ゲッターロボ アーク(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ゲッターロボ アーク』とは、石川賢が手がけたSF巨大ロボットバトル漫画であり『ゲッターロボ』シリーズの叙事『ゲッターロボ・サーガ』最終作。
正義のロボットだったはずのゲッターロボが、未来ではゲッターエンペラーとして宇宙を侵略する悪魔のようになってしまう予知があった。
なぜ、そのような未来が創られたのか。初代ゲッターパイロット流竜馬の子、流拓馬が現代での最新ゲッター「アーク」を駆って、その謎を解き明かす予定だったが、作者急逝により謎のまま未完となった。
2021年夏アニメ化。

擬音「ドワオ」

爆発すれば「ドワオ」である。

作中のあちこちで起きる、石川作品名物・爆発破壊シーンの一コマ。
この「ドワオ」という擬音は石川が好んで用いており、爆発の轟音と爆風の凄まじさがたった三文字で見事に表現されている。

敷島「きやがれ! 早乙女研究所のおそろしさ思い知るがいぃ!!」

ハイテンションで迎撃システムを作動させる敷島。

アンドロメダ流国の軍団に早乙女研究所を包囲された敷島が、攻撃システムを用意しながら叫んだセリフ。
これでも主人公の味方なのである。
本作をはじめ、石川作品にはハイテンション過ぎるキャラクターが目白押しだが、特にこの敷島は群を抜いている。

拓馬「親父?」

竜馬は実体がなく、精神体となっている。

物語終盤、未来の世界から強引な時空超越を行って、宇宙のどこかへ飛ばされてしまったゲッターアークと拓馬を探し当て、迎えに来たゲッターエンペラーと竜馬。
どこに飛ばされたのかも解らない相手を、全宇宙から情報なしに捜すのは無理では、とゲッター艦隊にも指摘されていたが、ゲッターエンペラーの力と、竜馬が父として子を想う気持ちは、それを難なく成し遂げた。
そしてゲッターアークの中で気を失っていた拓馬は、目を覚まし「親父?」と会った事のない父親の気配を感じ取り、つぶやいた。

作者・石川賢はハイテンションな作風が売りの漫画家だが、じつは「父と子」というテーマも得意としており、その実力がいかんなく発揮されているシーンでもある。

『ゲッターロボ アーク』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

未完が予想された創作スタイル

本作は、作者・石川賢の急逝によって絶筆の作品となっている。
しかし石川の生前より、本作の未完はそれなりの数のファンが予想していた。それは石川の体調不良などがまことしやかに語られていたから、というような理由ではない。石川の創作スタイルによるものだ。

というのは、石川は大変に優れた画力と構成力を誇る漫画家であり、かなり大風呂敷を広げた作品でも、きちんと結末を構想できる能力がある。
しかし、それ以上に「畳んだ大風呂敷の下に、もっと大きな風呂敷を広げる」という、せっかく綺麗に終わりかけた作品でも、終盤でさらに大きな事件を描いて収集がつかない状態にしてしまう奇癖があったからだ。

そして、そうこうしている内に連載の人気が落ちる、あるいは掲載誌などが休刊になって、結局中途半端な状態で連載終了という事がよくある漫画家だった。
なので本作も連載開始時から「本当に『ゲッターロボ・サーガ』は終わるのか。大丈夫なのか、ゲッターエンペラーなんて出して」と心配はされていた。

ただし、これは石川の「もっとこの漫画の世界を描いていたい。広げたい」という創作者としての純粋な願いと、それを知っていてけしかける編集者の企みが二人三脚してしまう事にも原因がある。
そもそも『ゲッターロボ』シリーズ自体が『ゲッターロボ號』で一度完結しており、石川本人も「綺麗に終わった」と満足していたのである。

ところが、それに満足しない編集者が『ゲッターロボ號』で描き切れていなかったゲッタードラゴンの行方を石川に質問し、石川が質問に新たな創作を加えながら答えると「じゃあそれを描きましょうよ」などと言ったがために、石川も俄然やる気になってしまい、このように絶筆まで続く歴史が生まれてしまったのである。

だが、石川賢はそれがために伝説を残す漫画家だったのも、また事実である。

「竜馬 対 拓馬」という構想

ゲッターロボというヒーローロボットは、1970年代に設定が生まれた当初は人類の味方であり正義の味方であった。
しかし作品としての『ゲッターロボ』シリーズが2000年代まで続くにつれ、ゲッターロボの原動力「ゲッター線」には意志があるとされ、それが人類の進化だけを庇護して、他は滅ぼす独裁思想の権化であるという描写に変化していった。

当然、かつて正義のヒーローだったゲッターの悪への転身に、本シリーズのファンはとまどった。そして『ゲッターロボ號』で行方をくらましてしまった、本シリーズの元主人公、流竜馬も本作では悪そのもののゲッターエンペラーと同化しているような描写が見られた。

このゲッターと竜馬の転身は、作者・石川賢によって意図的に定義された事であり、本作に『ゲッターロボ』シリーズの元主人公・竜馬の息子である拓馬というキャラクターを登場させたのは、やがて物語の果てに悪の道に落ちた父との戦い、すなわち『スターウォーズ』シリーズにおける「ダース・ベーダー」と「ルーク・スカイウォーカー」のような関係性を描くつもりがあったのかもしれない、とファンサイトなどによって考察されている。

また、石川は1975年に発表した『魔獣戦線』という作品で、主人公「来留間慎一(くるま しんいち)」が、その父「来留間源三(くるま げんぞう)」の手によって新人類(ニューマン)に改造されてしまい、その結果両者は激しい対立をするという物語を描いている。
ゲッターロボのパイロットだった父、竜馬の影響で、ゲッター線の申し子としての運命を背負わされたという拓馬の設定は、慎一のそれと似通っている。

通常の3倍の原稿重量

作者・石川賢の特長は、絵の緻密さである。一枚の原稿用紙に対して、空白で済まされている部分がほとんどといっていいほどないのだ。
また、石川は昭和の高度経済成長期の時代、すなわち1969年にデビューし、そして2006年に亡くなった漫画家という事もあり、基本的にデジタル作画手法を持ち要らず従来のアナログ作画手法を執筆に用いていた。
そんな石川の原稿を見た漫画家とり・みきは「インクやトーンが紙の上に乗った完成状態の物理重量が、普通の漫画家が描く原稿の倍。さらにそこへ込められた描き手の汗や情念といった眼に見えない重さが加わって、3倍以上の重さを感じる」といった趣旨の発言を、漫画版『魔界転生』の解説で残している。

事実、戦艦が宇宙を埋め尽くしている描写や、登場人物が激しい戦闘を繰り広げる描写などは、特に描き込み量が多く、しかも晩年の作品に至るほどレベルが上がっており、石川を知らない人間が、その晩年時期に描いた作品(本作含む)を読んだ時には「凄いエネルギーを感じる描き込み量だ。若い漫画家の作品だろう」と勘違いしたほどであるという逸話が、インターネット上で散見される。

『ゲッターロボアーク』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):JAM Project『Bloodlines〜運命の血統〜』

ED(エンディング):JAM Project『DRAGON 2021』

az399
az399
@az399

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