われるがままついて行く。

謎の人物はバーニッシュ研究の第一人者プロメス博士、その人格コピーしたAIだった。
行方不明とされていたが、プロメス博士本人はすでにクレイに殺害されていたことが判明。

またクレイがプロメス博士の研究を盗み、それにより成した財力で現在の地位にまで登り詰めた真実を知り衝撃を受ける三人。

プロメス博士はパルナッソス計画に使用するバーニッシュエンジンは未完成だと言う。
多くのバーニッシュに苦痛を強いることになり、すぐに地球は壊滅すると説明を始める。

30年前、時空に断層ができ、異次元の世界と繋がる。
その異世界の知的生命体、プロメアに強く共鳴した人々がバーニッシュだった。
感情も共有しており、そのため多くのバーニッシュが苦しむと地球の核、マグマに多大な影響が出てしまうということ。

バーニッシュの成り立ちに驚く三人。
プロメス博士は完成したバーニッシュエンジンを搭載したロボット、デウス・エックス・マキナを与える。そして地球の命運を託すのであった。

ガロとリオはデウス・エックス・マキナに乗り込み、クレイのいるパルナッソス号へ。

クレイとの激闘

到着した二人は止めに入るが、ガロは容姿が気に入らず力を発揮できずにいた。
マトイデッカーだったらと言うのに対し、リオは炎で鎧を纏わせる。やる気を出したガロはリオデガロンと命名。攻撃を再開し、ワープが中断する。

一方、アイナは上空をスカイミスで飛びながら、エリスをはじめとした乗員にクレイの罪と、地球がこのままだと今すぐ壊滅することを伝える。
それに対しクレイは、話は捏造で作業を続けろと催促する。その間エリスは作業を装う。
ワープできない原因、攻撃し続けるリオデガロンに対処するため、クレイ自らもクレイザーXなるロボットに搭乗し対峙する。

リオデガロンとクレイザーXの戦闘中に大きな爆発音が怒り、パルナッソス号は墜落する。
事実を知ったエリスがバーニッシュエンジンをオーバーヒートさせ破壊させた音だった。

状況を把握したクレイはヴァルカンにエリス排除を命令。
フリーズフォースに追いこまれるエリス。しかし駆けつけたアイナとバーニングレスキューの仲間たちに救われる。

リオデガロンとクレイザーXの戦いは相打ちに。三人は機体から降り対決する。
クレイに渾身の炎を浴びせるリオ、クレイには通じず驚愕する。
実はクレイもバーニッシュであること、リオを更に上回る力をひた隠し生きていた。

すると拘束したリオを核にパルナッソス号を再起動しようとする。止めに入るガロはクレイの炎を浴びる。
リオがガロに炎を纏わせるが、落ちてゆくガロ。
落ちたガロの下に仲間が集まり、炎を消火しようするが、自然に収まっていく。

クレイの攻撃からリオの炎がガロを守っていた。

バーニッシュエンジンへ向かうクレイを追いかけ、ガロはドリルを搭載したマトイデッカーを装備。
その頃エンジン再起動が成功し、バーニッシュのエネルギーが膨大に流れ込み苦しむリオ。そこでプロメアの意思を垣間見る。

駆けつけたガロはエンジンを破壊。しかし激情したクレイの炎に巻かれ、マトイデッカーは溶けて、ガロも炎に包まれる。
万事休すと見られたが、炎からガロの姿が再び現れる。驚愕したクレイをガロは殴り飛ばす。

そして、とてつもないエネルギーを浴び、命が尽きかけたリオに近寄る。
ガロは自分を守ってくれていた炎をリオに還す。
するとリオの傷は癒え、意識を取り戻した。
バーニッシュエンジンを稼働させた影響で、急速に地球のマグマは暴走状態になり、壊滅が近付く。
地球を救うと意気込むガロとリオ。
プロメアの意思に触れたリオは、プロメアたちは完全燃焼することで満足すると告げる。

ガロの「燃やして救う」精神、リオの「すべて燃やし尽くす」衝動、この二つで全世界を満たせば地球を救えるというリオの提案に同意するガロ。

デウス・エックス・マキナに乗り、バーニッシュの人々の力も借り、ガロデリオンとなり世界中に炎を広げ、すべてを燃やし尽くす。
プロメアは燃えたい衝動が満たされ、元の別次元に帰り、バーニッシュはただの人間に戻る。

プロメアが去った世界で、ガロはリオや仲間たちと共に新たな世界のスタートに立つ。

『プロメア』の登場人物・キャラクター

バーニングレスキュー

ガロ・ティモス

CV:松山ケンイチ
本作の主人公の一人。バーニングレスキューの新人隊員。まっすぐな性格で誰よりも火消しに熱い男。日本古来の火消しに憧れ「マトイ」を手に、猪突猛進に現場に駆けつける。幼い時、命を救ってくれたクレイをダンナと呼び慕っている。

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